初期研修インタビュー

2022-09-01

産業医科大学病院(福岡県) 指導医(初期研修) 阿部慎太郎先生 (2022年)

産業医科大学病院(福岡県)の指導医、阿部慎太郎先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。この内容は2022年に収録したものです。

産業医科大学病院

〒807-8556
福岡県北九州市八幡西区医生ヶ丘1番1号
TEL:093-603-1611
病院URL:https://www.uoeh-u.ac.jp/hospital.html

阿部先生の近影

名前 阿部 慎太郎
指導医

職歴経歴 1961年 福岡県北九州市生まれ。1985年 産業医科大学卒業後、同年第3内科(現消化管内科、肝胆膵内科)に入局する。千葉労災病院、日本大学第1病理学、NTT北九州病院(産業医)、福島労災病院消化器科、産業医科大学第3内科で勤務する。1999年5月 産業医科大学病院 産業医臨床研修等指導教員に就任する。2018年4月 同診療教授に就任する。
専門分野:肝疾患、胆道疾患
医学博士、プログラム責任者、日本内科学会指導医・総合内科専門医・認定内科医、日本消化器病学会指導医・専門医、日本肝臓学会指導医・専門医、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医、欧文誌Journal of Gastroenterology and Hepatology編集委員

病院の特徴をお聞かせください。

大きく分けて4つの特徴があります。1つ目は北九州市内の唯一の大学病院ということです。医学教育に必要な30診療科を標榜しており、幅広い症例が集まります。2つ目は地域がん診療連携拠点病院であり、がんセンターを設置していることです。がんに関わる集学的治療、教育、研修の実施、医療機関との連携・協力、緩和医療の提供を行っています。3つ目は北九州市内の病院としては当院のみPET-CTを保有していることです。4つ目は総合周産期母子医療センター、緩和ケアセンター、脳卒中センター、呼吸器病センター、四肢外傷センター、認知病センター、就学就労支援センター、両立支援科、遺伝カウンセリング科などのセンターがあることです。大学病院ならではの先端医療を学べますし、手術支援ロボット「ダヴィンチ」、リニアックセンターもあります。現在は急性期診療棟を建設中で、来年8月にオープンの予定です。

先生がいらっしゃる診療科の特徴をお聞かせください。

ほかの内科に比べて、手技を用いた検査や治療を行う機会が多いです。例えば、内視鏡を用いて胃がんや大腸ポリープを切除したり、総胆管結石を採取したり、肝がんに対し経皮的にラジオ波焼灼療法(RFA)を行うなどの手技です。一方では消化器がん症例が多いため、分子標的薬などを用いたがん治療症例も豊富です。

産業医科大学病院の初期研修の特徴もお願いします。

2年間の研修のうち1年間までは、近隣の北九州市立医療センター、北九州市立八幡病院、北九州総合病院、JCHO九州病院などの協力型病院および協力施設で研修することも可能です。各自が自由にプログラムを設定することができます。研修医の定員数は10人強です。少数精鋭で手技を学ぶ機会が多く、1人の研修医に対して複数の指導医がつく体制で、手厚いバックアップによって安心して研修を受けることができます。また3年目の上級医が非常に多いので、気軽に相談できる環境にあります。大学病院なので特殊疾患も多く、専門医取得に必要な症例も集まりやすいです。また、希望に応じて初期研修期間中に永久ライセンスである認定産業医の資格を無料で取得することができるのも魅力です。産業医の先生も多く、保健師、臨床心理士といった職種によるカウンセリングもあり、メンター制度は充実しています。悩みがあったときはまず私たちに相談していただき、その後にカウンセリング担当の医師がフォローします。研修医室も広く、アメニティも充実しており、個人机もあります。当直室も研修医室の中に2部屋あって、仮眠用ベッドやソファもありますし、ロッカールーム、冷蔵庫、電子レンジも準備しています。研修医専用の綺麗な宿舎が構内にあり、病院から徒歩3分で家賃も5820円です。家族用の職員住宅もあります。

指導される立場として心がけていらっしゃることを教えてください。

私は研修医に対して、指導医が研修評価いただいたものに対する統括的評価、悩みや相談に対する助言などを行っています。研修医と廊下で会ったときはできるだけ話しかけて、コミュニケーションを取っています。直接指導する場合は適切なフィードバックを行うようにしています。研修医が良い医療を行ったら褒めますし、不適切な対応をした場合は患者さんの前では注意せず、場所を変えて本人に振り返ってもらい、それに対してどうのようにすればよかったのかを本人に考えてもらいます。そして、それに対して適切なフィードバックを行うような指導を心がけています。

阿部先生の写真

最近の研修医をご覧になって、どう思われますか。

真面目な研修医が多いと実感しています。医学教育が以前と変わってきており、しっかりと勉強をされた研修医ばかりだなと思います。卒業試験や国家試験も年々難しくなっており、昔に比べると質は上がっていますね。CBT、OSCEもバリバリやっているので、優秀な研修医が増えているのは間違いないです。

研修医の方々はやはり福岡県出身の方が多いでしょうか。

3年間の研修医でみると、28人中14人と半分が福岡県出身です。ただ、県外からも産業医の資格取得に魅力を感じ、来てくれる研修医も多いです。北九州は住みやすいということもあって、来てくれているのかもしれないですね。

「こんな研修医がいた」というエピソードがあれば、お聞かせください。

とにかく皆が真面目だという印象が強いです。ほかの病院でうつ状態になり、産業医科大学病院に移ってきた研修医もいましたが、当院での研修を通じてみるみる元気になり、今では元気に働いているという方もいます。そういう姿を見ると、非常に嬉しく感じます。

研修医に「これだけは言いたい」ということがあれば教えてください。

手技や知識の修得も大事ですが、患者さんとの関係を重視して、コミュニケーション能力が高い医師になってほしいです。最近の研修医は少しコミュニケーション能力に欠ける人もいますので、勉学だけでなく、コミュニケーションを重視して、患者さんとの関係や上級医への「報・連・相」も大事にしてほしいですね。そうすることによって、医療事故や訴訟の減少にも結びつくのではないかと思っています。

これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

コロナ禍では病院見学ができない時期が続きましたが、現在は可能になっています。希望診療科の見学、プログラム説明および研修医からの説明(研修医室の見学も)が可能です。不安な方にはオンラインでの説明会も行っています。オンラインでは、プログラムの説明および研修医からの説明のほか、希望診療科の医師に教室の説明をしてもらうことも可能です。是非、病院見学またはオンライン説明を申し込んでいただければ嬉しいです。また、産業医学に興味がある方に対しては、産業医学専門の研究所の先生からの説明ももちろん可能です。

阿部先生の写真

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