初期研修インタビュー

2025-01-01

愛媛大学医学部付属病院(愛媛県) 初期研修医 山口りさこ先生 (2024年)

愛媛大学医学部付属病院の初期研修医、山口りさこ先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。※この内容は2024年に収録したものです。

愛媛大学医学部附属病院

〒791-0295
愛媛県東温市志津川454
TEL:089-960-5098
FAX:089-960-5759
病院URL:https://www.hsp.ehime-u.ac.jp/

山口先生の近影
名前
山口 りさこ 研修医
出身
愛媛県松山市
出身大学
愛媛大学
医師免許取得年度
2023年

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

小さい頃から動物が好きで、獣医師になることが夢だったのですが、小学生のときに曽祖母が亡くなったことをきっかけに、家族などの身近な人を診たいと思い、医師を目指すようになりました。獣医師か医師かで迷っていた時期もありましたが、最終的には医学に興味を持ったので、医師を選びました。

学生生活ではどんなことが思い出に残っていますか。

軟式テニス部での活動です。私は中学、高校と軟式テニスをしていたので、大学もまた軟式テニスかという感じでしたが(笑)、仲間やチームメイトに恵まれ、楽しく活動していました。大学生活はほとんどテニスに染まっていましたね。経験者ももちろんいましたが、初心者も多く、高め合える環境でした。

大学卒業後、研修先を愛媛大学医学部附属病院に決めた理由をお聞かせください。

私は大学に地域枠で入学しているので、愛媛大学医学部附属病院で初期研修をすることは決まっていました。ただ、2年間を通して大学病院で研修するか、1年目を市中病院で研修するのかを選ばせていただけます。そこで、私は1年目を市中病院で研修し、2年目に大学病院に戻ってくるパターンを選びました。

1年目に市中病院を選ばれたのはどうしてですか。

市中病院の方が救急車の数が多いですし、初期の救急対応を学べる機会が豊富にあるのかなと思ったからです。もちろん大学病院でも学べるものは多くありますが、ありふれた疾患は市中病院で数多く診ているという印象があったので、先にそういうところを診たうえで大学病院に帰り、専門性の高い疾患を診たいと考えました。

研修先の市中病院は選べるのですか。

いくつかの選択肢があり、その中から病院見学などに行って、選ぶことができます。私は市立宇和島病院を選びました。宇和島には親戚がいて、馴染みがあったということも理由ですが、見学に行った際にスタッフの先生や研修医の先生方が病院を強く推しており、雰囲気の良さが印象に残ったからです。1年目の研修病院としてはとても良い病院なのではないかと思い、市立宇和島病院を選びました。

市立宇和島病院での1年目の研修を振り返って、いかがですか。

やはり救急という面では毎日コンスタントに救急車が来て、初期研修医がファーストタッチを行い、指導医の先生から手厚いご指導を受けられましたので、力がついたかなと実感しています。そして診療科の垣根が低い病院なので、指導医の先生方に相談しやすく、疑問なども気軽に質問しやすかったです。本当に勉強になりました。

2年目で大学病院に戻ってこられたのですね。大学病院ではイメージ通りの初期研修ができていますか。

大学病院は専門性が高く、初期研修医がなかなか踏み込めない領域があるというイメージを持っていましたが、そんなことは全くありませんでした。初期研修医がしっかり関われるような体制があり、指導医の先生方の数も多く、イメージしていたよりもチームの一員として医療に関わることができているなと感じています。

プログラムの特徴はどのような点でしょうか。

1年目は大学病院の人もいますし、私のように市中病院で研修した人もいます。1年目は大学病院で研修した人でも2年目に外部の連携病院で研修することができるのが大きな特徴だと思います。救急や小児科に強い病院などもあり、興味のある分野が決まっている人にもいいプログラムになっています。私のように1年目に市中病院で研修すると、市中病院で一般的な疾患を診たうえで、大学病院に帰り、大学病院で専門性の高い疾患や最先端の治療を診ることができるので、順を追って診られるのはいいですね。

プログラムの自由度は高いですか。

インタビュー風景

かなり高いです。2年目は地域医療以外は自分でプログラムを決めることができるので、自由に選ばせていただいています。

地域医療研修はいかがでしたか。

最大で3カ月の研修ができるのですが、私は松山市の愛媛生協病院と市立宇和島病院で1カ月ずつの計2カ月の研修を行いました。愛媛生協病院では内科全般を研修したのですが、普段なかなか診ないような地域病院ならではの患者さんや訪問診療が学べました。入院したのはいいけれども、自宅に退院できるのか、退院後の生活はどうするのか、退院後のサービスはどうするかなど多職種で連携して考えないといけないということが多くあり、大変いい経験になりました。

市立宇和島病院での地域医療研修はいかがでしたか。

呼吸器内科で研修しました。1年目の初期研修をした病院なので、2年目で戻らせていただいたときにはまず安心感がありました(笑)。知っている先生方、スタッフの方々、同期や後輩の研修医がいて、賑やかに楽しく過ごしました。研修では救急対応はもちろんですが、癌患者さんへのICや緩和ケアなど病気だけでなく、今後医療者として必要な考え方や患者さんや家族との関わり方などについて多く学ぶことができました。

初期研修にあたって、どのような姿勢を心がけていますか。

患者さんとの関係性に関しては、自分でICをしたり、病状を説明したりなど、任せていただくことが増えてきましたが、患者さんへの分かりやすい言葉選びをしたり、どういうふうに説明をすれば安心して帰っていただけるのかを意識してコミュニケーションを取ることを心がけています。

愛媛大学医学部附属病院での初期研修で勉強になっていることはどんなことでしょう。

1年目のときは指導医の先生のカルテの後追いをしたり、先生が考えていることを理解することで精一杯でした。2年目の研修をしていくにしたがって、今後の治療を考えてみようと言われることが増え、病態の理解やアセスメント、どういう治療をしていくのか自分なりに考えた上でご指導いただくことがとても勉強になっています。

失敗談はありますか。

先ほど患者さんとのコミュニケーションで心がけていることをお話ししましたが、なぜ心がけるようになったのかと言うと、患者さんに「その話は分からないよ」と言われたり、看護師さんから「先生、今の説明だと患者さんは分からないかもね」と客観的に言っていただいたりしたからなんです。それで「失敗から学ぶ」ではありませんが、「こうしたら良かったな」と反省することが多いので、それが失敗談ですね。

当直の体制をお聞かせください。

大学病院では研修医の当直は基本的にはありませんが、救急科を回っているときにICU当直に入ることができます。ただ、当院のプログラムの特徴として輪番制となっている外部病院での救急研修があり、定期的に何人かの初期研修医が交互に行っています。回数は少ない人だと月に1回もないことがありますが、多い人で3回から4回ぐらいです。

私の場合は院内の救急科を回ると研修に行ける外部の輪番病院の選択肢が増えるので、多い時で月に3、4回は入っています。体制は当院のICU当直だと救急科の医師2人と初期研修医1人です。輪番制の外部病院だと初期研修医3人から4人で行き、当院の指導医の先生や外部病院の指導医の先生に教えていただく体制となっています。

また当院では救急当直以外だと小児科ローテ中の当直も可能です。

当直で勉強になっていることはどのようなことですか。

当院での当直はICU当直がメインになるので、急変対応を学べます。最初はそういう場面に出くわしたときは精神的にも焦ったりしたのですが、冷静に対応されている先生方を見て、焦っていても仕方ないから自分にできることをしていこうと思えるになりました。私自身の知識の足りなさも感じましたし、勉強するための良いきっかけになっています。

指導医の先生のご指導はいかがでしょうか。

熱心に指導してくださる先生方が多いです。大学病院は外来もかなり混雑していますし、病棟の業務も大変なことが多いのですが、そのような中で時間を割いて教育してくださる先生方が多くいらっしゃるのは感謝してもしきれないぐらいで、本当に勉強になっています。

カンファレンスの雰囲気はいかがですか。

同期の仲間と

診療科によって雰囲気は全く違うのですが、基本的には初期研修医が発表することが多いです。地域の病院に行くとカンファレンスが当たり前ではないんだなと思うこともある中で、当院はしっかりカンファレンスの場を設けようとしてくださっています。カンファレンスで患者さんについて、皆が話し合うのは色々な意見を共有できる場でもありますし、私自身も自分で話すことで、理解できていないことを知ったり、考えることと話すことの違いを実感できたりするので、カンファレンスの意義を感じています。

コメディカルスタッフの方々とのコミュニケーションはいかがですか。

病棟では看護師さんや臨床工学技士さんなど、多職種で連携していることが印象的です。自分で気づけなかったことでも看護師さんだからこそ気づけたこともあり、病棟での患者さんの状態を聞くことは大事だなと思います。頻繁に連絡をくださる看護師さんもいますし、そうしたコミュニケーションはこれから3年目になるにあたっても大切にしていきたいです。

病院に改善を望みたいことはありますか。

すぐには思いつかないです。

研修医同士のコミュニケーションはいかがですか。

広い研修医室があり、30人少しの研修医で過ごしています。2年目研修医は25人で、1年目が7人です。1年目は市中病院、2年目に大学病院という人が多いので、2年研修医の人数はかなり増えます。研修医室に帰って、皆と話したりすることがリラックスになりますし、楽しみになっています。

私は、1年目は市中病院にいて、2年目に大学病院に帰ってくるプログラムですが、そういうたすきがけの人たちが多くいるので、2年目は皆で再集合した印象です(笑)。研修医室で、ほかの病院の話を聞けたりするのも面白いですね。

お住まいは寮ですか。

私は大学病院近くのアパートに住んでいます。家賃手当はありませんが、通勤手当をいただけます。また病院敷地内に宿舎があり、通常よりも安く借りられため、そこを利用している人もいますよ。

今後のご予定をお聞かせください。

膠原病内科を専攻し、当院で専攻医研修を行う予定です。もともと膠原病内科に漠然とした興味がありました。1年目では膠原病の診療を経験する機会が少なく、2年目で当院の膠原病内科を回りました。

実際に膠原病の患者さんを診ると、膠原病では患者さんと長くお付き合いする疾患が多いので、長いお付き合いの中で患者さんと一緒に頑張っていきたいという気持ちになり、膠原病内科を選びました。私は地域枠で入学したので、初期研修を含めて9年の義務年限があるのですが、県内や県外で経験し学んだことを地元の愛媛県で患者さんに還元できたらいいなと思っています。

ご趣味など、プライベートの過ごし方について教えてください。

基本的には家でのんびりと映画を見たりすることが多いのですが、恵まれていることにアクティブな友人たちが周りにいるので、そういう友人たちに連れ出してもらって、旅行や登山に行くこともあります。

今年は石鎚山に登りましたし、初めてダイビングにも挑戦しました。ダイビングをしたのは屋久島です。屋久島は天候が変わりやすく、島の中でも晴れている場所と雨の場所が運転中にはっきり分かるのが不思議な感覚でした。

島の方々も優しかったので、もう一度行きたいですね。屋久杉も何とも言えない迫力がありました。

現在の臨床研修制度についてのご意見をお願いします。

私は膠原病内科に興味があったものの、自分が何をしたいのかを模索していた時期もありました。膠原病は全身を診る必要があり、そういう意味でも色々な科を経験したいと考えていましたので、自分で回りたい科を選択できるこの制度は私には合っていました。

科が決まっていない人たちからしても、色々な科を回って経験できるのは選択肢が広がりますし、いいことだと思います。

最後に、これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします

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