歩行障害が主訴であるので、診察の流れとしてはどのような歩行障害であるかを見定めながら、他の症状、神経診察、画像検査と合わせ診断していくという流れになる。本問では歩行障害の鑑別が設問となっているため、他の症状、神経診察などから診断をつけていく。
a 年単位で経過する慢性腎炎症候群の中で高頻度にみられる組織診断名が、メサンギウム増殖性糸球体腎炎であり、その代表例がIgA腎症である。よってaが正解。
b 膜性腎症の多くがネフローゼ症候群に分類される。慢性腎炎症候群に分類されるような緩徐に進行する例もある。一次性ネフローゼ症候群の中では微小変化型ネフローゼ症候群に次いで頻度が高い。
c 膜性増殖性糸球体腎炎は多くが慢性腎炎症候群として経過し、そのうち約8割がいずれかの時期にネフローゼ症候群を呈する。頻度は一次性ネフローゼ症候群全体の5%ほどである。
d 巣状分節性糸球体硬化症は、ネフローゼ症候群を呈することが多いが、ときに慢性腎炎症候群も呈する。一次性ネフローゼ症候群に占める割合は10%ほどである。
e 遺伝性の腎炎であるが、血尿のみあるいは血尿と軽度の蛋白尿を所見とする非進行性の疾患である。慢性腎炎症候群としての頻度は高くはない。