医学生が今やるべきこと

2023-07-05

【現役予備校講師が教える!】5年生が夏にすべきこと -マッチング-

5年の夏はマッチングの夏! だけどその前に… ~国家試験対策 夏編~

【夏は就活の季節。皆様は準備できていますか?】

いよいよ夏が深まって参りました今日この頃、学生の皆様は日々如何お過ごしでしょうか。
いよいよ夏休み、実習の疲れを癒したいと思っている方も多いでしょうが、一つこの夏に忘れずやってほしいことがあります。

それは、マッチングの準備。皆様は、マッチングって何かご存じでしょうか。
今日は、我々e-residentのスタッフも一生懸命取り組んでおります、マッチングに関して基礎的な知識を皆様にお届けしたいと思います!

【マッチングって何?】

一言でいうと、臨床初期研修を行う病院への就職活動の総称のことです。

臨床初期研修はどこの病院でもできるわけでなく、国から指定を受けていないとできないという仕組みに現在はなっています。
そして、臨床初期研修を行う病院には一つ大きな制約があり、それは「雇える初期研修医の人数が国により制限されている」という点です。
そのため、臨床初期研修病院は何人も申し込んでくる医学生の中から、どの学生さんを採用するかを選考し、絞る必要があるのです。
言い換えれば、皆様方もどこで研修をしたいか病院を選ぶのですが、病院もまた皆様方を選ぶのです。お互いに納得して働く、だからマッチングと呼ばれるという訳です。
因みに、その選考の基準は施設によって様々です。CBTの点数を選考の基準とする施設もあれば、
ペーパーテストを課す施設、他にそう言った試験の点数などと関係なく人となりを重視する病院もあります。

なお、このマッチング制度に参加しないと病院就職できないかというと、二次募集という制度がある為、そういう訳でもありませんが、
そうなった場合は大きく就職先が制限される為、選択肢狭められてしまいます。

できれば豊かな選択肢の中から就職先を選ぶ方が、皆様の人生の幅が広がると思われますので、マッチングに参加する事が一般的に推奨されています。

【5年から何かしなきゃいけないの?】

マッチングで重要なのは、一にも二にもその病院の実態について詳しく知っておくという事です。
例えばですが、迷えばとりあえず研修医の定員枠が大きい大学や医療センターが正解かというとそうでもなく、
大学には大学の利点と欠点、市中には市中の利点と欠点があります。何事もそうですが、その利点と欠点の両者を天秤に掛けて、自分の初期研修先は選ばねばなりません。

その利点・欠点をそれぞれ知る為にも、まずはある程度様々な施設を見て回っておくという事は必要になると思われます。
これまではコロナ禍で見学が制限されておりましたが、これから5類引き下げに伴って色んな病院を自由に見学できるようになってくると推測されます。
その時に注意しなくてはいけないのは、病院見学は可能であれば3か月前、遅くとも1か月前から見学の予約をしておく必要があるという事です。

これは何故かというと、学生さんはほとんど皆夏休みを使って病院見学に行きます。その為、夏はどこも見学の学生さんが殺到するのです。
その傾向は、ある程度人気の病院であればあるほど強くなります。そのため、もしあなたが希望する病院が地元・もしくは全国で有名であるような場合には、
なるだけ急いで見学の予約をしておく方がいいでしょう。

また病院見学以外にも、病院の雰囲気を知る手段はもう一つあります。それは、イーレジフェアのような病院就職説明会を利用する事です。
今はまだオンライン実施が中心ですが、もう少し時間が経ちますと、元通りの対面の就職説明会が実施されるはずです。
説明会で色々な病院、色々なコンサルタントの人々に話を聞くと、また違った視点から初期研修をどうしていくかを考える事ができます。
ですから、是非就職説明会にも積極的に参加するようにしましょう。 なお、就職説明会や病院見学に際しては、ある程度身だしなみを整えていく方が好感は持たれやすいと思います。
ですから、説明会や見学会に行く前には、必ず事前にスーツや靴のサイズがあっているかどうか、髪の長さが適切かは確認する方が良いでしょう。

スーツ男女

【因みにどういう病院を選ぶのがいいの?】

とはいえ、初期研修先にどんな病院を選ぶのがベストなのか、その基準というのはやや分かりにくいところがあります。
勿論、自分自身の持病や経済状況、交友関係などを踏まえて研修先を選ぶ事も非常に重要ですが、
自分のキャリアアップにどう影響するか? を考えるのも非常に重要です。

例えばですが、臨床医としてバリバリと患者さんを診ていくという事であれば、救急はその基本中の基本となります。
ですから、臨床医として活躍をしていく、というビジョンがある人ならば、ある程度救急に強い病院を選んでいく方が良いでしょう。

救急はスポーツでいうところの筋トレのようなものです。若手のうちは、救急症例を積極的に積み重ねていく事で自らのレベルを上げる事ができます。
最終的には研究をして論文を書いたり、専門医資格を取って自らの専門性を高めていったりすることにはなりますが、
この基礎である救急の感覚は何年目になっても要求されます。そのため、初期研修のうちは救急症例をある程度経験できるところを選ぶのが良いと思われます。

他にも勿論、先輩や他のスタッフに質問・相談しやすいだとか、心身の状態をよく考えてくれるだとか、そう言った要素も重要視した方が良いのも事実です。
最終的には個人個人の感性にはなると思いますが、そう言った様々な視点から病院を検討・吟味して、
自身の初期研修先を決めていけばいいのではないかと思われます。
因みに、自分自身がどのような道に進んでいいのかよく分からない、という人がいるならば、
一先ずあなたの大学の近くでバリバリと救急をやっている忙しい病院に見学に行っておけば、自分自身がどのような道に進めばいいのかが見えると思います。

何故ならば、忙しい病院を見ておけば、自分自身がそこまでバリバリと働きたくないのか、そうでないのか、まずそういうところも把握できるからです。
自分探しのために、病院見学を使う。そういうやり方もありますので、是非早い段階から病院見学に行きましょう!

診察

【え、そんな道もあるの!?】

さて、ここまで病院への就職活動の話をしてきましたが、実は初期研修先を決めるにあたってこんな道もある、というお話をさせていただこうかと思います。
皆様は医師になり、病院に勤め、患者さんを診て生活をしていく、というのが医者の仕事と思われているようですが、実はそれ以外にも道はあります。

例えばですが、厚生労働省に勤めて医系技官になるという道。これも一つの医師の働き方の形です。
もうビジョンが定まっているのであれば、学生のうちから厚生労働省の担当部署に連絡を取り、早いうちから色々とお話を聞くのが良いと思います。

医系技官は通常の医師と異なり、政策や公衆衛生に関する深い知識を要求されます。
だからこそ、早期から専門性を高める必要性があったり、場合によっては研修先をよく選ぶ必要性があったりするかもしれません。

そのため、医系技官を目指すのであれば、マッチング先を自分で探すよりもまず、
早い段階から直接厚労省の担当者へ相談する事。これは皆様の盲点になるかもしれません。
興味がある方は、厚労省へ問い合わせてみてはいかがでしょう。

【最後に】

ここまでマッチングに関して様々な視点からお話をさせてもらいました。
今は働き方改革や長期に渡ったコロナ禍で非常に研修の在り方さえ色々と混乱がある時代になります。
そんな時代の中で、この病院の人々に教えてもらいたいと、あなたが心の底から思うような病院に出会えることが一番です。
ですから、この記事の他にも様々な人の情報を参照にして、将来を決めていくとよいのではないかと我々は考えています。
皆様の医師人生が良い方向に向かいますよう、心から応援しています!

著者プロフィール

ペンネーム:なつ
プロフィール:市中病院勤務の脳神経内科医。趣味は釣りと小説と東洋医学。臨床をこなしながら、
CES医師国家試験予備校で講師として「アウトプットする授業」をモットーとして学生の指導に
当たっている。僕のコラムが何らかの形で皆様の力になれば幸いです。一緒に頑張りましょう!

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