長野医療生活協同組合 長野中央病院
〒380-0814
長野県長野市西鶴賀町1570
TEL:026-234-3307
FAX:093-234-3254
病院URL:https://www.nagano-chuo-hospital.jp/
- 名前
- 李 藝眞(り いぇじん)
- 出身地・出身大学 / 医師免許取得年度
- 韓国 釜山大学 / 2021年
医師を目指したきっかけをお聞かせください。
子供の頃から自分も成長しつつ、自分の周りと社会にも良い影響を与える仕事がやりたいなと思いました。高校時代に祖父が脳梗塞で救急センターに運ばれたことがあり、そのとき見たお医者さんたちの姿がすごくかっこよく見えて、私も医者になりたい!と思いました。
先生は高校も日本に滞在されていたのですか?
釜山出身で、大学まで韓国におり、去年から日本で働くことになりました。
学生生活ではどんなことが思い出に残っていますか。
オーケストラの部活が良い思い出に残っています。私は経験者が少ないビオラを選びました。一番安かった3万円のビオラを選んで、5~6年間部活をやり遂げました。
また、私自身小学生の頃にピアノを習ったことがあって、大学5年生のときにはラフマニノフのピアノ協奏曲で、同期と共演をしてYouTubeに動画も残っているのが、私の自慢です。
そして、同じく大学5年生のときに、学校と連携プログラムを結んだ福岡にある病院があり、日本で研修する姿を見て私も日本で働いてみたいなと思いました。韓国の学校の日本語サークルに参加し、日本から韓国に留学に来た学生さんたちとお互い言語を教えながら勉強を続けてきて、無事に国試も受かりました。その結果、現在日本で働いているので、すごくいい思い出です。
大学卒業後、研修先を長野中央病院に決めた理由をお聞かせください。
初期研修医のうちに救急を勉強したくて、救急科のローテート中だけではなく、毎週少しずつでも救急の経験を積んだ方が力になると思っていたので、救急単位の多い研修プログラムがとても気に入りました。また、当院の近くに山も温泉も多くて、自然に恵まれつつも、東京へのアクセスも良く、良い環境であると思いました。
長野中央病院を知るきっかけは?
マッチングの情報をX(旧twitter)で見つけて、偶然連絡をしたのがきっかけです。
マッチングの前に見学などで実際にご覧になる機会はありました?
見学に行かせていただきました。連絡した際に、対応が早く丁寧な病院だなっていう印象を受けました。見学したい診療科や集合時間など、要望を汲んでくれたのが良かったです。
また、宿泊費と交通費まで全部病院から出してもらったので、金銭的にもとても助かりました。そして、研修医の先生たちが集まる研修医ルームでの雰囲気が和気藹々としていて、本当にアットホームなのだと感じました。
長野中央病院での初期研修はイメージ通りですか。
アットホームな雰囲気というのはイメージ通りでした。研修医同士で冬にスキーに行ったり、ジムにも行ったりして、一緒に温泉にも行っています。院長先生が優しくて、たまにバーベキューパーティーとか開かれたりします。
プログラムの特徴はどんな点でしょうか。
研修医1年次は5月から8月ぐらいにかけて、2階南病棟(研修医病棟)で研修医としての下地を積む「導入期」というものがあります。
そこでは、患者さんを受け持ち、カルテや紹介状の書き方、患者さんとご家族への病状説明、基本的な手技等、研修医のうちから主治医としての業務が全般的に経験できるのが特徴かなと思います。もちろん、指導医の先生はついていてくれますが、基本的にその患者さんに関わる全てのことは、研修医が主治医として行いますので、責任感を持って業務に携わることになります。
また、胸腔穿刺や、トロッカー、マルクなども機会があればやらせてもらえます。PICCとCVも研修医に回してもらうことが多く、5月頭ぐらいにレクチャーを受けて何度か見学に入らせてもらってから指導医の先生と一緒に入ることになります。
プログラムの自由度は高いですか。
診療科という意味では、導入期が4ヶ月あるので、自由選択期間は3ヶ月のみで、個人的には少ない方かなと思います。特にプログラムが内科と外科系が中心になっていて、例えば、皮膚科、耳鼻科、泌尿器科は院内になく、内科系の中でも呼吸器、血液、内分泌系はありません。
初期研修にあたって、どのような姿勢を心がけていますか。
患者さんの担当になる際は、毎日必ず挨拶に行き、不明な点や経過に変化がないか確認するように心がけています。ベッドで横になっている患者さんを、立って上から見下ろすと、威圧感を与える可能性があるため、しゃがみ込む体勢で目線を合わせるようにしています。
指導医の先生のご指導はいかがでしょうか。
患者さんを受け持つ時には必ず指導医の先生がついて、どんな検査を出せば良いかや薬の容量、期間、今後の治療方針など、気軽に相談できる環境だと思います。
ただ、指導医の先生を捕まえるのが大変だったりするので、教科書で調べてから迷うところがあれば、相談するという感じです。
PICCやマルクなどの手技に入るときにも、自分で完遂できなかったら指導医の先生が代わってくださり、後でフィードバックもちゃんといただけるので、すごく勉強になります。
長野中央病院での初期研修で勉強になっていることはどんなことでしょう。
救急の初期対応について経験を積み、着実に成長していると感じています。また、主治医としての病棟業務にも慣れてきたこと、さらに多職種の方々の役割を理解できていることに自信を持っています。患者さんの病気だけでなく、生活全般、家庭環境、生活習慣など、幅広い視点で考えられるようになったのは、この病院で学んだ大切なことだと思います。
何か失敗談はありますか。
数え切れないほどあります。特に印象に残っているのは、指導医の先生と意思疎通がうまく取れなくて、お互い誤解があり、私が勝手にお薬の用量を半分に減らしてしまったことですごく先生に怒られたことです。あとPICCを6回も連続で失敗してしまったことがあります(汗)。
当直の体制をお聞かせください。
導入期が終わった後、8月から9月にかけて救急集中期間があり、以降で当直に入ることになります。指導医の先生が必ずサポートしてくださるため、迷うことがあってもすぐに相談できます。患者さんの不利益になるようなことはありません。当直のスケジュールは、仕事終わりの17時15分から22時までのA当直と、22時から翌朝8時45分までのB当直に分かれています。1年目はA当直を、2年目以降はAかBのどちらかを選べるようになります。B当直の場合、翌日は当直明けで休みになります。なお、当直だけでなく月に1回程度の宿直をすることもあります。
カンファレンスの雰囲気はいかがですか。
基本的に、医者だけが主導する感じではなく、多職種の方々が積極的に参加しており、本当に患者さんのためになるカンファレンスだと思います。例えば、理学療法士さんからはリハビリについて具体的に教えていただいたり、どんな変形やどの筋肉に注意すべきかを学んだりしました。また、心不全や糖尿病の患者さんに関しては管理栄養士さんから水分や塩分制限、カロリー制限についてアドバイスを受けました。そして、私自身も入院費の問題で悩んでいた患者がいらっしゃいましたが、ケアマネージャーさんに相談して助けていただきました。
病院に改善を望みたいことはありますか。
救急単位は多いですが、外来単位が少ない方だと思っています。週に2回、午前中に外来単位がありますが、初期研修医全員で順番に担当するため、実際には2週間に1回か1ヶ月に1回程度しか回ってきません。3年目になると、すぐに外来を担当しなければならないため、外来の機会を増やしていただきたいです。また、腹部エコーの研修は導入期のうちに受けることができますが、心エコーについては循環器科を回ってもあまりレクチャーがなかったため、心エコーに関する指導を受けたいと思いました。さらに、自由選択の機会も増やしていただけるとありがたいです。
コメディカルの方たちとのコミュニケーションはいかがですか。
薬剤師さんから私が出したオーダーの中で注意すべきことがある時は薬剤師さんの方からの注意していただいたこともあります。
当直の際に整形の先生が院内にいないとき、放射線技師さんが骨折やひびの有無の判断を助けてもらったこともあります。
お住まいは寮ですか。
私は病院の寮に住んでいます。ただし、他の先生方は住宅補助が出るため、大体はご自身で部屋探しをされていると思います。住宅補助は5万円程度までの上限があり、残りは自己負担となります。私が住む寮は病院まで徒歩13分ほどで、家賃は月6800円です。ただ、寮の部屋数は少ないです。
ご趣味など、プライベートの過ごし方について教えてください。
初給料をすべて使って電子ピアノを購入しました。ピアノを弾いたり、実家にいたときはワンちゃんと散歩に行ったり、1人で散歩したり、小説を読んだりしています。特にファンタジー系の小説が好きです。また、住んでいる地域が温泉で有名な場所なので、温泉巡りも最近よく楽しんでいます。同期の先生方とは仲良く、一緒に上高地のキャンプ場に行ったり、冬にはスキーにも行ったりしました。先日は東京でマッスルバーにも行ってきました(笑)。ゴールデンウィークや年末年始、お盆休みは有休が自由に取れるため、連休と有休を組み合わせて9日間から10日間ほどの休暇を楽しんでいます。去年はモンゴル、今年は台湾に旅行に行きました。
今後のご予定をお聞かせください。
確実に決まっているわけではありません。入職した当初は、学生時代に呼吸器と循環器に興味を持ち、内科系に進もうかと考えていました。しかし、実際に働いてみると、自分が思った以上に内気な性格で、患者さんやご家族に声をかけづらいと感じています。最近は麻酔科に興味を持ち始めました。