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国試過去問解説 2025-03-19

国試過去問解説 Lewy小体型認知症(113A58)

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113A58
72歳の男性。幻視を主訴に来院した。1年前から睡眠中に怒鳴ったり、布団を蹴って足をバタバタしていると妻に指摘されるようになった。このころから時々立ちくらみを自覚していた。半年前から徐々に食事や着替えの動作が遅くなった。1か月前から夜中に「部屋の中で見知らぬ人が踊っている」と訴えるようになったため、家族に付き添われて受診した。喫煙は10本/日、飲酒はビール350mL/日。意識は清明。身長163cm、体重56kg。体温36.4℃。脈拍68/分、整。血圧158/86mmHg。呼吸数16/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。改訂長谷川式簡易知能評価スケール23点(30点満点)、Mini-Mental State Examination〈MMSE〉25点(30点満点)。脳神経に異常を認めない。四肢で左右対称性に軽度の筋強剛を認める。腱反射は正常で、運動麻痺、感覚障害および運動失調を認めない。姿勢は前かがみで歩行は小刻みである。尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球342万、Hb 10.7g/dL、Ht 32%、白血球8,300、血小板14万。血液生化学所見:総蛋白7.4g/dL、アルブミン3.8g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 42U/L、ALT 48U/L、LD 354U/L(基準176~353)、γ-GTP 56U/L(基準8~50)、アンモニア32μg/dL(基準18~48)、尿素窒素17mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、血糖112mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 104mEq/L。CRP 0.3mg/dL。
診断に最も有用なのはどれか。

答え
不正解

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まざまざとした幻視、REM睡眠行動異常、ParkinsonismなどからParkinson病もしくはLewy小体型認知症を疑う。パーキンソン症状が出現後、さほど時間の経過なく軽度認知障害を認めるためLewy小体型認知症の方がより考えられる。

a 病歴や神経診察などの所見より、筋力低下などはとくにみられず筋疾患は考えにくいのでCKの測定は必要ないと考えられる。よってaは×。

b 頭部MRIはAlzheimer型認知症、前頭側頭型認知症において大脳皮質の萎縮、脳血管性認知症において梗塞などがみられるが、Lewy小体型認知症においてはこれといった特異的な所見はない。よって診断に有用でないためbは×。

c 脳脊髄液検査は、正常圧水頭症、髄膜炎、Guillain-Barré症候群、多発性硬化症などの診断のために行われる。Lewy小体型認知症の診断における有効性は認められていない。よってcは×。

d 脳血流SPECTでは、Alzheimer型認知症では頭頂葉や側頭葉の血流低下、前頭側頭型認知症では前頭葉や側頭葉の血流低下、そしてLewy小体型認知症では後頭葉の血流低下がみられる。よってLewy小体型認知症の診断の決め手になるため最も有用な検査といえる。よってdが〇である。

e 腹部超音波検査をおこなってもLewy小体型認知症の診断にとくに役立つことはないと考えられる。よってeは×。
本記事の参考資料につきましてはこちらをご覧ください。

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