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国試過去問解説 2025-03-03

国試過去問解説 脳幹・脳神経(118E39)

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118E39
72歳の女性。歩行困難を主訴に来院した。10年前から便秘で、5年前から嗅覚の低下を自覚している。2年前から料理のときに右手で妙めものをかき混ぜづらくなった。症状は徐々に進行し、3か月前から歩行が不安定となったため受診した。眼球運動は正常。仮面様顔貌と小声で早口の構語障害を認める。四肢では特に右上肢で中等度の筋強剛と静止時振戦を認める。四肢の筋力低下は認めない。Romberg徴候は陰性で感覚障害を認めない。痙縮はなく腱反射は正常である。起立は自力でできるが、姿勢反射障害がある。頭部MRIで異常を認めない。ドパミントランスポーターSPECTで左側線条体の取込み低下を認める。
この患者にみられる歩行障害はどれか。

答え
不正解

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歩行障害が主訴であるので、診察の流れとしてはどのような歩行障害であるかを見定めながら、他の症状、神経診察、画像検査と合わせ診断していくという流れになる。本問では歩行障害の鑑別が設問となっているため、他の症状、神経診察などから診断をつけていく。

a 鶏歩は下位ニューロン障害により、下腿筋の筋力低下が起こるため生じる。筋強剛は右上肢にみられるが、筋力低下は認めていないため合わない。よってaは×である。

b 小刻み歩行はParkinson歩行ともいい、Parkinson病やParkinson症候群でみられる。本症例においては、筋強剛と静止時振戦、姿勢反射障害などがみられることからParkinson病を強く疑う。Romberg徴候陰性、錐体路徴候や感覚障害がなく、便秘などの自律神経症状があることもParkinson病の診断を支持する。ドパミントランスポーターSPECTの所見も踏まえ、Parkinson病と診断する。よってみられる歩行障害は小刻み歩行と考えられるため、bが○である。

c 動揺性歩行は、中殿筋などの障害によりみられる。他の症状より筋そのものの障害より、大脳基底核による運動制御の障害による歩行障害と考えられるため当てはまらない。よってcは×である。 よってcが2つ目の正解となる。

d はさみ足歩行は対麻痺による起こる歩行障害である。両側の錐体路が障害されるため、両足が膝で当たるような歩き方となる。本症例では腱反射は正常であり、錐体路障害はみられていない。よってdは×である。

e マグネット歩行は、正常圧水頭症でみられる歩行障害である。足の挙上低下により起こる。認知症や尿失禁はとくにみられず、MRIにおいても脳室拡大などの所見はないため、本症例では正常圧水頭症を積極的に疑わない。よってeは×である。

連載: 国試過去問解説