全国で活躍する女性医師

2022-08-31

北見赤十字病院

全国の赤十字病院の中から、北海道の北見赤十字病院にお伺いしました。勤務内容や1日のスケジュール、家庭と仕事の両立など、女性医師ならではの声が聞けるインタビューです。

プロフィール|profile

  • 武田海希先生

    武田 海希(みき)先生

    初期研修医

    • 1996年

      北海道斜里郡斜里町 生まれ

    • 2021年

      旭川医科大学 卒業

    •  

      北見赤十字病院 初期研修

  • 南香穂先生

    南 香穂(かほ)先生

    初期研修医

    • 1996年

      北海道室蘭市 生まれ

    • 2021年

      札幌医科大学 卒業

    •  

      北見赤十字病院 初期研修

目次|contents

医師を目指したきっかけと研修病院選び・専門選び

武田先生

武田先生

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

私は8歳下に弟がいるのですが、母が弟を出産するときに診てくださった産婦人科の女性の先生の姿を見て、かっこいいなと憧れたことがきっかけです。

武田父が診療所の医師をしています。小さい頃から父の姿を見て、私も将来は医療に関わる仕事に就きたいと思っていました。進路決定の際に医師という立場で患者さんに接したいと考え、医師を目指しました。

初期研修で北見赤十字病院を選ばれたのはどうしてですか。

私は札幌医大出身なので、将来的には母校の産婦人科医局に入ることは決めていました。当院の産婦人科には札幌医大から先生方が派遣されているので、以前から知っていた病院でしたが、初期研修を行うにあたっては色々な疾患の患者さんと接する機会がある病院の方がこれから先の医師人生にプラスになりそうだと思い、症例が集まりやすい当院での初期研修を選びました。

武田学生時代には道外の病院も含め、多くの病院見学に行き、それぞれの病院の雰囲気を拝見していました。当院は初期研修医の先生方がとても生き生きと働いているのが印象的でした。救急外来で研修医の先生方が積極的に動き、指導医の先生がバックアップされている現場を見て、私もこういう研修ができたらいいなと思いました。

見学にいらしたのはいつですか。

武田6年生の秋で、かなり遅い時期でした。

私は5年生の終わりに見学に来る予定だったのですが、新型コロナウイルスの感染拡大で、時期がどんどん引き延ばされ、最終的に来られたのが6年生の7月でした。そのときは1週間の実習だったのですが、とても良い印象を受けました。

初期研修のプログラムについてはいかがですか。

武田1年目は基本的には必修科目がメインで、2年間の初期研修を行ううえで必要な科をローテートします。2年目の後半あたりからは好きな科をローテートできる時間をいただけます。個人的にはその期間があることがいいなと思っています。自分の興味のある科を選択してもいいですし、将来の科に直接的には関係がない科を選択してもいいので、知っておきたい知識をこの初期研修中に得ることができるのは嬉しいです。

私が思う良いところは当院内でほとんどの科を完結できることです。外部の病院に行かなくても、当院で働いていけるのは魅力的ですね。

プログラムの自由度は高いですか。

高いです。ローテートしたい診療科があれば、途中で組み替えることも可能です。

初期研修にあたって、どのような姿勢を心がけていますか。

何事もできるだけ積極性を持ってチャレンジすることです。

南先生

南先生

コメディカルの方々とのコミュニケーションはいかがですか。

今、精神科の外来で予診を取らせていただく仕事をしているのですが、看護師さんがとても親切に接してくださるんです。病棟でも忙しい時期、大変な時期がありますが、親身に接してくださる方が多く、いい病院だなと思っています。

武田色々なコメディカルスタッフの方にお世話になっています。不慣れな現場で助けてくださり、「ここはこういうふうにするんですよー」と教えていただけて、とても有り難い存在です。

北見赤十字病院の救急はいかがですか。

三次救急の病院ですが、救急車がものすごく頻繁に来るということはなく、その面では働きやすいです。

当直回数はどのぐらいですか。

2年目は月に5、6回です。1年目は希望によりますが、月に2回はマストになっており、2、3回という人もいますし、多く入りたい人であれば5、6回です。

当直ではどんなことが勉強になりますか。

武田救急車が来たときの初期対応ですね。症例が来たら、どういった疾患なのかをまず考えます。次にどういった検査を出すかを検討し、最終的には来られた患者さんをどうやって治療していいのかを上の先生と相談しながら決めていきます。そういった対応の仕方は勉強になっています。

救急車の対応は武田が言った通りですが、これに加え、休日の日中はウォークインの患者さんの対応もしています。そういうところですと、あまり重症ではないものの、「これ、どうしたらいい」というマイナートラブル的な問題を解決していくのが勉強になります。こうした経験は将来、自分が専門外来を担当するときに活きるのかなと思っています。

同期は何人ですか。

武田私たちは10人で、1年下の研修医も10人です。

研修医室はありますか。

あります。研修医しか入ってこない部屋なので、話しやすい環境です(笑)。

北見赤十字病院でのキャリア

勤務中の南先生と武田先生

勤務中の南先生と武田先生

今後はどちらの科に進まれる予定ですか。

産婦人科です。小さい頃から憧れていた診療科ですし、産婦人科には産科と婦人科の両方があるので、妊娠の内科的な部分から婦人科での手術、化学療法など、色々なことができることに惹かれました。産婦人科医は不足しているとも言われているので、少しでも貢献できればと思っています。専攻医研修は母校の札幌医大のプログラムで行う予定です。

武田私はまだ確定しておらず、麻酔科に興味を持っている段階です。興味を持ったきっかけは当院で麻酔科を研修させていただいたときに「麻酔科の仕事」を知ったことです。当院の麻酔科には教育的な先生方が多く、研修医主体で麻酔をさせていただけたんです。もちろん難しい症例やトラブルが起きたときにはすぐにバックアップしていただける環境で、麻酔の面白さが分かりました。手術中の痛みを取るだけでなく、全身管理もできることに魅力を感じています。

院外の研修先も豊富ですよね。

地域医療では当院の近くの消化器内科クリニックである本間内科医院のほか、小清水赤十字病院や置戸赤十字病院を選ぶことができます。私は2年目の6月に本間内科医院に行ってきたのですが、当院でする機会のない外来診療を多くさせていただけました。また腹部エコー検査なども親身に教えてくださり、いい経験ができました。

武田私も2年目の4月に本間内科医院に行きました。本間栄志院長はとても教育的な先生で、内科の医師がよく使う薬の使い方をはじめ、風邪などの市中でよく診る疾患の診療や対応の仕方を教えてくださったので、貴重な1カ月になりました。

勉強になっていることはどんなことですか。

武田初期研修医が一番主体的に動けるのは救急外来であり、オーダーなどもさせていただいています。今もそこまで素早く動けるわけではないのですが、1年目のときと比べたら、自分でできることが少しずつ増えてきました。経験の分、成長できているのかなと思っています。

同感ですね。やはり学生だったところから初めて働くようになって、医療の現場を見てという中で経験を積んでいくことで学べることは大きいです。

指導医の先生のご指導はいかがですか。

武田教育熱心な先生方が多くて、分からないことをきちんと質問したら、丁寧に答えてくださいます。上の先生方も色々な仕事を抱えておられて、忙しい中にそういう時間を作ってくださるのは簡単なことではないと思います。とてもいい指導医の先生方に恵まれていると実感しています。

時間のない中でも、しっかり教えてくださる先生方ばかりで、助けられています。

仕事とプライベートの両立

ワーク・ライフ・バランスをどのように心がけていらっしゃいますか。

どうしても仕事が遅くなる日は仕方がないにしても、早く帰れる日は早く帰るようにしています。有給休暇も割と取りやすいので、有休を取得して、家族との時間や自分の好きなことに使う時間を作っています。

武田病院にいる間はきちんと業務に集中することを意識していますが、空いた時間は自分なりに勉強しています。ただし、家に帰ったら夜遅くまで根を詰めたりすることなく、あまり頑張りすぎないようにしています。家では「ゆっくり身体を休めて、ご飯を食べて、趣味に時間を使って」のようにうまく休養しています。

ご趣味など、プライベートについて、お聞かせください。

武田誇れる趣味はないのですが、サブスクリプションで映画を見たりしています。ドライブが好きなので、ドライブに行くこともあります。北海道は素敵なところが一杯あるので、ドライブは気分転換になっています。

夫が旭川に住んでいるので、旭川に出かけていって、旭川周辺をドライブしたり、家で映画を見たり、本を読んだりと、インドアな感じで過ごしています。

  • 武田先生の1日のスケジュール
  • 南先生の1日のスケジュール

北見赤十字病院の働きやすさ・福利厚生

勤務中の武田先生

勤務中の武田先生

福利厚生についてはいかがですか。

武田研修医の立場で言うと、有給休暇や夏休みは希望通りの日程で比較的取りやすい環境です。診療科によっては当直明けの午後を休みにしてくれるところもあります。3年目以降の先生方のことはよく分からないです(笑)。

上の先生方を見ていても、働きにくい感じはないですね(笑)。

周囲に育児短時間勤務制度を使われている先生はいらっしゃいますか。

いらっしゃいます。形成外科の先生が時短勤務をなさっているのですが、形成外科は研修医があまり関わらないので、詳しいことは知らないんです(笑)。

院内保育所も完備されていますよね。

24時間体制の託児室が病院に併設されています。生後3カ月以上から利用可能だそうです。

病児保育所もありますか。

武田ありません。

女性医師の会のようなものはありますか。

女性医師は割と多いのですが、そういった会はありません。

勤務中の南先生

勤務中の南先生

お住まいは寮ですか。

借り上げのアパートがあり、初期研修医が7カ所ぐらいに分散して住んでいます。

武田私の住まいは月に6万円しないぐらいですが、家賃補助が3万円ほど出ています。

私もそんな感じですね。病院まで歩いて10分ほどです。

武田私も10分ぐらいです。病院が借り上げている物件は全て大体徒歩10分圏内にあるのだと思います。どの物件になるかは基本的には病院が振り分けるのですが、希望があれば聞いていただけます。

直撃! Q&A

病院の特徴は?

南先生 オホーツク地域の広い範囲をカバーしている病院です。三次救急病院として、地域の高度急性期医療や急性期医療を担っています。ユニセフ・WHOから「赤ちゃんにやさしい病院(Baby Friendly Hospital)の認定も受けていますし、赤ちゃんからご高齢の方まで、多くの患者さんや症例が集まる病院です。

初期研修での人気の秘密は?

武田先生 研修できる診療科が多様で、極端なことを言えば、当院に2年間いるだけで、ほとんどの科をローテートできるのが大きな魅力です。初期研修医がものすごく忙しいわけでもなく、かと言って仕事がないわけでもなく、ほどよい忙しさですし、その忙しさも自分で調節できるところが良いところです。

病院に改善してほしいことはありますか。

武田先生 救急外来での研修はとても勉強になっていますが、当院には救急科の専門医の先生がいらっしゃらないんです。やはり救急専門の先生がいるところで研修し、屋根瓦式の救急診療を学んでいる友人の話を聞くと、羨ましくなることもあります。当院のいいところはもちろんありますが、常駐でなくてもいいので、たまにでも教えてくださる救急専門の先生がいらっしゃればいいなと憧れています。
南先生 武田が言ったことに追加すると、救急専門医のいる外部の病院で研修することは可能です。私は旭川赤十字病院で研修させていただき、その部分を補ってきました。

座右の銘などはありますか。

南先生 無理をしないことですね。自分の身体と心を大事にしたうえでないと患者さんにいい医療を提供できないと思っています。
武田先生 最近すごいと思ったのがとある有名なキャラクターの名言です(笑)。とある有名なキャラクターが“You play with the cards you’re dealt… Whatever that means.”と言っているのですが、この「配られたカードで勝負するしかない」という言葉に共感します。私もうまくいかなかったときにほかの人と比べてしまい、「私はこういうことが劣っているんだよなあ」と落ち込んだりすることもあります。でも、そのようなときにこの言葉を思い出すと「皆それぞれ長所や短所があるのだから、自分に与えられたカードを私なりにどう使うのかを考えよう」と元気が出ます。

メッセージ動画

病院アピール

概要

  • 病院外観
  • 名称北見赤十字病院
    所在地〒090-8666 北海道北見市北6条東2丁目
    電話番号0157-24-3115
    開設年月昭和10年11月10日
    院長荒川 穣二
    休診日土曜日・日曜日・祝祭日、
    5月1日(赤十字創立記念日)
    12月29日~1月3日(年末年始)
    病床数532床

診療体制

診療科目・部門

内科、消化器内科・腫瘍内科、循環器内科、神経精神科、小児科、外科、整形外科、形成外科、脳神経外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、頭頸部・耳鼻咽喉科、放射線科、麻酔科、ペインクリニック内科、緩和ケア内科、歯科口腔外科、病理診断科、時間外・救急外来、がん医療について(地域がん診療連携拠点病院)、周産期母子医療センター、認知症疾患医療センター、看護部門、リハビリテーション科、デイケア、診療放射線科、臨床検査科、臨床工学課、栄養課、薬剤部、医療安全推進室、感染管理室、地域医療連携室、北海道立北見病院

認定・指定一覧

    • ユニセフ・WHO 赤ちゃんにやさしい病院(Baby Friendly Hospital)認定病院
    • がん診療連携拠点病院指定
    • 地域医療支援病院
    • マンモグラフィ検診施設画像認定施設
    • 日本がん治療認定医機構 研修施設認定
    • 日本認知症学会 教育施設認定
    • 公益財団法人 日本医療機能評価機構 病院機能評価認定病院
    • ISO15189 認定
    • NPO法人卒後臨床研修評価機構(JCEP)
    • 特定行為研修指定研修機関

学会認定

    • 日本内科学会
    • 日本整形外科学会
    • 日本麻酔科学会
    • 日本眼科学会
    • 日本産科婦人科学会
    • 日本耳鼻咽喉科学会
    • 日本頭頸部外科学会
    • 日本泌尿器科学会
    • 日本形成外科学会
    • 日本外科学会
    • 日本循環器学会
    • 日本消化器病学会
    • 日本小児科学会
    • 日本消化器外科学会
    • 日本脳神経外科学会
    • 日本胸部外科学会
    • 日本消化器内視鏡学会
    • 日本病理学会
    • 日本脳卒中学会
    • 日本医学放射線学会
    • 日本周産期・新生児医学会
    • 日本精神神経学会
    • 日本臨床腫瘍学会
    • 日本リウマチ学会
    • 日本乳癌学会
    • 日本心血管インターベンション治療学会
    • 日本血液学会
    • 日本口腔外科学会
    • 日本認知症学会
    • 日本有病者歯科医療学会

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