インタビュー

2021-08-01

宮崎大学医学部附属病院 小田 康晴 医師 | 指導医インタビュー(初期)

宮崎大学医学部附属病院 小田 康晴 先生の指導医インタビュー。全国病院からメッセージ・求める研修医、プログラム・募集要項、ジュニア・シニア・指導医・院長のインタビューを掲載。進路選択の判断材料としてお役立てください!

宮崎大学医学部附属病院

宮崎県宮崎市清武町木原5200

医師近影

名前 小田 康晴
宮崎大学医学部附属病院卒後臨床研修センター助教 呼吸器内科助教 指導医

職歴経歴 1983年に宮崎県延岡市に生まれる。2008年に自治医科大学を卒業後、自治医科大学入学時の契約により、宮崎県医療薬務課に所属し、2008年4月から2018年3月まで下記の病院に派遣される。2008年4月に宮崎県立宮崎病院で初期研修を行う。2010年に五ヶ瀬町国民健康保険病院に内科医長として勤務する。2012年に熊本中央病院呼吸器内科に勤務する。2013年に国民健康保険西米良診療所に副所長として勤務する。2013年5月から2016年3月まで宮崎大学医学部附属病院呼吸器内科で研修登録医として月に2回から4回の研修を行う。2014年に国民健康保険西米良診療所に所長として勤務する。2015年に高千穂町国民健康保険病院内科に勤務する。2016年に宮崎大学医学部附属病院呼吸器内科に勤務する。2017年に宮崎大学医学部附属病院6階西病棟の副病棟医長を兼務する。2019年に宮崎大学医学部附属病院卒後臨床研修センター助教、6階西病棟の病棟医長を兼務する。 日本内科学会認定内科医、日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本呼吸器内視鏡学会専門医など。

宮崎大学医学部附属病院の特徴をお聞かせください。

大学病院ですので、高い専門性のある診療を行っていることが特徴です。一つの症例をじっくり考察することもできます。いわゆる野戦病院のような病院では患者さんを効率よく診ていくことが求められますが、当院は一人の患者さんの鑑別診断をしっかり挙げて、しっかり検査して、一から十まで診療しています。職員として言えば、福利厚生がかなり手厚いです。事務の方々は確定申告の方法まで教えてくださいます(笑)。

先生がいらっしゃる呼吸器内科についてはいかがですか。

疾患としては肺がんが多く、7割から8割を占めています。それから間質性肺炎、COPDなどが続いています。間質性肺炎はほかの病院ではなかなか診ることができない疾患ですし、肺がんもかなり集まるので、研修医の必須項目はそこで消化できます。呼吸器内科には2021年に宮崎泰可教授が就任され、呼吸器内科としてスタートしようというところですので、専門医を集め、色々なことに挑戦していきたいと考えています。皆で一から始動しようというアットホームな雰囲気です。

宮崎大学医学部附属病院の初期研修の特徴もお願いします。

宮崎県内には8つの基幹病院がありますが、そのほとんどの病院を回ることができますので、色々な地域の医療を経験できます。私自身は一つの病院で初期研修をしたのですが、やはり複数の病院を回れるのは大きなメリットですね。専攻医研修になると、一つの病院に長く勤務することが多くなりますので、初期研修のうちに様々な病院に行き、それぞれのやり方を見て、診療の多様性を理解できることは大きいです。

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初期研修の特徴として、ほかにどういったことが挙げられますか。

臨床研修制度に新しく加わった20日間の外来研修についても、しっかり対応できています。大学病院に所属しながら、外部の病院を回る場合でも外来を消化できる病院が揃っています。外部の病院を選ぶ際も救急を診たい、循環器内科で心臓カテーテルを活発にしている病院を診たいといったニーズに合わせることができます。

初期研修医の人数はどのくらいですか。

2021年度は1年目が33人、2年目が27人です。また、宮崎県内の基幹病院から月に2、3人を受け入れています。

指導される立場として心がけていらっしゃることを教えてください。

注意するときはできるだけ誉めて注意し、できれば最後にも誉めたいのですが、考えを変えることは難しいと痛感しています。私が初期研修医の頃はどちらかと言うと怒られてなんぼという感じでがんがん言われて、研修医を挫けさせたうえで、「何くそ」と思わせつつ鍛える時代でした。今は誉めて伸ばすという志向が強いですし、研修医を頭ごなしに怒っても成長しないことは私も分かっているので、できるだけ誉めながら注意して、頑張ってもらえたらと悩みながら指導しています。

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最近の研修医をご覧になって、どう思われますか。

今の研修医は私の頃とは違い、かなり守られています。色々な説明を受けたり、福利厚生も整っていますし、働き方改革も進んでいます。そうしたシステムから守られているだけでなく、処方の面でも麻薬や抗不安薬が処方できないなど、事故が起きないようなシステムからも守られています。どの時代であっても同様ですが、「今の若い者は」にならないよう、自分のあり方を見直しつつ、一緒に学んでいきたいです。何に注意して教えていくべきか、コミュニケーションを大切にとは思っていますが、難しいですね(笑)。

「こんな研修医がいた」というエピソードがあれば、お聞かせください。

悪いエピソードは措き、いいエピソードをお話しします(笑)。夜遅くまで自主的に残って、誰よりも遅く帰る研修医がいました。働き方改革をしている今ではいけないことなのですが、その研修医は勉強しないと気が済まない性格のようで、頑張って調べたり、勉強したりしていました。一方で、「外科志望です。外科医になるために医師になったんです」と最初から公言し、内科的手技は初期研修中に全て終わらせたいという研修医もいました。私のいる呼吸器内科でいうと、胸腔ドレーンを入れて、胸腔穿刺もして、気管支鏡も洗浄までやってという感じでマスターしていきました。彼女は初期研修ではこれだけやれば十分だというほどの手技を経験して、公言通りに外科に進み、今は脳神経外科で活躍しています。

研修医に「これだけは言いたい」ということがあれば、お聞かせください。

システム的には守られている状況になったので、危機感がどうしても薄れてしまうというデメリットを感じています。研修医がインシデントや医療事故を起こす可能性はかなり低くなりましたが、3年目以降は自分が医師として、誰にもできるだけ頼らずに自分の力でやっていかないといけません。私は自治医科大学出身なので、3年目には僻地に行き、自分一人で当直する状況に置かれることは分かっていたため、初期研修の2年間は強い危機感を持って研修せざるをえませんでした。しかし、今のシステムではそういう危機感が薄れがちなので、そうした初期研修後のことを考えて頑張ってほしいです。

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先生は宮崎県立宮崎病院で初期研修をなさったのですね。

当時、自治医大を卒業した宮崎県出身者は宮崎県立宮崎病院で初期研修をすることになっていました。私が初期研修中にシステムが変わり、私の下の世代は県立延岡病院や県立日南病院、もしくは宮崎大学医学部附属病院で研修できるようになりました。私は県立宮崎病院しか選べなかったのですが、先輩方からも「できれば県立宮崎に行け」と言われていました。その理由として、県立宮崎病院はいわゆる野戦病院で、救急外来の患者さんを初期研修医だけで診ていたからです。もちろん、今は違います。僻地の病院に行くと、救急で困るので、初期研修でしっかり鍛える必要があるということですね。大学病院では時間外をそこまで診ないのですが、県立宮崎病院だと月に何回か当直があって、そのときに救急の患者さんを必ず診るので、経験値を上げられるということで県立宮崎病院に行きました。

宮崎県立宮崎病院での初期研修はいかがでしたか。

鍛えられました(笑)。県立宮崎病院は心肺停止の患者さんが毎日のように運ばれてくるので、そういう経験をしっかり積んで、3年目以降の僻地医療で活かすことはできたのかなと思います。ただ、県立宮崎病院だけでしたので、ほかの病院を見られなかったのが残念ではありますが、私にとってのメリットは大きかったです。それで僻地に行きましたが、働けば働くほど、初期研修でもう少し勉強しておけば良かったという後悔はありました。

3年目に五ヶ瀬町国民健康保険病院にいらしたのですね。

僻地に行くにあたっては基本的には私と同じ宮崎県出身者で、かつ自治医大の卒業生の先輩と一緒に行く形なのですが、私はたまたま一人で行きました。頼れる人がいなかったのはかなり心細かったし、薬一つでも初期研修であまり触れていないものですと「あれ、これを使うんだよな」と調べたり、どうしても分からないときは指導医の先生に電話したりと、本当に苦労しました。

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5年目に熊本中央病院にいらしたのはどうしてですか。

これは義務外なんです。自治医大出身者の義務年限は9年ですが、そのうちの5年は僻地医療に従事しなくてはいけません。ほかの4年間は研修という形になりますが、その研修の一環として、呼吸器内科を学ぶために行きました。

先生が呼吸器内科を専攻されたのはどうしてですか。

学生の頃から学問としていいなと思っていましたし、病棟実習で呼吸器内科を回ったときに、医師として働くのもいいなと感じたんです。そこから呼吸器内科に行きたいと考えるようになり、初期研修でも呼吸器内科の先生方に色々と教わっていました。

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呼吸器内科の魅力はどこにありますか。

今の私が言うとすれば、カメラの面白さです。呼吸器内科では気管支鏡ですね。最近は気管支に隣接するリンパ節を針で刺して診断をつけることができるのですが、リンパ節から診断をつけるカメラもあります。また、肺の中の小さい出来物に対して、23個の分かれ道のある迷路のような気管支をCTで確認しながら、正解の道をカメラでたどって、出来物の場所を探し出すという面白さもあります。一方で、学問としても、かなり多彩です。感染症の中で肺炎はありふれた病気ですが、学問としての深さがあります。肺に影があったら、これは何だろう、どの病気だろうと考えていくのですが、色々な知識が求められます。それから、あくまでも私にとっての面白さですが、僻地に行くと呼吸器疾患が多いんです。どの病院に行っても、喘息、肺気腫、COPDの患者さんは少なくなく、呼吸器疾患に触れる機会が豊富にあります。

義務年限が終わって、宮崎大学医学部附属病院にいらしたのですか。

大学での2年間は義務年限に入っていましたが、2018年に義務年限が終わったので、宮崎大学の呼吸器内科に入局しました。僻地に行くと、症例数の関係からどうしても専門医の取得が遅くなるので、大学病院のような認定施設に勤務することで、専門医を取得しようと思いました。

現在の臨床研修制度についてのご意見をお願いします。

私もこの制度に乗った者の一人なので、以前の制度に関しては分かりません。臨床に携わる全ての医師が一般的な内科や外科の知識を学べることはメリットですが、研修医の立場がしっかり確立したことが一番大きなメリットでしょう。それまでの先生方には雀の涙の給料しか出ず、「働き方改革って何ですか」という勤務をされていました。この制度には賛否両論ありますが、ここまでシステムとして構築されたのですから、このまま続けてほしいです。

新専門医制度についてはいかがですか。

私は批判的な立場で見ています(笑)。なぜなら内科を専攻する人が減ったような実感があるからです。内科に関して言えば、先が見えにくく、専攻医の不安が大きかったです。今は1年目でこれをして、2年目、3年目でこれをして、4年目に専門医試験を受けるのだと分かっているシステムが最初の時点で全然見えていませんでした。今も呼吸器、消化器、循環器といったサブスペシャリティ領域が明確でないところがあるなど、準備が整うのが遅い状況で始まったことが専攻医の内科離れに繋がったのではないかと懸念しています。そして、課題も多く、レポートも大変そうです(笑)。色々なことをしっかり分かったうえで、内科専門医になってほしいという上層部の考えも分かりますが、負担が増えて、内科医も減ってというのは良いシステムなのかという思いがあります。

これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

もし自分がこういう医師になりたいというビジョンがあるのなら、それに合うところに行くのもいいでしょうし、大学から離れて仕事をしてみたいという人には逆に一回は大学を見ておくのもいいでしょう。その中でも進路が決まっておらず、迷っている状態であれば、大学病院は一番いいです。特に当院は色々な病院を回れることが特徴です。一つの病院にいると、どうしても考え方が偏ってしまうので、色々な病院に行き、自分の進路を決めていくのが良さそうです。一方で、救急をしたいという人なら初期研修でもいわゆる野戦病院を選んで、救急外来で頑張ってほしいですし、内科医になりたい人は今の専門医制度では内科症例の半分は初期研修での症例が使えますので、内科をしっかり回れる病院に行くのがいいと思います。


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