初期研修インタビュー

2021-11-01

聖マリア病院(福岡県) 指導医(初期研修) 古賀仁士先生 (2021年)

聖マリア病院(福岡県)の指導医、古賀仁士先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。この内容は2021年に収録したものです。

聖マリア病院

福岡県久留米市津福本町422番地

古賀先生の近影

名前 古賀 仁士

職歴経歴 1999年、佐賀医科大学卒業。卒業後、聖マリア病院にて2年間の初期研修をし、2004年に九州大学大学院医学研究博士課程を修了しました。2004年からは聖マリア病院の脳神経外科にて勤務、2009年には新和白病院脊椎外科・新小文字病院の脊髄脊椎外科に出向。そして2010年からは、聖マリア病院の救急科にて勤務しています。初期臨床研修プログラム責任者は、2016年より任命されています。

聖マリア病院の病院としての特徴をお聞かせください。

軽症から重症まで断らない医療というのが特徴です。
久留米市には、地域として軽症を診る公立病院や休日急患センターがありません。そのため、当院では、すべての救急患者を受け入れており、傷病の種類、重症度、年齢、性別は問いません。どのような患者であっても診る方針なので、軽症の方も来院するというのが特徴です。

聖マリア病院の初期研修の特徴をお聞かせください。

将来専門とするような方向は、人それぞれ違うと思いますが、救急の初期対応だったり、一般外来の研修だったり、社会性・道徳性を身につけるということが初期研修の基本だと思います。そういう考えから研修している診療科に関わらず、最低限の医師としての基本を学んでもらうということが、当院の特徴です。
市中病院は、結構似通っているかもしれませんが、軽症から重症まで本当にまんべんなく診れることが社会的な意味も含めて、道徳性を養うという観点でも、決して無駄にはならないと思います。

現在、初期研修医は何人いらっしゃいますか。(男女比なども含めて)

現在、基幹型の研修医は34名(1年次と2年次合わせて)です。また、本年度は、九州大学病院より1名、佐賀大学病院・久留米大学病院より各2名ずつのたすき掛け研修医がいます。その他、岡山大学病院や、鹿児島県の今村総合病院、近隣の久留米大学病院、新古賀病院から1~3カ月の救急科のみで研修をする協力型研修医もいます。あるいは、久留米大学病院の研修医が小児科や産婦人科だけを1~2カ月研修に来ることもあり、基幹型プラスαで、出入りは結構あります。
男女比は、1・2年次合わせて、女性が10名です。当院は救急車を年間1万台以上受け入れますし、忙しい病院であると思われがちですが、働き方改革が進んでいることもあり、昔と違ってしっかりと休みが取れるような病院になっています。そうしたこともあって、女性研修医の数も、少しずつ増えてきています。

指導される立場として心がけていらっしゃることを教えてください。

細かいことは、各診療科の先生が教えてくれると思います。私が伝えることは、将来何科に進むにしても役立つことや、細かい手技を覚えるよりもcommonなことです。自分が専門じゃないから、その患者を触ることも最初から拒否するような医師ではなく、困った人がいた際に、医師として声掛けができるための最低限の必要事項や、話し方、言葉遣いなどを教えたいと思っています。
基本的には、細かい救急のことよりもファーストタッチでのトリアージや、この患者は専門医に診てもらった方が良いのか、自分で初期対応をある程度してから送るべきなのか、経過を見ておくべきなのかという判断力が身につくよう、指導しています。

最近の初期研修医をご覧になって、どう思われますか。

昔の研修医は休みが無い、賃金も安い、先輩が帰る前には帰れない、休みの日も夜でも関係なく、病院にいました。本当に、今の研修医の2~3倍の時間、病院にいたので、先輩たちの背中を見て成長してきたと思います。
今の研修医たちは、それが出来ない時代で、より高度な医療になってきており、その知識を身につけないといけないので、すごく厳しい時代になっていると思います。やっぱり自由な時間が多くなるということは、自分で自分を律して勉強するとか、振り返るとか、知識をまとめるとか。そういうことが非常に大切になってきている時代で、逆に厳しいですよという話は、学生にも研修医にもしています。

先生が現在の診療科を選ばれた理由はなんですか。

特にあまり考えていなかったのですが、脳外科医になったのは部活の先輩に誘われたからです。
救急医になったのも、今の院長が救命センター長だったということもありますね。市中病院では専門性が高くなるにしたがって、「うちの患者さんじゃない、いやうちでもない」という押し付け合いだったり、「うちでは特に治療が必要ない」とか、そういうことも出てきたりしていて、その時に「何か違うな」と思ったのもあります。
その時、救命センター長だった現院長に、「自分がやりたいことをやるだけが医療ではなく、必要とされることをやるのも医療。これからの時代、総合診療や救急とかで病気を診るだけじゃなく、人を診るという事も必要な時代になるだろう。」と言われたことが、今でも記憶に残っています。救急医が少なかった当時、初期から3次救急まで受け入れており、様々な病気を併発している患者も多かったので、当院では、必要な医師だと自分なりに考えて、救急科を選びました。

古賀先生の写真

指導されている研修医にどのような医師になってほしいと思いますか。

コミュニケーション能力が絶対に必要だと思います。学生に、「何をしたらいいですか」と聞かれることもありますが、色々な人と話すことだと思います。
自分の仲間内だけで話すことは居心地が良いですが、自分の性格と合わない人とでも話さないと、患者は関係なくやって来ます。
もちろん、医師として一定のレベルになるまで基本が必要ではありますが、それは早いか遅いかの違いであって、誰でもそこまでは行くと思います。そこで初めて、次の段階がチーム医療だということに気づくと思うんです。自分1人じゃ出来ない、チームを作る能力、メディカルスタッフの方たちと上手くやって、その人たちが自分の力になってくれるのかとようやく気付くと思いますが、そうでなくても若い時からそういう意識は持っていて欲しいです。

これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

自分は小児科医になる、外科医になるなど特化した病院に行きたいのであれば、正直、大学病院とか専門コースがある病院に行った方が良いのかもしれないです。研修医の1,2年目で少し手技をやったなどは、大きな差ではないので、「医師としてのベースを作りたい」、「医師として恥ずかしくない人間になりたい」と考えるのであれば、色々な患者を診るということは医師人生では無駄にならないと思うので、ぜひ来てもらいたいと思います。
研修医たちが楽しそうにしている雰囲気は、実際に来てくれたら分かると思います。ぜひ見学に来てください!

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