専門研修インタビュー

2023-10-02

日本赤十字社大阪赤十字病院(大阪府) 指導医(専門研修) 森章先生 (2023年)

日本赤十字社大阪赤十字病院(大阪府)の指導医、森章先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。この内容は2023年に収録したものです。

日本赤十字社 大阪赤十字病院

〒543-8555
大阪府大阪市天王寺区筆ヶ崎町5-30
TEL:06-6774-5111
FAX:06-6774-5129
病院URL:https://www.osaka-med.jrc.or.jp

田邉先生の近影

名前 森 章(もり あきら) 先生
大阪赤十字病院 副院長・消化器外科部長

職歴経歴 1964年、東京に生まれる。
1989年 京都大学医学部を卒業。
1989年6月から 京都大学医学部附属病院 外科 研修医
1990年4月から 大津赤十字病院 外科 医員
1995年4月から 京都大学大学院医学研究科博士課程
1999年4月から 京都大学医学部附属病院 腫瘍外科 助手
2006年4月から 京都大学医学部附属病院 肝胆膵・移植外科 助教
2007年10月から ドイツレーゲンスブルク大学 外科 研究員
2008年10月から 京都大学医学部附属病院 肝胆膵・移植外科 助教
2011年4月から 朝日大学附属村上記念病院 外科 准教授
2012年7月から 京都大学大学院医学研究科 肝胆膵・移植外科 講師
2015年4月から 公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院 消化器外科 部長
2016年4月から 日本赤十字社 大阪赤十字病院 消化器外科 部長
2022年4月から 日本赤十字社 大阪赤十字病院 副院長

■専門分野:
・肝胆膵外科
・肝臓移植

■専門医資格:
日本外科学会専門医・指導医
日本消化器外科学会専門医・指導医、消化器がん外科治療認定医
日本肝胆膵外科学会評議員・高度技能指導医
日本移植学会認定医
日本膵臓学会指導医
日本がん治療認定医機構認定医
ダヴィンチサージカルシステム術者資格認定
臨床研修指導医
医師臨床研修制度プログラム責任者看護師特定行為研修指導者

大阪赤十字病院の特徴についてお伺いします。どのような病院になりますでしょうか。

 大阪赤十字病院は急性期病院であり、たくさんの救急疾患から一般疾患患者さんを受け入れています。また地域がん診療連携拠点病院としてがん患者さんの診療に力を入れています。コロナ禍では多くのコロナ患者さんも診療した実績もございます。高度先進医療を提供し、地域に貢献するということが使命です。
全国の赤十字病院の中でも当院は災害救護に力を入れて、国内にとどまらず、海外への救援活動も行っている病院です。

最近では海外救援っていうのはどちらに行かれましたか?

 ウクライナにも派遣しており、医師に限らず薬剤師や事務員など、いろいろな職種が国際救援に行っています。

先生ご自身が外科の医師になろうと思った理由・きっかけを教えて下さい。

 ずいぶん昔のことですね(笑)
自分の手で治すことができるというところに一番魅力を感じて外科医になりました。外科は手術で治す。当時、私が医者になった35年くらい前に「あと10年経ったらがんは手術しなくても治るようになるよ」っていうような話がありました。全然そういうことは起こらなかったですね。もちろん薬物療法は非常に進歩しましたが、今でも手術で治すというところが、がんの治療、特に消化器がんでは基本になっています。自分の手でどれだけ貢献できるかというところが魅力です。

今は治療方法も多様化はしていますが、メインとしては手術というのが必要にはなってい きますよね。

 特に消化器がんではまだ薬物療法だけで治るというのは非常に稀です。手術、薬物療法、放射線治療、免疫療法とかいろいろな組み合わせの中でやっぱり手術がなくてはならない治療法であることには変わりないと思います。

先生が志されたところと、外科医のやりがいっていうのも繋がっているのでしょうか?

 確かにやりがいがありますが、全て100%の結果が出るというわけではありません。自分ができる限りのことをするけども、力が及ばない部分もあるということを認識して、治療を考えていかないといけないというところは常々感じています。

これまでのご経験の中で印象に残っている治療ですとかお仕事は何かございますか。

 患者さんにとって本当にその手術をすることが良いのかどうか、これが一番難しい。手術というのはかなり大きな負担、いわゆる侵襲を加えてそこから治っていくのは患者さん自身の治癒力・体力が必要です。その判断をするのが難しい。近年高齢の患者さんが増えており、今や手術に年齢制限はありません。ご高齢ということだけでなく、いろいろな他の併存疾患を持っている患者さんもたくさんおられます。特に日赤は総合病院なので、いろいろな診療科の先生と協力しながら、いろんな病気を持っている患者さんに対して手術を行います。手術すれば傷も残りますし、全く元通りということはありませんが、手術前にしんどい症状があれば、手術後にそれがなくなってより良い生活ができるようになるということが目標です。
しかし残念ながらそれが叶わないときもあります。本当にこの患者さんに手術して良かっただろうかと、悩むときも現実には起こり得ます。そういうことをどう減らしていくか、かと言って手術できないよと言って諦めてしまうというのも、患者さんにとっては希望を無くすようなことにもなります。医者側からの押し付けじゃなくて、患者さんやご家族にもしっかり理解してもらった上で、こういうことが起こるかもしれませんよ、でも手術しなかったら、こういうことになって結局命がなくなっちゃう可能性が高いですよっていうことを、しっかり理解してもらわねばなりません。良い点と悪い点の両方ともを患者さん本人とご家族にご理解していただくところが、一番大事と思っています。

カンファレンス

外科の研修プログラムについては、どのような特徴がありますか

 大阪赤十字病院が基幹病院となって、初期研修が終わった後の卒後3年目から3年間プログラムとして大阪スペシャルミックス病院群外科専門研修プログラムを作っています。
我々のプログラムの特徴は、京大関連病院の大阪版という形で構成していて、当院と連携8病院のグループです。出身大学や初期研修病院に関わらず、全国から熱意ある専攻医が集まっています。各病院はその地域の基幹病院として貢献している病院であり、指導体制がしっかりしていています。
全国共通のルールですが1病院だけで3年間ということは駄目で専攻医は他の病院に半年以上はローテーションしなければなりません。3年間のうちコロコロ変わると専攻医はその病院に慣れるだけで見学みたいな状態だと意味がないので、この大阪スペシャルミックスプログラムでは、基本的には3年間で2つの病院で研修することにしています。
各専攻医のメイン病院つまり自分が一番長く研修する病院をどこにするかは専攻医の希望に沿うようにします。もし大阪赤十字病院をメイン病院とした場合には、3年間のどこかで他の病院に半年ないし1年、ローテーションしてもらいます。全国共通のルールで、基幹病院は必ず半年以上ローテーションすることになっていますので、他の病院がメイン病院としている専攻医は、大阪赤十字病院に最低半年はローテーションに来てもらいます。
この外科専門研修プログラムは消化器外科だけではなく、呼吸器外科、乳腺外科、小児外科、心臓血管外科も含めて、日本外科学会の外科専門医資格を取得することが第1目標です。各病院の症例数は多く、外科専門医を取得する症例数は十分あります。その中で自分が将来どのサブスペシャリティ、つまり消化器外科、呼吸器外科、乳腺外科、小児外科、心臓血管外科なのかの希望に応じて、それをよりたくさん経験できるようなプログラムにしています。専攻医の希望を重視しますが、病院ごとのキャパシティがありますから、ローテーションの時期や期間は、こちらの方でコントロールさせてもらっています。我々のプログラムは非常に症例数も多く、各専門領域の指導医が充実していますので、研修を受ける側にとっては、とても良いプログラムであろうと思います。もう一点先ほど申し上げたように大阪近郊の病院で組んでいます。引っ越しをしなくても、通勤できる範囲の病院が多い。それでも通勤時間がもったいないっていうことだったら、ローテーションの期間はその病院の官舎などに部屋を借りることができます。

大阪赤十字病院を選ぶと、より良いところはどんなところがありますか。

 一般的な病気、例えば虫垂炎、胆嚢炎、鼠径ヘルニアとか専攻医が1年目から担当して指導医の指導を受けながら手術をさせてもらえる症例は非常に多いです。1・2・3年目と経験に応じて、がん患者さんも含めて多くの症例を専攻医が実際に執刀をしているのが現状です。
ただ見学しているだけというのは面白くないし、腕を磨くために自分でさせてもらうということが必要ですね。もちろん指導医の元ですが。当院ではダヴィンチというロボットが2台導入されています。最先端医療に専攻医のときからまず参加でき、専攻医を終わった頃には、ロボット手術も術者として資格をとって執刀できるようにしています。
ご高齢の人が増えてくると、手術の負担を軽くする低侵襲手術を行う必要があります。そのためには、以前は大きくお腹を開けて開腹手術をしていた患者さんに対しても、いわゆる内視鏡手術、腹腔鏡使った手術、さらにその腹腔鏡の中でもロボットを使った手術ということを導入しています。極力患者さんに負担が少なく、手術後の回復を早くして、入院期間を短く、社会復帰や元の生活に戻ってもらうことを目指してそれを実践しています。そういうところを若いときから見て、早く手技を身に付け、新しい手術を専攻医のときから学んでもらうことが特徴だと考えております。

研修医への接し方や指導方法において、注力しているポイントはございますか。

 専攻医の先生は、みんな熱心ですね。逆に頑張りすぎないように。時間外労働か自己研鑽かというところで、問題が起こっています。
医師の働き方改革と言って、夜は休んで土日祝日も休むようにと言われても若い先生はやっぱり頑張るということが起こってしまうのが現実です。
そのあたりは指導医側が病院の労働環境を改善していかないといけないと思います。自分が頑張ろうという気持ちが心身の負担にならないようにすることを考えていく必要があると思います。

今後の専攻医の先生方に対して期待されることっていうのは何かありますか。 先生ご自身もいろんなご経歴をお持ちで海外でのご経験などありますが、これからの 専攻医の皆さんに対して期待することはありますでしょうか。

 我々は、卒業してすぐに外科に入局して、研修はここでしろ、その次にここ行けと言われたところでベストを尽くす年代でした。今の医学部の学生は自分が初期研修をどこでするかを選んで試験を受け、また卒後3年目以降の専門医プログラムも自分が選びます。選べる権利があって良いのですが、その後、終わったらどうするのかという将来設計は立てにくい状態になっていると思います。自分が選ぶという自己責任がありますが、どういうふうに自分のキャリアアップをしていくか、悩むところだと思います。
資格を取るために自分の経験症例数を増やすということだけを目標にするような若手医師が多くなっています。我々が経験したことが、全て良いとは言えませんが、外科医が機械のように手術をするだけではなく、病気の本質や新しい治療や術式を考えることもしてほしいと思います。大学院での研究や留学にも興味を持ち、海外にも目を向けて、どういうことが世界で問題になっているのか、国内でやっていることが本当に一番いいことかなどを体験してほしいを思います。コロナ禍で特に国際学会とか留学する機会が減っていました。
医者人生の40~50年、同じことばっかりしているよりは、ちょっと寄り道かもしれませんが、視野を広げてほしいと思っています。

研修医のみなさんに向けてメッセージをお願いします。

 AIが進歩してきても、まだまだ手術するのは人間です。人と人との付き合いをちゃんとしながら、自分で手術の適応や方法を考えることは、機械ではできず、これからもずっと続いていくと思います。そこにやりがいを感じて外科医になる人が増えてくれることを期待しています。
当院の外科専門研修プログラムの特徴としては、非常に症例数が多く、指導体制が整い、一般診療や救急診療から高度先進医療まで幅広く経験できるというところが特徴です。
3年間の専門研修が終わった後のアフターケアも充実しています。京都大学外科交流センターという60病院余りで構成する京大外科関連病院全体の組織があり、会員になれば、次の勤務先などキャリアアップのサポートをしてもらえます。若手のための勉強会や手術手技の講習会も行っており、自分の病院だけではなく、他の病院の若手外科医との横の繋がりも持って経験を増やしていくということが可能です。
是非、当院で研修を行い、素晴らしい外科医人生のスタートにしてください。

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