専門研修インタビュー

2021-12-01

和歌山県立医科大学附属病院(和歌山県) 専攻医 秦薰先生(腎臓内科) (2021年)

和歌山県立医科大学附属病院(和歌山県)の専攻医、秦薰先生(腎臓内科)に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。この内容は2021年に収録したものです。

和歌山県立医科大学附属病院

〒641-8510

和歌山県和歌山市紀三井寺811-1

TEL:073-441-0575

FAX:073-441-0576

病院URL:https://www.wakayama-med.ac.jp/hospital/

卒後臨床研修センターURL:http://www.wakayama-med.ac.jp/med/sotugo/index.html

医師近影

名前 秦(はた) 薰(ゆき)
出身地・出身大学/医師免許取得年度 滋賀県大津市・和歌山県立医科大学 / 2019年

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

姉が医学部に進学し、大学での講義や医療関連の話などを聞いたりするうちに、私も少しずつ医学部に興味が出てきて、医師を目指しました。

学生生活はいかがでしたか。

茶道部での活動をしつつ、家庭教師、塾講師、飲食店でのアルバイトもしていました。学生生活では医学を学び、病院での臨床実習もしましたが、私生活では医学とは全く関連のないジャンルで、色々な職種の方々と関係を持たせていただき、とても充実した毎日でした。

医師近影

初期研修の病院を和歌山県立医科大学附属病院に決めたのはなぜですか。

母校ということもあり、知っている先生方も多かったことが大きかったです。また、他府県の大学病院の初期研修でたすきがけを選ぶと、大学病院1年、市中病院1年という区切りになるようですが、和歌山では1年区切りではなく、1カ月や3カ月という短い期間でも市中病院に行くことができます。大学病院を起点として、市中病院を転々とローテートする方が自分の人生設計を立てるうえではいいのではと思い、和歌山県立医科大学附属病院を選びました。

見学での印象はいかがでしたか。

臨床実習でも行っていましたので、改めて見学には行っていません。県内の市中病院にはいくつか見学に行き、大学病院と比較できたのが良かったです。大学病院は診療科が揃っているので、何か困ったときに相談できる環境ですし、他科の先生方との関係づくりも市中病院よりもしやすいのではと感じました。

初期研修を振り返って、いかがですか。

私は内科を専攻しようと考えていたので、自分が入局するであろう内科の研修を大学病院でさせていただきました。一方で、外科系の研修では大学病院よりも市中病院の方が手技の機会が豊富で、技術面を磨けるので、市中病院を選びました。全体の割合としては大学病院と市中病院が半々ですが、橋本市民病院、新宮市立医療センター、日本赤十字社和歌山医療センター、南和歌山医療センターといった4カ所もの市中病院に行くことができました。

腎臓内科を専攻しようと決めたのはいつですか。

学生の頃は内科にしようと漠然と決めていましたが、腎臓内科は全く考えておらず、診療科を決めきれていない状態で初期研修を始めたんです。初めの3カ月は大学病院で内科をローテートしつつ、どの内科にしようかととても迷っていました。そして、友人から話を聞いたり、勧められたので、腎臓内科を回ったところ、学生時代に持っていた印象と全く違っていたんです。学生時代に持っていた腎臓内科の印象は腎炎などに代表される「内科」というものでしたが、循環動態などの状態を診る科だということを改めて知りました。私はもともとがんなどの疾患よりも循環動態などに興味があったので、それが決め手になりましたね。循環動態を診ていくうえでは最終的に循環器内科と腎臓内科で悩んだのですが、院内・院外合わせて色々な循環器内科と腎臓内科を回り、腎臓内科の疾患に加え、手技的なものも学びたいと思い、腎臓内科を選びました。

専攻医研修先を和歌山県立医科大学附属病院に決めたのはどうしてですか。

初期研修を和歌山県立医科大学附属病院に決めたときに入局することも視野に入れていたんです。和歌山県で医師としての実力を磨こうと思ったら、やはり規模が大きく、頼りがいのある先生方が揃っていて、困ったときには相談できる大学病院が良かったです。

専攻医研修はどのような内容ですか。

週に1日は新患外来といって、ほかの医療施設から紹介でいらした新規の患者さんを診ています。もちろん上級医の先生にどう治療していくのか、どうフォローしていくのか、ほかに検査が必要なのかなどを相談させていただいています。また腎臓内科では内科業務のほかに透析管理もしているので、院内の入院患者さんの透析管理を1週間通して行い、調節しています。腎臓内科はチーム制で、腎炎、腎機能障害などで入院になった病棟の患者さんについては一人ではなくチームで診ているので、分からないことがあれば上級医の先生に質問して勉強しています。

医師近影

専攻医研修で特に勉強になっていることを教えてください。

新患外来がとても勉強になっています。病棟の患者さんであれば、外来で既に診ているので、どういう疾患かというのが分かっている状態で診ていきますが、新患外来ではそこで初めて会う患者さんなので、その患者さんが今どういう状態で、次にどんな検査をしていかないといけないのかということを先入観なく診る必要があります。考えさせられることが多いという点で勉強になっています。

当直の体制について、お聞かせください。

大学病院では月に4、5回、外の病院を含めると週に1、2回のペースで当直しています。大学病院は1人で当直しますが、待機の先生が1人いらっしゃるので、緊急で透析するようなことがあれば、その先生に連絡してサポートしていただきます。外の病院では1人です。外の病院は救急の患者さんがメインですが、その病院では難しい場合は検査できる病院への搬送の対応をしたりしています。

指導医の先生方のご指導はいかがですか。

分からないことを聞いたら、詳しく、丁寧に教えてくださいます。上の先生方の診療を見ているだけで、自分に足りないことや改善しないといけないことに気づくことができるので、とても勉強になっています。

病院に改善を望みたいことはありますか。

今は困っていることは特にないのですが、初期研修のときには当直体制にもう少しサポートがあると有り難いなと思っていました。(初期研修の救急当直も今は少し変わった様です)➡秦先生の頃とは、DUTYも救急のシフトも少し変わりましたので。

初期研修医の指導にあたって、気を付けていることはありますか。

1年目の初期研修医にはカルテの書き方やアセスメントの取り方を重点的に教えていますが、2年目になるとカルテなどには慣れてきている段階なので、もう少し踏み込んだ病態についても指導しています。

医師近影

カンファレンスはいかがですか。

週に1回あります。腎臓内科が主科で診ている患者さんについてのカンファレンスで、それぞれの医師が担当している患者さんの1週間の経過を報告し、治療方針を決めています。今後の治療方針に悩んでいるときはどうしたらいいのかを相談したり、全体で確認する場となっています。

コメディカルのスタッフとのコミュニケーションはいかがですか。

病棟では看護師さんがメインですので、病棟に行ったときにはきちんと意思疎通して、漏れがないようにしています。透析関連では臨床工学技士さんにお世話になっています。患者さんに穿刺するときにサポートしていただいたり、透析の機械で困ったことがあれば尋ねたりして、情報共有に努めています。

何か失敗談はありますか。

初期研修では主治医だという責任があまりなく、専攻医研修で主治医になって診ていく中で患者さんを治療して良くなったのはいいのですが、退院後のことを深く考えきれていなかったことがありました。病院にいる間は良くても、病院での生活で改善できたことが退院後も続けられるのか、ご家族のサポートを得られない患者さんの治療法をどうしていくのか、内服で困ることはないのかなど、退院していただくときには患者さんの社会的な背景もしっかり考慮しないといけないということがこの半年で身にしみて分かってきました。

専攻医研修と初期研修の違いはどんなところにありますか。

初期研修は1カ月から数カ月で診療科を変わるので、責任感が薄らいでいきがちです。メインで診るのは指導医の先生で、初期研修医は勉強させていただいているというスタンスですが、専攻医は自分で患者さんを診て、治療方針を決めて、どうしていくのかを考えていかなくてはいけないというのが大きな違いですね。

研修医同士のコミュニケーションは活発ですか。

腎臓内科の同期は私を含めて4人います。そのうち3人は初期研修も当院で行い、1人は他院でしたが、和歌山出身なので戻ってきました。本当に同期には恵まれていますね。病態だけでなく、業務的なことや上の先生に聞いてもいいのかなというようなことはまず同期に聞いています。腎臓内科の専攻医研修では卒後4年目、5年目は関連病院に出るので、院内でのすぐ上の先生方は6年目、7年目の先輩方になるので、指導医クラスの先生方よりも質問しやすいですし、その先生方も詳しく教えてくださるので有り難いです。

今後のご予定をお聞かせください

来年は関連病院に出る予定ですが、どの病院に行くかは未定です。専攻医研修が終わり、内科専門医や腎臓内科専門医を取得して一段落したら、大学院に進学することも視野に入れています。

現在の臨床研修制度について、ご意見をお願いします。

和歌山県立医科大学附属病院の初期研修は起点となる大学病院に初期研修期間の半分の1年いれば、ほかの協力病院を選んで回ることができます。外科を勉強したいときは手技の機会が多い市中病院に1カ月だけでも行けたり、特定の科に強みを持つ市中病院に行くことができたり、回る科を変更しやすかったりという柔軟な制度があるのは良かったです。

専門医制度についてもご意見をお願いします。

腎臓内科に限らず、ほかの内科の専攻医と話しても同じ問題意識があるのですが、J-OSLERの症例登録にあたっては大学病院にいるだけでは症例が集まりにくいです。J-OSLERで色々な疾患を診て、症例を集めることは勉強になるのですが、それが環境に左右されがちだという現実的な問題のある制度だと感じています。

これから専攻医研修の病院を選ぶ初期研修医にメッセージをお願いします。

和歌山県立医科大学附属病院は指導医の先生方が非常に多いので、それぞれのジャンルや部門に強みがあり、様々な診療スタイルを見られるので勉強になります。しっかり教えてくださる先生方が多いことが当院の魅力だと思います。また、和歌山県立医科大学附属病院の初期研修も魅力的です。和歌山県で研修すると決めたのなら、今後の人生設計をするうえで基盤となる大学病院で研修することをお勧めします。多くの先生方と知り合い、人脈を作っていけることがメリットです。医学生の方も是非、見学にいらしてください。

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