インタビュー

2021-04-01

宮崎大学医学部附属病院 佐々木 朗 医師 | 指導医インタビュー(後期)

宮崎大学医学部附属病院 佐々木 朗 先生の指導医インタビュー。全国病院からメッセージ・求める研修医、プログラム・募集要項、ジュニア・シニア・指導医・院長のインタビューを掲載。進路選択の判断材料としてお役立てください!

宮崎大学医学部附属病院

宮崎市清武町木原5200

医師近影

名前  佐々木 朗

職歴経歴 兵庫県出身。宮崎大学を卒業後、宮崎大学医学部附属病院で初期研修を行う。宮崎大学救命救急センターに入局し、3年間の後期研修を行う。その後、神戸市立医療センター中央市民病院でER型救急と集中治療の研修を3年間、行う。2020年4月に宮崎大学救命救急センターに帰任する。

宮崎大学医学部附属病院の特徴をお聞かせください。

大学病院といえば難しい症例が集まってくる特殊性、専門性が高い病院というイメージが強いと思うのですが、それだけではなく、一般的な症例も含めて幅広い疾患を診られる医師を育てようと取り組んでいます。宮崎県の地域の視点に立てる医療者を育てるようにしているのが特徴ですね。宮崎大学は宮崎市にあるのですが、宮崎市だけではなく、県全体のことを考えて、地域の関連施設と協力し、県内の医療機関の中心として機能している病院です。そして、宮崎県民は優しい人が多く、患者さんも医師も看護師も皆が優しいです。医師目線でいうと、他の科にコンサルトするときに気軽に話を聞いてくれる先生が多く、コンサルトの敷居がそこまで高くなくて、仕事しやすい環境です。

先生が所属されている救急科の特徴をお聞かせください。

宮崎大学救命救急センターは三次救急にあたり、県内全域の重症患者さんを受ける救急の役割を担っています。重症外傷や内科の重症疾患などの重症度が高い患者さんを受け入れていることが多く、ドクターヘリやドクターカーを活用して、病院前診療にも積極的に取り組んでいます。当センターの特徴として、専攻医1年目がチームリーダーである主役となり、患者さんの診療方針の決定、初期研修医や学生教育、チームのまとめ役、他科の医師とのディスカッション、患者の家族対応もしてもらいます。こういった専攻医を診療の主役としている病院は少ないと思います。とはいえ、専攻医1年目でいきなり完璧なチームリーダーができるわけではないので、最初は私たち指導医陣がサポートする比重が多いのですが、1年後には立派なチームリーダーとなれるように意識して指導しています。

先生が救急科に進まれたきっかけをお聞かせください。

もともと内科、その中でも幅広く診られる総合診療に興味を持っていました。ただ、私が科を決めるとき、宮崎県には他県のようにしっかりとした総合診療科がありませんでした。宮崎大学の初期研修の特徴として、大学病院だけではなく、関連病院の中で自分が行きたいところも回れるのですが、救急はどの道に進むとしても必要だと思い、色々な病院で救急科を選択したんですよね。その中で、救急医が関わらないと救えない患者さんがいることを実感し、幅広い疾患を診ることもできる救急に進もうと決めました。また、初期研修2年目で当センターをローテートしたときに、1学年上で当時専攻医1年目の先輩が診療の主役となり、チーム内の上級医もチームメンバーとして束ねていて、初期研修医の指導もして、患者の診療方針も決め、他科の先生方ともしっかりディスカッションしている姿を見たのがとても印象に残りました。ここでなら自分が医師として一番成長できると感じて、宮崎大学救命救急センターを選びました。

先生が患者さんとの対応で特に気をつけていること、意識していることをお聞かせください。

患者さん本人が何を望んでいるのかを考えないといけないなと思っています。特に重症の患者さんに関わることが多いので、搬送されてきたときに意識がない場合があります。そういう方にどう治療をするか決めないといけないのですが、その人自身は意識がないので決められません。そのため、ご家族にどういった治療法を希望するのか聞くことが多いです。ただ、家族にどうしたいかを聞くと、それは家族の希望になってしまい、意思決定をするはずの患者さん本人の希望にならないのですよね。そこで、家族から患者さんの生き方や背景を聞いたうえで、患者本人がこの場にいたら何を望むのかということを確認し、その希望に合った治療を提示することを意識しています。

医師近影

やりがいを感じる瞬間はどんなときですか。

自分たちだけではなく、他科との関わりで患者さんを救命していくのですが、その中でも自分がいたことで少しでも救命に繋がったときや、周りとの連携がうまくいって救命に繋がったときはそこに携わって良かったなと思います。また、後輩を教育していく中で、その後輩達自身が成長できていると感じてくれているときや、救急医として生き甲斐を感じてくれたときは嬉しいなと感じるようになってきました。自分だけが成長するだけではなく、指導した後輩達が成長してくれる方が宮崎の救急にとっては多くのプラスがありますよね。

これまでの後期研修と新しく専門医制度になってからとで変わった点などありますか。

登録の方法などは変わったのですが、研修内容は特に変わっていないように思います。宮崎大学では以前から新専門医制度に必要とされることはある程度できていたのかもしれませんが、今後も検証が必要だと考えています。

先生は研修医時代どのようにお過ごしでしたか。

自分ではよく分かりませんが、ほかの研修医と同じように普通に過ごしていました(笑)。お酒が好きなので、飲み会にもよく行きましたし、県外に遊びにも行きました。勉強は人並みにしていたくらいで、ほかの人と大きく変わらないかなと自分では思っています。

今の研修医を見ていて、「ここが違うな、変わったな」と思われるところはありますか。

あまりないですね。まだ卒後9年目ということもあり、私が研修医だった頃とは変わっていないように思いますし、初期研修医の気持ちもある程度は分かるつもりではいます。私もこの病院で初期研修をしたので、自分のときに嫌だった指導はしないようになるべく気をつけています。できていないかもしれませんが(笑)。また、私は現在、救命救急センターの教育医長をしていまして、このほかに病棟医長や外来医長というのがあるのですが、これを私の同期や1つ下の後輩が担当しているんですよ。その上は医局長や教授になるので、病棟はほぼ卒後10年目以下のメンバーでやっている体制です。そのため、比較的若く、学年も近いメンバーで仲良くやっていて、部活動ではないですが、そういう楽しい雰囲気に近いですね。

初期研修医に指導をされる際にどのようなことに気をつけていますか。

救急の考え方や魅力を伝えたいなと思っています。将来、救急に進む人は多くないですし、3カ月しかない救急の研修では重症の外傷の治療をマスターすることや気管挿管を一人でできるようになることはないからです。そして、臨床疑問にぶつかったときに、答えそのものではなく、どのようなプロセスで疑問を解決したらいいのかを教えるようにしています。将来、救急医にならない場合でも救急に理解がある医師に育ってくれたらいいなと考えています。私たちは様々な科にコンサルトを行うので、そのときにそれぞれの科で救急に協力してくれるようになってくれれば、それだけで有り難いです。

専攻医に対してはいかがですか。

専攻医がなぜそう考えたのかをできる限り聞こうと意識しています。例えば治療方法が間違っていたときに、なぜそう判断したのか、しっかり理由を聞くことで、プロセスを見直すことができますし、こちらの指導方法も変えられるので、頭ごなしに答えを言うのではなく、まずは意見を聞くようにしています。逆に専攻医には自分なりの根拠があるプロセスを踏めるようになってほしいです。偉そうなことを言っていますが、実際にまだ至らない点ばかりですので、指導医としても専攻医とともに日々勉強です(笑)。

医師近影

病院を巣立っていく研修医に対し、どんな医師になってほしいと思われますか。

救急医目線でいうと、どの科に行っても救急に理解のある医師になってくれたらいいなと思います。あと、初期研修中は低姿勢でも、段々と偉そうになってくる人がどうしても多いので、初心を忘れずに人に接してほしいですね。私たちの仕事は人と人との繋がりでできています。患者さんを中心として、医師だけでなく、看護師、様々なコメディカルの方たちとの繋がりがあって成り立っていますので、そういうことは絶対に大事にした方がいいと考えています。

今まで指導されてきた中で、特に印象に残っている研修医はいらっしゃいますか。

専攻医に関しては皆が直属の後輩になるので、全員印象に残っていますね。皆が「救急医になる」と決めて、始めたばかりの頃は夢と希望を持って救急医になるのですが、救急医になったあとに人それぞれ悩みを抱えることが多くあります。そういう後輩がそれを乗り越えて、やりがいを持って救急をやっているところ、成長しているところを見ると良かったなと思います。さらに、私が指導した後輩が指導医としてその下の後輩に教えるようになると、屋根瓦というか、いいサイクルができているなと感じます。

これから専門研修先を選ぶ初期研修医に向けてメッセージをお願いします。

医師である人生は長いですし、医師である前に一人の人間なので、自分が人間として成長できるのはどこなのかを考えて選ぶのがいいですね。好きな科にプラスして、この先生の下であれば成長できそうだとか、この科の雰囲気なら仕事が多少きつくてもやっていけそうだとか、自分が一番やりがいを持てる場所を選ぶといいと思います。

宮崎大学医学部附属病院のPRをお願いします。

宮崎大学医学部附属病院では宮崎県全体の目線で医療をできる医師を育てようとしています。その中で「世界を視野に」というスローガンもあるのですが、日本だけではなく、世界で活躍できる医師になるという気概を持って医療に取り組んでいる先生方も大勢いらっしゃいます。今の時代であれば宮崎が田舎だからできないことが多いということは全くなく、むしろそういう環境だからこそやってやるぞという気概を持った人も多くいます。宮崎大学救命救急センターには、専攻医が診療の主役となれる環境が揃っていますので、少しでも救急に興味がある方は是非遊びに来てください。

宮崎県のPRもお願いします。

宮崎県は都会ではないですが、住んでみるとあんまり不便がありません。もしかしたら感覚が麻痺しているだけかもしれませんが(笑)。物価は安いし、食べ物は美味しいです。私は野球が好きなのですが、プロ野球のキャンプ地もありますし、やりたい人はサーフィンもできます。私は兵庫県出身なのですが、県外から宮崎に来た人の方が宮崎を気に入ることが多いような気がします。病院内に限らず、宮崎県の人たちは本当に優しい人が多いです。言葉だけでは伝わらないので、是非一度宮崎に来て、そして宮崎大学医学部附属病院を見てくれたらなと思います。そして、これを読んでくださった方の中から宮崎大学救命救急センターの一員になってくれる人がいることを願っています。