初期研修インタビュー

2022-03-01

新行橋病院(福岡県) 初期研修医 大野鉄平先生 (2022年)

新行橋病院(福岡県)の初期研修医、大野鉄平先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。この内容は2022年に収録したものです。

社会医療法人財団池友会 新行橋病院

〒824-0026
福岡県行橋市道場寺1411
TEL:0930-24-8899
FAX:0930-22-5551
病院URL:http://www.shinyukuhashihospital.or.jp/

大野先生の近影

名前 大野 鉄平
出身地・出身大学 / 医師免許取得年度 千葉県鎌ケ谷市・ 宮崎大学 / 2021年

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

私は小学1年生から大学生まで野球をしてきました。小学生のときに友人が日本代表になり、世界大会に出場したことがあります。それで私も友人に憧れ、日本代表になるような野球選手を目指していたのですが、途中で現実が見えてきました(笑)。そこで野球選手にならなくても、ほかの形でスポーツに関われる職業はないかと調べたときに、スポーツトレーナーやスポーツドクターの存在を知ったんです。その中でスポーツドクターであれば、スポーツと関わりながら医療もできると思い、医学部に行こうと決めました。

学生生活ではどんなことが思い出に残っていますか。

勉強以外で思い出に残っていることはやはり部活動です。私は大学でも野球を続け、うまくなって大会で優勝したいという目標のもとで毎日、練習を頑張っていました。しかし大会で優勝することはできませんでした。西医体でベスト8になり、ベスト4をかけて対戦して敗れた相手が優勝したことがあったのですが、そういう悔しさの方が思い出に残っています。部活動のほかは友人たちと遊んだり、泊まりがけで飲み会をしたりといった学生生活でした。

大学卒業後、研修先を新行橋病院に決めた理由をお聞かせください。

最初は母校の大学病院も考えていたのですが、新行橋病院の正久康彦院長先生が宮崎大学の野球部のOBでいらっしゃるんです。毎年OB会に来ていただき、勧誘してくださったことがきっかけです。野球部の先輩方も何人か新行橋病院で研修されていたこともあり、私も見学に行き、いい病院だなと感じたので、新行橋病院に決めました。

新行橋病院に最初に見学に来られたときの印象はいかがでしたか。

5年生の11月に見学に来ました。救急病院ということで、救急車が次々に来て、ぴりぴりしているのかなと思っていましたが、確かに救急車も来てはいたものの、必要以上にぴりぴりしている雰囲気ではありませんでした。むしろ楽しそうでしたし、リラックスしながら、患者さんにしっかり対応されているところが印象的でした。

新行橋病院での初期研修はイメージ通りですか。

忙しいとは聞いていましたが、想像以上の忙しさです。でもとても充実しています。

プログラムの特徴はどんな点でしょうか。

1年目では色々な診療科を回りますが、1年間を通じて救急の研修があるところです。救急を回っていない時期でも、救急車が来ると分かったら、初期研修医に電話がかかってきます。そこで手技や手術に入っているタイミングでなければ、救急車の対応に行くので、1年間ずっと救急を勉強できるのが魅力です。

プログラムの自由度は高いですか。

1年目はほぼ必修科目を回り、2年目は産婦人科、小児科、精神科などの必修科目以外は完全にフリーなので、自由度は高いと思います。

院外での研修はありましたか。

1年目の内科のうちの2カ月を北九州市の新小文字病院でお世話になりました。新小文字病院は当院と同じ池友会グループの病院ですが、病院が違えば雰囲気も違うことを実感できました。新鮮な気持ちになりますし、当院とは違った良さも分かったので、ほかの病院に行けたのは良かったです。2年目でも新小文字病院のほか、福岡市の福岡和白病院、佐賀県武雄市の新武雄病院などのグループ内の病院で研修することもできます。また、産婦人科と小児科は中津市立中津市民病院、精神科は一本松すずかけ病院で研修します。

どのような姿勢で初期研修に取り組んでいらっしゃいますか。

私は整形外科に興味があって医学部に入ったのですが、初期研修の2年間ではどの科を回っているときでも「回らなくてはいけない」という気持ちではなく、「折角の機会なので、この科の勉強をしっかりやろう」という気持ちで研修することを心がけています。

大野先生の写真

指導医の先生のご指導はいかがでしょうか。

皆さん、優しいです。当院の初期研修の特色として、手技の機会が多いことが挙げられますが、指導医の先生方が色々な手技に対して「やってみようか」という声をかけてくださいます。手技の間も横から見ていらっしゃるので、失敗しそうなときは修正していただいています。

手技は緊張しますか。

最初は緊張しましたね。特に救急車で来られた患者さんにファーストタッチするので、その対応の際は今も緊張します。

新行橋病院での初期研修で勉強になっていることはどんなことでしょう。

毎日が勉強です。一見、何もなさそうな人でも検査をしてみたら病気が隠れていたり、とても痛そうにされていても検査をしたら何事もなかったなど、私自身の感覚とは違う結果になる患者さんがいらっしゃるので、どういうふうにうまく検査するべきか、考えさせられます。

何か失敗談はありますか。

色々な失敗談があります(笑)。あるとき救急車で脳梗塞の患者さんが来られました。緊急性のある疾患なので、急いでルートを取り、MRIに行くぞと救急車のストレッチャーからMRIの台に移乗するときに、私がきちんと周りを見ていなかったので、入れていたルートが抜けてしまったことがあります。時間が勝負の患者さんだったのに、ルートの入れ直しになってしまったので、厳しく怒られました。その後、MRIと血栓回収療法がうまく進み、患者さんは無事に助かりました。急いでいて、周りが見えていなかったことを反省しました。

当直の体制について、お聞かせください。

以前は月に8回ぐらいあったそうですが、私たちの学年から初期研修医の数が増えたので、月に5、6回です。体制は上級医2人、初期研修医1人です。当直は1年目の5月に始まるのですが、最初は2年目の研修医と一緒に入り、教えてもらいながら研修して、7月から1人で入るようになります。この検査で本当にいいのか、このまま帰宅させていいのかといった不安があるときは上級医の先生に電話で聞き、バックアップをいただきます。最近は少しずつ慣れてきたところです。

当直では、どんなことが勉強になっていますか。

患者さんを診察して、どんな検査が必要なのかを考え、検査をして画像を見たり、血液検査の結果を見て、どんな病気なのかを検討するという一連の流れが勉強になっています。検査などを自分で組み立てることはもちろんですが、夜間で疲れているときに大勢の患者さんが来られても最低限の診察をしないといけないのだということも勉強になります。

カンファレンスの雰囲気はいかがですか。

雰囲気は厳しくなく、充実した感じです。毎朝7時30分から、診療科を問わず、上級医と研修医が集まって、前日の当直帯などで診た症例の中で勉強になるものを皆で共有しています。その議題に上がった症例のファーストタッチをした研修医がプレゼンしますが、「どうだった」と質問されたときに答えられないこともあったりするので、きちんと準備しないといけないですし、緊張しますね。また、2週間に1回、研修医がパワーポイントでスライドを作って発表する症例発表会もあり、勉強の機会は豊富にあります。

コメディカルの方たちとのコミュニケーションはいかがですか。

仕事中はよく診療放射線技師さんや臨床検査技師さんに「これって、こうなんですか、ああなんですか」と質問させていただいていますが、丁寧に教えていただいています。皆さん、話しやすいですし、コミュニケーションも取りやすいです。

研修医同士のコミュニケーションは活発ですか。

すごく活発です。同期とはちょっとしたときに相談に乗ってもらったり、リラックスしたいときに話したりしています。以前は1学年5人だったのですが、私たちの学年から7人になったので、賑やかですね。全員男性で、九州の大学出身者ばかりで、皆で明るく過ごしています。

寮もありますか。

全員が病院の借り上げマンションに住んでいますが、家賃の半額を病院に負担していただいています。新築1年目で新しいですし、広さも1LDKあるので、かなり広いです。

今後のご予定をお聞かせください。

整形外科に進みたいと思っています。専攻医研修の病院は母校の大学に戻るか、地元が千葉なので、千葉の病院に行くのか、まだ決まっていません。専攻医研修を終えたら、スポーツドクターを目指したいと考えています。

ご趣味など、プライベートの過ごし方について教えてください。

普段の業務で体力を使っているので、休日はとりあえずゆっくり休んでいます。また、身体を動かすのが好きなので、ジムに行ったり、同期とキャッチボールしたりして、リフレッシュしています。

現在の臨床研修制度に関して、ご意見をお願いします。

大学生の頃はいきなり専門の科に進んでもいいのではという思いもありましたが、この臨床研修を経験したことで、2年の間に色々な科を回って、多くの知識を身につけたうえで行きたい科に進むのもいいものだと考えるようになりました。特に大学を卒業するときに将来の科を決めていない人にはいい制度ではないでしょうか。

最後に、これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

行きたい科もあるとは思いますが、その科とは別に、初期研修ではどのような医師にも必要なスキルを2年間でしっかりと身につけることが大切です。色々な患者さんを診て、多くの救急車に対応できて、手技や当直の経験を積んだうえで、行きたい科に行けるような病院で研修することをお勧めします。

大野先生の写真

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