皮疹の鑑別は皮膚科の基本中の基本であり、必ずマスターして国家試験に臨みたいところである。細菌感染症、ウイルス感染症などでも皮疹を見分けることが診断につながることも多いので習得しておこう。
a 皮膚表面から隆起しているが、丘疹は大きさ1cm以内であるため、写真の皮疹は丘疹ではない。皮膚科の発疹には原発疹と続発疹があるが、丘疹は原発疹のひとつである。
b 局面は1~2cmを超える皮膚表面から扁平に隆起している触知可能な病変である。写真の皮疹は盛り上がりを認めるため、局面ではないと考えられる。局面も原発疹に分類される。(局面ととらえることもできるが、消退していることなどから、より適切なeが正解となる)
c 紅斑は、皮膚表面から盛り上がりのない赤い局面である。真皮上層の毛細血管拡張と充血が原因であり、硝子圧法(硝子板で赤い部分を強く押す)で退色する。
多くの皮膚疾患でみられる。紅斑も原発疹に分類される。
d 水疱は、内容物に漿液を入れたものであり、5mm以下を小水疱という。ウイルス感染症や自己免疫性水疱症でみられる。破れると水がでてくるのが特徴であり、写真の皮疹とは合致しない。水疱も原発疹のひとつである。
e 膨疹は蕁麻疹などでみられる。ヒスタミンによる血管透過性亢進からくる真皮の浮腫が原因である。多くの場合、紅斑や掻痒を伴うが、1日以内に自然消退する。よって問題文の病歴と写真からeが正解となる。
時間のある方は参考資料として
日本内科学会雑誌第110巻第3号 (jst.go.jp)
に目を通しておきましょう。