全国で活躍する女性医師

2021-03-31

長野赤十字病院

全国の赤十字病院の中から、長崎県の長野赤十字病院にお伺いしました。研修のプログラム、1日のスケジュールなど、現場の声が聞けるインタビューです。

  • 佐藤 真由香先生

    佐藤 真由香先生プロフィール

    長野県長野市出身

    2020年3月
    日本大学 卒業
    2021年4月
    長野赤十字病院で初期研修を行う
  • 轟 有希先生

    轟 有希先生プロフィール

    長野県長野市出身

    2020年3月
    日本大学 卒業
    2021年4月
    長野赤十字病院で初期研修を行う

現在までの佐藤先生&轟先生現在までの佐藤先生&轟先生

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

佐藤

小学生のときから漠然と医師になりたいと考えていました。母が薬剤師で、医療職が身近だったこともありますが、私が生まれたときに新生児仮死になり、小児科の先生に助けられたという話を両親からずっと聞かされていたというのも大きいですね。人の生命に関わり、人の生命を救える職業はいいなと憧れていました。

私は薬剤師になりたかったのですが、高校1年生のときに1つ上の従兄を白血病で亡くしたことが転機になりました。
当たり前なのですが、当時の私には何もできず、それがとても悔しかったんです。
直接、自分の手で診断して治療するという仕事に携わりたいと思い、医師を目指しました。
 

長野赤十字病院を選んだ理由を教えてください。

佐藤

長野市出身なので、大学時代から初期研修では地元に戻ろうと思い、長野市内の病院を探していました。
当院は症例数や救急車の台数が一番多かったところが良かったです。
救急車をファーストタッチで診ることや初期研修医の数が1学年16人という規模も魅力的なポイントでした。

私も大学にいるときから将来は長野市で働きたいと考えていました。長野市で一番大きい病院ということでまず当院が気になりました。
救急車が来たときの初期対応を初期研修医が一番に任されるというのは最初は少しきついのかなと不安もあったのですが、これから先、働いていくにあたって判断力は必要ですし、それを早い段階で身につけたいと思って、当院を選びました。
 

見学にいらしたのは何年生のときですか。

佐藤

大学5年生の春休みと6年生のゴールデンウィークでしたので、結構遅めですね。1年目の初期研修医が診療にあたっていたのを見て、色々と経験させていただける病院なんだなという好印象を受けました。

私は大学5年生の秋に来ました。救急はもちろんですが、総合診療科の外来でも初期研修医が1年目からファーストタッチをさせてもらっていました。
1年目の先生が、かかりつけ医からの紹介症例や難しい症例に対し、一生懸命に検査して、診断をつけてという姿を見て、力がつきそうだと感じましたし、そこが魅力だと思いました。とても魅力的でした。

研修本音トーク研修本音トーク


佐藤

長野赤十字病院は、長野市内で一番の病床数があり、症例数も多く、三次救急も受け入れている病院です。
救急車の台数が多く、診療科も一通り揃っています。
 

初期研修のプログラムについてはいかがですか。

佐藤

総合診療科の外来と救急外来をファーストタッチで診ることができます。
大変な面もありますが、自分で検査を出していかないと患者さんを帰すのか、入院していただくのかも決まりません。かなり追い詰められますが、勉強になっています。

救急では毎朝、自分が診た救急車やウォークインの患者さんの振り返りカンファレンスをしています。
自分が診た中で勉強になるような症例を提示して共有するのですが、同期の人たちがどういう症例を診て、どのように考え、どうしてこの診断をつけたのかを毎日共有できる機会なので、新しい知識を得ることに繋がっています。
 

プログラムの自由度は高いですか。

佐藤

選択期間が5カ月ですし、ほかの病院と比べたら、あまり高くないですね。
 

院外の研修もありますよね。

佐藤

地域医療研修があります。

2年目に行くのですが、まだ詳しいことは決まっていません。
 

選択期間に回る診療科は決めましたか。

佐藤

来年度の前半に3カ月ほど選択があるので、そこだけ決めました。
 

指導医の先生のご指導はいかがですか。

働く前は指導医の先生方は怖い方たちで、よく怒られるのかなと思っていました(笑)。
でも、違いました。当院の先生方は相談などにも親身になって乗ってくださいます。
分からないことや勉強すべきことはもちろんですが、「疲れていることない?」「早く帰っていいよ」といったメンタル的なことも気にかけてくださるので、忙しいながらも、そういうところが助かっています。

佐藤

  基幹災害医療センター この3階が研修医センターです

熱心な先生方が多く、尊敬できる先生方ばかりです。
初期研修医を信じてくださり、ある程度は任せてもらえています。
放任ではなく、信じて任せてくださるので、皆さんに感謝しています。
 

コメディカルの方々とのコミュニケーションはいかがですか。

佐藤

ほかの病院のことは分からないのですが、看護師さんは優しく、丁寧な方ばかりで働きやすいです。研修医を下に見ている看護師さんはいません(笑)。

看護師さんもそうですし、CT室の放射線技師さんも優しいですね。
画像の所見など、「分からない。どうしよう」と思っていると、「ここ、異常なんじゃない」と意見をくださるので、診断のうえでも助かっています。
 

病院に改善してほしいことはありますか。

佐藤

ネット環境でしょうか。
研修医室のWi-Fiの状況が良くないです(笑)。
新しい病院が今の病院の隣の場所に2025年に完成予定なので、今の古さは仕方ないのかなと思っています。

プログラムとしては不満はないのですが、働き始めてから選択期間が短いことが少し気になるようになりました。
将来の診療科が決まっていない人には選択期間が短いことは不利なのかもしれません。
 

同期はいらっしゃいますか。

男女8人ずつの16人です。そのうち2人は信州大学医学部附属病院からのたすきがけで、1人は歯科医師なので、2年目は13人になります。
 

研修医だけの部屋はありますか。

佐藤

少し離れたところに、1、2年目の初期研修医だけの部屋があります。
救急車対応など、「こういうことがあったよ」「失敗したんだ」といったことをすぐに話しています。
 

お住まいは寮ですか。

私は実家から通っています。

佐藤

私は一人暮らしをしています。好きな物件を借りて、家賃補助をいただく形です。
この制度を利用している人と病院の隣にある寮に住んでいる人がいます。私たちの同期は5人が寮に住んでいます。

寮に住んでいる同期の中には「カーテンを開けたら病院が見えるから、それが嫌だ」と言っている人もいます(笑)。
でも道路を挟んで向かい側ですので、近いのはいいですよね。
 

初期研修にあたって、どのような姿勢を心がけていますか。

学生のときとは違って、自分の診療行為に責任があります。
いけないことですが、学生のときは分からないことでも分かったふりをして対応したことがありましたが、今は自分の診断によって、患者さんがどうなっていくのか責任がありますので、分からないことは分からないこととして、上の先生にしっかり相談しようと気をつけています。

佐藤

救急車対応などでは初めて診る症例が多く、分からないこともあるのですが、分からないなりに、すぐに対応した方がいいとか、もう少し様子を見られるだろうとか、重症度をある程度トリアージしていくことが救急車やウォークインが多い当院では重要なことだと思います。
最初は本当に分からず、オーバートリアージ気味になってしまったり、逆に重症な症例を軽く見ていたりしたことがあったので、診断をつけることはできなくても、重症度を考えることを意識しています。
 

長野赤十字病院が初期研修に人気の秘密を教えてください。

当院の初期研修の特徴はどの診療科を回っていても救急での当直があるところです。
救急車やウォークインのファーストタッチを基本的には初期研修医がさせていただけるところが人気の秘密ではないでしょうか。

  • 佐藤先生の1日のスケジュール

  • 轟先生の1日のスケジュール


長野赤十字病院の救急長野赤十字病院の救急

佐藤

北信地域の三次救急を担う救命救急センターなので、件数も非常に多いです。

三次救急ももちろんですが、このあたりには夜間に診療している病院がないので、手を少し切ってしまったという症例も来ます。そうした縫合の練習もさせていただいています。
 

当直回数や体制について、お聞かせください。

今は月に4回です。1年目の3月後半から2年目の研修医がいなくなります。
私たちが2年目になって、1年目の研修医の当直が始まるのが5月なので、その2カ月弱は私たちだけで回すことになります。その期間は月に6、7回あります。

佐藤

平日の準夜帯は17時から24時までですが、この時期は1、2年目の研修医が1人ずつ、救急科の医師が1人か2人、内科と外科の医師が1人ずつです。


どんなことが勉強になりますか。

佐藤

ファーストタッチですね。救急車からの申し送りでバイタルと主訴を聞き、ある程度は想定して所見を取ります。 診断までいかなくても、重症例ならすぐに検査して、ルートを取って、画像の検査を入れてといった動きは研修が始まった頃よりも早くなりました。

救急科、外科、内科以外にも循環器科、心臓血管外科、小児科、産婦人科の先生方も病院内で当直されているので、脳出血や心筋梗塞みたいに急いで対応しなくてはいけない症例ではすぐに来てくださり、助かっています。 画像所見もフィードバックしてくださるので、分からないことをその場で質問できるので、勉強になっています。

キャリアについてキャリアについて


佐藤

正式に決めたわけではないのですが、もともとペインクリニックを勉強したいと思っていたし、麻酔科を回ったときに楽しかったので、麻酔に興味を持っています。どちらかと言えば、病棟よりも手術室にいる方が好きなんです。麻酔をかけると血圧が下がったり、薬剤を投与してすぐに反応があったり、受容反応性の良さなど、はっきりと分かりやすいものは面白いです。
麻酔科を選ぶのであれば、専攻医研修は信州大学医学部附属病院にする予定です。
 

働き始める前は小児科医を目指していたのですが、初期研修で色々な科を回らせていただいて、はっきりとは決まっていないものの、呼吸器内科に興味を持っています。呼吸器内科を回ったときに自主的に勉強して、楽しかったんです。
だから、面白いということなんだと思います(笑)。指導医の先生にも熱心に教えていただき、さらに興味が湧きました。当院の専攻医研修には内科プログラムがあるので、当院の専攻医研修でほかの内科もローテートし、循環器や消化器も診られる内科医になりたいです。

長野赤十字病院とは長野赤十字病院とは

きちんと働き、きちんと休める病院

佐藤

準夜勤は17時から24時までなのですが、2020年からその日は13時出勤に変わりました。
午前中の仕事が多い科を回っているときは午前中に勤務して、午後は休んで、17時から働きます。
24時に仕事が終わった日の翌日はいつもより1時間遅く、9時30分からの勤務になりました。
働き方改革により、初期研修医の人権はかなり守られていると思います(笑)。

土曜日、日曜日が休みで、夏休みも1週間ありました。 育児休暇を取られている女性医師も大勢いらっしゃいます。
 

院内保育所を始め、初期研修中に出産しても戻れる環境

佐藤

初期研修2年目のときに育児休暇を取られ、2年目の途中から研修をされている先輩もいらっしゃいます。 初期研修中に出産するイレギュラーなケースでも戻ってこられる環境です。

院内保育所もあり、使っている先生方も多いです。

佐藤

麻酔科を回っていたときに、麻酔科の先生が仕事の途中で院内保育所に授乳に行っていらっしゃるのを拝見して、そういう考慮をしてもらえる病院なんだなと勝手に思っていました(笑)。

 

印象に残っていることはありますか?

毎日、刺激を受けています(笑)。あるとき、発熱し、意識レベルが悪くなった方が救急車で来られました。
血圧も低かったので、昇圧剤を使っていたのですが、感染の熱源精査でCT室にいたら、そこで急変して心停止になったという症例がありました。私は敗血症性ショックだと思っていたのですが、後日の振り返りカンファレンスで上の先生から「これ、敗血症性ショックではなく、心原性ショックだったんじゃない」と言われました。
目の前で急変したのも初めてでしたが、ショックはやはり心原性から考えなくてはいけないのだと痛感しました。とても勉強になりました。
私も救急当直でのことが印象に残っています。
小さな子どもがソファから落ちて、頭をぶつけたからと来院されたのですが、子どもの頭の画像検査をするのもどうかと思い、お母さんと相談して、一旦帰宅にしたんです。その後、2、3回受診され、3回目に画像を撮ったら、頭の中で出血されていたということがありました。
あのときに何か気づけなかったのかと振り返りもしましたし、小児科の先生に相談もしたのですが、いまだにどうすれば良かったのか分からないところもあります。
今後の診療ではこういうことにしっかり気をつけようと考えさせられた体験です。
 

休みの日は何をされていますか?

基本的にごろごろしていて、床に寝たりしています(笑)。仕事にやっと慣れてきたので、休日に体力を使うことに抵抗があり、録画したテレビ番組を見たりして、ゆっくりしています。
さらに仕事に慣れたら、自分の自由な時間を充実させたいです。
私も録画を見たり、You Tubeを見たりですね。お風呂が好きなので、ゆっくりお風呂に入ったりして、リラックスしています。
私も録画を見たり、You Tubeを見たりですね。お風呂が好きなので、ゆっくりお風呂に入ったりして、リラックスしています。

医学生にメッセージ医学生にメッセージ


病院アピール病院アピール

私たちは、人道、博愛、奉仕の赤十字精神にのっとり、
患者中心で質の高い医療を実践します。

概要

  • 病院外観
  • 名称長野赤十字病院
    所在地〒380-0928 長野県長野市若里五丁目22番1号
    電話番号026-226-4131(代表)
    開設年月明治4、5年頃
    院長和田 秀一
    休診日土曜、日曜日、祝日、日本赤十字社創立記念日(5月1日)
    年末年始(12月29日~1月3日まで)
    病床数680床(一般635床、精神45床)

診療体制

診療科目

内科、血液内科、腫瘍内科、呼吸器内科、感染症内科、腎臓内科、消化器内科、循環器内科、神経内科、糖尿病・内分泌内科、外科、呼吸器外科、消化器外科、乳腺・内分泌外科、心臓血管外科、脳神経外科アレルギー科、小児外科、小児科、産婦人科、耳鼻咽喉科、形成外科、眼科、整形外科、リハビリテーション科、リウマチ科皮膚科、泌尿器科精神科、放射線診断科、放射線治療科、歯科、口腔外科、麻酔科、救急科、病理診断科、臨床検査科
 

施設認定

  • 長野赤十字看護専門学校
  • 長野赤十字訪問看護ステーション
  • 居宅介護支援事業所長野赤十字病院
  • 指定訪問リハビリテーション事業所
  • 託児所

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