国試オンライン過去問演習

2024-08-16

国試オンライン過去問演習 114E28

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114E28
38歳の初妊婦(1妊0産)。妊娠34週に激しい腹痛と性器出血のため救急車で搬入された。 これまでの妊娠経過は順調であったが、妊娠33週の妊婦健康診査で両下腿の浮腫と尿蛋白、軽度の血圧上昇を指摘されていた。 喫煙は、妊娠前は20本/日であったが、妊娠後は5本/日に減らしている。体温36.9℃。心拍数72/分、整。血圧170/90mmHg。 腹痛のため表情は苦悶様で、腹部は膨隆しており板状に硬く、圧痛を認める。腟鏡診で少量の性器出血を認め、内診で子宮口は閉鎖している。 尿蛋白2+。超音波検査で子宮底部に存在する胎盤の著明な肥厚を認める。胎児心拍数陣痛図で基線細変動の減少と遅発一過性徐脈を認める。
最も考えられるのはどれか。
答え
不正解

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妊娠34週ということで正期産(37~41週)まであと3週間といったところである。胎児の成長でいえば、肺サーファクタントが十分な量になり、肺が成熟する。また、胎動により一過性頻脈を認めるなど、CTGによる胎児の評価が可能になる。本症例では妊娠33週に血圧の軽度上昇、蛋白尿を指摘され、搬入時の血圧が170/90mmHgであることより妊娠高血圧症候群(PIH)と考えられる。また34週に激しい腹痛と少量の性器出血から常位胎盤早期剥離をまず考える。

a 切迫早産は腹痛と少量性器出血の症状は似るが、子宮収縮は規則的で胎児心拍パターンは正常なことが多い。妊娠週数(34週未満もしくは34週以降か)、破水の有無などによって妊娠の継続を判断する。

b 切迫流産とは妊娠22週未満で、流産の危険性がある状態である。少量の性器出血や軽度の下腹部痛を認める。切迫流産は妊娠継続が可能な場合がある。妊娠初期は有効な治療法はないが、16週以降は子宮収縮がある場合、子宮収縮抑制薬を投与する。

c 妊娠中期以降に無痛性性器出血をきたし、その後同じような出血を繰り返す。超音波検査にて、胎盤が内子宮口を覆う所見がみられる。妊娠31週までに前置胎盤の確定診断を行う。内診は、多量の出血を招くおそれがあるため禁忌である。 妊娠32~34週頃に入院とし、妊娠37週末までに予定帝王切開を行う。

d 絨毛膜、羊膜に細菌が感染して生じる炎症性疾患であり、常位胎盤早期剥離の危険因子であるが、本症例では母体の発熱、頻脈などを認めず感染は起こっていないと考えられる。

e 急激な下腹部痛、板状硬、少量の外出血、胎盤の肥厚、基線細変動の減少と遅発一過性徐脈など常位胎盤早期剥離の典型的な所見がそろっており、常位胎盤早期剥離と診断できる。DICに注意しつつ、子宮口が閉鎖していることから緊急帝王切開を行う。

時間のある方は参考資料として

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspnm/56/2/56_236/_pdf/-char/jaをご覧ください。

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