勤務中の秋田先生
医師を目指したきっかけから、お聞かせください。
秋田小学校低学年の頃に母と将来の仕事について話していたのですが、そこで母が何気なく「お医者さんって、かっこいいよね」と言ったんです。その何となくの一言で医師の仕事に意識を持ち始めました。やはり高い目標を持つと、それが勉強するモチベーションになりますね。小さい頃は一般的な勉強だけでしたが、その気持ちが中学、高校になってからも変わらず、医師を目指そうかなと思いました。大学で現在の夫と出会い、卒業後は夫の出身地である岐阜に一緒に来て、岐阜大学医学部附属病院で初期研修をしました。
王大きな志はなかったのですが、小さい頃から人を助けたい、人の役に立ちたいという気持ちがありました。叔母は救急科の医師をしていて、彼女の働く姿に憧れていたので、私も医師を目指しました。まずは中国の大学に進学したのですが、卒業する頃に大学院に進学するか、医師になるかの選択肢があったんです。当時の私は乳腺外科に興味があり、母校の教授に相談したところ、「これからの乳腺外科分野は治療がメインになる。バイオテクノロジーを学んだ方が将来のためになる」と言われ、筑波大学の大学院に進学することにしました。筑波大学では病理学研究室に所属し、がんに関わる遺伝子の分析をしていました。夫と知り合ったのも大学院時代です。私は大学院修了後は子育てをしながら、都内の病院などで医療通訳の仕事をしていたのですが、やはり昔の気持ちが残っていて、目の前の患者さんに何かをしてあげたいという思いから、日本の医師国家試験を受験しました。
勤務中の王先生
初期研修で岐阜赤十字病院を選んだのはどうしてですか。
王2019年に夫が東海地方に転勤になり、家族で引っ越してきたのです。私は2020年の国家試験に合格して初期研修が始まったのですが、かなり前から日本赤十字社の病院がいいなと思っていました。日赤というブランドもありますし、インターナショナルなイメージがあるところが良かったです。岐阜赤十字病院のホームページを見たら、名古屋の赤十字病院ほどの病床数はないものの、診療科が揃っていて、初期研修先としてはとても魅力的でした。
見学での印象はいかがでしたか。
王想像していたより良かったです。病院自体も綺麗でしたし、多くの診療科があり、患者さんも大勢いらっしゃっていて、ここで色々な症例に出会うことができるのだと思うとわくわくしました。
イメージ通りの初期研修を行っていますか。
王イメージ以上です(笑)。地域の中で一番大きい病院ではないのですが、救急外来で多くの症例に出会えています。また、当院の初期研修医には他院での研修の機会があります。私は2年目の6月に秋田赤十字病院に行ったほか、秋には岐阜県総合医療センターにも行き、そこでも色々な症例を診ることができましたし、ほかの初期研修医との交流もできました。そうした交流を通して、自分に足りないことやほかの初期研修医の良いところを学べるなど、勉強の機会が豊富にありました。
初期研修でどんなことが勉強になっていますか。
王国家試験の勉強は教科書からしかできませんが、その知識を現場でどう使っていくかということが勉強になっています。これはどの病院のどの初期研修医も同じことかもしれませんね。どう点滴するのか、どう治療するのかなどを考えるときに学んできた知識が活かされていると実感しています。それから手技です。当院は研修医数が少人数ということもあり、指導医の先生方が手厚く、細かく、積極的に教えてくださっています。
どのような姿勢で、初期研修に取り組んでいますか。
王私は家庭もありますし、決して若くはないのですが、若い人たちに負けないように頑張っています(笑)。初期研修はこれからの医師キャリアにとって、とても重要な時期なので、色々な先生方から知識を取り込み、しっかり学んでいきたいと思っています。
院外の研修はどこに行かれましたか。
王秋田赤十字病院、岐阜県総合医療センターのほか、岐阜大学医学部附属病院にも2カ月、お世話になりました。秋田赤十字病院への往復の交通費も出していただけて、助かりました。秋田赤十字病院は三次救急の病院なので、当院とは全く違う雰囲気を味わえ、勉強になりました。
病院の特徴はどのようなものですか。
秋田私の印象としては地域に根ざした中規模病院です。近隣の方や地域の方がかかりやすく、かかりつけ医としての役割を担っている病院だと思います。もちろん、強みのある分野も持っており、かかりつけ医として一般的な疾患を診ることから専門的な医療までを行い、さらに高度医療機関に紹介するなど、守備範囲の広い病院です。
初期研修での人気の秘密はどのようなものですか。
王診療科が揃っていて、初期研修医の人数が少ないことから、指導医の先生方の指導を手厚く受けられることです。地域に関わりの深い病院なので、多くの症例に出会うことができます。
指導医の先生方のご指導はいかがですか。
王どの科に行っても、その科の特徴的なことを一から丁寧に教えていただいています。優しい先生方ばかりです。秋田先生にもお世話になり、甲状腺・糖尿病内科を回っているときには毎日、質問させていただいていました(笑)。
印象に残っているカンファレンスはありますか。
王当院では1カ月に1回、医局会があり、各診療科の先生が月替わりで最新のトピックスをお話しされます。先日は血液内科の先生が血液疾患の新しい治療法のお話をしてくださいました。初期研修医は医局会にそこまで関わらないのですが、新しい知識を入れられる機会があるのは有り難いです。