インタビュー

2021-03-15

聖隷佐倉市民病院 有田 誠司 | 指導医インタビュー

聖隷佐倉市民病院 有田 誠司先生の指導医インタビュー。全国病院からメッセージ・求める研修医、プログラム・募集要項、ジュニア・シニア・指導医・院長のインタビューを掲載。進路選択の判断材料としてお役立てください!

聖隷佐倉市民病院

佐倉市江原台2丁目36番2

医師近影

名前  有田 誠司
副院長兼臨床研修センター長 臨床研修プログラム責任者

職歴経歴 1959年に東京都杉並区出身。1986年に千葉大学を卒業後、千葉大学第二外科(現 先端応用外科)に入局し、千葉大学医学部附属病院で研修を行う。1987年から千葉大学医学部附属病院、鴨川市立国保病院、鹿島労災病院、国立佐倉病院(現 聖隷佐倉市民病院)などで消化器一般外科、移植外科を研鑽する。
1994年に米国UCLAに留学し、移植外科の臨床、研究を行う。1999年に帰国し、国立佐倉病院外科に勤務する。
2004年に聖隷佐倉市民病院外科部長に就任する。
2012年に聖隷佐倉市民病院副院長に就任する。


学会等 日本外科学会指導医、日本消化器外科学会指導医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本移植学会移植認定医、日本臨床腎移植学会腎移植認定医、日本医師会認定産業医、日本人間ドック学会認定医、人間ドック健診指導医など。

聖隷佐倉市民病院の特徴をお聞かせください。

当院の前身である国立佐倉病院は古く明治時代からこの地の医療を担ってきました。佐倉に鎮台府があり、佐倉連隊の陸軍病院として栄えていたんですね。戦後は国立病院になり、腎センターで知られた病院でしたが、国立病院の統廃合に伴い、聖隷福祉事業団に経営移譲されました。2004年に聖隷佐倉市民病院として生まれ変わり、引き続き、この地域での中核病院として活躍しています。
特徴の一つは腎臓病の総合診療にあたる腎センターがあり、保存期から透析、移植に至るまで、幅広く対応しています。また、整形外科は脊椎疾患の診療が際立っており、膝や肩といった関節疾患に至るまで、日本のトップクラスと自負しています。ほかの各診療科も充実しており、地域の方々にハイレベルの医療を提供していますので、初期研修も満足できる内容になっています。

医師近影

有田副院長がいらっしゃる外科についてはいかがですか。

消化器外科がメインで7人のスタッフが活躍しておりますが、私は腎移植も専門におり、移植外科も行っています。消化器外科に関しては胃や大腸に加え、肝胆膵もカバーしていますので、手術症例が多いですね。乳腺外科にも3人の医師がおり、乳腺や甲状腺の疾患も多数診療し、最新の治療法を導入しています。患者さんの数も右肩上がりが続いています。

聖隷佐倉市民病院の初期研修の特徴もお願いします。

当院では基幹型として初期研修医を受け入れています。基本的には内科、外科、小児科などの必須科目を約1年でローテートし、残りは自分の行きたい診療科を中心に経験してもらう、各研修医に合わせたフレキシブルなプログラムとなっています。また、精神科や産婦人科は聖隷三方原病院で研修を行い、三次救命救急は日本医科大学千葉北総病院と連携した研修が可能です。

三次救命救急の選択はユニークですね。

当院は二次救急としてはかなりアクティブで、年間約1500台の救急車が来ますが、三次救命救急センターを持っていませんので、日本医科大学千葉北総病院と連携しています。北総病院にはドクターヘリもありますし、頭部外傷などの重篤な疾患の救急治療を学べます。

初期研修医の人数はどのくらいですか。

現在は1学年2人ずつの少数精鋭で、初期研修医を募集しています。多くの初期研修医がいますと指導体制が手薄になりますので、日々の研修をなるべくマンツーマンで行い、充実した臨床研修を積めるように配慮しています。来年度からは3人に増員します。

指導される立場として心がけていらっしゃることを教えてください。

第一に「医師として患者さんと向き合うとはどういうことか」という、全ての診療に繋がる倫理観を持つことが大切だと考えています。患者さんやご家族に真摯に向き合い、身体と心のケアをしなくてはいけません。人として、プロの医師として患者さんとどう向き合うかということですね。そのうえで、知識や技術の習得があるのであり、「三つ子の魂百まで」のごとく、最初の2年間の研修で良き臨床医になる心構えを身につけてほしいですね。また、基本手技は自立できるまで、マンツーマンで徹底的に教えるように心がけています。

医師近影

最近の研修医をご覧になって、どう思われますか。

真面目で優秀ですが、総じて大人しい印象を受けます。私は外科医だったからか、肉食系でしたし、私たちの世代は仲間を蹴落としていくようなところがありました(笑)。職人さんの「背中を見て覚えろ」という感じの研修でしたね。今は教えてもらうのが当たり前になっている感があり、寂しさを覚えるときもあります。医学部は6年間ありますが、後半の2年間は臨床実習です。卒業後はプロの社会人になっていないといけないはずなのに、臨床実習からの切り替えがうまくいかない人もいます。修行中の大切な日々ですので、もっとがつがつと「これをやりたい、あれをやらせろ」という積極的なところがあるといいですね。

「こんな研修医がいた」というエピソードがあれば、お聞かせください。

皆、かわいい教え子なので、それぞれのことをよく覚えていますよ。優秀な人が多いですね。私たちの頃の医局に入局する徒弟制度とは違うので、やる気次第で良い研修になります。積極性のある人、大人しいけれどもしっかりしている人とそれぞれですが、良いところを伸ばし、良くないところを正していくのが指導医の役目だと思っています。

研修医に「これだけは言いたい」ということがあれば、お聞かせください。

授業料を払って教えてもらった学生というアマチュアから、仕事をして給料をもらうプロの社会人になったという自覚を持ってほしいです。プロは社会貢献によって、お金をもらうわけですから、学生時代とは劇的に変わりますね。研修医がなるべく早くプロ意識を持てるように、指導医が植え付けていかなくてはいけません。そして、一流のプロの医師になるための第一ステップである初期研修を大切に思ってほしいですね。初期研修を活かして、いい臨床医になるという意気込みを見せてください。充実した研修ができるかどうかは研修医次第であって、やる気があれば私たち指導医はいくらでも応援します。

先生の研修医時代はどのようにお過ごしでしたか。

私はもともと外科医になりたかったのと移植外科に興味があったので、卒業後も迷うことなく、千葉大第二外科に入局しました。親族に医師が多かったのに、外科医はおらず、手術という大舞台を経験しながら、患者さんとともに泣き笑いをしていきたいというのが私が外科を志した理由です。外科医の持つ、技術者であり、科学者でありながら、人間性のある面に惹かれたんです。そして、日本の移植医療が進歩していない現状から移植外科を志しました。腎移植は伸びないですし、肝臓や心臓移植は増えたものの、いまだに募金を集めて海外で手術を受ける人が後を絶ちません。私は1週間もたないとされた劇症肝炎が3週間で完治するのを見て、肝移植に興味を持ちました。そのため、消化器と移植を学べる第二外科にしたのです。中山恒明教授の中山外科ですね。
研修医は大学病院での1年間でしたが、厳しい医局で忙しく、1年の半分ぐらいは病院に寝泊まりしていましたね。しかし、あの1年が医師としての土台を作ってくれたように思います。今でも忘れられない言葉は勤務初日に医局長から「君たちは今日からプロになったのだから、覚悟はできているね」と言われたことです。なぜ帰宅できないかというと、手術後の患者さんの回復の過程を診ないといけないからでした。「ウォッチ」といって、手術後から翌朝までをベッドサイドで診るのです。このように、最初にしっかりした教育を受けると、医師としての倫理観の基礎ができます。厳しい研修でしたから、あれ以上に恐ろしい目に遭うことはないだろうなと思っていましたね(笑)。今は売り手市場ですし、厳しくないように指導しようという風潮ですが、ある程度の厳しさはあっていいでしょう。医師のマインドを作っていくためにも初期研修は大事ですね。

医師近影

現在の臨床研修制度についてのご意見をお願いします。

これまでは卒業後に大学の医局に所属し、既に自分の専門を決めたうえで研修をスタートする場合がほとんどでしたが、現在は自分で研修病院を選べます。良い点は初期研修には回るべき必須科目がありますので、ジェネラリストとして一般的な知識や技術を身につけたうえで専門科に進むことができることですね。それには一般病院での初期研修の方が日常で遭遇する病気や救急の診療経験が得やすい利点があります。疑問に思う点は、都市部の病院に研修医が集中してしまうことと、医学部6年間で臨床実習もある中で、行きたい専門科を決めている人も同じメニューの初期研修を受ける必要があるのかどうかです。千葉県の場合、房総半島の南部は医局制度によって守られてきましたが、今は医師不足となっていますし、千葉県全体でも人口対比での医師比率が低いです。また、専門科が決まっている人はその力を伸ばすことを優先させた方がいいですので、さらにフレキシブルな研修制度が望まれます。

これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

初期研修は、医師として、社会人としての第一歩を踏み出す大事なステップで、その2年間で一流の医師になるための基礎を築く必要があります。自分が将来、どういう医師になりたいのかをよく考えてみましょう。臨床医になりたい、大学に残って教授になりたい、基礎系に進みたい、ホームドクターになりたいなど、自分の将来像を考えて、指導医や研修医の生の声を聞いてみることをお勧めします。研修病院を紹介するイベントや色々な情報をもとに、実際にいくつかの候補の病院を見学して、慎重に決めてください。当院の初期研修では皆さんを後悔させることなく、育てていきます。

医師近影

聖隷佐倉市民病院のPRをお願いします。

古い歴史を持ち、この地域で信頼されている中核病院です。清掃のための企業と契約していますので、常に綺麗な病院で清潔感があり、私たちも働きやすく、患者さんも魅力に思ってくださっているようです。今後は国立病院時代の旧棟を建て替え、400床まで増床しますし、産婦人科の再開も検討しています。大学病院などと異なり、医師、コメディカルの垣根がなく、皆で総合的に診て、協力し合っています。普段から食事をしている仲ですしね(笑)。大学病院では放射線検査の枠を取るのも一苦労ですが、当院にはセクショナリズムがないので、研修医も安心して研修できる病院です。宿舎も完備し、東京へのアクセスも良く、便利です。何よりも当院で初期研修を行えて良かったと思ってもらえるよう、こちらも頑張りますので、是非、病院見学にいらしてください。