長野医療生活協同組合 長野中央病院
〒380-0814
長野県長野市西鶴賀町1570
TEL:026-234-3307
FAX:093-234-3254
病院URL:https://www.nagano-chuo-hospital.jp/
- 名前
- 小林 哲之(こばやし てつゆき)
- 役職
- 総合診療科 研修指導医
- 経歴
- 2016年に千葉大学を卒業。当院で初期・後期研修経て、総合診療科専門医として着任。現職に至る。
- 専門分野
- 日本専門医機構総合診療科専門医
- 所属
- 日本プライマリ・ケア連合学会、日本病院総合診療医学会、日本内科学会、日本外来小児科学会、日本消化器内視鏡学会にも所属する
長野中央病院の特徴をお聞かせください。
長野市の中心に位置する当院は、急性期から慢性期まで、幅広い医療ニーズに対応している二次救急病院です。
小林先生がいらっしゃる総合診療科の特徴もお願いします。
長野市内で唯一、実働している専門研修プログラムがあり、入院病棟、総合診療科外来、在宅と全てをやっている病院になります。
長野中央病院の初期研修プログラムで学べる特徴について、ご紹介くださいますか。
「確かな主治医力を身につける」ことを、研修の理念にしています。主治医として、意思決定をする能力を身につけられると思います。
プログラムの自由度についてお聞かせください。
1学年5人までとなっており、基本的には、研修医の先生方の希望を聞いて自由度高くやっていただいています。
ただ、ローテーションする診療科については、主治医力を身につける以上、幅広く経験すべきだという考え方があるので、多くの診療科を必修で回ってもらいます。そのため、自由選択ができる期間と診療科は少なめです。
最近の研修医をご覧になって、いかがですか。
働き方改革と新専門医制度の世代になっているので、自分たちの研修医の頃とはやっぱり違うな、というのは感じます。初期研修ぐらいの年代になってくると、半分ぐらい自分の人生のテーマみたいなものが、決まってきても良い年頃だと思うのですが、そのきっかけが得にくくなっており、人生の主体的な悩みをベースに持っている人が多くなったような印象は感じます。
昔は、大学卒業後、すぐどこかに入局して、人生のテーマを決めざるを得ないような流れがあったと思います。ですが、今は自由が保障された結果、自分の人生のテーマは自分で早く決めることが求められており、お父さん的な存在の人が決めてくれる、ということがなくなっているのだと思います。この歳になって自分の人生のテーマが決まらない、という地に足のつかない不安が吐露されることはあります。
初期研修医の指導にあたって、心がけておられることをお聞かせください。
まず心理的安全です。これが何よりも重要です。今の初期研修医は、研修の内容が保障され充実している分、“成長すべき”というプレッシャーは強くなっていると思います。常に自己変革を要求され続ける立場にあるので、端的に言うと、「教えたのにまだできないの?」と言われやすい構造があるわけです。
心理的な安全を担保してあげないと付く力もつかないので、まず前提条件をクリアしているのかというのは、気をつけるようにしています。
いろんな人がいるので、相手のことをわかった気持ちにならず、今研修医は心理的に安全だろうか、と気を配る姿勢は常に崩さないようにしています。
「こんな研修医がいた」というエピソードがあれば、お聞かせください。
ずっと都内で生まれ育ってきた方で、何かチャレンジがしたくてうちの病院で研修を行い、メキメキと力をつけ、研修卒業後都内に戻り、臨床に留まらず社会活動や、NPOを立ち上げて、テレビなどにも出演している研修医がいました。
当院は主治医というものをすごく大事にしているのですが、つまりそれは、自分なりの美学や、理想の医師像というものを持っている人材を期待しているということです。
“自分はこういう医者が美しいと思う”、“こういう医療が良いことだと思う”、そういった哲学やその人なりのやり方を持っている人が、当院に入職した後も杭を打たれることなく、のびのびと成長できたのだと思えたエピソードでした。病院としても、とても嬉しかったことです。
現在の臨床研修制度についてのご意見をお願いします。
昔に比べて様々な事が整備されているなという印象を感じます。教える側も教わる側も、言葉や文章にして表現しなければならないことが増えており、リソースに余裕のある大規模な病院に有利な制度設計だな、というのは中小病院の立場としては感じます。