インタビュー

2019-10-01

近畿大学病院 竹山 宜典 | 指導医インタビュー(後期)

近畿大学医学部附属病院 近畿大学病院 竹山 宜典先生の指導医インタビュー。全国病院からメッセージ・求める研修医、プログラム・募集要項、ジュニア・シニア・指導医・院長のインタビューを掲載。進路選択の判断材料としてお役立てください!

近畿大学病院

大阪狭山市大野東377-2

医師近影

名前  竹山 宜典
副院長

職歴経歴 1957年に大阪市出身。1981年に神戸大学を卒業する。
2010年に近畿大学医学部外科主任教授に就任する。
2014年に近畿大学医学部附属病院副院長および近畿大学医学部附属病院総合医学教育研修センター長を兼任する。


学会等 

近畿大学医学部附属病院の特徴をお聞かせください。

南大阪地域で唯一の大学病院です。この地域の基幹病院としての性格に加え、アカデミアと言いますか、大学病院としての研究や教育も行っています。研修医の立場からすると、難しい症例から普通の疾患といった豊富な症例を学べる特徴があります。関西のほかの大学病院に比べると、当院は研修医の定員が少ないんです。ほかのところは50人から60人の研修医がいますが、当院は色々な経緯があり、今は36人です。そのため、一人当たりの症例が多いですね。研修を始める前の研修医が「早く色々な経験をしたいが、手技、点滴、中心静脈穿刺、外科の小手術などが取り合いになるのでは」とよく心配していますが、当院は基本的に一つの科を1年目、2年目の初期研修医が多くても3人で回ります。60人あまりの初期研修医が内科だけでも9つの科に分かれて回りますから、症例や手技は十分できますよ。

近畿大学医学部附属病院の外科の特徴もお聞かせください。

要するに、大外科なんです。私は肝胆膵外科ですが、肝胆膵、上部消化管、下部消化管、呼吸器に主任教授が4人いて、それ以外の乳腺内分泌、内視鏡外科、小児外科には臨床教授がいます。この7部門が完全に一つの医局になっており、カンファレンスも合同です。後期研修医はどこに入るのかを完全に決めていませんので、この中をローテートしていくことになります。ただし、心臓血管外科だけは特殊ですから、別の医局となり、運用も異なります。外科学会の専門医取得には心臓血管外科の症例も必要ですので、心臓血管外科に出向という形で2、3カ月の研修を行い、手術を経験します。当院では年間1800例ほどの全身麻酔の手術を行っていますので、心臓血管外科以外は他院に行くことなく、当院の外科内で必要な症例をカバーできます。しかし、大学病院ですので、ヘルニアや盲腸といった小さな手術があまりありません。そこで、近隣の関連病院に出向する研修もあります。高槻病院、淀川キリスト教病院、神戸百年記念病院、三重県の岡波総合病院などのほか、本州最南端の串本病院では高齢の患者さんを中心とした地域医療を学べます。

院内の雰囲気を教えてください。

近畿大学の出身者がやはり多いですが、スタッフは東北大学、九州大学、神戸大学、大阪大学、京都大学など、色々な大学から来ています。色々な大学の出身者が一緒に働いているイメージですね。病院内に垣根もありませんし、特に内科と外科の垣根が低いです。私は肝胆膵外科にいますが、内科とは毎週、定期的にカンファレンスをしています。内科医が外科に相談に来たり、外科が内科にお願いをすることもありますが、そのたびに「上を通してくれ」といったことはありません。現場で話し合っています。

他大学出身者でも働きやすいですか。

フラットな組織なので、働きやすいですよ。逆に言えば、近畿大学出身者をより優遇すべきでしょうね(笑)。初期研修医にしても、入局後の医師にしても、どこから来たかということをあまり意識していません。近畿大学は「近大でないと駄目」みたいな発想がない大学ですね。これまでは近畿大学出身者は開業医の子弟が多く、専門医を取得したあとは実家を継承する人が多かったのですが、これからは勤務医としての経験を積んでいく人も増えるでしょうから、しっかり育てていかなくてはと考えています。実力のある人がきちんと働ける場所を作れば、頑張った人に頑張ったなりのことがあるでしょう。

先生はどのような研修医時代を過ごされたのでしょうか。

私が研修医の1年目は「お前たちは人じゃないんだ」と言われていました(笑)。国家試験に通っても、最初の1年はとにかく働かされます。しかし、非常に勉強になりましたし、無駄にもなっていません。社会的、経済的な待遇は今よりは理不尽でしたが、お金を遣う機会もなかったですしね。朝から晩まで病院にいて、週に1回ぐらい、洗濯物をどっさり持って帰宅していました。ほとんど病院に住んでいるようなものですが、自分でお金を払って、食事したことはなかったですよ。朝7時ぐらいに上の先生が来て、一緒に喫茶店のモーニングを食べたり、お昼や夕ごはんも払ってもらっていました(笑)。今は研修医に毎日、食事をご馳走している指導医はいないでしょうね。接触の仕方が変わったと思います。

先生の頃は臨床実習が短かったそうですね。

6年生の1年間だけですね。今の医学生は5年生のときから2年間をかけて臨床実習をして、ゆっくり研修病院を選べます。しかも、診療科を選ぶ必要なく、マッチングをして、初期研修を行えるんですね。私たちは6年生の12月には入局説明会を聞き、どこに入局するのかを決めていました。そして卒業試験を受け、国家試験に通ったら、ゴールデンウィーク明けには入局です。6年生の9月から3月までに人生が全部、決まるかのようでした(笑)。私たちの頃はよく分からないまま、入局していたんですね。

外科を選ばれた理由をお聞かせください。

外科はつぶしがきくと言われたからです。当時は内科は基本的には治療する科ではなく、診断する科であり、薬を出したり、注射をしたりが中心でした。治療と言えば、外科治療だったんです。それで、私も治療後に結果がはっきりと分かる外科を選びました。外科医になれば、内科医のすることもできて、カメラもできるのが魅力でしたね。しかし、現在は消化器内科医が内視鏡治療を行っていますし、外科医が片手間でカメラをするのは難しいですね。今の外科は手術が必須ですので、入ってくるのは勇気がいると思います。そこで、新しいキャリアパスを作りたいですね。食道がんの手術に挑戦したけれど、それを専門にするのではなく、またジェネラルな外科をやっていきたいと考えた人の希望を叶えられるようなキャリアパスを作れれば、外科への入局に抵抗感が少なくなるのではないでしょうか。

研修医に指導する際、心がけていらっしゃることはどんなことでしょうか。

プロフェッショナリズムは教えるものではありません。本当に大事なことはなかなか言葉にできませんので、背中を見て育つしかないですね。上級医がいい加減なことをしていたら、研修医もいい加減になります。私は指導医クラスに対し、「全ての研修医は全ての指導医を見ているんだ。気になる患者さんがいるのに、遊びに行っていたということがあれば、そんなものだと思われるぞ」と言っています。私は出張の日以外は朝7時に出勤して、病棟に行き、患者さんを診ています。そういうことを教授がすれば、初期研修医が入局しなくなるという人もいますが、私はその考えが間違っていると思います。医療は患者さん第一なんです。私自身が上の先生から教えられて、育ってきたので、それができないなら医師を辞めるしかありません。これができない人には外科の医師は務まらないでしょう。

これから後期研修の病院を選ぶ初期研修医にメッセージをお願いします。

初期研修をしている皆さん、頑張っていることでしょう。しかし、専門医制度改定で、どこで専門医としての第一歩を踏み出すのかと悩んでいる方もいらっしゃいますね。近畿大学医学部附属病院は7年後に泉ヶ丘駅前に病院を建て替え、1000床程度の病院になります。今は卒後教育改革を含めた、各種の改革をしています。当然、専門医制度にも対応し、18診療科のプログラムを用意しました。待遇や連携病院も各科で整備しましたので、後期研修は是非、近畿大学医学部附属病院にいらしてください。南大阪地域唯一の大学病院であり、地域の病院であると同時にハイボリュームセンターとしての性格もあります。研究機関でもありますし、関西で唯一の総合大学の医学部ですから、特殊かつ優位な立場があります。これからはその強みを活かしていきますので、今、入局していただいたら、ちょうど新しい病院ができるときに、皆さんが新しい病院の中核であり、推進力になります。近畿大学の専門医プログラムへの参加をお待ちしています。