初期研修インタビュー

2022-11-01

中濃厚生病院(岐阜県) 初期研修医 岡本大典先生 (2022年)

中濃厚生病院(岐阜県)の初期研修医、岡本大典先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。この内容は2022年に収録したものです。

中濃厚生病院

〒501-3802
岐阜県関市若草通5-1
TEL:0575-22-2211
FAX:0575-24-7139
病院URL:http://www.chuno.gfkosei.or.jp/

岡本先生の近影

名前 岡本 大典(だいすけ) 研修医
出身 岐阜県美濃加茂市
出身大学 岐阜大学
医師免許取得年度 2021年

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

私は大学院で物理学を学び、研究機関に勤務していたのですが、仙台市に住んでいたときに、東日本大震災に遭遇しました。震災を経験して価値観が変わり、どうやって生きていこうと改めて考えたときに、生き甲斐や遣り甲斐を感じられる仕事は医師だと思い、医師を目指すようになりました。

学生生活ではどんなことが思い出に残っていますか。

以前から剣道をしていたので、大学でも剣道部に入りました。ブランクもありましたが、何とか頑張りました。部活動で上下関係の繋がりも生まれましたし、いい経験ができました。部活動以外の思い出はポリクリです。私の大学では実習班というものが決まっているので、同じ班の友人と一緒に遊んだりして、学業以外の場面でも仲間ができました。

大学卒業後、研修先を中濃厚生病院に決めた理由をお聞かせください。

私は美濃加茂市の出身なので、中濃厚生病院は中濃地域ではある程度の大きさの病院としてよく知っており、最初から選択肢にありました。私の大学では岐阜県内の病院で1カ月の選択実習ができるのですが、その実習先として当院に来たところ、研修環境や雰囲気が私に合っていると感じたことが当院に決めた大きな理由です。

では見学より先に実習で来られたのですか。

そうです。実習で印象が良かったので、改めて見学に来たのですが、そこでも良い印象でした。

中濃厚生病院での初期研修はイメージ通りですか。

大きく違うことはありません。やはり1カ月間、当院で実習できたことは大きいですね。その実習中に見ていた感じとほとんど変わらないです。

プログラムの特徴はどんな点でしょうか

どの病院も1年目はある程度、決まったローテーションがあるので、そこに大きな違いはありません。2年次のプログラムは裁量権をいただけており、自由度がかなり高いです。初期研修医は1年次の11月から年末にかけて、自分たちで2年次のプログラムを考え始め、ほぼ全てを決めてしまいます。それを提出すると、細かい調整はもちろん入りますが、基本的には大きな変更がなく、そのまま実現します。

院外での研修はどのようなところに行けるのですか。

精神科と地域医療の研修は外部の病院になります。精神科は慈恵中央病院です。地域医療の研修先は少し大きめの病院から複数の診療所まで、多くの選択肢があります。私は既に関市国民保険洞戸診療所に行き、このあと関市国民保険板取診療所に行く予定になっています。洞戸診療所での研修はとても有意義でした。当院のような総合病院にいますと、レントゲンやCT、救急の現場ですと場合によってはMRIも簡単に撮れますが、診療所は採血一つにしても取れる項目や検査値が少ないので、そういった中での診療は考え方が異なります。そこが非常に勉強になりました。

どのような姿勢で初期研修に取り組んでいらっしゃいますか。

自分で考えていかないと、経験として身につかないということをローテートしながら常々痛感しています。何も考えず、いわゆる与えられた業務を淡々とこなすだけでは作業だけになってしまい、何も身につきません。そこで例えば患者さん一人診るにあたっても、その患者さんの治療方針や病態の捉え方を自分なりにアセスメントして考えることが大事だと思っています。

指導医の先生のご指導はいかがでしょうか。

研修担当の勝村直樹先生をはじめ、温かいご指導をいただいています。指導医の先生の雰囲気の良さも当院を選んだ理由の一つでした。当直での症例を勝村先生に上げさせていただくと、フィードバックが来るシステムになっています。「こういう対応で良かったのでしょうか」と質問でき、何か問題があれば指導をいただけるのは充実したシステムだと感謝しています

中濃厚生病院での初期研修で勉強になっていることはどんなことでしょう。

三次救急の病院ですが、そこまで忙しくはなく、コモンディジーズが多くあります。その中でも緊急に対応が必要な疾患も紛れ込んでいるので、そういったものを見逃さない力やコモンディジーズへの対処法などを学べるのは初期研修医として一番良いことかと思います。

何か失敗談はありますか。

それほどないです(笑)。怒られるようなこともないですね。そもそも精神的に負担になるような怒り方をする先生もいらっしゃらないですし、ストレスを感じる病院ではありません。

岡本先生の写真

当直の体制について、お聞かせください。

当直は少ないと月に4回、多いと月に6回ですので、平均すると月に5回です。体制ですが、指導医の先生は内科系が1人、外科系が1人、初期研修医は2年目が1人、1年目が1人の計4人で当直しています。指導医の先生が2人いらっしゃるのは心強いですね。ほかの病院では初期研修医だけでファーストタッチをするところが多いようですが、当院は救急車の対応を指導医と一緒に行うことがルールになっています。初期研修が始まった頃は自分だけで少し危ない症例を診ることには危険性がありますが、それが少し軽減されるので、その意味ではいい体制だと思います。

当直では、どんなことが勉強になっていますか。

当院は危なくない症例が多く、ウォークインであれば「この症状なら、平日に受診していい状態だな」と判断することがよくありますが、その中に隠れている緊急な対応が必要な疾患をしっかり見つけられると自分自身の達成感があります。「こういう症状で来たら、こういう危険性がある」ということを自分の経験として身につけられるところが勉強になっています。

カンファレンスの雰囲気はいかがですか。

毎日の朝と夕方にしっかりカンファレンスを行っているのが麻酔科です。朝はその日の手術、夕方は次の日の手術についてのカンファレンスがあります。毎朝、研修医が自分の担当する症例のプレゼンを軽くさせていただくのですが、指導医の先生が「この手術はこういう形なので、こういうことに気をつけて麻酔をしていきましょう」と教えてくださいます。回り始めの頃は分からないことも多いので、必要な観点を教えていただけたのは良い経験になりました。

病院に改善してほしいことはありますか。

研修医室などの研修環境は良く、不満はないです。あえて言うならば、エコーでしょうか(笑)。当院は救急車に対応する初療室とウォークインに対応する処置室が少し離れているんです。それでエコーに差があり、処置室のエコーが古いので、できれば新しい機械にしていだたきたいです。

コメディカルの方たちとのコミュニケーションはいかがですか。

看護師さんをメインに、理学療法士さん、放射線技師さんとコミュニケーションを取る機会が多いです。救急外来で当直を始めた頃は特に看護師さんの知識や経験に助けていただいていました。病棟で患者さんの担当になると、理学療法士さんが「この患者さんにはどういったリハビリをしていきますか」と研修医にも聞いてくださるので、「このあたりを重点的にお願いします」というコミュニケーションを取ったりしています。また放射線技師さんは撮ったCTで危ないところがあるとすぐに電話をくださるし、こちらからも「この所見はどうなんでしょうね」と相談することもあります。皆さんとは持ちつ持たれつで、頼りにさせていただいています。

研修医同士のコミュニケーションは活発ですか。

研修医室がかなり広く、ほかの先生方がいらっしゃる医局から離れていることもあって、わいわい話しています(笑)。医局の隣の部屋なら大声を出すことは難しいでしょうが、そういった心配もなく、症例の話に加え、世間話もしています。同期は8人で、一つ下が12人います。2年目と1年目の関係性はとても大事です。私も1年目のときには2年目の先生方にかなりお世話になりました。働き始めの頃は仕事への取り組み方が1年目と2年目では全く違うので、気をつけるべきことを学ぶ機会が多くなります。そのため、私も自分の経験を踏まえ、当直に一緒に入る1年目の研修医には症例をしっかり診てもらったうえで、「こうした方が良かったね」という指導を意識的にするようにしています。

寮もありますか。

寮はなく、家賃補助をいただく形です。近くに実家がある人は実家から通っていますが、私は自分で物件を借りて住んでいます。車で3、4分ぐらいのところなので、便利です(笑)。

今後のご予定をお聞かせください。

まずは内科専門医を取得したうえで、血液内科に進みたいと希望しています。専攻医研修は岐阜市内の病院で行う予定です。血液内科には学生の頃から興味がありました。以前とは違い、新しい薬の効果が著明に発揮されている診療科だということが大きいですね。例えば白血病は私が子どもの頃や一昔前であれば名前を聞くだけで恐ろしい病気でした。でも最近は白血病やリンパ腫といった造血腫瘍に対しての基礎研究が進み、抗がん剤の効果が現場で大いに表れています。がんに対して、そういった薬だけでしっかり戦える診療科だということに魅力を感じ、血液内科を選びました。

ご趣味など、プライベートの過ごし方について教えてください。

週に3、4日、1日おきに室内で身体を動かし、筋トレをすることがルーティン化しています。ドラマや映画も好きで、休日には映画館に行くこともあります。「ジュラシック・パーク」の最新版の「ジュラシック・ワールド」も映画館で観ました。ドラマは日本のものはテレビで、海外のものはインターネット配信で楽しんでいます

最後に、これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

時代とともに医学的な背景が異なり、専攻医になると回らない科がほとんどなので、初期研修医が最低限の知識を学ぶにはこの初期研修が最後の機会ですし、その意味ではいい制度だと思います。一方で、1カ月しか回らない科があったり、指導医によって、その科への取り組み方が変わるので、取り組み方が中途半端で不安定な部分があります。自分の取り組み方次第で1から100まで変わってしまう自由度の高いシステムなので、病院が持っているプログラムや設備で変わるところもあるように思います。

現在の臨床研修制度に関して、ご意見をお願いします。

病院の設備や症例数はインターネットで調べれば出てくる情報なので、見学で見ていただきたいのは指導医の先生や1つ上の研修医がどういった形で働いているのかということです。特に初期研修にあたっては1つ上の先輩との指導の関係は大事で、大きな位置を占めます。入って半年の間はかなり頼りにさせてもらう機会が多いので、1つ上の研修医の働き方や人柄をよく見たうえで決めていただくのが一番いいと思います。

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