専門研修インタビュー

2024-08-01

札幌医科大学附属病院(北海道) 専攻医 井澤朋大先生 (2024年)

札幌医科大学附属病院(北海道)の専攻医、井澤朋大先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。

札幌医科大学附属病院

〒060-8543
北海道札幌市中央区南1条西16-291
TEL:011-688-9486
FAX:011-621-8059
病院URL:http://web.sapmed.ac.jp/byoin/

井澤先生の近影

名前 井澤(イザワ) 朋大(トモヒロ)
出身 北海道 札幌市
出身大学 札幌医科大学
医師免許取得年 2022年
初期研修施設 札幌医科大学病院
専攻医研修 整形外科

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

 高校時代、階段から転落して肘を強打し、血が溜まる怪我をしました。その際、整形外科で治療を受けたことがきっかけで、医師に興味を持つようになりました。当時の先生が優しく接してくださり、医師を職業としてイメージしやすくなりました。

学生生活はいかがでしたか。

 学生生活は、高校までの生活とは大きく異なり、学ぶ内容も専門的で自由度が高いです。勉強をある程度こなせば、自分の生活に自由が生まれます。その自由を活かしてアルバイトをするのも良し、部活動に打ち込むのも良し、どういう生活を送るかは個人の裁量に任されています。
私は準硬式野球部に所属していました。先輩方との関わりを通じて、公私ともに多くのことを学びました。学生時代は、部活動に全力を注ぎ、充実した日々を過ごしました。

初期研修の病院を札幌医科大学病院に決めたのはなぜですか。

 そうですね。私は初期プログラムAを選びました。このプログラムでは2年目に外部の病院で研修を行うことができます。学生時代から希望する科がある程度決まっていたので、その科をしっかり学べる病院を選びました。
1年目と2年目のどちらで外部病院に行くか迷いましたが、希望する科でしっかり学びたいと思い、2年目に外部病院で研修するAプログラムを選びました。私は整形外科を希望していましたが、上の先生方がとても親切に教えてくださり、大変勉強になりました。

整形外科を目指すことを決めた中での初期研修は、イメージ通りでしたか。

 色んな科を回ってみると、どの科も面白くて、その科もいいかなと思うこともありました。でも、やりたい科が決まっていると、他の科に回っているときも「やっぱり整形外科に行きたい」と最初から言っていました。そのため、他の科の先生も「知っておいた方がいいよ」と積極的に知識を教えてくれました。お互いに勧誘するといった、余計な気遣いもなく過ごせたのは良かったと思います。
本当にいろんなところでいろんな知識をもらい、それが今も、そして今後も役に立つと思います。

専攻医1年目の現在は、どのような研修をなさっていますか。

 まずは基本的なことが中心です。上の先生について、詳しく内容を見たり、教えてもらいながら少しずつ実践しています。具体的には、外来を見学し、対応方法を学んだ後、実際に外来を担当しています。腰痛や膝痛の患者さんが多く、その対応方法や診断の仕方の学びが多いです。手術に関しても、なぜその手術を行うのかを学び、実際に自分でも手術を行う機会があります。積極的に様々なことに取り組んでいます。

専攻医研修で特に勉強になっていることを教えてください。

 学生時代は座学が中心で、各科でどのような病気を診るかを学んでいました。しかし、専攻医研修では、初診で患者さんがどのような疾患を抱えているか全くわからない状態から始まります。そのため、疾患を見分ける力を養うことが重要です。また、患者さんが何を求めているのか、どのような対応をすれば満足してもらえるのか、逆にどのような対応が良くないのかを学ぶことも大切です。その点が勉強になってます。

学んだ点で具体的事例はありますか?

 以前、救急車で運ばれてきた患者さんがいました。仕事中に近くの山で転倒し、身体のあちこちをぶつけたため、レントゲンやCTを撮影して骨折の有無を確認していました。念のため頭部も撮影したところ、頭の中に血腫が見つかりました。この場合、整形外科ではなく脳外科での治療が必要となるため、すぐに脳外科に移ってもらいました。
やはり、整形外科の範囲だけでなく、他の部分にも注意深く観察し、感じて、緊急性の高さや度合いを判断することが重要なのだと教訓になりました。

専攻医研修でやりがいを感じるのはどのような時ですか。

 そうですね、まだ若輩者の私が何か言うのは申し訳ないのですが、やはり患者さんが良くなって笑顔で退院していくときが、一番やりがいを感じる瞬間です。そういう場面を見ると、医師としての冥利に尽きると思います。
患者さんの対応には、主治医制とチーム全体で見ることがあります。基本的に人数が多いので、チームで大変な部分をカバーしつつ、主治医制も取り入れています。バランスを取りながら対応しています。私が担当する患者さんもいらっしゃいますが、その方が良くなって退院される際に「ありがとう」と言われると、本当に嬉しいです。感謝の言葉をいただけると、やりがいを感じます。

井澤先生の写真

専攻医研修で辛いことはどのようなことですか。

 まだ未熟なので、自分一人ではうまくいかないこともあります。自分の無力さを感じる瞬間も多いです。例えば、腰が痛い患者さんが来たとき、自分が診てもよくわからず、診断がつけられずに患者さんの痛みを長引かせてしまうことがあります。他の先生が診ていたらもっと早く診断がついて、より良い対処ができたのではないかと思うこともあります。そういうときは後悔というよりも、もっと頑張らなければと思う瞬間です。

なにか失敗談はありますか。

 そうですね。骨折している方が来て、その方は手首のあたりの骨折だったんですけど、手術をした方がいいかなって勧めたんです。でも、その方は手術を希望されず、保存的に様子を見ることにしました。その場合、ギプスなどで形を戻して固定する必要があるんですけど、その時、たまたまその方が手につける装具を持っていたので、それをつけてもらいました。しかし、それだけでは固定力が全然足りなかったみたいで、骨折した部分がずれてきてしまいました。
結局、その後でギプスを巻き直すことになったんですけど、ズレが大きくなってしまったので、最初の対応は少し失敗していたなと思いました。

指導医の先生方のご指導はいかがですか。

 そうですね。皆さんとても優しくて、丁寧に教えてくださるので、もっと雑な感じかなと思っていたのですが、実際はそうではなく、良い意味で期待を裏切られました。
大学病院は、チーム制で専門分野ごとに分かれて活動します。それぞれのチームには専門の先生方がいらっしゃり、非常に丁寧に教えてくださいます。足の専門の先生もいれば、手の専門の先生もおり、学びの場として最高です。多くの先生方がいらっしゃるので、それぞれの意見や学び方を聞くことができ、本当に学ぶには苦労しないと感じます。

現在、大学病院でなく市中病院で研修をされているとお聞きしましたが。

 そうです。今は北海道立子ども総合医療・療育センター(こどもっくる)でお世話になっております。この病院では整形外科の常勤の先生が2人しかいらっしゃらないので、少ない人数でどう対応していくかが重要です。そのため、仕事の内容ややらなければならないことも大学病院とは大きく異なります。手術に関しても、人手が大学病院と比べて全然足りないので、どのように進めていくかを工夫しています。
本当に病院によってそれぞれ異なると思いますが、この病院ではこの病院に合った働き方を学んでいます。

今後のご予定をお聞かせください。

 はい、キャリアプランはまだはっきりとしたものはありませんが、まずは専門医の資格を取得することを目指しています。そのために、経験を積み重ねていきたいと思っています。その後は、専門分野に関する知識を深め、その分野でどのように関わっていくかを考えています。
ただ、まだ専門分野を決めていないので、具体的なプランははっきりしていません。今からの3年間で徐々に決めていくつもりです。

【動画】井澤先生インタビュー

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