初期研修インタビュー

2022-05-01

新別府病院(大分県) 初期研修医 高畑絢子先生・永田芙由美先生 (2022年)

新別府病院(大分県)の初期研修医、高畑絢子先生・永田芙由美先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。この内容は2022年に収録したものです。

国家公務員共済組合連合会 新別府病院

〒874-8538
大分県別府市大字鶴見3898
TEL:0977-22-0391
FAX:0977-26-4170
病院URL:http://www.shinbeppu-hosp.jp/

高畑先生の近影

名前 高畑 絢子(あやこ)
出身地・出身大学 / 医師免許取得年度 鹿児島県鹿児島市・ 鹿児島大学 / 2021年

永田先生の近影

名前 永田 芙由美(ふゆみ)
出身地・出身大学 / 医師免許取得年度 宮崎県宮崎市・ 大分大学 / 2021年

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

永田
父が医師をしていることもあり、小さい頃から興味のある仕事でした。それで勉強を頑張るようになって、医学部に行けそうなところまで来たので、このまま医師への道を全力で進もうと思いました。

高畑
私は進学校に通っていながらも勉強を頑張ったわけではなく、高校卒業後は普通に大学に進学しました。でも、高校の皆が頑張っていたのに、私は勉強していなかったので、負い目のようなものがあったんですね。そこからきちんと勉強しようと思って、医学部を再受験しました。

学生生活ではどんなことが思い出に残っていますか。

永田
水泳部での活動です。先輩、後輩と一緒に活動する中で、先輩たちが先に医師になっていき、OB会などで「こういう仕事をしているんだよ」という話を聞くのも楽しかったです。西医体では自己ベストのタイムを出せたり、練習の成果を発揮できました。

高畑
私はゴルフ部に入っていましたが、思い出に残っているのは週に5日から6日、入っていたカフェでのアルバイトです。そのカフェは全国チェーン店なのですが、接客コンテストみたいなコンテストがあり、全国5000人の接客スタッフの中でベスト10人に選ばれ、東京での表彰式に呼ばれました(笑)。

永田
聞いているだけですごいです(笑)。

高畑
何が良かったのか、いまだに分からないです(笑)。そこまで頑張っていた意識もなく、笑顔で接客していただけなんです。

大学卒業後、研修先を新別府病院に決めた理由をお聞かせください。

永田
大学病院での整形外科のポリクリでお世話になった先生が週に1日、新別府病院に勤務されていると伺い、その先生の勤務日についていって、見学させていただいたのがきっかけです。雰囲気がいい病院だなと思い、こちらを候補に入れつつ、何度か病院見学をさせていただいたうえで決めました。

高畑
私は出身も大学も鹿児島なのですが、卒業後すぐに結婚して、出産もしており、3歳の子どもがいます。夫も医師で、鹿児島で働いていたのですが、出身地の大分に戻る予定があるとのことだったので、私が子どもを連れて先に大分に移り、大分で初期研修をすることにしました。その中で新別府病院を選んだのは夫から「今後ずっと医師を続けるのであれば、初期研修では三次救急まで診て、緊急時の対応ができるようになっておくと、また出産をしたとしても自信を持って復職できると思う」と言われたことが大きかったです。

新別府病院に最初に見学に来られたときの印象はいかがでしたか。

永田
スタッフの方々がてきぱきとそれぞれの役割を果たしていらっしゃったし、見学されていた研修医の先生たちの雰囲気も良かったです。救急車が次々に来ていて、「救急の練習や勉強ができるよ」と聞いたので、この病院で研修したいと思いました。

高畑
私は面接のときに来たのが初めてなのですが、以前、夫の祖母のお見舞いに当院に来たことがあります。夫の祖母はその後、亡くなったのですが、当院の看護師さんに手厚く看護していただき、何度も助けていただいたと夫の家族から聞いていました。それで、患者の家族として、信頼できるいい病院だという印象を持っていました。

新別府病院での初期研修はイメージ通りですか。

永田
イメージ通りですね。スタッフの方々もしっかり働いておられますし、救急車も多く、色々な患者さんが来られて、スタッフの方々に助けられながら勉強させていただいています。

高畑
先生方はもちろん、看護師さんたちもかなりのスペシャリストで、色々なことを教えていただいています。私たちも少しずつ協力できるようになってきて、充実している毎日です。

高畑先生の写真 永田先生の写真

プログラムの特徴はどんな点でしょうか。

永田
救急をしっかり回れることですね。

高畑
救急は3カ月ありましたので、かなり勉強できました。

プログラムの自由度は高いですか。

高畑
1年目は内科を1カ月ずつなど、ほとんど決められている診療科を回るのですが、2年目になると、必須科目の産婦人科、小児科、精神科、地域保健・医療以外は全て自分で自由に選べます。2年目だけで見ると、かなり自由度が高い病院だと思います。

院外での研修はどのようなところに行けるのですか。

高畑
地域保健・医療の研修では姫島村国民健康保険診療所や阿蘇医療センターに行くことができます。

永田
当院にはない診療科の研修を外部の病院ですることもできます。選択肢も多いですし、私たち2人で割り振って、事務スタッフの方に「これでお願いします」と伝えれば、事務スタッフの方が私たちの行くところが被らないように調整してくれます。私は形成外科の研修は当院と同じ国家公務員共済組合連合会の病院である虎の門病院に行く予定です。

高畑
虎の門病院は全医学生が知っている研修病院ですし、研修病院でなくても超有名病院です。そういう病院で、しかも興味のある診療科の研修ができる機会は素晴らしいと思います。自分のことではないのに、私がわくわくしています(笑)。私は子どもがいるので、院外での研修は全て自宅から通えるところにしていて、豊後大野市民病院などに行く予定です。

どのような姿勢で初期研修に取り組んでいらっしゃいますか。

永田
まずはとにかく人の話を聞くことです。聞いたことは忘れないようにすぐにメモをしたり、色々と工夫をして、身になる聞き方ができるように頑張っています。

高畑
卒後3年目で独り立ちすることに向けて、2年目のこの1年間は自分でアセスメントするという心構えで回ることを意識しています。

指導医の先生のご指導はいかがでしょうか。

永田
要所ごとにしっかり教育してくださるので、本当におんぶに抱っこです(笑)。「まずは自分でカルテを書きましょう」「自分でとりあえず手技をしてみましょう」みたいな感じで、手技は当然、最初に指導が入りますが、2回目、3回目は自分でやってみて、違っていたら「ちょっとおかしいよ」「こういう持ち方の方がいいよ」と丁寧に教えてくださいます。

高畑
救急の先生方が毎朝30分間、研修医を対象にした勉強会を開いてくださり、昨年度はそれが200日も続きました。最初は質問されても分からないことばかりなのですが、何カ月も続くうちに、全く知らないことの中にも聞いたことのある話も増えてきて、ICUの患者さんの状態などが少しずつ理解できるようになりました。毎日、繰り返して教育してくださった先生方にはとても感謝しています。ほかの科の先生方も指導熱心な方が多くて、こういう先生方に診ていただけたら、患者さんもお任せしようと思われるだろうなと感動しています。

新別府病院での初期研修で勉強になっていることはどんなことでしょう。

永田
全てですね(笑)。1年目のときは自分が医師として、どういうふうに活動すべきなのかが分からなかったのですが、先生方に指導を受けたり、先生方が患者さんを診察しておられる姿を見るうちに、医師としてのビジョンが明確になってきたように思います。大学での実習は見学ですが、研修で実際に動いてみると全く違いますね。

高畑
入院患者さんを診るだけではなく、外来に来られた患者さんの問診からスタートして、入院になる、ならないの判断をしたり、入院の場合は病棟管理や、入院にならない場合でも他科の医師に自分でコンサルトしたり、紹介元の病院にお返事をするといったことも勉強になっています。

永田
社会人として勉強になりますね。

高畑
入院中の一地点だけを診るのではなく、それ以外の必要なことなどもさせていただいているので、そういう忙しさも経験できています。

高畑先生の写真 永田先生の写真

何か失敗談はありますか。

高畑
患者さんの生命に関わるような失敗はないのですが、そうでない失敗は色々とありすぎてしまって、細かい話を忘れました(笑)。

永田
しばらくの間、私一人に任せていただいていた患者さんがいらして、調子に乗って「毎日採血するぞ」と意気込んで、毎日採血を出していたら「この項目は高いし、毎日は必要ないよ」と指導医の先生に優しく諭されました(笑)。

当直の体制について、お聞かせください。

永田
夜間の当直と土曜日、日曜日の日直を合わせて、月に最低1回、最大でも6回というルールがあります。私は自分の体調も考慮しつつ、週に1回、月に4回入っています。

高畑
私は子どもがいますし、昨年度は子どもと2人暮らしだったこともあり、日直に入っています。ただ毎週入るとなると、子どもも体調を崩したりするので、月に2、3回にしています。

永田
体制は当直は指導医と初期研修医が1人ずつの2人体制、日直は指導医2人が基本で、初期研修医1人が入れば3人体制になります。

当直や日直では、どんなことが勉強になっていますか。

永田
問診の経験を積めています。それから、やはり緊急搬送された、重症度の高い患者さんの初療ですね。慣れてきたら「じゃ、やってみて」と言われるので、多くの件数を実践して学んでいます。

高畑
当院は救急科や整形外科の先生方がいらっしゃらないときでも交通事故などの患者さんを受け入れる体制なので、先生方も「何でも大丈夫」みたいな覚悟が決まっています。心筋梗塞などはもちろん専門の先生を呼びますが、誤嚥性肺炎などは呼吸器科の先生をすぐに呼ぶわけではなく、当直や日直の先生が診る体制ですので、そういう対応は勉強になっています。

カンファレンスの雰囲気はいかがですか。

永田
内科では症例検討会があり、内科の先生方が持ち回りで、自分の科に来た珍しい症例を内科全体で共有しています。珍しく、興味深い症例が来るので、勉強になっています。

高畑
各科のカンファレンスも盛り上がりがあっていいのですが、毎朝のICUカンファレンスにも各科の先生方がほとんど参加されています。ICUに入られた患者さんの状態を皆で把握したり、「こういう方がいらしたら、こうしよう」といった対処の仕方も学べたり、お互いに質問をし合ったりされているので、勉強になりますね。

コメディカルの方たちとのコミュニケーションはいかがですか。

永田
一番頻繁に接する看護師さんをはじめとして、栄養士さんには入院中の患者さんの栄養状態やこういう患者さんにはどういう食事を出せばいいのかを電話して、相談したりしています。

高畑
聞きやすいですよね。コメディカルの方たちは私たちにも気軽に連絡してくださるし、「これはちょっと違うよ」ということも教えてくださいます。当院の初期研修は救急を3カ月回りますが、その間は指導医の先生と1対1なので、救急の看護師さんには特にお世話になります。その期間に、救急の看護師さんとは信頼関係を築けたと勝手に思っています(笑)。

研修医同士のコミュニケーションは活発ですか。

高畑
研修医室があるので、そこでよく話しています。

永田
フランクな話をしたいときや大声で話したいときは研修医室で話します(笑)。

高畑
昨年度は私たち以外に大分大学医学部附属病院からのたすきがけの人が1人いて、2年目の研修医は1人だったので、全員で4人でした。でも、今年は7人が入ってきました。

永田
1年目の人たちはまだ入ってきたばかりなので、そこまでフランクに話していません(笑)。先ほど1年目の人たちに向けて、マニュアルを作りました。

高畑
当直中にどう動けばいいのか、救急の先生がドクターカーで外出されたときはどう対応すればいいのかなど、ものすごく細かく書いてくれていて、大事なところに線を引こうにも、既に引いてあるんです。とにかく素晴らしいマニュアルなので、すぐに印刷して、研修医室に貼ってきたところです(笑)。

永田
ローカルルールではありますが、最初から知っておきたかったなということを書いてみました。

高畑
マニュアルを読むだけでは頭に入らないですが、これから身体を動かしながらマニュアルを読み返すことで、「こういうことだったんだ」と実感できるのだと思います。

寮もありますか。

高畑
寮はなく、自分で借りて住んでいます。別府は都会と違って家賃が安いので、かなり綺麗なところでも5、6万円で借りることができるうえに、3万円ほどの家賃補助があります。

永田
私もすごく綺麗なところに住んでいます(笑)。

高畑
私は昨年度は子どもと別府市内に住んでいましたが、今年度は夫が転勤してきたので、大分市内に住み、車で通勤しています。子どもを保育所に預けてから出勤するのですが、朝はやはり道が混むので、1時間かかります。

高畑先生は保育所はどうされているのですか。

高畑
昨年度は院内保育所にお世話になっていたので、子どもと一緒に通勤、退勤していました。院内保育所だと先生方が子どもに構ってくださるので、楽しい1年間を過ごせたのですが、今年度は外部の保育所に通わせています。大分市内は0歳であれば希望の保育所に入りやすく、3歳だとどこも埋まっている状況なので、第一希望のところではなかったのですが、無事に入所できました。

今後のご予定をお聞かせください。

永田
私はアトピー体質で「どうして、こんなに肌が弱いんだろう」と思ったことがきっかけとなり、皮膚に興味があるので、皮膚科か形成外科のどちらかに行きたいと考えています。皮膚科の手術も見学させていただいて、楽しそうな印象を持ったので、どちらに進むにしろ、大学の医局に入局し、楽しく学んでいきたいです。

高畑
私は最初から内科志望でしたが、1年間回ってみて、手技がある科がいいなと感じたので、消化器内科か呼吸器内科に行きたいと思うようになりました。循環器内科にも興味があるのですが、忙しい科なので、子育て中ということも考えると難しいですね。今後は大分大学のどこかの科に入局するつもりです。

高畑先生の写真 永田先生の写真

ご趣味など、プライベートの過ごし方について教えてください。

永田
休みの日にはゆっくりしています。私はチョコレートが好きなので、2週間に1回は別府駅前のゴディバなどのショップに行って、チョコレートを買い、家で食べるのを楽しみにしています(笑)。

高畑
以前はパン教室に通っていて、日常的にパンを焼いたりもしていたのですが、研修医になってからは、子どもが週末を楽しみにしているので、子どもと遊んでいます。大分県内はハーモニーランド、「湯~園地」で有名になったラクテンチ、アフリカンサファリと小学生以下の子どもを連れていくのにちょうどいい場所が多く、あちこちに出かけたり、花見をしたりしているので、くたくたです(笑)。大分は温泉も多いし、家族湯もあるので、飽きないところですね。

現在の臨床研修制度に関して、ご意見をお願いします。

高畑
最初から興味のある科だけを回りたい人もいるかもしれませんが、この2年間しか各科を回ることはできないので、色々な経験を積める制度はいいと思います。

永田
様々な科の先生方が何を考えながら診ているのかを教えてくださるので、各科からの視点は将来に役に立つと思います。

高畑
当院の先生方は腰掛けでは許してくれません(笑)。決して厳しいわけではないのですが、どの科でも「主治医として責任を持って検査などをしてください」と言われ、任せていただいています。

最後に、これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

高畑
当院から車で10分足らずのところに鉄輪温泉街があり、院内にも温泉があります。コロナ禍になって院内の足湯はクローズされていますが、院内の最上階の温泉は眺めが良いと患者さんからも好評です。初期研修で救急をしっかり経験したい人、温泉が好きな人にはお勧めの病院です。

永田
当院は別府市内で救急搬送数が最多の病院なので、市中病院で診られる一般的な疾患を一通り経験できます。勉強になることが多くある病院です。

永田先生の写真 高畑先生の写真

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