初期研修インタビュー

2024-04-01

済生会熊本病院(熊本県) 初期研修医 福田高大先生・米田奈央先生 (2024年)

済生会熊本病院(熊本県)の初期研修医、福田高大先生・米田奈央先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。この内容は2024年に収録したものです。

社会福祉法人恩賜財団済生会熊本病院

〒861-4193
熊本県熊本市南区近見5-3-1
TEL:096-351-8000
FAX:096-351-4324
病院URL:https://sk-kumamoto.jp/

福田先生の近影

名前 福田 高大(たかひろ)
出身地・出身大学 / 医師免許取得年度 熊本県熊本市・熊本大学 / 2023年

米田先生の近影

名前 米田 奈央(なお)
出身地・出身大学 / 医師免許取得年度 奈良県大和郡山市・兵庫医科大学 / 2023年

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

福田先生
 小さい頃にテレビドラマの「コード・ブルー」を見たことが最初のきっかけです。そして高校時代に怪我をして入院し、手術も受けたのですが、そのときに実際に医師が働く姿を見て、私も医師になりたいという思いが具体的になり、医学部を受験しました。

米田先生
 私は小さいときに身体が弱く、病院の常連だったんです。その頃から小児科の先生に憧れていて、今度は助けられる側ではなく、子どもを診てさしあげる側になりたいと思い、医師を目指しました。

学生生活ではどんなことが思い出に残っていますか。

福田先生
 私は中学生のときから弓道と茶道を続けていて、大学でも弓道部と茶道部に入りました。毎日のように部活動をして、同級生や先輩、後輩と楽しく過ごしていたのが思い出になっています。

米田先生
 私も一番の思い出は部活動です。私は合気道部と軽音楽部に入っていました。武道と音楽で全く違う活動なのですが、どちらもとても楽しかったです。私は中学、高校では文化部に入っていたので、大学では運動部に入りたいと思っていたのですが、激しい運動は自信がなかったところ、「合気道は皆、大学から始めるんだよ」と聞き、見学に行ってみると楽しくて、これなら続けられそうだと感じましたし、実際に楽しく活動できました。

大学卒業後、研修先を済生会熊本病院に決めた理由をお聞かせください。

福田先生
 私は将来、熊本で働きたいと思っていたので、初期研修先の病院も熊本県内で探していました。大学の実習でも県内の病院に行く機会があり、その中で雰囲気が一番良く、かつ指導体制がしっかりしている当院を受験しました。

米田先生
 私は大学の同級生と結婚したのですが、夫が熊本出身なので、私も熊本の病院を探すことにしました。卒後3年目には当直を一人ですることを考えたときに、2年間の初期研修では救急をしっかり経験して、勉強したいと思ったので、熊本市内で救急をしっかり経験できる病院ということで、当院に決めました。

見学に来たときの印象はいかがでしたか。

福田先生
 私は実習の方が先で、4年生のときに来ました。そのときに出会った初期研修医の先生も優しかったですし、指導医の先生が初期研修医の先生に救急外来で丁寧に指導されている姿を見てとても印象が良かったので、改めて見学に来ました。

米田先生
 私は5年生の秋に来て、指導医の先生と一緒に救急外来を見学しました。大勢の患者さんが来院されていましたが、初期研修医の先生方が指導医の先生方のご指導のもとでファーストタッチされていました。大変そうではあったのですが、初期研修医の先生方が遣り甲斐を持って、生き生きと対応されていたので、私もここでならやっていけそうだと安心したことを覚えています。

済生会熊本病院での初期研修はイメージ通りですか。

福田先生
 イメージ通りですね。

米田先生
 私もそうです。

プログラムの特徴はどんな点でしょうか。

米田先生
 救急の研修が1年目と2年目にあることです。1年目は最低1カ月、2年目は最低2カ月となっていますので、救急をしっかり学べます。2年目になって、ある程度の経験を積んでからも救急を回り、さらに1年目を指導しながら救急を経験できるので、2回の経験は大きいと感じています。それから融通が利くことも特徴です。自分の希望に合わせて、回る科を決められますし、研修が始まってからも「この科をもう少し回りたい」という希望があれば、研修担当の方々がそれにしっかり応えてくださるので、とても有り難いです。

福田先生
 1年目も2年目も自分の希望に合わせて、回る診療科や回る順番まで相談することができます。入職前に、自分の興味のある診療科を早めに回った方がいいのか、ある程度勉強してから回った方がいいのかといった相談にも乗っていただけます。

プログラムの自由度は高いですか。

福田先生
 高いですね。

院外での研修先をお聞かせください。

米田先生
 1年目は小児科と精神科が院外での研修です。私たちは小児科は熊本中央病院、精神科は弓削病院に行きました。2年目は産婦人科と地域医療の研修が院外となっています。私は産婦人科は天草中央総合病院、地域医療は済生会みすみ病院で研修する予定です。

福田先生・米田先生の写真

済生会熊本病院での初期研修で勉強になっていることはどんなことでしょう。

福田先生
 まずは病棟の患者さんの診察や上級医とのディスカッションを通して、日々の診療の進め方や患者さんとの接し方を学んでいます。それ以外にも、例えば外科なら手術や、機会があれば内視鏡やカテーテル検査にも入らせていただき、研修医ができる範囲で手技も経験させていただけるので、手技の機会が充実していると思っています。

米田先生
 最初の1カ月の救急外来での研修と、その後の月に2回から4回ほど入る準夜勤で救急患者さんのファーストタッチを行って、診察して、それを自分で評価して、どういった検査が必要なのかを考え、それぞれの科にコンサルトするところまで、一通りの診療の流れを上級医の先生方が見てくださる中で安心して行うことができ、この1年間で多くの経験を積むことができました。

失敗談はありますか。

福田先生
 コンサルトするときに自分の中で考えがうまく整理できていなかったり、理解が乏しかったりして、よく分からないままコンサルトしてしまい、上の先生にご指導やご指摘を受けることがあります。

米田先生
 自分の聴診にあまり自信がなくて、所見の取り方を迷って心エコーをしたのですが、しっかり聴診したら見つかる所見を自分から指導医の先生に報告せず、心エコーの結果が分かってから報告したので、注意されました。聴診の経験も大事なのだなと痛感しました。

初期研修にあたって、どのような姿勢を心がけていますか。

福田先生
 手術や検査にも積極的に取り組んだり、自分の患者さんについて気づいたことを先生方に話すようにして、色々な方面から自分の知識や技術を習得することを心がけています。

米田先生
 持たせていただいた患者さんに対して、4月や5月は指導医の先生方が診察されるのを見ているだけでしたが、自分が主治医だという気持ちを持って、自分から積極的に行動するようになりました。難しいことですが、指導医の先生に薬の変更など、改善した方がいいと思えることはしっかり考えたうえで提案することを意識しています。

当直の体制をお聞かせください。

米田先生
 準夜勤のほか、当直勤務もあります。初期研修医は指導医の先生が診療科の当直や全体当直に入るときに一緒に入らせていただくことができます。

福田先生
 月に何回と決まっているわけではなく、ついている指導医の先生が当直に入るときに全て入っても月に3回が最多です。診療科によっては初期研修医が入れないと決められているところもあるので、月によっては一切入らないこともあります。当直に入るときは指導医の先生と1対1でご指導を受けます。

当直で勉強になっていることはどのようなことですか。

福田先生
 全体当直では救急外来での対応についてはファーストタッチから、最後に帰宅させるかどうかの判断、各診療科の先生方にコンサルトするまでを指導医の先生の指導のもとで、研修医が主体的に行うので、勉強になっています。

米田先生
 全体当直のほかに、各科での当直もあります。指導医の先生が診療科の当直に入るときにご一緒すると、コンサルトを受ける側になります。そこで、この科のコンサルトを受けるときにはこういうことを初期対応でしておいてほしいんだなあと改めて気づかされることが勉強になっています。次に私が準夜勤や全体当直をするときには気をつけようと思いますし、引き継いだ場合は入院までにするべきことや入院後に追加する検査や評価の必要性を学べます。コンサルトする側と受ける側の双方の視点から勉強できるのが有り難いです。

指導医の先生のご指導はいかがでしょうか。

福田先生
 優しいです。

米田先生
 熱心なご指導をいただいています。

カンファレンスの雰囲気はいかがですか。

福田先生
 私が最初に回ったのは消化器内科なのですが、消化器内科では週に1回のカンファレンスがあり、自分の患者さんの経過を研修医なりに発表する機会がありました。先生方のフィードバックをいただきながら、自分の患者さんについて分かっていないところを再認識できたり、そのカンファレンスに向けて、患者さんの情報を見直して整理することで、より良い診療に繋げられたと思います。

米田先生
 5月に回った呼吸器内科では週に1回、救急外来に来られた患者さんの入院後の経過を見ていくカンファレンスがあります。研修医は基本的に自分が担当する患者さんについて発表するのですが、画像所見から今後の方針までしっかりと話さないといけないし、先生方からのご質問に備えて、事前に原稿を作らなくてはいけませんでした。それでも質問に答えられないときはこういうことも押さえておかなくてはいけないのだと気づけたし、怖くて緊張するカンファレンスでしたが(笑)、成長に繋がったと思います。

コメディカルスタッフの方々とのコミュニケーションはいかがですか。

福田先生
 病棟の看護師さんとは自分の患者さんのことについて、よく話します。私たちが見ていない夜中の呼吸状態や不眠などの生活の状況も詳しく教えてくれます。患者さんも医師には言えない悩みを看護師さんには話したりするので、そういう細かいところを知ることで、病棟の患者さんへのより良い診療に繋がっているのかなと思います。

米田先生
 当院はコメディカルスタッフの数が他院と比べても非常に多いことが特徴です。栄養士さん、薬剤師さん、理学療法士さんなどは病棟にもいてくださっています。私はまだ1年目で、栄養や薬、リハビリの知識が全くないので、困ったときには電話して相談すると、すぐに対応してくださいます。コメディカルスタッフの方々の豊富な知識や経験にとても助けられています。

福田先生
 診療放射線技師さん、臨床検査技師さん、臨床工学技士さんにはエコーや人工呼吸器の設定や扱い方などのレクチャーをいただいています。診療とは違うところで、そうしたレクチャーを受けられるので、勉強になっています。

病院に改善を望みたいことはありますか。

福田先生
 特に見当たりません。

研修医同士のコミュニケーションはいかがですか。

福田先生
 上級医の先生方とは違う部屋を研修医用に割り当てられています。同期は9人いますが、その研修医室で和気あいあいと楽しく話したり、症例について相談したりしています。上の先生方がいるところでは話しづらいことも研修医室なら話せますし(笑)、同期の仲もいいです。

米田先生
 研修医室は1年目、2年目で同じ部屋なのですが、失敗して落ち込んだことや上の先生方には言えない愚痴も気軽に言い合えています。1年目、2年目で準夜勤も回しているので、1年目と2年目の距離が縮まりやすい環境です。2年目の先生にも相談したり、話したりしますので、全体的に仲がいいですね。1年目の女性は私だけなのですが、2年目には女性が6人いますので、仲良くしてもらっています。

福田先生・米田先生と他先生方の写真

お住まいは寮ですか。

米田先生
 2人とも寮に住んでいます。

福田先生
 中は綺麗ですし、準夜勤後の夜中に帰ってきても隣の部屋の音も聞こえないので、周りを特に気にすることもなく過ごせています。駐車場つきで、病院まで車で5分かからないくらいです。病院も車通勤可能ですし、寮の入寮も必須ではないので、自分で物件を借りている人もいますし、実家から通っている人もいます。

今後のご予定をお聞かせください。

福田先生
 色々な科を回って、悩んでいるところです。

米田先生
 私は一応メジャー内科を志望していますが、もともとは小児科志望だったので、小児科もいいなと考えています。診療科を回るごとに「この科もいいな」と思ってしまうタイプなんです(笑)。

ご趣味など、プライベートの過ごし方について教えてください。

福田先生
 基本的に週末は休みなので、茶道を細々と続けています(笑)。行ける日には行くという感じで、免状も少しずつ取っています。

米田先生
 私は九州に来たばかりなので、行ったことがないところや知らないところがまだ多くあります。地域に馴染もうと思い、休みの日にはドライブや観光をしています。海が好きなので、天草は気に入っています。

現在の臨床研修制度についてのご意見をお願いします。

福田先生
 私はまだ進む診療科が決まっていないので、1カ月や2カ月単位で色々な診療科を見ることができるのは有り難いです。また診療科が決まったあとでも将来の診療科とどういった関わりをするのかなど、その科を回らないと勉強できないことは多くあるはずなので、日々勉強できる、とてもいい制度だと感じています。

米田先生
 将来どの科に行くにしても、まずは全ての科の知識をある程度は持っていないと、当直の際はもちろんですし、自分の患者さんが他科の疾患も新しく併発してしまったときに、何も分からずに他科に丸投げするよりは知識を持って考えたうえで、他科の医師にコンサルトできる方が確実に患者さんのためになります。そして簡単な対応でしたら自分でできるのが「総合的なお医者さん」ですので、このスーパーローテートは良い制度だと思います。

【動画】福田先生・米田先生

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