みなさん病院実習や国家試験の勉強お疲れ様です。今日は、実臨床でよく出会う高血圧とその治療についてのお話です。
高血圧は原因のはっきりしない本態性高血圧と腎異常や内分泌疾患などの原因がある二次性高血圧に分けられます。
ここでは、全体の9割以上を占める本態性高血圧と降圧薬を用いたその治療について一緒に学んでいけたらと思います。
まずは、降圧薬に関わる血圧の仕組みを少しおさらいしておきましょう。大きく分けて、血圧には心臓と血管が大きく関わります。
例えば、心臓が力強く収縮すると心臓から送り出される血液量も増えると考えられるため、血圧も上昇します。
一方、心臓の収縮が弱まると、送り出される血液量も減るため血圧は低下します。
血管についてですが、末梢の血管が収縮している方が血圧は上がります。細いところを通る方が流れに勢いが出ますよね。
末梢の血管が拡張すると血圧は下がります。広いところを通ると勢いは弱まりますよね。
それでは、準備が整ったところで、代表的な4つの降圧薬についてみていきましょう。
1.Ca拮抗薬
効く仕組みは血管拡張であり、主に高血圧に使われます。アムロジピンやニフェジピンが有名ですね。
第一選択薬として用いられます。心不全の患者には慎重投与もしくは禁忌となることがあります。
副作用として、血圧低下やめまい、浮腫などが挙げられます。また他の降圧薬との併用で作用が増強することがあり注意が必要です。
2.ARB
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬のことです。アンギオテンシンⅡは先ほど述べた血管の収縮と副腎からのアルドステロン分泌による、
Naや水の再吸収亢進による血液量の増加によって血圧を上げます。
ARBはその仕組みを抑える薬です。心筋リモデリング抑制や輸出細動脈拡張による心臓や腎臓の臓器保護作用も持っています。
3.ACE阻害薬
アンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害して、アンジオテンシンⅡの産生を抑制する薬です。
効く仕組みはARBとほぼ共通です。高血圧や慢性心不全などに用いられます。
ARBは糖尿病腎症などによる(軽度)蛋白尿のある高血圧患者などが、ACE阻害薬は虚血性心疾患の患者の心不全予防や予後改善などがよい適応であるといえます。
高K血症、空咳などの副作用があります。
4.β遮断薬
β1受容体をブロックすることで、心臓や腎臓の血圧を上げる作用を抑えます。
2014年のガイドラインから積極的な適応がない場合の第一選択から除外されました。
頻脈や狭心症のある高血圧患者がよい適応と考えられます。プロプラノロールは気管支喘息の患者には禁忌です。(β2遮断による気管支収縮のおそれがあるため)
国家試験で選んだらダメなやつです、、、。気をつけましょう。
他に第一選択となる降圧薬として利尿薬(サイアザイド系)があります。
115回の医師国家試験の高血圧と降圧薬の問題では答えになっていました。(正答率は低かったです、、、)
なぜ利尿薬が第一選択となりうるのか、利尿薬の強み、使ったらダメな病態など一度教科書などで勉強するか、
ポリクリで研修医や指導医の先生に聞いてみてください。今後も高血圧に関する出題はあると予想されます。早いうちに整理しておきましょう。
参考資料として、時間のある方は
日本内科学会雑誌 106巻2号
に目を通しておきましょう。
著者プロフィール
ペンネーム:まる
プロフィール:近畿一円をまたにかけ、
ある時はクリニックで総合内科診療を、ある時は上場企業で産業医を、また様々な会社の健康診断の診察医も務めている。
日々の診療を行いながら、CES医師国家試験予備校で、「気づきのあるインプットと自力のアウトプットがある授業」
をモットーとして学生の指導に当たっている。僕のコラムが何らかの形で皆様の力になれば幸いです。一緒に頑張りましょう!