インタビュー

2022-05-01

公益財団法人宮城厚生協会 坂総合病院 藤原 大 医師 | 指導医インタビュー(後期)

公益財団法人宮城厚生協会 坂総合病院 藤原 大 先生の指導医インタビュー。全国病院からメッセージ・求める研修医、プログラム・募集要項、ジュニア・シニア・指導医・院長のインタビューを掲載。進路選択の判断材料としてお役立てください!

公益財団法人宮城厚生協会 坂総合病院

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藤原先生の近影

名前 藤原 大
坂総合病院 リハビリテーション科科長 指導医

職歴経歴 1976年に秋田県秋田市に生まれる。2002年に東北大学を卒業後、坂総合病院に入職し、初期研修、後期研修を行う。2007年に長町病院リハビリテーション科に勤務する。2009年に兵庫医科大学病院リハビリテーション科に勤務する。2011年に坂総合病院に勤務する。2020年に坂総合病院リハビリテーション科部長に就任する。
日本リハビリテーション医学会リハビリテーション科専門医・指導医、義肢装具等適合判定医、日本プライマリ・ケア連合学会プライマリ・ケア認定医・指導医、日本心臓リハビリテーション学会心臓リハビリテーション指導士など。

坂総合病院の特徴をお聞かせください。

地域の中核病院として、急性期医療を中心に展開しています。病床数は357床なので、中規模病院の中では少し大きいぐらいの病院です。開設以来、地域に根ざした医療を行ってきており、100年以上の歴史があることも特徴です。

藤原先生がいらっしゃるリハビリテーション科の特徴もお聞かせください。

急性期医療を中心とした病院ですが、リハビリテーション科の方針は急性期から回復期、生活期まで、地域で求められている全てのフェーズで標準的かつ最新のリハビリテーション医療を提供することです。当院は急性期病院ではありますが、回復期リハビリテーション病棟も有しているので、脳卒中リハビリテーションを中心とした地域のニーズに応えています。

坂総合病院の総合診療専門研修プログラムの中でリハビリテーション科の内容をどのように学べるのですか。

総合診療専門研修プログラムの中ですと、選択研修の一部にリハビリテーション科があります。リハビリテーション科を一定期間ローテートし、総合診療領域だけでは経験できないようなリハビリテーション科特有の味方や方法論を習得してもらっています。

ほかに坂総合病院のリハビリテーション科で専攻医研修を受ける方法はありますか。

基本的には東北大学リハビリテーション科専門医養成プログラムに乗っていただきます。基幹施設である東北大学病院で最短で6カ月の研修をすれば、残りの期間は連携施設で良いということになっていますので、当院でじっくり育てていきます。地域で必要とされるリハビリテーションを引っ張っていけるような人材になるよう、幅のある経験をしてもらえればと思っています。現在の初期研修医の中でリハビリテーション志望の人もいますし、専門を決めたものの、そのマッチングに乗らずにリハビリテーションを学びたいという人もいますので、2023年度は3人が来る予定です。また、当院は東京女子医科大学リハビリテーション科専門研修プログラムの連携施設にもなっています。

坂総合病院のリハビリテーション科で研修された先生方はどのようなキャリアアップをされていますか。

ほとんどが当院および同法人内の病院に残留して、リハビリテーション科専門医として診療にあたっていますし、リハビリテーション科専門医を取得後に、当院の在宅診療部門をメインの業務としている医師もいます。当院に残らなかった例として、ご実家の病院に帰られた先生がいらっしゃいますね。お父様は循環器科医だそうですが、本人はリハビリテーション科の専門医として、地方の病院でリハビリテーション科医療を展開するとのことでした。また、ご家庭の事情により、他県の病院でリハビリテーション科の専門医として診療している先生もいます。

カンファレンスについて、お聞かせください。

様々なカンファレンスを行っていますが、大きいものとして回復期リハビリテーション病棟での多職種カンファレンスが挙げられます。主治医であるリハビリテーション科医師と、担当している理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、メディカルソーシャルワーカー、管理栄養士、病棟スタッフが集まります。病棟スタッフは看護師の場合と介護福祉士の場合があります。そこでは回復期の患者さんの退院方針や今後の生活方針、リハビリテーションの方針を多職種で決めています。また、リハビリテーション科では内科系、循環器系、呼吸器系、がんを中心とした外科系といった急性期病棟でもリハビリテーションを担当しているので、そうしたところのカンファレンスにも出席し、意見を述べたりしています。

女性医師の働きやすさに関してはいかがでしょうか。

女性医師の産休、育休は当然ですが、お子さんに何か起きたときの休みの保障なども以前から整備されています。社会的な制度上のサポートもありますし、病院内の雰囲気としてもサポートされていると感じます。要職や管理職に就いている女性医師も多く、子育てをしながらでも、あるいは子育てを終えてからでも継続的にキャリアを積みながら働き続けられる環境だと思います。

先生が大学卒業後に坂総合病院に入職されたのはどうしてですか。

私は臨床研修が必修化される前の時代に卒業したので、ローテート研修よりもストレート研修の方を選ぶ人が多かったのですが、私自身は単科にとらわれることなく、地域に根ざして、幅広く対応できる能力を身につけたいと思っていましたし、地域との近さに惹かれて当院での研修を選びました。当院はローテート研修に長年の経験があり、慣れていたので、十分な指導が受けられそうだったことも選んだ理由です。

坂総合病院でどのような初期研修をなさったのですか。

当時のプログラムは今より回る診療科数は少なかったのですが、それでも内科系(呼吸器・循環器・消化器)、外科系(一般外科・脳神経外科)を回りました。1つの科を4ヶ月間じっくりと回り、各科の主な疾患を経験することができました。

後期研修はどのようになさったのですか。

卒後3年目は当院と同じ宮城厚生協会の病院である古川民主病院に行き、一般内科の研修をしました。これは当時の法人のプログラムによるもので、2年間はローテート、1年間は内科の総合研修を中規模病院で行うという3年間の内容になっていました。この1年は、入院・外来・在宅と多くの場面をバランスよく経験できました。そして4年目に当院に戻ってきて、4カ月間を麻酔科で研修しましたが、これもローテートの続きのような感覚でしたね。麻酔科のあとで、リハビリテーション科に行ったのですが、このときはリハビリテーション科を専攻すると決めていたわけではありませんでした(笑)。

藤原先生の写真

先生がリハビリテーション科を選んだのはどうしてですか。

私は専門領域を決められずにいたのですが、リハビリテーション科で過ごしているうちに、ここかなと決めました。私は当時もそうでしたが、今でも在宅医療をしたいと考えています。今でこそ総合診療や家庭医療などの分野で在宅医療に関われますが、当時はまだそれらができつつある時代だったので、何科なら在宅医療ができるのかがよく分からず、行き場がなかなかなかったんです(笑)。その中でリハビリテーション科は今の院長である富山陽介先生が部長でいらして、「在宅を一杯やっていいよ」と言ってくださったので、お世話になることにしました。リハビリテーション科では疾患を診るよりも、どちらかと言えば生活全般を診ていく、生活を支援していく、という方向性があり、そこに共感しました。この科なら疾患や急性期かどうかといったフェーズにとらわれずに働けるのかなと思ったのがきっかけです。

先生の研修医時代の思い出をお聞かせください。

同期が少なかった世代なので、各科を回るときに1人で回ったことが大変でした。色々なことを担当させていただけたのは良かった面もありますが、仲間や同期、1つ上の先輩もいない中で1人で担当するのは辛い面もありました。3年目では外来研修を1年という長いスパンでさせていただきました。患者さんとの付き合いが長くなると、1年の生活サイクルの中で生活が変わると疾患のコントロールも変化することが分かりました。例えば、山に近く、稲作が盛んな地域の患者さんで、農業の繁忙期は糖尿病のコントロールが良いのに、繁忙期を過ぎて湯治などに入ると一気にコントロールが悪くなる方がいらっしゃいました。そうした生活の変化でコントロールも劇的に変化することをリアルに目の当たりにして理解できたことは興味深かったです。

専攻医に指導する際、心がけていらっしゃることはどんなことでしょうか。

それぞれの個性や得意な部分を診療の中に活かしてもらえればなということを大事にしています。もちろん色々な疾患への知識は必要ですが、患者さんの生活の背景やバックグラウンドなどをしっかりと取り込むためには患者さんの話を丁寧に聞き、患者さんときちんと向き合えるかということが重要です。そのため、病気の管理はもちろんですが、患者さんの生活をどう見るかということを徹底して意識するように指導しています。

今の専攻医を見て、いかがですか。

ウェブも普及し、SNSもある中で、色々な情報にアクセスしやすくなり、知識が簡単に手に入ることが私たちの時代とは違いますね。アクセスに苦労しない分、色々な情報に翻弄されている感じもあり、この状況下で自分自身の有りようを確立していくことは難しそうです。様々な実経験を通して、もう少し個性を出してもらえるといいですね。

現在の臨床研修制度について、感想をお聞かせください。

私の2学年下からこの制度が始まったので、私の学生時代には研修医の権利をめぐっての議論が盛んになっていて、私も医学教育学会などに参加し、学生の立場から研修医の権利が守られるのかというやり取りをしていたんです。この制度により、医師としての臨床能力や態度が一定程度に均されたものとして身につけるように定義づけられたのは価値があったと思います。ただ、初期研修医のモチベーションの高さも様々ですし、一定の枠にはめられた制度では自由度も少なくなりますが、その中で個性をうまく伸ばしてもらいたいですね。研修全体を見れば良い制度なのですが、個人的には決まった枠組みで経験する期間がもう少しあった方がいいです。自由度が高くなり、必修科目は1年目だけの施設もあるので、基本領域をしっかり学んで、医師としての臨床能力や態度をきちんと身につけられる仕組みであれば、さらに良くなるのではないでしょうか。そして、専門領域を選ぶ時期が2年目の夏というのは早すぎですね。医師として働きながら適性や興味を見つめる時間が1年半もないので、自分を十分に見つめ直せないままに、周囲からの圧力で決めないといけないような印象があります。適性や興味だけでなく、社会的な役割も含めてじっくり考えたうえで、専門領域を決めてほしいです。

現在の専門医制度について、感想をお聞かせください。

今は卒後3年目になったら専攻医研修を始めないといけないという風潮があるので、それに疑問符がつきます。そのプログラムも大学病院やセンター病院中心になっていますし、そういうところでないとプログラムを作れないのが現状です。その意味で一般病院中心のプログラムを選択できる仕組みがあれば、個々の意向に沿った選択肢も広がります。今は大病院に偏っているのがもったいないですね。

これから専攻医研修の病院を選ぶ初期研修医にメッセージをお願いします。

専攻医研修はほとんどが3年間のプログラムで、この3年間で専門医としての技術や患者さんを診る能力や素養が基本的にはできあがるはずですが、「専門医らしい」専門医が完璧にできあがるとは思えないところがあります(笑)。3年で終わりなのではなく、自分がこの先、どのような医療を展開するのか、どのような立場に身を置き、どんなところでどんな人のために働くのかといったことも考えながら、自分のキャリアの中で飛躍の3年間になりそうなプログラムの選択をしてほしいです。大学病院や大きな病院に行けば症例数も多く、難しい症例もありますが、むしろ地域の病院で地域や身近な場所で実際に必要とされる医療を確実に展開する中で、専門医としての基本的な力を身につけてもらいたいと願っています。その意味で、当院の内科専門研修プログラムや総合診療専門研修プログラムはお勧めできる内容です。

藤原先生の写真