国試対策

2023-09-26

~公衆衛生学の中の統計~

まずは医師免許取得!症例や問題を取り上げ、傾向と対策を分かりやすく説明しています。

みなさん医師国家試験でもっとも大事な科目といわれているのが何の科目かご存じですか?
循環器?消化器?呼吸器?いえいえ、それは意外にも公衆衛生という科目です。
医師国家試験における科目別出題数の堂々のトップです。予防も含めて医学といったところでしょうか。
今日はそんな公衆衛生にまつわるいろいろな統計データをランキングで見ていきましょう。

1.死因統計

人間だれしもいつか死にます。ということで死因統計からいきましょう。2020年の10万対の死亡数の順位ですが、



第1位 悪性新生物
第2位 心疾患
第3位 老衰
第4位 脳血管疾患
第5位 肺炎
第6位 誤嚥性肺炎
第7位 不慮の事故
第8位 腎不全


となります。男性だけだと3~5位の入れ替わりと9位に自殺、10位に慢性閉塞性肺疾患が、女性は10位が腎不全で8位にアルツハイマー病、9位に血管性などの認知症がくるようです。

2. 悪性新生物の年齢調整死亡率(男)

がんの年齢調整死亡率、まずは男性からです。2019年のデータです。

第1位
第2位 大腸
第3位
第4位
第5位
第6位 食道

膵癌が増加傾向にあるようです。逆に胃癌や肝癌などは大きく減少しています。
また食道癌、肺癌についてもゆるやかに減少しています。

3.悪性新生物の年齢調整死亡率(女)

がんの年齢調整死亡率、次は女性です。2019年のデータです。

第1位 乳房
第2位 大腸
第3位
第4位
第5位
第6位 子宮

医療技術の進歩による早期発見・治療により、胃と子宮の年齢調整死亡率は顕著に減少しています。乳癌と膵癌が増加傾向となっています。胃癌や肝癌については大きく減少しています。

4. 傷病別受療率(入院・外来)

さっそく、入院と外来のそれぞれのトップ3をみておきましょう。少し前ですが2017年のデータです。

入院 外来
第1位 精神及び行動の障害 消化器系の疾患
第2位 循環器系の疾患 循環器系の疾患
第3位 悪性新生物 筋骨格系及び結合組織の疾患

入院では、精神及び行動の障害の約6割が統合失調症、循環器系の疾患の6割が脳血管疾患です。また外来では消化器系の疾患の約8割が歯の疾患、循環器系の約7割が高血圧疾患です。

公衆衛生の統計は数値が更新され、ランキングにも変化があるなど覚えるのがなかなか大変だとは思いますが、
グラフなどを見て大きな変化をとらえ、イメージをつくっていって下さい。ひょっとすると国家試験に合格後、
研修中にも公衆衛生統計学の知識が医師になったあなたを助けてくれるかもしれません。今日はここまでといたしましょう。お疲れ様でした。

時間のある方は参考資料として

日本内科学会雑誌第103巻第1号 (jst.go.jp) に目を通しておきましょう。

著者プロフィール

ペンネーム:まる
プロフィール:近畿一円をまたにかけ、
ある時はクリニックで総合内科診療を、ある時は上場企業で産業医を、また様々な会社の健康診断の診察医も務めている。
日々の診療を行いながら、CES医師国家試験予備校で、「気づきのあるインプットと自力のアウトプットがある授業」
をモットーとして学生の指導に当たっている。僕のコラムが何らかの形で皆様の力になれば幸いです。一緒に頑張りましょう!

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