みなさん医師国家試験の学習は進んでいるでしょうか?病気の症状として「腹痛」、「胸痛」、「頭痛」など様々な痛みがあります。今日はその中でも「胸痛」、そしてその中でも特に命に関わる4 killer chest painについて勉強していきたいと思います。それではいきましょう。
・突然の冷汗を伴う持続性の胸痛
・高血圧、高血糖、喫煙、高コレステロール血症、家族歴、加齢などの危険因子の存在
・聴診で心不全を疑う(coarse crackles)など
・心電図でST上昇、トロポニンT陽性など
胸痛の特徴や既往歴、聴診、心電図から急性心筋梗塞を疑ったなら、早期再灌流療法へ向けて冠動脈造影の検査などを行い、カテーテルインターベンションを施行する。
練習問題として112E50、112E51を解いておきましょう。
・突然の胸背部痛
・一過性の意識消失
・高血圧や血圧の左右差
・心電図に異常なし、トロポニンT陰性
移動する背部痛や、解離の進展による症状や異常な高血圧、急性心筋梗塞の否定などから急性大動脈解離を疑い、造影CT検査を行い確定診断する。上行大動脈に解離のあるStanford A型では緊急人工血管置換術の適応となる。
まずカルシウム拮抗薬などの持続点滴静注による降圧を行う。
練習問題として112A67を解いておきましょう。
・突然の息苦しさなど呼吸困難を伴うことが多い
・胸部痛がある
・低酸素血症がある
・聴診でⅡ音の亢進
・胸部X線で異常がない
などの所見から、肺血栓塞栓症を疑い胸部造影CT検査で確定診断を行う。
肺血栓塞栓症には危険因子があり、深部静脈血栓(DVT)、長期臥床、長時間のフライト、経口避妊薬などである。
練習問題として113C57、113C58、113C59を解いておきましょう。
・突然の胸痛
・息切れ
・聴診で呼吸音の左右差
・胸部X線で肺の虚脱
突然の胸痛と息切れで肺血栓塞栓症と気胸を鑑別しなければならない。
呼吸音の左右差や胸部X線で肺の虚脱を認め、縦隔の健側への偏位があれば緊張性気胸を強く疑う。
練習問題として113B21を解いておきましょう。
以上1)~4)まで 4 killer chest pain のまとめでした。いかがでしたでしょうか。人の命に関わる疾患ですのでしっかり学習しておきましょう。
時間のある方は
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shinzo/48/9/48_1095/_pdf/-char/ja
を見ておいてください。
それではまた次回のコラムでお会いしましょう!
著者プロフィール
ペンネーム:まる
プロフィール:近畿一円をまたにかけ、
ある時はクリニックで総合内科診療を、ある時は上場企業で産業医を、また様々な会社の健康診断の診察医も務めている。
日々の診療を行いながら、CES医師国家試験予備校で、「気づきのあるインプットと自力のアウトプットがある授業」
をモットーとして学生の指導に当たっている。僕のコラムが何らかの形で皆様の力になれば幸いです。一緒に頑張りましょう!