専門研修インタビュー

2024-12-01

社会医療法人 緑泉会 米盛病院(鹿児島県) / 専攻医修了医 新津伸先生(救急科) (2024年)

米盛病院(鹿児島県)の専攻医修了医:新津 伸先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。※この内容は2024年に収録したものです。

社会医療法人 緑泉会 米盛病院

〒890-0062
鹿児島県鹿児島市与次郎1-7-1
TEL:099-230-0100
FAX:099-230-0101
病院URL:https://www.yonemorihp.jp/

新津先生の顔写真
名前
新津 伸(にいつ しん)専攻医修了医
出身
東京都
出身大学
日本大学
医師免許取得年度
2017年
初期研修施設
浦添総合病院(沖縄県)
専攻医研修
救急科

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

新津先生の近影

医師以外にも色々な職業を考えていて、医学部に入る前は理工学部を目指していました。
祖母が『人のために、人の役に立つような仕事をしなさい』と日頃から言っていて、父が医師をしていたということもあり、医師という職業が身近にあったというのも大きかったと思います。祖母の言葉をきっかけに浪人してから医師を目指しました。

救急科を目指したのはいつ頃ですか。また、どうしてですか。

経歴はちょっと複雑で、日本大学を卒業してから沖縄県の浦添総合病院で2年間研修を行い、
その後一度医師を辞め海外に行っていました。
フィリピンとカナダに行っており、その間にCOVID-19が流行ったので帰国することになりました。
帰国後は長野県にある市立大町総合病院で医師として復帰しました。

ただその時は後期研修には入らずに初期研修上がりで医療を提供していたのですが、その時に救急の大事さを知り、どの科に行っても必要な知識になるだろうということで救急科を目指しました。

海外に留学に行かれたのはどうしてですか。

海外旅行中の新津先生

大学の頃からバックパッカーをしていて、以前から1年かけて海外を回りたいなと思っていました。英語ができると旅の充実度が変わると思い、英語を勉強するための語学留学も兼ねて海外に渡りました。

鹿児島という土地はどのような所ですか。

めちゃくちゃいいです。僕は東京出身ですが、鳥刺しのような他県では食べられない美味しい料理もあって、休みの日などのプライベートも充実しています。
僕は特に桜島に魅力を感じました。

米盛病院に研修先を決めた理由はなんですか。

鹿児島県に来るとは思ってもいませんでしたが、縁があり米盛病院に見学に来てみて、設備が整っている点や病院の研修内容について自分たちがこうしたいっていう希望は優先し、相談に乗ってくれるような雰囲気の良さを感じました。そして何より、米盛病院から見える桜島が圧巻で入職を決めました。
まぁやっぱり決め手は『桜島』ですかね(笑)

実際に働いてみた感想は、病院自体が毎年毎年進化していて、見える景色が変っていくのが楽しいです。
まだまだ発展途上なので自分自身も楽しみが多いです。一緒にそのような環境をenjoyできたらなぁと思います。

新津先生が思う米盛病院の救急科専門研修プログラムの魅力とは。

すごくやる気がある人にはとてもいい環境なのかなと思います。
結構何でもやれるというか、どんどん積極的になればなるほど面白くなるんじゃないかなと思います。

私は、当院にはない産婦人科や小児科の研修を行うために去年直談判をしました。結果として、産婦人科研修を熊本県にある福田病院で1ヶ月、小児科研修を沖縄県の南部医療センターで2ヶ月研修させていただきました。あとは湘南鎌倉総合病院出身の上級医がいたこともあり、病院間で連携の契約をしてもらい、日本一救急車が来る病院で働きたいという理由で2ヶ月お世話になったりもしました。

その他に、私の後輩の場合、外傷外科医を目指しているのでオペもしていますし、優先的に外傷オペには入れるように配慮をしてくださっています。
将来を見据え、個人個人の希望に合わせて研修内容を調整してくださる所が当院の専門研修プログラムの魅力だと思います。

自分たちのこのような救急医になりたいという希望を優先してくれて相談に乗ってくれるような病院です。

その他の魅力も教えてください。

新津先生の近影

民間救急ヘリに早期に乗ることができるのも魅力の1つですね。
鹿児島県のドクターヘリは2台あり、鹿児島市立病院さんと大島病院さんがドクターヘリの基地病院になっています。加えて、私達米盛病院が民間救急ヘリを持っています。

運用方法としては、県のドクターヘリが対応中に重複要請があった時に出動します。
民間救急ヘリやドクターカーなどのプレホスの経験は、少ない医療資源の中で救命と他職種との連携を考える勉強になるので、救急科医としての力をつけるのには良いと思います。

専攻医1年目と2年目では、どのような研修をされましたか。

当院が結構特殊な部分があって、ERを診ながら、チーム制で入院患者の主治医を行っています。
2年目の短期研修でICU研修をさせていただきました。これも希望させていただき研修をすることができました。救急科の専門研修では、自分たちがやりたいこと、経験したいことを相談の上、必要性や熱意があればやらせてもらえる環境です。

またメディカルラリー※に看護師、救命士とチームを組み自主的に参加しています。
その活動に法人が賛同し支援してくれています。
初めて出たメディカルラリーでは、良い成績を残せませんでした。その反省を活かし、看護師や救命士も一緒に勉強して、昨年参加した熊本でのメディカルラリーでは優勝しました!

また、今年の航空医療学会でのメディカルラリーでは3位と結果を残してきています。
メディカルラリーへの参加は、結果を求めているわけではなく、日々チームの看護師、救命士と勉強することで、それぞれが実臨床に活かせることが一番の目的です。
この経験も自分の財産のひとつだと考えています。

※医師・看護師・救急救命士などで構成されるチームが、主に病院前救護における知識や技術を競う競技会のこと。 複数の現場が再現された場所(シナリオステーション)で模擬患者に対して診察や処置を行い、総合得点を競う。 発祥はチェコ共和国で、日本では2002年に千里救命救急センターの主催で開催されたことをきっかけに全国各地で行われるようになった。

ICUでの研修はいかがでしたか。

当院はクローズドICUで運用しており、ICUに専門のチームがいるので、その先生方とディスカッションしながら、研修を行っていました。
また、主体的に患者さんに接し、By system※で全身管理を行う非常に有意義な研修だったので、プレホス、病棟管理などの日々の業務に役立っています。

※カルテ記載において専用の型で記載することで診療の質の向上をめざすこと。
具体的には、神経,呼吸,循環,消化器,水分・電解質・栄養,腎臓,血液,感染というように,臓器系(=System:臓器単独ではなく,複数の臓器をまとめた一つの機能単位)ごとに決まった順番で各種パラメーターや介入状況を記載する。

専門研修で特に勉強になっていることを教えてください。また、やりがいを感じるのはどのような時ですか。

冬のキャンプを楽しむ新津先生

特に救急というのは、「医療資源を考えた活動をする」という事が多いかなと思いますが、
そういった面は災害時に考え方がすごい役に立つと思います。
県の災害対策や災害に備えた訓練にも参加させていただいて、全体的に救急がどういった役割で
医療として入るかというのを考えることにすごくやりがいを感じます。

また、他科の先生ともコミュニケーションが大事になってくるので、そういった時に救急をやっていて良かったなとすごく思います。

専門研修で辛いことはどのようなことですか。

当院が外傷の患者さんがよく来る病院であり、若い方の外傷によるCPAや僕と年齢も変わらないぐらいの人がそういった状態で運ばれてくるというのは辛さを感じることはあります。

当直の体制をお聞かせください。

夜間に関しては、夜勤と当直を組み合わせて救急外来を診ています。
基本は3名体制です。

コマンダーとは、急性期、回復期を含めた病棟の対応を行います。
例えば夜中に血圧が下がったなどの理由から病棟の看護師さんから連絡が来たときに、対応するようなイメージです。

急変対応で頼りになる存在はいますか。

日中も夜間も専攻医は上級医と行うので、例えば病棟で急変があった場合などは、気軽に相談が可能です。また、ER看護師、院内救命士もいて救急医として他職種間の連携も取れており、急変時対応は、チームとして対応します。救命とチームの統率を含め救急科医の力の見せ所だと思っています。

指導医の先生方のご指導はいかがですか。

トレッキング中の新津先生

当院の専門医研修は僕で2代目です。元々前例がないところから専門研修をしているというところもあって、幅広く指導していただいているかなと思っています。

あとは、様々なバックグラウンドを持っている先生方が在籍しているので、それぞれの良いとこ取りじゃないですけど、自分が必要なときにご相談をさせていただいて、一緒に検討してもらったりしています。指導医の先生から一方的に教えてもらう・話を聞くというより、自分から質問したり、教わりに行ったりというように双方向のコミュニケーションが取りやすいかなと思います。

カンファレンスはいかがですか。

毎朝ERで、夜間帯に入院した患者さんのカンファレンスを行っています。
あとは病棟管理がチーム制になっていますので、病棟の患者様については、チーム内でのカンファレンスを定期的に行っています。ICUカンファレンスは毎日参加するようにしています。
分からない症例であったり、相談したい症例についてカンファレンスで相談をします。
ERカンファレンスは割とフランクな雰囲気で行われることが多いかなと思います。

ICUカンファレンスは各専門の先生が出席してくれたりするので、すごく勉強になっています。
ERカンファレンスの時間は10分ぐらいですね。
ICUカンファレンスは10診療科あるので、例えば私が主治医として担当している症例であれば、その時間に行って5~10分程度でプレゼンしています。

専攻医同士のコミュニケーションはいかがですか。

仲はいい方だと思います。僕が2代目で、3代目に2人います。
あとは他の病院から救急を学びたいという先生が1人と、更にはお母さんもやりながら、救急の専門医を取りたいという先生が1人います。
僕はもう専攻医を卒業しちゃっているので、現状、救急科専攻医は4人です。

医局の中に専攻医の机もあるので、他科の先生方とも結構頻繁にコミュニケーションが取りやすいような環境ではあると思います。

今後のご予定をお聞かせください。

救急の専門医試験は今年ありましたが私事で受けられなかったので、来年受けようと思っています。あとは、内視鏡に興味があるので、勉強したいなと思います。

専門研修を振り返っていかがですか。

3年間という期間を決めて専門研修に臨んだのですが、救急科上級医の先生方との良い出会いがあり、救急の面白さを知りました。ですので、専門研修の3年間を終えた今も救急を学んでいます。研修先を決める決め手になった桜島が目の前にあるのですごく景色もキレイで魅了されていますし、米盛病院を選んで本当に良かったなと思っています。

自由度の高い研修で、自分のやりたい研修をやりたいようにさせていただいていることや、バックグラウンドが様々な先生方と出会い、色々と勉強させてもらっていることに加え、尊敬できる先生方に出会えたというのは非常大きいなと思います。

専攻医研修の病院を選ぶ初期研修医にメッセージをお願いします。

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