インタビュー

2021-03-15

千葉県がんセンター | 初期研修インタビュー

千葉県がんセンターの初期研修のインタビュー。全国病院からメッセージ・求める研修医、プログラム・募集要項、ジュニア・シニア・指導医・院長のインタビューを掲載。進路選択の判断材料としてお役立てください!

千葉県がんセンターの口コミ
実際に病院見学、研修に行った医学生の感想や体験談、プログラムの特徴などもご紹介!

千葉県立病院群(基幹型病院:千葉県がんセンター)

千葉市中央区市場町1番1号

医師近影

名前 宮田 真里 医師
出身地・出身大学 / 医師免許取得年度 千葉県 船橋市・ 産業医科大学 / -

医師を目指したきっかけを教えてください。

高校時代に生物の授業で人の身体の仕組みを習ったのですが、ミクロコスモスと表現される通りだなと思ったのが今から考えるときっかけだったように思います。たとえば、同じ薬を使っても、必ずしも同じ効果を得られるわけではないですよね。そんな一辺倒にはいかない複雑さにも惹かれました。「1+1=2」ではなく、人に関わっていく仕事をする以上は算数では説明のつかない点は非常に難しい問題ですが、同時に魅力的なことだと思います。経験を重ねながら、コミュニケーションを図っていく仕事だということに興味が尽きませんでした。

学生生活ではどんなことが思い出に残っていますか。

家庭教師、ファミリーレストランのフロア係、結婚式の介添え、コールセンターなど、色々なアルバイトをしました。部活動ではバスケットボールをやっていました。西医体にも出ていましたが、成績は全く奮わなかったですね(笑)。でも、とても楽しかったです。

臨床実習はいかがでしたか。

大学で行いましたが、教科書と実臨床とのギャップを強く感じる日々でした。患者さんの治療経過を追っていくという作業は座学だけでは分からないですし、現場を見ることで勉強になりました。

大学卒業後、研修先として大学病院でなく、千葉県立病院群に決めた理由はどうしてですか。

産業医科大学出身ですので、奨学資金を借りています。そのため、後期研修では大学に戻らなくてはいけません。そこで初期研修では大学から離れてみたかったのです。出身が千葉ですので、この病院は最初から選択肢にありました。今は2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなる時代です。私は放射線科を志望しているので、がん治療を積極的に行っていて、特に手術適応を学べる病院が理想であり、がんセンターでの研修が可能な県立病院群での研修を希望しました。

放射線科を志望しようと思ったのはいつですか。

大学6年生のときです。それまでは乳腺外科がやりたかったんです。女医を探して県外からも患者さんが集まるぐらいのニーズがある診療科ですしね。でも大学には独立した診療科がなく、少し迷っていました。それで乳腺の勉強をするうちに、次に放射線科領域に興味を持つようになりました。乳腺疾患は放射線科の画像診断に始まり、温存療法を選択される患者さんの多い今日では術後、放射線治療で治療終了となりますからね。面白いと思ったんです。コンサルトしたり、画像を診て手術を勧めるなど、他科の医師とコミュニケーションが活発なところにも惹かれました。アメリカで進んでいる血管内治療はさらに今後の日本でも進んでいくでしょうし、そうなると現場がドラマティックに変わっていくのではないかという期待もありました。

医師近影

千葉県がんセンターに見学に来られたときの印象はどうでしたか。

乳腺外科の山本尚人部長に色々とお話をさせていただきました。放射線科でも乳腺外科に関われるとお聞きし、とてもいい印象を受けましたね。申し込みの手続きもスムーズでしたし、見学しやすい病院だと思いました。実は見学に来たときには既にこの病院と決めていたので、好印象だったのも当たり前かもしれません(笑)。

千葉県がんセンターでの初期研修はイメージ通りですか。

症例数が多いため、経験できる症例が多いという点でイメージを超える良さを感じています。同じ疾患でもステージや合併症を比較できますし、当院でないと無理な症例も豊富で勉強になります。各科の短い研修期間ですが、経験値が高くなっていくことを実感しています。

千葉県立病院群での初期研修の特徴をお聞かせください。

がんセンターでの研修ですと、がんしか診られないのではないか、初期研修にあたってはコモンディジーズをやっていきたいという人が多いようですが、ほかの病院をローテートしますので、そこでファーストタッチを行えます。病院が用意してくれる選択肢が豊富ですので、自分の中に将来のビジョンがないと、むしろ選びきれないかもしれません。

指導医の指導はいかがですか。

熱心です。ただ、どこの病院でも同じかもしれませんが、学生時代に家庭教師のアルバイトで分かったことですが、指導医に「研修医にこれをやってもらおう」という気持ちを持っていただくためには研修医の方がアクションを起こしていかなくてはいけません。研修医が熱すぎるのも指導医にとっては考えものでしょうが、研修医の熱意を折ってしまう指導医はいないと思います(笑)。熱意を見せたら必ず答えていただけますし、放置されることはないのではないでしょうか。

千葉県がんセンターでの初期研修で楽しかったことはどんなことでしょう。

やはり治療に参加できることです。今はがんセンターの呼吸器外科で研修していますが、手術場では針で縫うこともさせてもらっていますが、指導医の先生に一針を一生懸命、見てもらっています。ご心配をおかけして、すみませんという気持ちですね(笑)。当院はダイナミックな手術も多いんです。大血管の周りのリンパ節の隔清など、心臓が拍動したままで呼吸により肺が動く中で、最小限の出血に抑えて粛々と手術している先生方の姿はとても美しいです。

研修医同士の意見交換や情報共有も活発ですか。

たとえば、がんセンターには研修医ルームがあり、面白い症例の話などを活発にしています。上級医に聞きにくいようなことでも既にローテートした同期に聞けば教えてくれますしね。同期は15人いますが、ほかの病院をローテートしていますので、当院の中にいるのは6、7人です。

何か失敗談はありますか。

肩からCVを入れるときに、うまくできず、患者さんが不安になって中止したことがありました。指導医も焦っていましたね。慣れてくると、消毒が甘くなったりしますし、手袋の扱いや針刺しの予防など、看護師さんから注意されることもあります(笑)。

初期研修プログラムで改善を望みたいことはありますか。

病院の枠が広がるといいですね。具体的には千葉大学などの大学との関連ができるといいと思います。医学生に対して「大学病院も選べるよ」と示せれば、さらに人気も出るはずです。そのほかの点では、将来やっていきたいことに対する豊富な選択肢を示していただいていますので、何の文句もありません。

地域医療の研修で行った北海道の礼文島の診療所はどうでしたか。

2800人が住む島で、診療所が2つありますが、救急を扱っているのは当院の協力施設である国保船泊診療所だけです。院長と研修医の2人体制で、救急車の搬送を待っている間に外来の患者さんを捌いていかなくてはいけません。外来患者さんは1日に100人ぐらいいらっしゃいます。薬だけの患者さんも医師と話したい人が多いんですよ(笑)。医師と話すだけでも安心される方も多いです。島や島民を愛する気持ちが伝わる、上級医の升田先生から学ぶことも多かったです。

医師近影

どういう患者さんが多いのですか。

大正や昭和ヒトケタ生まれの方が多いです。あと、漁師さんも多いですね。90歳でも腕がポパイのようなんですよ(笑)。職業病として肩関節周囲炎や腰痛を患う方が多いです。いわゆる四十肩、五十肩ですが、礼文島の場合は八十肩、九十肩ですね(笑)。
手術の場合は市立稚内病院に送ります。手術後は船泊診療所で経過を診ますが、時々、退院の意思を見せない患者さんもいて、考えさせられました。そういうとき、ほかの患者さんがその患者さんの素性などを教えてくれるんですよ。治療が終わっても、家に帰れない理由が人それぞれあるようです。本来なら、自宅に帰るのが一番、良いことですが、その理由が割とすぐに分かって、福祉の力を借りるきっかけになります。一人暮らしの患者さんでも、ほかの患者さんが色々なことを知っていたり、助け合っていたりして、住民の連帯感の強い島ですね。

千葉県がんセンターでの当直の体制について、お聞かせください。

1年目は月に3回、2年目は月に1回です。第一当直、第二当直という体制で、第二当直に2年目の初期研修医、後期研修医、若手医師が入ります。日によっては1年目の初期研修医が第三当直で入り、第二当直の補助をします。

当直では、どんなことが勉強になっていますか。

第三当直に入るコールは末梢確保困難、包交、処方依頼が多いのですが、時々、急変対応に呼ばれ、挿管や心臓マッサージまで必要になることがあります。急変対応は一人でできることではありません。非力ながら協力させていただいています。1年目のときは週に2回のペースで当直をしていました。

カンファレンスなどの雰囲気はいかがですか。

現在、研修している呼吸器外科では研修医が発表します。必要なことを掻い摘んで治療目的まで話すことを心がけています。研修医の話をよく聞いてくれる雰囲気ですが、足りないことは突っ込まれますね。でも、和やかな雰囲気ですよ。突っ込まれて頭が真っ白になったことはあとから復習しますので、逆に記憶に残っています。ほかの科でも大まかには同じだと思います。

コメディカルの方たちとのコミュニケーションはいかがですか。

ときに厳しいですが、いつもは協力的です。看護師さんの方が患者さんに関わっている時間が長いし、疾患よりも、「あの人はこうだ」と人を看ていますね。そこがすごく勉強になります。

今後のご予定をお聞かせください。

後期研修は産業医科大学の放射線科に行きます。その後、専門医を取って、義務である2年間の産業医を務める予定です。私は乳腺外科も勉強したいので、乳がんの専門医も取れればと思っています。

趣味など、プライベートの過ごし方について教えてください。

同期と飲みに行くことが多いです。色々な病院をローテートしましたので、それぞれの病院の技師さんや先生方の飲み会にお誘いがかかることもあります。いいストレス発散になっていますね。

現在の臨床研修制度に関して、ご意見をお願いします。

この制度がなかったら、そのまま放射線科に行っていたはずですが、この制度の恩恵を受け、2年目に目一杯、外科を研修させていただいています。CTは二次元ですが、手術場で解剖構造を立体的に見ると、三次元の迫力があります。患者さんの背景も分かったうえでの三次元は見え方が全く違い、記憶の定着に繋がるのではないかと思います。こういう二次元と三次元の往復が学べるのも今の制度のお蔭だと思っています。

最後に、これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

情報を待っているだけの人や先輩が勧めてくれた病院に何となく決める人もいますが、待っているだけだといい出会いはないですし、先輩がいい病院だからと勧めてくれても、先輩とはキャラクターや価値観が違うので、いい病院とは限りません。何かやりたいことがあったら、一度は突き詰めてみてください。私は乳がんに興味があったので、中村清吾先生にお会いしました。中村先生は今は昭和大学の教授ですが、当時、勤めていらっしゃった聖路加国際病院に伺ったんです。学生が訪ねていくと、病院のスタッフの方々も皆、親切なんですよ。医師になったら、ほかの病院に行くことはなかなかできませんが、学生のうちにエキスパートに会って話を聞くという体験は本当に貴重でした。一見、無駄のようですが、アクションを起こしてみることが大切ではないでしょうか。エキスパートはその畑の開拓者です。畑をどう耕したのか聞いて、その場に入ってみる経験をした方がいいと思います。