初期研修インタビュー

2024-05-01

公益財団法人宮城厚生協会坂総合病院(宮城県) 初期研修医 小野寺聖司先生・加藤拓実先生 (2024年)

公益財団法人宮城厚生協会坂総合病院(宮城県)の初期研修医、小野寺聖司先生・加藤拓実先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。この内容は2024年に収録したものです。

公益財団法人宮城厚生協会 坂総合病院

〒985-8506
宮城県塩竈市錦町16-5
TEL:022-365-5175
FAX:022-366-2593
病院URL:https://www.m-kousei.com/saka/

小野寺先生の近影

名前 小野寺 聖司(せいじ)
出身地・出身大学 / 医師免許取得年度 宮城県名取市・山形大学 / 2023年
プログラム 坂総合病院群基礎研修プログラム

加藤先生の近影

名前 加藤 拓実(たくみ)
出身地・出身大学 / 医師免許取得年度 宮城県石巻市・東北医科薬科大学 / 2023年
プログラム 総合診療・地域医療重点プログラム

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

加藤先生
 幼稚園のときに中越地震のニュースで、たくさんのけが人がいる状況で、医師が足りないという報道を見たり、ほかのニュースでも医師が足りないと言われていたことが印象に残っていました。
当時の私は扁桃腺炎でよく熱を出していて、病院で点滴されたり、薬をもらったりしていたので、「点滴してくれたり、薬をくれるお医者さんがいなくなるのは大変だ。お医者さんがいなくなるなら自分でなろう」と思ったことが、私が医師を目指したきっかけでした。
その後、祖母がガンになったりと、様々な理由が続いていくのですが、最初のきっかけとしては医師不足のニュースでした。

小野寺先生
 私には加藤のような素晴らしい理由はないです。
私の家は俗に言う医師家系で、父、両祖父、従兄弟など親戚の中に医師が多くいるという環境でした。それで医師という職業が身近で、自分も将来医師になるものだと子どもの頃から思っていました。父は夜遅くまで仕事をして帰宅していましたが、その姿が大変そうでありながらも楽しそうに働いているように見えましたし、患者さんから感謝されているところも尊敬できました。
私も自分にできることの最大限は身体を動かして患者さんを手助けすることだと考え、医師を目指しました。

学生生活ではどんなことが思い出に残っていますか。

加藤先生
 私は大学に医学部ができて、2期生の学年でした。1期生の先輩たちがカリキュラムに対して、色々と意見を出して改善してくれたのですが、先輩たちから聞いていたことと実際とは違っていたこともあり、戸惑った学年でもありました。
成績も2期生は1期生、3期生に比べると良くないという噂もありましたが、国家試験の結果は悪くなく、「見返してやったぞ」と盛り上がりました。大学の勉強と並行して、塾講師のアルバイトも楽しく続けていました。

小野寺先生
 私はバドミントン部での活動が思い出に残っています。
1年生のときは先輩たちのお蔭で、東医体の団体戦で準優勝することができました。1年目にして、いい経験ができましたし、今思えば、すごいことでしたね。バドミントン部では東医体のほかにも色々な試合に出て、楽しかったです。

大学卒業後、研修先を坂総合病院に決めた理由をお聞かせください。

小野寺先生
 私は坂総合病院群基礎研修プログラムを選んでいるのですが、このプログラムのカリキュラムが私の理想とする研修内容だったので決めました。私は内科系を志望していたので、内科をしっかり回れることと在宅医療、救急、病棟業務をバランスよくできるのは魅力でした。
初期研修ではこれらをバランスよく学ぶのは難しい面もあると聞いていたので、坂総合病院に決めて、本当に良かったなと思っています。

加藤先生
 私が坂総合病院で初期研修をしようと決めたきっかけはいくつかありますが、最初に病院を知ったのは、高校の行事の1日医師体験です。
坂総合病院では近隣の高校生に院内見学をさせてくれたり、医師の話を聞かせてくれたりというイベントをしていて、そのときに麻酔科の先生がとても熱心に話してくださったり、研修医の先生もよく教えてくださったので、いい病院だなという印象を持っていました。
そして大学受験の日に、受験会場で坂総合病院の方が奨学金のパンフレットを配っている姿を見つけ、「あの医師体験の病院だ」と思い出し、声をかけさせていただきました。それを機に医学部に進学するタイミングで見学に行ってみると、やはりいい病院でしたし、ここで将来研修医として働くことを決め、奨学生になることを決めました。
そのため、大学在学中も当院で働くつもりで過ごしていましたし、何度も見学に来ていたのですが、一度もここで働きたくないと思うことがありませんでした。6年間そう思っていられるのなら、この先もそうだろうし、ここで働いていきたいと考えました。

加藤先生は総合診療・地域医療重点プログラムなのですね。

加藤先生
 私の1つ上の学年のときにできたプログラムで、まだ先輩方が回っていない状態のときに決めないといけなかったのですが、私は大学も2期生ですし、前例がないものに挑んだり、新しいところに飛び込むのはそこまで怖くありませんでした。
基礎研修プログラムの方が色々な疾患を診られますし、知識も増えそうなのですが、総合診療・地域医療重点プログラムは総合診療科を目指している人が選択するので、疾患を診るだけでなく、患者さんの背景をお聞きし、そこで得た情報をもとに患者さんが困っていらっしゃるところにまでアプローチできるのが魅力です。
疾患に関しては3年目以降により深く学ぶことができますが、そういった考え方はあとから直すのは難しいので、医師としての始めの2年間にその考え方を学びたいと思い、総合診療・地域医療重点プログラムを選びました。

小野寺先生が見学に来たときの印象はいかがでしたか。

小野寺先生
 初めて来たのが5年生の1月で、3月にもう一度来て、さらに6年生の4月にも来て、この4カ月の間に坂総合病院で研修したいと思いました。
先輩方の雰囲気がアットホームでしたし、私とテンションの差があまりなさそうでした。医学生委員会のスタッフの皆さんの対応も素晴らしく、病棟を見学したときに、指導医の先生方が研修医の先生方に教えているところを見たり、研修医の先生方と看護師さんやほかのコメディカルスタッフとのやり取りを見学し、とても働きやすそうな空間だと感じました。
カリキュラムの魅力もそうですが、やはり雰囲気が一番大きな決め手になりましたね。

坂総合病院での初期研修はイメージ通りですか。

加藤先生
 本当にイメージ通りですね。総合診療・地域医療重点プログラムは基礎研修プログラムよりも外来研修の場が多いので、それだけ患者さんに多く触れられます。触れられる分だけ、背景を考える時間を長く作れます。
そしてプログラム責任者の先生との距離が近いので、振り返りの時間をきちんと作っていただいています。病気に関してはもちろんですが、患者さんについての気になったことを話し合える機会が多く、背景などを考えられるプログラムになっているのは有り難いです。

小野寺先生
 イメージよりも良かったです。先生方との距離がイメージしていたよりも近く、質問しやすいとは聞いていましたが、イメージしていたよりも質問しやすいです。
質問してみると、説明も丁寧に対応してくれますし、同意や訂正もしてくださいます。さらには「その考え方はなかったな」と、私の考えを採用してくださったこともあります。自分の考えを持っておかないと大変なところはありますが、慣れてきたら自分で考えて提案できるようになり、その提案を受け入れてくださる先生方が多いので、診療に参加しているという実感が得られて楽しいです。
これは働いてみないと分からなかったことなので、イメージを上回った研修ができていることにむしろ驚いています。

プログラムの特徴はどんな点でしょうか。

加藤先生
 総合診療・地域医療重点プログラムは循環器内科、呼吸器内科といった一般的な内科研修の期間の代わりに救急科と総合診療科を主に回ります。
救急科と総合診療科では外来を診る場面がかなり多いので、疾患の鑑別、患者さんからのプロブレムの拾い方といったプライマリケアをしっかり学べます。
救急科、総合診療科を回る期間が長いこと以外の特徴としては地域の病院を回る期間が合計6カ月あることです。始めの2カ月を2週間ずつ分割して4病院を回り、その中で気に入った病院を次の4カ月でしっかり回ります。外科、精神科、産婦人科、小児科は必須症例があるので、基礎研修プログラムとの違いはありません。

小野寺先生
 基礎研修プログラムでは1年目に外科、循環器内科、消化器内科、呼吸器内科を3カ月ずつ回ります。
2年目はほかの必修科と選択期間2カ月です。必修科は精神科1カ月、救急2カ月、泉病院での地域医療が3カ月、産婦人科1カ月、小児科は2カ月か1カ月です。小児科を1カ月にする場合は選択期間を1カ月ほど延ばせます。選択期間が2カ月なのは短いのですが、内科を3カ月連続で回れるのはとてもいい経験になりますし、これが基礎研修プログラムの特徴ですね。
ほかの研修病院だと内科全体で24週という枠組みで、循環器内科や血液内科を1カ月ずつというローテーションになったりするので、私はそういう細切れの研修だと学生と同じ程度の知識にとどまってしまうのではないかと思い、最低限のメジャー科をしっかり回れる当院を選びました。
それから、病棟業務をするうえでは患者さんやご家族への対応などの医療以外のことがかなり占められるのですが、主治医として任せられることも多く、そこもきちんと学べます。地域医療でも任せられる場面がかなり多いようですし、小児科や産婦人科なども適宜研修でき、足りないところは選択期間で学べますので、バランスの良い研修内容です。
ネックなのは選択期間が短いことですね。私は志望科に迷いがないので、これでいいのですが、志望科を迷っている人にとっては少し不便なのかもしれません。

小野寺先生・加藤先生の写真

プログラムの自由度は高いですか。

小野寺先生
 カリキュラムを構成する自由度は恐らく低い方ですので、メリット、デメリットがあると思います。
ただ当院にはトランジショナルイヤーという3年目の研修があり、専攻医ではないのですが、初期研修をプラス1年できる制度があります。その1年は科の組み合わせが完全に自由ですので、初期研修で回っていない科を回ることができます。

加藤先生
 総合診療・地域医療重点プログラムでも選択期間はありますが、それは病院を選べるだけで、診療科を選べるわけではないので、何か興味がある科があっても選択の幅はそれほどありません。
ただ、救急科や総合診療科を回る期間が長いので、そこを回っている間に勉強する機会をどう作っていこうかという話を上級医としているところです。このプログラムは定員が2人ですので、責任者の先生との距離が近く、自分のプログラムを良くするためにどうしていこうという話がしやすいのが良いところです。
始めから色々な診療科を診たいという目的がある人には難しいプログラムですが、トランジショナルイヤーをうまく使って、興味のある科をもう一度経験するなど、臨機応変に対応できると思います。

院外での研修先をお聞かせください。

加藤先生
 今の段階で行ったのは松島海岸診療所と古川民主病院です。2年目の5月はしばた協同クリニックと泉病院に行く予定です。

小野寺先生
 私はまだ院外には行っていませんが、泉病院には2年目の地域医療研修で行く予定になっています。精神科の研修は緑ヶ丘病院か宮城県立精神医療センターを選べるのですが、私は緑ヶ丘病院に行くことにしています。

坂総合病院での初期研修で勉強になっていることはどんなことでしょう。

小野寺先生
 毎日毎日が勉強です。患者さん一人一人に困ったことが違い、それに対応していくのですが、上級医の先生方も困っていらっしゃるときがあるので、対応に関しては何年経っても、永遠に勉強していかないといけないのだなと痛感しています。

加藤先生
 基礎研修プログラムのように全部を診られるわけではないので、分からないことにあたったときの調べ方についてはしっかり学ばせていただいています。
インターネットを使った検索ツールや書籍など、様々な手段を使いながら、何を使うとどういうことが調べやすいか、どういうものを見たらどこにどういうことが書いてあるかなど、振り返りの場で勉強しています。

失敗談はありますか。

小野寺先生
 失敗しかしていないですね。
最近やってしまったなという失敗は退院できそうだという話を聞いていた患者さんが全く退院できそうではなかったことです。病状的には退院できるのですが、ADLが落ちていて、自宅で生活できないのではということに退院当日に気づき、退院が延期となりました。患者さんの状態を見誤るという失敗で、焦りました。

加藤先生
 総合診療科では自分でカルテを書き、指導医の先生にメールを送ってチェックされたうえで対応することになっています。
あるとき、私がメールを送ることが遅くなってしまったことがありました。そのメールに対するお返事を指導医の先生からいただいたのですが、外来などの忙しさでそのメールを見落としてしまいました。
その後、慌てて時間外に紹介状を書いてメールしたのですが、指導医の先生と患者さんの担当の看護師さんから「もっと早く行動しましょう」と指導されました。

初期研修にあたって、どのような姿勢を心がけていますか。

加藤先生
 私の場合は志望科が総合診療科と決まっていて、家庭医や診療所で働く医師を目指しているのですが、ほかの疾患の知識を捨てたくはありません。
今後、自分の患者さんがガンになったり、肺炎を起こしたりすることもありえますし、患者さんに何か起きたときにきちんとお話ししたいと思っていますので、将来に関係なさそうな疾患や手技だったとしても、いつ、どこで役に立つか分からないので、関係あるのか、ないのかは置いておいて、全部が役に立つのだという思いで研修に取り組んでいます。

小野寺先生
 「できない」とは言わないようにしています。
患者さんの数が増えてくると心配してくださることがあるのですが、ほかに先生もいらっしゃるし、自分のキャパシティー内でおさまりそうだというときには「大丈夫ですよ」と言っています。ストップをかけようと思えば、いくらでもかけられるので、そこはあえて無理してみたいというのが、良いことなのかどうかは分からないのですが、私のスタイルです。
それからタイミングが合えば、手技も積極的にするようにしています。学習面はほどほどですが(笑)、身体を動かしていくことは頑張っていますし、モチベーションを保てています。

当直の体制をお聞かせください。

小野寺先生
 1年目は月に3回ぐらいで、2年目は月に3回から4回です。
1年目は見習いのような形で、初期研修医の診療後にバックの指導医の先生にチェックしていただき、副当直医として準夜勤(17:00~21:30)を担当します。さらに、夜間は病棟のトラブルや救急搬入された患者さんを担当する3年目以上の先生も1人いますので、初期研修医がいれば3人、いなければ2人という体制です。
2年目は独り立ちになります。救急車を担当する先生が1人、ウォークインを診る2年目の初期研修医が1人という体制です。

当直で勉強になっていることはどのようなことですか。

小野寺先生
 色々な主訴の患者さんが来るのですが、1年目まではバックに指導医の先生がいて、全て相談できる環境なので、自分の判断が合っていたのか、どこまで深く考え込めたのかを確認しながら当直できたことがとても良かったです。
2年目で独り立ちとなっても、上には先生がいらっしゃり、困ったときは絶対に相談できるので、大丈夫かな?と少しでも思ったことは相談できます。2年間を通しての当直研修で、帰宅させて良いかどうかを判断する力をしっかりつけられるようになると思います。

加藤先生
 当直では自分で考える練習を積んだり、その判断が合っているかどうかを確認できる場になっています。
基本的には研修医はウォークインの患者さんを担当するため落ち着いて当直をしていますが、歩いてきた患者さんの中にも緊急手術が必要であったり、急いでカテーテル治療をしないといけなかったりなどの緊急性の高い患者さんが紛れ込んでいることもあるので、そこを見抜いて、これは駄目だ、これは帰して大丈夫だという線引きが勉強になっています。
それでも判断に困った場合は救急車担当の先生や専門科の先生に夜間でも連絡できますので、安心感のある環境です。

指導医の先生のご指導はいかがでしょうか。

小野寺先生
 とても良いです。
その理由の一つに当院の指導医の先生の中には当院で研修し、他院に勤務してから戻ってこられた先生方が多いことが挙げられます。そうした先生方は当院のスタイルや研修医にどういう指導をすれば良いのかを分かっていらっしゃるので、良い環境です。
もう一つの理由は指導の仕方です。私たちに「こうした方がいいよ」ではなく、「自分の意見はこうだけど、先生はどう思う?」「先生が思うようにやってみていいよ」など、研修医の意見を優先してくれることが頻繁にあり、最初のうちは指導医の先生方の言うことを聞いていましたが、何カ月かやっているうちに自分の意見や考え方を持つことができ始めるので、「こうだと思います」と言うと、「それもいいね」と採用されるようになりました。
研修医も医療に参加しているという教え方をしてくださるのが有り難いです。

加藤先生
 主にお世話になっている救急科や総合診療科では鑑別診断をするときに、私が「こう思う」と言うと、「その根拠は?」と返してくださる先生方が多いです。そのため、一つを肯定するにも、一つを否定するにも、後ろに何かしらの根拠を持っておかなくてはいけません。
自分で何となく判断したことをもう一度調べ直すと、こういうバイタルサインがあった、こういう所見があった、こういう検査報告があった、診断基準やガイドラインはこうだったといった裏づけによって判断していたんだなということが分かるようになりました。根拠を調べる癖がつくとほかのところでも活かせるので、毎回、根拠を尋ねてくださるのは有り難いです。
今の時代は大勢の患者さんを診て勉強していくというよりは一件、一件をきちんと考えて勉強していこう、超勤を増やさず、時間内にしっかり学ぼうという研修に変わってきています。じっくり考えながら研修に取り組める環境は、私には合っているなと感じています。

カンファレンスの雰囲気はいかがですか。

小野寺先生
 では加藤が回っていない消化器内科のお話をします。
消化器内科では患者さんの状態をプレゼンし、皆でディスカッションします。上級医を含めて相談し合いますが、大きな会議室ではなく、こじんまりしたところで行っているので、適度な緊張感で臨めます。困っていることや微妙に感じていることを少しラフな感じにも話せますし、プレゼンの修正もしていただけます。

加藤先生
 救急科や総合診療科では自分の患者さんについては指導医の先生にメールで確認していただくので、カンファレンスのメインが治療方針の決定ではありません。
カンファレンスはプレゼンの練習と他職種との情報交換の場だと捉えています。リハビリのスタッフの方に「この患者さんをここまでもっていきたいけど、どのぐらいの期間がかかりますか」などと気軽に相談できる場所です。
そのため、指導医の先生が怖いというカンファレンスではなく、「あの職種の人にこれを聞きたいから、この機会を待っていた」という気分でいます。

コメディカルスタッフの方々とのコミュニケーションはいかがですか。

加藤先生
 コメディカルスタッフの方々がどこにいるのかも知っているので、そこに直接行って相談したりしています。最近は私の顔も覚えていただけるようになってきました(笑)。

小野寺先生
 コミュニケーションを取りやすく、患者さん一人一人をしっかりサポートしてくれる人たちが揃っているので、私たちが気づかないことに気づいてくださったりします。こちらも毎日、安心感を持って、ストレスなく働けています。

小野寺先生・加藤先生の写真

研修医同士のコミュニケーションはいかがですか。

加藤先生
 1年目から4年目ぐらいの医師がいる部屋が2つあり、その近くの廊下に5、6人集まれそうなテーブルがあるので、お昼はそこに集まって、ご飯を食べながら情報交換しています。
電子カルテも近くにあるので、「昨日こんなことがあって」と話していると、3、4年目の先生が通りがかりに解決策を教えてくれたり、たまにスルーもされます(笑)。
また毎週木曜日に研修医会という勉強会があり、1年目は全員集まりますし、その会のあとで1週間どういうことがあったかなども話し合えています。情報交換はしやすいですね。

小野寺先生
 私は研修医だけの部屋はなくてもいいかなと思っています。同期は9人で、女性が1人だけなのですが、何の問題もなく過ごせています。
下の学年は12人で、男性10人、女性2人となっています。

お住まいは寮ですか。

小野寺先生
 寮はなく、それぞれが物件を借りて、住居手当をいただいています。

今後のご予定をお聞かせください。

加藤先生
 私は総合診療科に進みます。
私の場合は初期研修で総合診療・地域医療重点プログラムを選んだ時点で、ほとんど決まっていました。
医師を目指した理由も医師不足を何とかしたいということでしたし、地域の診療所などに勤務し、家庭医や在宅医療を実践し地域の医師不足に貢献できたらと思い、総合診療科の医師を目指そうと考えたんです。そうしたら、このようなプログラムがいつの間にかできていたので、この道を選び、専攻医研修も当院で行う予定です。
私は宮城県や岩手県で育ったので、将来はそういう地域や医師の足りない地域に当院で学んだことを還元していきたいです。

小野寺先生
 私は循環器内科を専攻する予定です。
学生時代から興味があり、初期研修で循環器内科を回ってみて、やはり循環器内科にしようと決めました。
カテーテル治療は花形ですし、生死の境目にいる人を緊急に対応するなどの超急性期の場面もあれば、心不全などの慢性疾患もあり、やりがいがあります。不整脈など、循環器内科の分野としてもいくつかあり、心臓という小さな臓器なのに、一つずつ掘り下げていくと深みがあります。
私としては一番、自主的に勉強しているのが心臓でしたし、心臓をみているとわくわくする気持ちもあるので、この気持ちに従ったまま、学んでいけたらと思っています。

ご趣味など、プライベートの過ごし方について教えてください。

小野寺先生
 インドア派で、テレビと漫画を見ながらゆっくり過ごすのが幸せです(笑)。
たまにロードバイクで遠出したり、温泉や自然の中でのキャンプのようにご飯を食べるのも好きではありますが、基本はめんどくさがり屋なのでインドアで、気持ちが向けば外に出ます。

加藤先生
 私もインドア派で、外にはあまり出ません。
小学生のときに「ドラゴンクエストIX」が発売されて社会現象になり、父がドラクエ好きだったこともあって、私もゲーム好きになりました。最近、鳥山明さん、すぎやまこういちさんが亡くなったこともあり、堀井雄二さんがお元気なうちにもう一度ドラクエで遊んでおきたいと思い、遊んでいるところです。

現在の臨床研修制度についてのご意見をお願いします。

小野寺先生
 大学の医局にストレートに入局しない制度には良い点、良くない点があるのでしょうが、医局から離れているとなると診療科によってはやりにくさもあるのかもしれません。
ただ医局に所属しない医師も少しずつ増えてきているので、そういう問題は緩和されたり、解決に向かいそうです。私も医局に所属したくない人なのですが、循環器内科は所属しなくてもやっていけそうな科なので、当院も含めて、そういう道を探しているところです。医局に所属すると喉に骨が刺さっているような、医局にいる前提で話が進んでいきますし、途中で抜けられるとも聞きますが、入局2、3年目で抜けるメリットも感じません。
現時点で私は大学院で勉強したいと考えてはいませんが、臨床を経たうえで学びたい学問が出てきたら進学を考えるかもしれません。当院には医局の縛りがなく、医局によって選択の幅を狭められないという点で、医師としての最初の研修をする場所としては良い病院だと思います。

加藤先生
 目標とする診療科が決まっている人と決まっていない人がいますが、決まっていない人にとっては最初の2年間で全般的に色々と学べる機会を一律にもらっているのは動きやすくなることだと思います。
周りの人が将来の志望科が決まっていて、自分だけ決まっていないとなると自分の遅れを感じてしまうかもしれないのですが、現在の制度ではその差を感じられない状態でローテートするので、ローテートしやすいです。当院ではこの制度が始まる前からスーパーローテート型の初期研修をしており、その初期研修を経験した先生方に話を聞いても、各科をローテートすることには意味があります。
先生方を見ていても、各科を回った経験を活かして、患者さんとうまくコミュニケーションが取れたり、初期研修で教わった手技を応用できたりなど、将来どこで活きてくるのか分からない知識として残っています。行きたい診療科ですぐに研修するのではなく、ほかの科も診てから研修することが必要ですし、その基礎を作る期間として2年間はちょうどいいです。
2年間で最低限のコストをかけて、最大の効果を出しつつ多くのことをみていき、のちにしっかり活かせる知識を増やせるのは良い制度だと考えています。

【動画】小野寺先生・加藤先生

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