国試オンライン過去問演習

2024-03-06

国試オンライン過去問演習 112C42

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112C42
45歳の女性。関節痛の増悪を主訴に来院した。5年前に両手指関節、両手関節および両肘関節の痛みが出現した。 関節リウマチと診断され、サラゾスルファピリジン、非ステロイド性抗炎症薬および少量の副腎皮質ステロイドが処方された。 2年前から関節痛が強くなったため、メトトレキサートの投与が開始され痛みは軽減したが、3か月前から増悪し、 メトトレキサートが増量されたが効果は不十分で、日常の動作も困難となったため受診した。心音と呼吸音とに異常を認めない。 両側の示指、中指、環指の中手指節関節〈MP関節〉と両手関節および両肘関節の腫脹と圧痛とを認める。

血液所見:赤血球420万、Hb 12.9g/dL、Ht 39%、白血球7,200。
血液生化学所見:AST 16U/L、ALT 20U/L、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL。
免疫血清学所見:CRP 2.8mg/dL、リウマトイド因子〈RF〉122 IU/mL(基準20未満)、抗CCP抗体86U/mL(基準4.5未満)。
HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体、HCV抗体および結核菌特異的全血インターフェロンγ遊離測定法〈IGRA〉は陰性である。

次に投与する薬剤として適切なのはどれか。
答え
不正解

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関節リウマチの治療に関する問題である。関節リウマチでは、TNF-αやIL-6の放出で、滑膜の増殖やパンヌスが生じ骨・軟骨が破壊される。 診断はリウマトイド因子(RF)、抗CCP抗体、炎症反応や身体所見により行う。
関節リウマチの治療の基本薬はメトトレキサートであり、現在のDMARDsの中心である。関節リウマチの予後改善には、メトトレキサートを中心としたDMARDsをできるだけ早期に開始することが大事となる。
メトトレキサートで十分に効果が得られない場合は、積極的に生物学的製剤(抗TNF-α製剤など)を追加する。
なお生物学的製剤の開始前には感染症のスクリーニングが必要となる。

a 現在のメトトレキサートで効果不十分な状況を原因から改善することはできないため、NSAIDsのアスピリンは不適である。

b コルヒチンは関節リウマチには用いない。痛風発作に対して用いられるが、痛風の予防には用いられない。

c 上記のようにメトトレキサートで効果が不十分である関節リウマチには積極的な生物学的製剤の上乗せが推奨される。またB型肝炎、C型肝炎、結核のスクリーニングは陰性である。よって生物学的製剤のcが正解となる。

d 他の膠原病(例えば全身性エリテマトーデスなど)の治療薬や抗がん薬として用いられるが、関節リウマチの治療には用いられない。

e 特発性血小板減少性紫斑病、ギラン・バレー症候群などの治療に用いられるが、関節リウマチの治療には用いられない。

本記事執筆のエビデンスにつきましては、
日本内科学会雑誌第104巻第3号 (jst.go.jp)
をご覧ください。

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