初期研修インタビュー

2023-04-01

社会医療法人財団石心会 川崎幸病院(神奈川県) 初期研修医 小川純平先生、関口紘平先生、井田夏希先生 (2023年)

社会医療法人財団石心会 川崎幸病院(神奈川県)の初期研修医、小川純平先生、関口紘平先生、井田夏希先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。この内容は2023年に収録したものです。

社会医療法人財団石心会 川崎幸病院

〒212-0014
神奈川県川崎市幸区大宮町31-27
TEL:044-544-4611
FAX:044-549-4858
病院URL:https://saiwaihp.jp/

小川先生の近影

名前 小川 純平
出身地・出身大学 / 医師免許取得年度 徳島県徳島市・熊本大学 / 2022年

関口先生の近影

名前 関口 紘平
出身地・出身大学 / 医師免許取得年度 神奈川県川崎市・浜松医科大学 / 2022年

井田先生の近影

名前 井田 夏希
出身地・出身大学 / 医師免許取得年度 栃木県宇都宮市・山形大学 / 2022年

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

関口
 私が中学生のときに、母が卵巣の病気になり、手術をしたことがあります。生命に関わるような病気ではありませんでしたが、当時の私には医学知識もなく、母が死んでしまうのではと不安になっていました。その手術をしてくださった産婦人科の先生がスマートで、かっこよかっただけではなく、私を心配して、色々と声をかけてくださったんです。医師は人の生命を救う仕事であると同時に、家族の不安な気持ちに寄り添ったり、心のケアをする仕事なのだと分かり、その先生に憧れて、医師を目指しました。

小川
 漫画の『ブラック・ジャック』を読んで目指したという、シンプルなパターンです(笑)。

井田
 私もテレビでドラマなどを見て、かっこいいなと思ったのがきっかけです。また高校の生物の授業で人体の仕組みを勉強することが面白く、医学部で勉強してみたいとも考えて、医学部を受験しました。

学生生活ではどんなことが思い出に残っていますか。

関口
 私はバスケットボール部に入っていました。私たちが幹部の年の最後の大会が西医体だったのですが、私は控えメンバーでベンチにいました。2点差で負けていて、残り時間3秒の最後のワンプレーで、味方が3ポイントシュートを決め、その瞬間に試合終了のブザーが鳴ったんです。それをベンチで見ていたことが思い出です(笑)。

小川
 学生時代は結婚式場やレストランなどで色々なアルバイトをしていました。そこでお酒の知識を得たのですが、研修医になって、上の先生方と食事に行くと、お酒好きな先生方と話が盛り上がったりもするので、学生時代に得られた知識が繋がって良かったなと思っています(笑)。

井田
 私は栃木県出身で、山形の大学に行ったので、雪の深さに驚きました。車が雪にはまって動けなくなったときは近所の人たちが何人も出てきてくださって、車を押していただいたこともあります。皆で雪かきをするのも新鮮でしたね。雪は大変でしたが、思い出に残っています。

大学卒業後、研修先を川崎幸病院に決めた理由をお聞かせください。

関口
 3点あります。1点目は大動脈外科志望だったことです。今は志望科が変わったのですが、当時は大動脈外科志望だったんです。当院は大動脈外科の手術数が多く、若手の先生方も多くの手術をされていると伺ったので、志望科が盛んな病院で研修させていただきたいと思いました。
2点目は救急車の受け入れ台数が年間約10000台と非常に多いことです。救急科に進まないのであれば、救急にしっかり携われるのは初期研修の2年間しかないので、この期間に救急を勉強して、その後の仕事に活かしたいと考えました。
3点目は単純に川崎市の病院だからです。地元に凱旋しようという気分で選びました(笑)。

小川
 当院の魅力をもう一つ挙げるなら、立地の良さですね。当院は川崎駅のすぐ近くにあります。川崎駅から都内へのアクセスはとてもいいですし、羽田空港にも行きやすい立地なのは良いところです。アクセスの良さは入職してからも良かったなと思っていることでもあります。

井田
 私も心臓外科や大動脈外科が強い病院だということに惹かれました。救急車の受け入れ台数も多いですが、初期研修医の当直回数も多く、救急を診る機会が豊富にあることは良かったです。それから都会の病院で研修したいという気持ちもありました(笑)。

川崎幸病院の見学での印象はいかがでしたか。

関口
 第一印象を一言で言うと、エネルギッシュな病院だということです。お若い先生方が多く、そういう先生方がばりばり働いているという印象でした。

小川
 私は建物の外見がすごく綺麗な病院だと思いました。外科系の病院だと古い病院も少なくありませんが、当院の建物は築年数も浅く、清潔感があって良かったです。

井田
 救急外来を見学させていただいたのですが、そのときにいらした初期研修医の先生が看護師さんや他職種の方々と活発にコミュニケーションを取って、楽しそうに働いていた姿にとてもいい印象を持ちました。

川崎幸病院での初期研修はイメージ通りですか。

関口
 完全にイメージ通りです。見学の際に初期研修医が主体的に働いているという印象を受けたのですが、特に救急では研修医がメインで働きつつ、上級医の先生方もきちんとついてくださるというのは印象通りですね。研修医にさせてみる一方で、野放しではなく、フォローをしていただいています。

小川
 忙しい病院だとは聞いていましたが、業務上のデューティーや雑用を押しつけられることが少なく、医師としてできることに専念させていただけるのはイメージ以上に良かったです。イメージと違ったのは当院のことではなく、医師としての業務そのものです。書類仕事のような仕事が非常に多いんです。医師は患者さんのところにたびたび行って、長く話せるのかと思っていたのですが、何かするたびに記録や報告をしないといけないことに対して、とても驚いています。

井田
 若い先生方が多いのはイメージ通りです。その中で、当院で初期研修をして、そのまま入職されている先生方もいらっしゃり、そういう先生方は私たちが分かっていないことや悩んでいることを理解してくださるので、医学的なことはもちろんですが、色々なことを相談しやすく、親身になって答えていただけるのは有り難いです。

プログラムの特徴はどんな点でしょうか。

関口
 当直の回数が多いことです。当院よりも多い臨床研修病院もあると思いますが、当院は2年目になるとさらに増えますので、救急をしっかり学べる研修プログラムです。

小川
 私たちの学年から始まったのですが、最初の1カ月ないし2カ月を指導医の先生と一緒に回ることです。その間は最初に希望した診療科をローテートするのですが、いわゆる社会人1カ月目、2カ月目ですので、登録の仕方といったことから礼儀作法まで教えていただけます。これはあまり表には出ていないのですが、当院のプログラムの魅力だと思っています。

井田
 当院内でローテートできない診療科の研修は外部の病院に行くのですが、その期間は結構長いので、それは良くも悪くもあるかもしれません。外部の病院に行き、1カ月という期間で慣れなくてはいけないのは確かに大変なのですが、当院とは違うことを学べるし、ほかの病院の研修医と話す機会にもなるので、私は良い特徴だと感じています。

川崎幸病院のプログラムでは院外での研修はどのようなところに行けるのですか。

井田
 小児科は日本医科大学武蔵小杉病院、済生会横浜市東部病院、福島県立医科大学附属病院、新百合ヶ丘総合病院、横浜旭中央総合病院です。産婦人科は日本医科大学武蔵小杉病院、福島県立医科大学附属病院、新百合ヶ丘総合病院、横浜旭中央総合病院です。救急とICUは日本医科大学千葉北総病院、総合内科は水戸協同病院か栃木医療センター、精神科は東京都立松沢病院か栗田病院となっています。

関口
 地域医療では川崎幸クリニックのほか、離島の薩摩川内市立下甑手打診療所、名瀬徳洲会病院にも行くことができます。

小川
 来年度からは台湾の病院でも研修できることになり、私は選択期間に行く予定です。国内外問わず、色々な病院で研修できるのはいいですね。

井田先生、関口先生、小川先生の写真

プログラムの自由度は高いですか。

小川
 高いです。流動的で、いい意味で色々と変わっていきます。去年まではこうしていたけれど、今年からこうしようという調整が入るときに、私たちの意見が組み込まれていることが多くあります。内科のプログラムを短くしてほしいという案なども通りましたし、今も変わりつつあり、私たちの思いを汲み取っていただいているプログラムになっています。

どのような姿勢で初期研修に取り組んでいらっしゃいますか。

関口
 志望科ではない、どの科を回ったとしても、そこで学んだことが後に生きてくると思っています。これから専門科に進んでも、併存疾患を診る可能性はありますし、初期研修では「ここは志望科ではないので」とは絶対に言わず、全般的に広く学んでいきたいです。

小川
 同感です。3年目以降は専門性が高くなってくるので、初期研修では医療業務以外でも、看護師さんや薬剤師さん、ケースワーカーさんに「この患者さんは退院後はどういう生活をされるのか」などを伺っていくことで、退院後のイメージを持てるようにしたいと思っています。

井田
 初期研修医としての業務をしているということになってはいますが、そこまで戦力になっているわけではないので、勉強させていただいているという気持ちをいつも持っていたいと思っています。

指導医の先生のご指導はいかがでしょうか。

関口
 一言で言うと、優しく、色々なことをさせてくださいます。「これ、やっていいよ」と言っていただけるので、研修医として学びやすい環境です。

小川
 学会などの発表の準備に対してもとても協力的に手伝ってくださいます。先生方は忙しいはずなのに、色々な学会に積極的に参加されていて、私たちも誘ってくださいます。私たちも先生方に手取り足取り教えていただきながら、学会発表に参加できています。

井田
 救急外来では基本的に私たちが最初に患者さんを診るのですが、指導医の先生に放置されることもなく、「こうした方がいい」「こういうところは間違っている」と丁寧に教えてくださるので、勉強になります。

川崎幸病院での初期研修で勉強になっていることはどんなことでしょう。

関口
 ほかの病院のことは分からないのですが、当院は手技が多い病院だと感じています。CVなどの手技をさせていただける機会が多いことが勉強になっています。

小川
 学生時代は教科書で勉強しているだけなので、どれがよくあることで、どれが珍しいのかなど、頻度のイメージが湧かないことがよくあります。でも初期研修医として実臨床の場に出ると、救急車の数や症例数が多いことなどから「こういう症例はよくあるんだな」と気づけたり、コモンなものとアンコモンなものを身体で覚えていけるようになってきたので、学生時代とは違った視点が持てるようになりました。

井田
 具体的な例を一つ挙げると、読影です。夜の救急外来でCTや画像検査をよくするのですが、昼間は放射線科の先生が読影をしてくださるので、それを参考にしているのですが、夜は私たちで読まないといけないので、頑張って読んでいくうちに少しずつ読めるようになってきました。読影後に放射線科の先生方とカンファレンスのような勉強会があるので、「このときの症例はどうでしたか」というお話などができ、良い復習の場になっています。

何か失敗談はありますか。

関口
 大動脈解離の患者さんには厳格な血圧コントロールが必要なのですが、ある患者さんが血圧が高めではあったものの、降圧できている状況でした。そこで「これから手術だから、尿道カテーテルを入れよう」ということで、私が入れようとしたときに、指導医の先生から「血圧が高いから、今入れるのはおかしい」と指導を受けました。血圧のチェックをするのは基本の基本ですが、まだ全く慣れていない4月の出来事だったので、勉強になったのと同時に、注意深く仕事をしないといけないということも学びました。

小川
 私も4月、5月頃のことを思い出していました。初めての当直の日、朝まできちんと起きていようと頑張っていました。でも人生で朝まで働いたという経験はないですし、朝6時ぐらいに眠くなってきてしまったんです。そのときに「一回、寝てきな」と言われたので、仮眠を取りました。当直は8時30分までなのですが、目が覚めたら9時30分で、その日は日曜日ということもあり、気づいたら皆が帰っていました(笑)。「小川は疲れ切ったんだろうから寝かせてやれ」ということで、皆さんは私が寝ていたことを知っていたし、日曜日で業務がなく、帰ることができていたのでしょうが、初めての当直は今でも恥ずかしい思い出になっています。

井田
 救急外来で大したことのない病気だと油断していたら、実は重症だったという場合は失敗したなと思います。

当直の体制について、お聞かせください。

井田
 回数は月に4回か5回です。

小川
 体制は若手が2人、上級医2人です。若手は基本的には初期研修医とナースプラクティショナーです。看護師さんの中でも特別な資格であるナースプラクティショナーが当院に5人ほどいらっしゃるので、そのスタッフと私たちが若手枠を埋めています。上級医は科の限定はなく、3年目から10年目ぐらいの方々です。

当直では、どんなことが勉強になっていますか。

関口
 多彩な症例が来ますが、先ほど井田が言ったように、当院はCTを撮る機会が多く、夜間は自分たちで読影するので、色々な科のCTの画像をしっかり学ぶことができます。翌日には放射線科の先生が読んでくださったものが上がってくるので、それを見て「答え合わせ」をして、自分で勉強できるのが良いところです。

小川
 多くの患者さんを一度に捌いていくというのはとても勉強になります。夜間帯は昼間と違って、スタッフが減ってしますので、局所的に患者さんが集まってきたときにトリアージをしっかり行って、どの患者さんが重症で、どの患者さんは後回しにできるのか、朝まで待てるのか、待てないのかという判断をしないといけない場面があるので、見逃してはいけないことを意識するのは勉強になるし、感覚が研ぎ澄まされていくような気がしています。

井田
 基本的に、小児科、産婦人科、精神科以外の疾患は当院に入院できる科の有無には関係なく来ます。例えば、当院には整形外科がないのに、骨折の患者さんが来ます。そういう院内でローテートできない科の疾患についても救急外来で診るときには勉強になっています。

カンファレンスの雰囲気はいかがですか。

関口
 腎臓内科では新規の入院患者さんについてのカンファレンスがあります。基本的には研修医が病歴、検査の所見、今後の方針などをプレゼンしますが、科の先生方がほぼ全員揃いますので、突っ込みが入ります。でもいじめてくるような突っ込みではなく、答えを教えるためにわざと質問するという感じもあって、勉強になりました。分からないことは先生方が優しく教えてくださいました。

小川
 私は外科志望なので、外科のカンファレンスをご紹介します。当院の外科は手術症例が多く、毎日、手術動画が出てくるような活気のあるカンファレンスです。私も夜間帯などに手術をさせていただくことがありますが、そういうときは自分で動画を編集したり、術前のカンファレンスでプレゼンをさせていただくなど、刺激的なカンファレンスでした。

井田
 消化器内科は毎朝あります。前日に救急に来た患者さんをどういう方針で診ていくのかどうかを検討します。やはり指導医の先生方の画像の読み方は全然違いますね。どこが悪いのか、私には全く分からない画像でも、専門の先生方はすぐに悪いところを見つけられますし、先生方のそういう考え方に触れられたのは勉強になりました。

病院に改善してほしいことはありますか。

関口
 シャワー室のシャンプーとボディーソープをいいものに変えてほしいです(笑)。今のものは使うと肌がかさかさになったり、髪がきしきしになったりします。

小川
 自分で持ち込めばいい話でしょう(笑)。

井田
 この素敵な色のスクラブです(笑)。ほかの先生たちは黒なのに、研修医だけがこの色なのは目立つし、恥ずかしいです。

小川
 この色はほかの部署の方に「この色を着ているのは研修医だ」と覚えてもらおうということで、今年度から導入されました。私が改善してほしいのは院内のコンビニエンスストアです。最上階にあるのですが、規模が小さいし、時間帯によっては開いていないこともあるので、そこが充実すると、研修にもより力が入りそうです(笑)。

井田先生、関口先生、小川先生の写真

コメディカルの方たちとのコミュニケーションはいかがですか。

関口
 研修医だからといって下に見られたり、逆に疎外感を味わわされたりということもなく、フレンドリーに接していただいています。技師さんたちの知識は豊富ですし、特に診療放射線技師さんから画像を少しずつ教えていただいています。職種の垣根なく、一緒に働いているという感じですね。

小川
 当院にはEMT科があり、救急救命士の資格を持っている人たちが在籍しています。そうすると救急外来には医師、看護師だけでなく、救急救命士というポジションの人もいることになるので、色々な職種の人が同じ部署で働いているのが面白いです。救急救命士さんたちは非常にコミュニケーション能力が高く、場を盛り上げたり、和ませてくれる素敵な方々ばかりなので、仕事がしやすいです。

井田
 ほかの職種の方々とも食事に行くなど、院外での交流もさせていただいていますし、仲良く働けています。

研修医同士のコミュニケーションは活発ですか。

井田
 研修医室はなく、上級医の先生方と同じ医局にいますが、研修医同士でよく話しています。私たちの同期は8人で、男女4人ずつです。

関口
 1年目、2年目の間も仲が良く、1年目同士も寮が一緒だったりするので、食事に行ったあとで「部屋で飲もうか」ということになったり、大学生みたいな付き合いです(笑)。

小川
 先週の日曜日も同期全員で食事しました。外部の病院で研修中の同期もいるわりには同期と会う機会は多いです。

寮もあるんですね。

井田
 皆が寮に住んでいます。寮は病院まで自転車で3、4分のところにあります。

今後のご予定をお聞かせください。

関口
 私は外科志望で、専攻医研修は横浜市立大学の外科プログラムに乗ろうかと考えています。そのプログラムでは当院が関連病院になっているので、病院が許可してくださるのであれば戻ってきて、当院とほかの病院を行き来しつつ外科を学んでいきたいです。

小川
 私も外科志望ですが、専攻医研修は市中病院を考えているので、当院を含めて、色々な病院に見学に行っています。長い目で見れば地元に帰りたいのですが、徳島県には外科プログラムが一つしかないので、戻りにくいんです。そのため関東の病院である程度の経験を積んでから、地元に戻ろうと思っています。

井田
 私は麻酔科にしようかどうかと迷っているところですが、専攻医研修先も考え始めていて、少し見学に行ったりしています。

ご趣味など、プライベートの過ごし方について教えてください。

関口
 趣味はお酒です(笑)。お風呂上がりにYou Tubeを見ながらビールを飲むことがルーティンになっています。

小川
 私はジムに行くことが好きです。病院から徒歩数分のところに大きなジムがあり、プールで泳いだり、スパもあるので、ストレス解消になっています。

井田
 ミュージカルなどの舞台鑑賞が趣味です。当直の次の日は休みなので、そういうときに観劇しています。

現在の臨床研修制度に関して、ご意見をお願いします。

関口
 シンプルに良いか悪いかで言えば、良い制度ではないでしょうか。色々な科の疾患を診る経験は将来の診療科で併存疾患を診るときに役に立つはずです。例えば糖尿病でインシュリンを打っている患者さんの血糖コントロールなどの方法を全く知らないよりも基本を知っていた方ができることも増えると思います。

小川
 ほとんどの先輩方もこの制度の経験者なので、この制度ではなかった場合のイメージが湧きにくく、この制度でいいのではと思います。一方で、ベテランの先生から「専門科で早く独り立ちしたい人や早く結婚して自分のペースで働きたい人が増えてきている中で、2年間、自分の道を決められず、専門科のブラッシュアップができないのはデメリットだ」と伺い、納得したことがあります。今後そういう道も選択できるようになれば面白くなりそうですが、私自身は今の制度が問題だとまでは考えていません。

井田
 色々な科を回ることで、学生のときに考えていた志望科とは別の科を志望するようになることもあります。その意味でこの2年間は志望科を具体的に考える期間になりますので、いい制度だと思います。

最後に、これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

関口
 当院をお勧めするポイントが2点あります。
1点目は救急の症例が非常に多く、その症例に対しても、研修医が主体的に取り組めるシステムがあることです。救急をしっかり学びたい人にはお勧めですね。
2点目は当院は手技数が多い病院であることです。診療科が揃っていない分、当院にある診療科に関しては症例数が多く、手技も多いです。
初期研修の途中で志望科が変わったとしても、現時点で当院にある科に興味を持っている人にはお勧めです。「途中で変わるかもしれないけれど、今はちょっと興味あるな」ぐらいでも大丈夫ですので、気になる診療科が当院にある人はどうぞいらしてください。

小川
 可能な限り見学に行った方が比較できる点でお勧めです。その中で当院を選んでいただけるととても嬉しいのですが、学生のうちは思いきり遊んだりできる時期なので、病院見学も遊びの合間に行くぐらいの軽い気持ちで臨んでください。色々なところに行き、その地域の美味しいものを食べて帰ろう程度の気持ちでいいので、積極的に見学してみましょう。

井田
 実際に1年ほど研修してみて、当院の指導医の先生方は本当に優しい方ばかりなので、良い病院なのだと実感しています。当院にも見学に来ていただいて、雰囲気を見てみてください。まずは「こんな場所に病院が建っているんだ」ということに驚いていただける病院なので、見学をお待ちしています。

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