専門研修インタビュー

2022-05-01

坂総合病院(宮城県) 専攻医 小林千紗先生(外科) (2022年)

坂総合病院(宮城県)の専攻医、小林千紗先生(外科)に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。この内容は2022年に収録したものです。

公益財団法人宮城厚生協会 坂総合病院

〒985-8506
宮城県塩竈市錦町16-5
TEL:022-365-5175
FAX:022-366-2593
病院URL:https://www.m-kousei.com/saka/

小林先生の近影

名前 小林 千紗 専攻医
出身地・出身大学 / 医師免許取得年度 奈良県奈良市・ 近畿大学 / 2019年
初期研修施設 坂総合病院
専攻医研修 外科

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

中学生ぐらいまでのときは何かを教えたい、色々な人を助けたいという気持ちから教員の仕事に興味を持っていました。そのうちに授業や講義をするよりは生命を助けることに格好良さを感じて、医師を目指すようになりました。高校のときに医師志望の友人が多かったことにも影響されたかもしれません。

学生生活はいかがでしたか。

もともと運動が好きで、大学ではバドミントン部に入り、部活動メインの学生生活を過ごしました。西医体などでの成績はあまり良くなかったのですが、先輩や後輩との飲み会などにも参加したりして、そういう活動も思い出に残っています。

初期研修の病院を坂総合病院に決めたのはなぜですか。

民医連の奨学金がきっかけです。私は入学当初から奨学金を借りていたわけではなく、5年生のときに色々な病院を見学する中で奨学金のある病院を探していました。出身地の奈良県や近くの大阪府の病院にも見学に行っていたのですが、旅行を兼ねて、当院の見学にも来たんです(笑)。当院は民医連の病院の中でも初期研修医の数が多い方ですし、初期研修医の先生たちの雰囲気も良かったので、当院に決め、奨学金もいただくことになりました。

外科をいつから志望されていたのですか。

学生の頃は小児科医を漠然と目指していたのですが、初期研修の開始すぐの1クール目に回ったのが外科だったんです。そのときに当院の外科の先生方の考え方や外科手術の手技に魅力を感じて、直感的に決めました(笑)。1年目に外科を専攻すると決めたので、2年目にある2カ月間の選択研修期間でもう一度、外科を回って研修して、専攻医研修に至りました。

初期研修が始まってからはイメージ通りでしたか。

当院の初期研修では内科や外科など、一つの診療科を3カ月ずつ研修するのですが、これはほかの病院にはない特徴です。実際に3カ月回ってみると、イメージしていた以上に充実した研修ができました。

初期研修を振り返って、いかがですか。

1年目のときはその日の仕事をしていくことだけで精一杯でしたが、2年目に入る頃には少し余裕が出てきて、その診療科の専門的な内容の勉強まで頑張ってみることができるようになりました。本当にあっという間の2年間でした。

外科の専攻医研修先として、坂総合病院を選んだのはどうしてですか。

初期研修2年目の10月にマッチングがあるのですが、その直前まで大学病院で一般的な専攻医研修をするのか、当院で研修するのかを悩んでいました。でも、当院で専攻医研修をするのは私だけのようでしたので、その分、教えていただく機会や経験できる症例数が多くなるのかなと思い、当院を選びました。

現在はどのような専攻医研修をなさっているのですか。

現在は2年目に入ったところですが、1年目はとにかく手術、術野に入るという研修がメインで、担当患者さんの周術期管理やそれに関連する一般的な知識を得るために、患者さんごとに勉強していました。2年目は手術に入るだけではなく、術者としての件数も稼がないといけないので、2年目の目標は執刀と助手の技術をそれぞれ上げていくことです。3年間のプログラムですので、来年度は東北大学病院で研修させていただく予定です。

現在はどういったスケジュールなのですか。

手術は木曜日、土曜日、日曜日を除いた週に4日あります。月曜日の午前中は外来の枠をいただいているので、午後から手術に入っています。

どういった疾患の手術をされているのですか。

私が執刀医となるのは虫垂炎や急性胆嚢炎が多いですね。助手として入るのは大腸がん、胃がんが中心です。そのほとんどが腹腔鏡下の手術で、開腹手術は少ないです。

専攻医研修で特に勉強になっていることを教えてください。

当院の外科の先生方は特に腹腔鏡下手術の技術に優れていらっしゃるので、その手術を間近で見られるのは有意義な研修だなと思っています。また、それぞれの先生方の患者さんへの接し方も勉強させていただいています。

小林先生の写真

専攻医研修で遣り甲斐を感じるのはどのようなときですか。

専攻医研修1年目の冬あたりから、私が執刀した患者さんを退院後に外来で診るようになりました。初期研修医のときは手術に入っても、退院後のことは全く知らなかったのですが、執刀した患者さんから外来で「ありがとう」と言われると、良かったなと思いますね。がんなどではなく、良性の疾患であっても「治していただいて、感謝しています」と伝えていただくと、遣り甲斐を感じます。

専攻医研修で辛いことはどのようなことですか。

私は落ち込みやすいところがあるんです(笑)。うまくいかないことの方が多いのですが、勉強不足だったということが身にしみると、気持ちがへこみますね。

指導医の先生方のご指導はいかがですか。

毎日1対1でとても親身になって教えてくださいます。細かい糸結びなどの基本的な部分も丁寧にご指導いただいているので、勉強になっています。

カンファレンスはいかがですか。

週に2回、術前のカンファレンスを消化器内科と外科と合同で開催しています。また、週に1回の朝7時30分からは外科だけで周術期の状況などを共有するカンファレンスもあります。カンファレンスでは自分が執刀する患者さんの提示をしています。

初期研修医の指導はどのようにしていらっしゃいますか。

まだ指導に自信を持てないのですが、私はもともと外科志望ではなかったにもかかわらず、腹腔鏡下手術などに魅力や面白さを感じて外科志望になりました。また、外科は手技だけではなく、自分が執刀したことで、がんの患者さんなどを助けられるということも魅力です。初期研修医にそうした魅力や面白さを少しでも伝えられればと思っています。

コメディカルのスタッフとのコミュニケーションはいかがですか。

日中は手術があり、患者さんを診る時間をなかなか作れないので、手術が入っていない時間帯はできるだけ病棟に顔を出して、看護師さんと他愛のない話をするなどのコミュニケーションを取るよう、努力しています。お互いが相談しやすい雰囲気になれればと思っています。

今後のご予定をお聞かせください。

今後は東北大学の医局に入り、消化器外科の専門医を取得したいです。大まかな流れは考えているのですが、医局に入ったあとにどうしていくのかについては未定です。

専門医制度についてのご意見をお願いします。

私のプログラムに関しては市中病院2年間と大学病院1年間となっていますが、かなり柔軟に編成できるプログラムになっています。大学病院重視で研修したいのであれば、大学病院2年間、市中病院1年間という融通も利きます。私のように市中病院を中心に行った場合は大学病院に1年間行けるのはとてもいいです。しかし、実際に研修してみると、手術件数などの達成しないといけない項目や量が多いので、症例ごとの深い勉強が追いつかないまま、件数を稼いでいかなくてはいけないのはきついプログラムとも言えますね。

これから専攻医研修の病院を選ぶ初期研修医にメッセージをお願いします。

私もそうでしたが、初期研修では「これ」と分野を決めてローテートするより、診療科ごとに学ぶことが多くあります。私は最初に外科を回ったときに専攻を決めましたが、循環器内科や呼吸器内科などでも面白さを感じたので、外科と決めたとしても、内科など、目の前の診療科を一生懸命学ぶことをお勧めします。当院は患者さんとの信頼関係が強くある病院で、医師と患者さんとの距離がいい意味で近いと感じています。地域医療を学ぶという意味でも、当院はとても素敵な病院です。

小林先生の写真

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