国試オンライン過去問演習

2024-09-10

国試オンライン過去問演習 113A59

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113A59
62歳の男性。血糖コントロールと腎機能の悪化のため来院した。 20年前から2型糖尿病で自宅近くの診療所でスルホニル尿素薬の内服治療を受けている。 5年前から血糖コントロールが徐々に悪化し、血清クレアチニンも上昇してきたため、紹介されて受診した。 身長165cm、体重76kg。脈拍84/分、整。血圧168/62mmHg。両眼に増殖性網膜症を認める。両下腿に軽度の浮腫を認める。 アキレス腱反射は両側消失。尿所見:蛋白2+、糖2+、ケトン体(-)。血液所見:赤血球395万、Hb 11.2g/dL、Ht 32%、白血球5,500、血小板22万。 血液生化学所見:尿素窒素40mg/dL、クレアチニン3.2mg/dL、空腹時血糖226mg/dL、HbA1c 10.8%(基準4.6~6.2)。
糖尿病治療について最も適切な対応はどれか。
答え
不正解

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2型糖尿病の治療は食事・運動療法から開始するのが基本であるが、本症例は腎障害、経口血糖降下薬でコントロール不良、HbA1c≧9.0%などからインスリンの適応も考えて専門医に紹介されてきたと考えるべき症例である。

a 糖尿病腎症の第4期と判断すると、食事療法のなかで塩分制限、蛋白制限、総エネルギーやカリウムの制限を行わなければならないが、それによって高血糖を是正できるわけではない。よって治療の中心とはなり得ない。よってaは×。

b 食事・運動療法に対して数か月内に反応がない場合、ビグアナイド単剤で少量から治療を開始することはあるが、クレアチニン3.2mg/dlより明らかな腎機能障害があるため使用できない。乳酸アシドーシスのリスクがあるため禁忌と考えられる。

c SU薬によるコントロールが不十分であること、重度の腎障害があること、HbA1c≧9.0%以上などより、高血糖を改善することで高血糖によるこれ以上の血管などへの障害を低減する点からインスリン製剤の導入が望ましいと考えられる。よってcが〇となる。

d 薬剤への感受性低下、膵β細胞の疲弊などにより、スルホニル尿素薬の二次無効とよばれる現象がおきていると考えられる。こういうケースではスルホニル尿素薬の増量ではなく、インスリンの導入を検討する。よってdは×である。

e 腎機能障害のある患者においても使用できる薬剤ではあるが、本症例のようなSU薬にてコントロール不良の高血糖を是正するまでの効果はないと考えられる。よってeは×である。

時間のある方は参考資料として

https://www.jstage.jst.go.jp/article/manms/19/1/19_32/_pdfをご覧ください。

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