インタビュー

2022-01-01

和歌山県立医科大学附属病院 宮本 恭兵 | 指導医インタビュー(初期)

和歌山県立医科大学附属病院 宮本 恭兵 先生の指導医インタビュー。全国病院からメッセージ・求める研修医、プログラム・募集要項、ジュニア・シニア・指導医・院長のインタビューを掲載。進路選択の判断材料としてお役立てください!

和歌山県立医科大学附属病院(卒後臨床研修センター)

〒641-8510
和歌山県和歌山市紀三井寺811-1
TEL:073-441-0575
FAX:073-441-0576
病院URL:https://www.wakayama-med.ac.jp/hospital/
卒後臨床研修センターURL:http://www.wakayama-med.ac.jp/med/sotugo/index.html


医師近影

名前 宮本 恭兵
和歌山県立医科大学救急・集中治療医学講座講師 和歌山県立医科大学附属病院卒後臨床研修センター副センター長 指導医

職歴経歴 1982年に和歌山県有田郡で生まれる。2006年に自治医科大学を卒業後、和歌山県立医科大学附属病院で初期研修を行う。高野町立高野山病院(現 高野町立高野山総合診療所)内科、国保北山村診療所所長などの勤務を経て、2015年に和歌山県立医科大学救急・集中治療医学講座に勤務する。2019年に和歌山県立医科大学救急・集中治療医学講座講師に就任し卒後臨床研修センター副センター長を兼任する。
日本集中治療医学会集中治療専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本感染症学会暫定指導医、日本救急医学会救急科専門医、ICDなど。

和歌山県立医科大学附属病院の特徴をお聞かせください。

一言で言うと、地方の大学病院ですね。都会と違って、病院の機能分化ができるほど多くの病院があるわけではないので、高度な医療ももちろん提供しますが、よりコモンな病気に対する医療も提供するといった、地域に根ざした大学病院です。私は都会の病院に勤務したことはないのですが、当院は都会の病院に比べると各科の敷居が高くない印象があります。私は学生時代、大学の教授は雲の上の存在で偉い人だと思いながら過ごしていました。確かに偉い方々ではあるのですが、当院では他科の教授の先生方ともそこまで隔たりがなく、研修医にもフレンドリーに接してくださいます(笑)。

宮本先生がいらっしゃる救急・集中治療医学講座についてはいかがですか。

救急と集中治療の2つの仕事があります。まず救急に関してですが、一次から三次まで診療するというのが大きな特徴です。全国的に大学病院は三次救急の指定を受け、高度な救急医療を提供しているところが多いです。しかし、和歌山県内には大学病院が三次救急だけを診て、ほかの病院が一次、二次を診るという機能分化ができるほどの病院数がありませんので、当院には歩いて救急外来に来られる一次救急の患者さん、三次まではいかない重症度の二次救急の患者さんが数多くいらっしゃいます。当然、入院患者数もそれなりに多いのですが、その入院患者さんを救急科で最後まで診るというケースがほかの病院よりも豊富であることも特徴です。ほかの病院の救急部門は一般的に、診断がついたり、病態が明らかになった段階で専門科に転科となり、専門科で入院診療をしていただくケースが多いですが、当院はある程度の診断がついたあとも、高度医療を要する場合や病態次第で転科が必要なケースを除いては救急科が主となって入院診療をおこなっています。もちろん救急科単独で全てを診ることはできませんので、病院全体で支援をいただきながら、皆で救急診療に取り組んでいます。

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集中治療についても、特徴をお願いします。

ICUの機能としては救急外来から入室する救命ICU、大きな手術を受けたあとに入室する術後ICU、入院中に悪くなって入室する院内ICUに分化させている病院が一般的ですが、当院のICUは全てが一体化しています。救急外来から入室される患者さん、手術後の患者さん、院内で急変された患者さんが入室され、院内の全ての重症患者さんが集約されているのが特徴です。当院のように救急科が集中治療室を運営する病院では救急外来からの患者さんだけを受けもつ場合が多いと思いますが、当院では院内の全ての重症患者を診ていますので、集中治療研修では幅広い疾患を経験することができるという利点があります。

和歌山県立医科大学附属病院の初期研修プログラムで学べる特徴について、ご紹介くださいますか。

当院の一番の特徴は自由度の高さにあります。救急科を3カ月回るといった厚生労働省の定める必修科はほかの病院と同じですが、そのほかは好きな時期に、好きな診療科を回ることができます。もちろん全ての初期研修医が同時に同じ科を回ることはできませんので、ある程度相談しながら決めていくことになりますが、好きなように自分で組み、自分で変えていくことが可能です。ある診療科を回っている最中に「この科をもう少し回りたい」と思ったり、循環器内科を回っているうちに「心臓血管外科も回りたい」という希望が出てくることがありますが、周りとの兼ね合い次第で、翌月か、翌々月には変更することも可能です。自分で組み上げた研修スケジュールをその都度、調整しながら回れるので、個別化された研修になります。もう一つは、大学病院ならではの高度に専門化された患者さんを診ることにとどまらず、地方の病院ゆえに一次、二次救急を含む幅広い疾患を多く診られるのも大きな特徴です。連携病院も豊富にありますので、そうした市中病院でのコモンディジーズの経験を積めるなど、初期研修医のニーズに合わせた研修ができる病院です。

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初期研修医の人数はどのくらいですか。

毎年60人位います。

指導される立場として心がけていらっしゃることを教えてください。

「こういうときはこうしたらいいよ」ということは当然教えますが、そこに根拠が必要ですので、どういう考えでこうしたのかを教えることを意識しています。医療の世界では一つに決まっていないこと、なぜこうしないといけないのかがはっきり分かっていないことが多いので、私の頭の中に入っていることやこれまでの研究で明らかになっている根拠をできるだけ言語化して、なぜこうするのかを伝えることが大事だと思っています。また、その伝えることが世界標準から外れたものであってはいけません。和歌山県という地方にいても、脇道に逸れた医療にならないように、世界標準の医療を伝えることを意識しています。

最近の研修医をご覧になって、どう思われますか。

初期臨床研修システム開始当初は研修医が診療体制に組み込まれており、学生を終えたばかりの研修医が即戦力になっていた病院が多かったのだろうと思います。しかし、研修医が戦力になる、言い換えれば研修医がいないと回らないというシステムは望ましいものではなく、研修医の診療に指導医が中心となって責任を持つ方向へ、より望ましい方向へと変化が起きています。しかし、物事には二面性があります。昔は良い悪いは別として研修医自身に患者さんの病態をアセスメントし、自分で考え、プランを立てる機会が多く与えられていたように思います。そういう機会は緊張しストレスを感じる機会ではありましたが、成長の機会でもありました。人間は環境に適応する生き物で、ある程度のストレスを感じることで成長が促されていきます。現在のある意味守られた初期研修体制は患者さんや研修医いずれにとっても望ましい体制と思いますが、自分で勇気を持って踏み出さないと冒険に出かけにくくなっているのかもしれません。その意味ではより積極性が大事になっているのではないかなと思います。私たち指導医も研修医が積極的に動いていける機会を与えるように努力していますが、研修医自身も主体性を持って動くように意識して欲しいと思います。

「こんな研修医がいた」というエピソードがあれば、お聞かせください。

特定の研修医のエピソードではありませんが、救急や集中治療の現場は忙しさの振れ幅が大きいので、私一人では対応しきれないときが時々あります。そういうときに「今ここに研修医がいてくれて、良かった」と思うことがあります(笑)。

研修医に「これだけは言いたい」ということがあれば、お聞かせください。

将来進みたい診療科に関係ないと思われることでも、何が役に立つのか分からないので、積極的に学び取ろうとしてほしいです。例えば、循環器科を志望している人であれば循環器に関連した知識、心エコーや血管造影の技術などを学び取る機会には積極的に参加しますが、それとは全く関係ないような疾患や手技に関しては取捨選択をしてしまい、積極性が失われてしまうことが時折見受けられます(循環器内科の例えがよく出てくるのは初期研修中に将来の専攻科として救急集中治療と循環器内科で最後まで悩んだせいかもしれません)。もちろん役に立たないこともありますし、自分がやりたい、得たいことを取捨選択するのは一見効率的に思えますが、学びとはそういうものではありません。自分が勉強して吸収したものの中で何が役に立つのか、役に立つ瞬間まで分からないのです。全く関係ないと思って勉強したことが別のことで繋がっていたことが分かると、自分の成長を実感しますし、そこからぐっと伸びていきます。ぜひ選り好みせずに貪欲に取り組んでもらいたいと思います。

先生の研修医時代の思い出をお聞かせください。

私は和歌山県出身で、自治医科大学を卒業しましたので、和歌山県内で研修病院を選び和歌山県立医科大学附属病院にしました。私もこの臨床研修制度の世代ですが、研修医の頃は病院に住んでいるような感じで、できるだけ長く病院にいることを目標にしていました(笑)。働き方改革が進んでいる今からすれば何をしていたのだろうと思います。今はそういう働き方をするのは良くないこと、悪いことのようにレッテルを貼られますが、そこに代償を払った分だけ得られることはありましたね。頑張ることが悪いわけでもないと思いますので、ぜひ遠慮せずどんどん頑張っていって欲しいと思います。

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先生はなぜ救急集中治療科を選ばれたのですか。

その場で診断して、治療できる医師になりたかったからです。救急集中治療科は完全な診断まではいかなくても、状態をある程度明らかにして治療をしなければいけない診療科です。私はどんな患者さんが来ても、一定の診療ができる医師になりたかったですし、それは自治医大の方針ともマッチしていました。自治医大では僻地に行って何でも診れるようになることを是とし、そのメンタリティを6年の間に叩き込まれます。そういったところが救急集中治療科に向いていたのだと思います。初期研修が終わって、和歌山県立医科大学の救急・集中治療医学講座に入局しながら、自治医大の僻地派遣を行いました。

僻地医療についてもお聞かせください。

医療以外にも行政や福祉との連携など色々なことを自分でしなければいけないので、良い経験になりました。僻地医療は人と人との接触があり、人間味が溢れ、ヒューマニティを感じる医療です。働いた場所は私にとっての第二の故郷ですね。医療としても、医学としても、生活としてもたくさんの思い出があります。

現在の臨床研修制度についてのご意見をお願いします。

色々な診療科を診られるのは良い制度だと思います。

これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

国家試験に合格することが医師としてのスタートですが、スタートにあたり、どこの病院に行こうか、どの診療科に進もうか、悩んでいる人も多いでしょう。しかし、どの科に行っても、医学はとても面白いし、面白いだけではなくて、遣り甲斐もあり、一生を費やすのにふさわしい分野なので、どの病院を選んでも、そこで頑張っていただきたいと思っています。


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