全国で活躍する女性医師

2023-12-31

深谷赤十字病院

全国の赤十字病院の中から、埼玉県の深谷赤十字病院にお伺いしました。勤務内容や1日のスケジュール、今後のビジョンなど、女性医師ならではの声が聞けるインタビューです。

  • profile

    伊藤博院長

    伊藤 博院長

    深谷赤十字病院 院長

    • 千葉県柏市出身
    • 1981年

      千葉大学を卒業

    • 1982年

      大宮赤十字病院(現 さいたま赤十字病院)に勤務

    • 1983年

      松戸市民病院に勤務

    • 1984年

      八日市場市立病院に勤務

    • 1985年

      千葉県立がんセンターに勤務

    • 1991年

      千葉大学医学部第一外科助手に就任

    • 1994年

      米国コロンビア大学に在外研究員として留学

    • 1995年

      米国マウントサイナイ医科大学に在外研究員として留学

    • 1997年

      千葉大学医学部第一外科に講師として帰任

    • 2002年

      千葉大学大学院医学研究院臓器制御外科学助教授(准教授)に就任

    • 2005年

      深谷赤十字病院に副院長として着任

    • 2013年

      深谷赤十字病院院長に就任

    日本外科学会認定医・専門医・指導医・特別会員、日本肝臓学会専門医・指導医、日本肝胆膵外科学会名誉指導医、日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医、・専門医・指導医、日本消化器病学会専門医・日本臨床外科学会代議員・評議員、日本臨床腫瘍学会暫定指導医、身体障害者福祉法第15条指定医(肝臓機能障害)など。

  • profile

    柏嵜由希先生

    柏嵜(かしわざき) 由希先生

    初期研修医

    • 埼玉県鴻巣市出身
    • 秋田大学卒業
    • 深谷赤十字病院にて初期研修(2年目)
  • profile

    長谷川綾香先生

    長谷川 綾香先生

    初期研修医

    • 茨城県守谷市出身
    • 順天堂大学卒業
    • 深谷赤十字病院にて初期研修(2年目)
  • profile

    鄭善仁先生

    鄭 善仁(ちょん そんいん)先生

    初期研修医

    • 埼玉県川口市出身
    • 新潟大学卒業
    • 深谷赤十字病院にて初期研修(2年目)
  • profile

    山下薫先生

    山下 薫先生

    初期研修医

    • 神奈川県川崎市出身
    • 順天堂大学卒業
    • 深谷赤十字病院にて初期研修(1年目)
  • profile

    和田七海先生

    和田 七海(ななみ)先生

    初期研修医

    • 埼玉県さいたま市出身
    • 島根大学卒業
    • 深谷赤十字病院にて初期研修(1年目)
  • profile

    渡邉真子先生

    渡邉 真子(まこ)先生

    初期研修医

    • 京都府京都市出身
    • 奈良県立医科大学卒業
    • 深谷赤十字病院にて初期研修(1年目)

目次|contents

医師を目指したきっかけと
研修病院選び・専門選び

渡邉先生・和田先生・山下先生・伊藤院長・長谷川先生・柏嵜先生・鄭先生

渡邉先生・和田先生・山下先生・伊藤院長・長谷川先生・柏嵜先生・鄭先生

病院の特徴はどのようなものでしょうか。

伊藤当院は埼玉県北部で唯一の公的な総合医療機関です。病院の機能として、三次救急、地域がん診療連携拠点病院、地域災害医療センター、地域医療連携拠点病院、地域周産期母子医療センターを持っています。そのような政策医療を担っている病院は県の北部にはほかにないので、当院が中心的な役割を果たしていることになります。個人的には雰囲気の良い病院なのではないかと感じています(笑)。私が院長に就任したときに「やさしさのあふれる病院」という平易な言葉で、理念とは別のスローガンを作りました。その結果、優しさと明るさのある病院になったと思っています。

初期研修の人気の秘密はどのようなものでしょうか。

伊藤私が着任した19年前、当院に初期研修医はいませんでした。それが数年前からは各学年8人ずつがフルマッチし、16人で初期研修を行っています。ゼロからここまでになったのは私の自慢の一つですね。当院は東京の都心部から70km離れており、どの大学からも1時間以上かかります。東京都内や近郊の病院に比べれば初期研修医を集めるのは何倍も大変なのですが、その努力をしてきたつもりですし、口コミで病院の良さが広まっていったようです。人気の秘密としては症例や手技の機会の豊富さでしょうか。

深谷赤十字病院を選ばれたのはどうしてでしょうか。

長谷川奨学生だったことも理由ではありますが、祖父母が深谷市の出身で、私は当院で生まれたんです。そういうご縁があって見学に来たら、とても素敵な病院だったので、当院を選びました。

柏嵜当院は二次から三次までの幅広い症例が多く来て、さらに初期研修医がファーストタッチをさせてもらえることが魅力的でした。そして見学に来て、すごく雰囲気の良い病院だと感じたことが決め手になりました。

私も埼玉県の奨学金を借りている関係で、3年目以降に当院で働く可能性もあると思って見学に来てみたのですが、雰囲気が良く、コメディカルスタッフの方々とも距離が近くて、挨拶を必ず交わしているところを見て、とてもいいなと思い、当院を選びました。

和田私も奨学金の関係から、当院に見学に来てみると、先生方だけではなく、看護師さんたちも皆が優しくて、雰囲気の良さに惹かれて、当院に決めました。

渡邉私は千葉大学医学部附属病院のたすきがけプログラムで、1年目だけ当院で研修することになっています。たすきがけの病院の中で当院を選んだのは内科と救急をしっかり勉強できそうだったからです。

山下埼玉県北部の三次救急の病院ということで、重症の外傷の患者さんも二次の疾患も来て、幅広い症例が学べることで興味を持ちました。見学に来てみると、初期研修医の方々が優しく接してくださったり、看護師さんをはじめ、コメディカルスタッフの方々がすれ違っただけで挨拶をしてくれたり、活気のある雰囲気も良くて、当院を選びました。

2年目同期の鄭先生・長谷川先生・柏嵜先生

2年目同期の鄭先生・長谷川先生・柏嵜先生

プログラムの自由度は高いですか。

長谷川2年目に9カ月ほどの自由選択期間があるのはとてもいいなと思っています。

伊藤2年間のうち、1年目で厚生労働省の定める到達目標の8割から9割を到達させておけば、2年目に自由選択の枠が大きくなるので、そのあたりが余裕のあるプログラムになっているんですね。自由選択はもちろん、ほかの診療科の途中変更も可能です。仲間うちで「あの科は良かったよ」と聞いた科を回りたくなったということもありますが、これだけの人数なので、そういうフレキシビリティがあります。また、1年目は少しタイトなのですが、いわゆるマイナー科、必修ではない診療科を回れることも特徴です。例えば眼科、泌尿器科、整形外科、形成外科、脳神経外科といったところを回ることで、将来の選択肢も増えますし、何よりも回ったことでどういう科なのかが分かります。実際に泌尿器科を回ったことで、泌尿器科を選ぶ人も出てきましたし、これまで選ぶ人がいなかった科へも志望者が出ています。それからローテートの特徴として、救急科を回る前に麻酔科を必ず回り、気管挿管や静脈ライン確保などの救急に必要な手技を学んだあとで救急に進むということも挙げられます。

山下ほかの病院だと一度に同じ診療科を回っている初期研修医が4、5人いたりしますが、当院は初期研修医の人数が1学年8人と少ないので、2年目の先輩が回っていたとしても、最大で3人しか同じ科を回れないようになっています。その意味で、指導体制がいいですね。手技に関わったとしても奪い合いにならないですし、必ず別々の指導医の先生がついてくださるのが特徴だと思います。

柏嵜一番の志望科を回るにあたって、まだ慣れていない4月や5月に回るのはもったいないので、少し慣れた時期であり、かつ早い時期でもある6月か7月に回ることができます。早めに回ることで、「こんな感じなんだ」と分かるのは良いところですね。私も実際に早い時期に志望科を回ってみて、「やっぱりいい科だな」と思いました。

カリキュラムの自由度はいかがですか。

回りたい診療科を変えることもできますし、高いと思います。

深谷赤十字病院での初期研修で勉強になっていることはどのようなことでしょうか。

長谷川一番、力がつくと感じるのは当直です。ウォークインで来られた、そこまでの重症ではない患者さんも、救急車で搬送されてきた患者さんも、どちらも初期研修医が関わります。上の先生方もしっかり見守ってくださいますが、ウォークインの患者さんに関しては初期研修医が主体的に進めていくことも多いので、考えたり、色々な経験を積むことができています。

柏嵜私もやはり当直帯が一番力がつくなと感じています。最初にどの検査をオーダーするのかを考えることができますし、指導医の先生の野放しではなく、後ろでしっかり見守ってくださり、あとから「この検査、いらなかったんじゃない」というフィードバックもいただけるので、安心して当直に入ることができ、かつ力もつきます。

当直ももちろんそうなのですが、日々の病棟業務も勉強になります。例えば、手技が必要な患者さんに経験したことのない手技をするときは指導医の先生が後ろについてくださっているので、教えていただきながら手技ができるのも安心に繋がっていて、とてもいいです。勉強になるところがありすぎますね(笑)。

和田初期研修医の当直は9月までは2年目1人、1年目1人で入る形なので、2年目の先輩が動いている姿を直接見られます。その場で優しく教えていただいているので、とても勉強になっています。

渡邉当直は継続的にやっていますので、学びが多いですね。当直以外に挙げるとすると、1年目に1カ月、内科外来というローテーションがあることです。一般内科の日中の外来の1枠を初期研修医にいただいているので、そこで指導医の先生のご指導のもとで、初診の患者さんを診療させていただいています。当直でももちろん外来はありますが、内科外来では流れが全く分からない状況から、しっかり教えていただきながら流れや方法を理解して勉強できるので、学びが多かったです。

山下当直については皆さんがおっしゃっていた通りで、勉強になります。それ以外で挙げるとすると、それぞれの診療科のかなり専門的なところまで勉強できることです。循環器科はカテーテル室に入ってカテーテルを実際にやったり、消化器内科は内視鏡に触ることができます。その科をよく知ることができ、いい勉強になっています。

座談会の様子

座談会の様子

どのような姿勢で初期研修に取り組んでいらっしゃいますか。

長谷川最近、気づいたことなのですが、自分の進む科が決まったあとでほかの科を回るとうになると、この科に触れるのは今月が最後なのかなと思うようになりました。今月、覚えた知識を今後何十年も適宜アップデートしながら使っていくんだろうなという気持ちで、志望科以外の科を回っています。とても貴重な経験を日々させていただいていると感じています。

柏嵜私は来年度から専攻医研修が始まることをとても意識しています。今は初期研修なので、上の先生がついてくださっているし、自分のしたことに対する責任を自分だけが負うことはないのですが、来年からはそうもいきません。特に当直帯では来年度からは自分の判断で回さないといけないことがあるので、今のうちに色々な症例を経験して、同じような症例が来たら、来年度以降も同じ対応ができるように、知識をなるべく多く詰め込んでおきたいと思っています。

2人と被るところもありますが、色々な科を回ること、なおかつ周囲にすぐに質問して、指導していただける機会は今だけだなと思うので、回っている科で学べることは全部吸収していきたいです。言い方は良くないですが、小さな失敗なら許されるのも今だけなので、失敗も含めて、色々なことを経験させていただけるようにアグレッシブに臨んでいます。

和田まだできないことばかりなので、先生方から1回目に指摘されたことを理解し、2回目にするときに同じことを繰り返さないよう、少しずつ着実に覚えることを意識しています。

山下来年は1年目の研修医が入ってくるので、私も少し上の立場になります。先輩方にしていただいたように、1年目の人たちを引っ張っていかないといけない状況になるので、なぜこの検査をするのか、この対応をするのかといったことを、確実に説明できるようになりたいです。

渡邉回っている科でも当直でも分からないことや疑問に思うことが多くて大変なのですが、それをそのときに質問したり、調べたり、なるべく理解できるようにすることを心がけています。

指導医の先生のご指導はいかがでしょうか。

山下優しくて、質問しやすいです。

長谷川積極的に指導してくださる先生方がどの科にも大勢いらっしゃいます。

柏嵜違う科をローテートしていても、質問や相談に乗ってくださったり、当直帯で自分の指導医ではない先生方にも質問すれば、とても丁寧に教えてくださるのが有り難いです。

1年目同期の山下先生・和田先生・渡邉先生

1年目同期の山下先生・和田先生・渡邉先生

カンファレンスの雰囲気はいかがですか。

山下私は先月、救急科を回っていたのですが、救急科では初期研修医が患者さんの治療方針やプロブレムをプレゼンし、ディスカッションを行います。治療方針についてアドバイスをいただくこともあります。厳しくも温かいお言葉を頂き成長できる場になっています。

渡邉外科を回っているのですが、外科では毎週、自分が入る手術の症例についてプレゼンします。自分が入る手術の予習になりますし、こういうふうに治療をしていくのかというイメージができるカンファレンスです。

内科系を回っていると、毎朝カンファレンスがあります。朝の8時30分に集まって、新規患者さんやICUに入院されている患者さんのプレゼンをします。初期研修医が受け持ちになっている患者さんについては初期研修医が発表するので、プレゼンの勉強にもなっています。

コメディカルスタッフの方々とのコミュニケーションはいかがでしょうか。

長谷川ほかの病院はあまり知らないのですが、当院のコメディカルスタッフの皆さんとは話しやすいです。大学病院は職種同士で確立されている感があり、気軽に相談がしにくいのですが、当院では病棟勤務をしていると、薬について分からないことがあれば薬剤師さんに教えていただくこともありますし、ほかの職種の方々とも仲良くさせていただいています。

山下イレギュラーな答えなんですけど、日赤の病院は部活動が盛んです。私は卓球部に入っていますが、卓球部は主に薬剤師さんと看護師さんが中心になって活動しています。それで知っている薬剤師さんがいる病棟や診療科を回っていると、薬の相談がしやすいです(笑)。「こういうことで悩んでいるんですけど、どうしたらいいんですかね」と聞けるし、逆に薬剤師さんからもすぐに質問が来ます。そういう関係性をスポーツを通じて作れる病院です。

伊藤嘘か真か分からないのですが、日赤全体で言われていることとして、「スポーツが盛んな病院はアクティビティも高い病院だ」ということで、どこもそれなりに力を入れているようです(笑)。当院は女子バレーボール部は東部ブロック大会で3連覇中ですし、かつては卓球部も優勝経験があります。全国赤十字病院スポーツ大会はコロナ禍の間はなくなっていましたが、今年は日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院、名古屋第二病院の主催で岐阜県で行われ、当院からは女子バレーボール部と軟式テニス部が出場しました。部活動はたしかに職場とは違う雰囲気で、先輩、後輩、仲間の関係を作れますので、日常の診療において気軽に話せたりすることにも一役買っていますね。

研修医室はありますでしょうか。

柏嵜あります。1、2年目が同じ部屋で、居心地よく、和気あいあいと過ごしています(笑)。

深谷赤十字病院でのキャリア

渡邉先生・和田先生・山下先生・伊藤院長・長谷川先生・柏嵜先生・鄭先生

渡邉先生・和田先生・山下先生・伊藤院長・長谷川先生・柏嵜先生・鄭先生

深谷赤十字病院の救急の特徴はどのようなものでしょうか。

伊藤金子直之副院長が救命救急センター長を務めています。救急科の特徴は病院によって違いますが、当院の特徴は外傷を中心とした外科系の症例が多いことです。手術が必要な疾患、いわゆるアキュートケアサージェリーが多いですね。特に外傷はこの地域全体からかなり集まっている印象です。当院はワンタッチして、どこかの診療科に振り分けるトリアージ救急ではなく、必要な患者さんには手術もし、病棟を持っている救急科です。三次の救命救急センターでそういうところは日本にはまだ少ないので、とても有り難い存在です。また当直帯では初期研修医と一緒に対応していますので、初期研修医への良い教育の場にもなっています。

当直の体制はどのようなものでしょうか。

伊藤初期研修医は月に4、5回です。当院では内科系当直、外科系当直、産婦人科当直、小児科当直の4当直制を敷いており、これに加えて救急科の医師が24時まで当直します。夜間帯に来る救急車の3分の2が24時までに来ますので、救急車が来れば、救急科の医師が初期研修医と一緒に対応しています。この研修により、初期研修医は相当な力がつくことと思います。

初期研修医は1、2年目の1人ずつが当直します。

伊藤三次救急の病院とはいえ、一次と二次の間の1.5次ぐらいから診ていますので、初期研修医の出番はかなりあります。学生時代は何かの疾患についての勉強はしてきても、「痛い」「苦しい」と言う人を最初に診ることはなかったわけだから、実践的な臨床経験が積めると力がつきます。当院で初期研修をした人から「初期研修後にほかの民間病院で当直をしても、大抵の疾患は深谷で経験していたので、あまり困らないです」という話も聞いたことがありますよ。

当直で勉強になっていることはどのようなことでしょうか。

柏嵜当直帯では許していただける場合にICの機会もいただけます。患者さんのご家族にお話をすることはとても勉強になっています。医療用語がつい出てきてしまうので、一般の方にも分かりやすいように話すことを意識しています。なかなか面会に来られない生活背景の方がいらしたり、介護申請のことなどの知識も必要です。

座談会中の伊藤院長と山下先生・渡邉先生・和田先生

座談会中の伊藤院長と山下先生・渡邉先生・和田先生

抄読会は今も行われていますか。

伊藤抄読会は私が副院長になり、臨床研修の担当を始めたときから20年近く続けています。参加は強制ではなく、内容としては英文の論文を読む抄読会です。一般病院は忙しいので、「こういう処置をすればいい」とマニュアル的になりがちです。でも、それだけではなく、どうしてこういう治療なのか、ほかの治療法と比較してどうなのかということを考えてもらいたいと思っています。もう一つの目的は英語です。今の初期研修医の世代は学会などでも英語を使う機会が増えてきますので、英文を読む習慣をつけてほしいです。また、抄読会では初期研修医の要望を直接、聞くことができます。10年ほど前、「当直のときに冷たいご飯を食べないといけないんです」と聞き、翌週には研修医室に電子レンジを入れました(笑)。研修プログラムに関しても「必修科だけでなく、マイナー科も回りたい」「マイナー科を回って楽しかった」と聞いたことを活かしてバージョンアップし、今の形になってきました。

渡邉抄読会のテーマを決めるのは担当する初期研修医です。興味のあること、そのときに回っている科で疑問に思ったことや知りたいことをテーマにしていますが、ほかの研修医にとっても勉強になりますし、「それ、知りたかったんだ」ということを学べます。

長谷川研修医になってから英語を読む機会がほとんどなかったので、英語に触れるだけで勉強になっています。

ほかに勉強会もございますでしょうか。

伊藤私は今、日本赤十字社の本社で臨床研修推進部会の部会長を務めています。日赤医学会では本社企画で、「研修医集合」といったイベントを開催しました。1病院3チームずつ、合計30チームが出て、症例に対するゲームをしたところ、会場も大盛り上がりとなり、隣の会場に迷惑をかけてしまいました(笑)。それから研修医研修会も開催しました。今、日本には1学年9000人の初期研修医がいますが、その6%弱にあたる500数十人が日赤の病院で研修しています。ただし500人が集まれる場所はないので、3回に分けて行っています。11月のある週末に開催された回には私も参加しました。院長や副院長クラスが研修医と「かんぱーい」とやる機会は少ないので、研修医は飲みたくないし、飲み会を早く終わらせ、舞浜方面に遊びに行きたいのかもしれませんが、私は彼らと飲みたいですし、いいイベントだなと思って楽しんでいます(笑)。

今後はどちらの科に進まれますでしょうか。

長谷川消化器内科を専攻し、当院で専攻医研修を行う予定です。初期研修で内視鏡を触らせていただいて、面白いなと思ったことがきっかけで、消化器内科を選びました。

柏嵜私も同じく消化器内科です。もともと手技が多くある科、かつ内科に行きたかったので、循環器か消化器で迷ったすえに消化器にしました。理由は私も消化器内科を回ったときに内視鏡が面白かったからです。専攻医研修は埼玉県内のほかの病院で行う予定です。

私は泌尿器科です。もともと外科系を目指していて、泌尿器科を回ったときに色々な手技をさせていただいて楽しかったんです。先生方の雰囲気もとても良くて、私も同じ泌尿器科医として働きたいと思いました。女性の泌尿器科医も少しずつ増えてきたので、その波に乗っていきたいです。専攻医研修は埼玉県内の大学病院で行う予定です。

山下救急を考えています。もともとある分野に特化するよりも全身を診られる医師になりたいと思っていたので、救急医として、色々な疾患を幅広く診ていきたいです。

渡邉私は内科志望です。まだローテートの途中なので、内科の中のどの内科にするのかは色々な科を回りながら決めていきたいです。

和田私も内科志望ですが、どの内科かはまだ決めていません。初期研修の間に決めたいです。

伊藤前から言っているのですが、鮭が生まれた川から大海に出て、育って、成長して、また生まれた川に戻ってくるというのを研修医にも期待しているのに、大海に出ると皆、迷ってしまい、生まれた川を忘れてしまうようです(笑)。でも、これは仕方のないことですね。教育は未来を見据えて行うものであり、すぐに対価を求めてはいけないものなので、このうちの何人かが戻ってきてくれれば有り難いです。

仕事とプライベートの両立

2年次研修医の同期とプライベートのお写真

2年次研修医の同期とプライベートのお写真

休みの日はどの様にお過ごしでしょうか。

長谷川私は大学が東京だったので、友だちに会いに東京に行くことが多いです。東京は少し遠いですが、無理ではない時間で行って帰れます。

柏嵜私は出かけることがそんなに好きではないので、出かけないです(笑)。大学は遠かったのですが、就職で埼玉県に帰ってきたので、高校や地元の友だちと会えるようになりました。有り難く家賃手当をいただいて、いい部屋に住んでいるので、友だちが深谷に遊びに来てくれたり、泊まりにきてくれたりして、楽しく過ごしています。

家にいたり、外に出たりが半分半分です。研修医になってからゴルフを始めたのですが、今はすっかりハマっています(笑)。このあたりはゴルフ場が多くあるので、楽しいです。

和田友だちと食事に行ったり、家で一人で映画を見たりしています。

渡邉私はずっと関西にいて、就職で初めて関東に来ました。それで色々な人に「ここ、いいよ」とお勧めされたところに行ってみたりしています。東京見物もしています(笑)。

山下卓球部に所属しているので、卓球をすることが多いです。また、ペーパードライバーで、車を持っていないので、深谷の街を地図を見ずにサイクリングして戻ってくるということもしています。

  • 柏嵜先生の1日のスケジュール
  • 長谷川先生の1日のスケジュール
  • 鄭先生の1日のスケジュール
  • 山下先生の1日のスケジュール
  • 和田先生の1日のスケジュール
  • 渡邉先生の1日のスケジュール

深谷赤十字病院の働きやすさ・福利厚生

1年次研修医の同期とプライベートのお写真

1年次研修医の同期とプライベートのお写真

女性医師の活躍はいかがですか。

伊藤どの職業であっても、スポーツであっても、女性に人気のないものは先行きが良くないのではないでしょうか。しかしながら当院は優秀な女性たちが集まっていますので、色々な意味でプラスになっています。日赤の病院は福利厚生が良いので、出産などのライフイベントがあっても勤務を続けてもらい、活躍できるような環境をさらに作っていきたいです。当院の女性の初期研修医の中にはお子さんがいる状態で初期研修を始めた人もいましたし、研修2年目の2月頃に計画的に出産した人もいました。

取り組んでいることはどのようなことでしょうか。

伊藤私が院長になってすぐに院内保育所を再開しました。そうした取り組みが認められ、当院は2017年に埼玉県で制定している「多様な働き方実践企業認定制度」でプラチナプラスの事業所に選ばれました。当院がプラチナプラスに選ばれたときは3000社近い事業所の中で4事業所だけでした。また、深谷市からも「深谷市女性活躍等推進事業所認証制度」の第1回の認定を受けています。こうした認定に恥じないよう、これからも取り組んでいきます。医師はチーム医療でのリーダー的な存在ですので、女性医師が増えてくれば、全体的な雰囲気も変わりますね。

先輩たちを見て、いかがでしょうか。

長谷川私の身近には研修中に出産した人はいませんが、女性の常勤の先生の中には院内保育所にお子さんを預けていらっしゃる方もいます。そういう姿を通勤時に見かけたりするので、こういう感じで働いていらっしゃるんだな、育児と仕事を両立されているんだなと思っています。

働き方改革の進み具合はいかがでしょうか。

伊藤これは頭が痛いですね(笑)。当院の医師の中で一人だけが規定時間をオーバーしそうなので、A水準にせず、B水準にしました。しかし私が危惧していることがあります。若い医師はまさにバネを伸ばして、成長していく時期、自らの裁量権が伸びてくる時期なので、健康はもちろん大事ですが、そこにレギュレーションをかけ、 私たちのようなリタイア間近な医師と若い医師を同じような時間でくくるのはよろしくないと思います。日本はゆとり教育を推進した結果、10年後に学力が低下しました。現在の風潮としても当直のない診療科に行きたい人が増えてきているので、10年後に「お腹が痛い」「胸が苦しい」といっても診てくれる医師がいなくなるかもしれません。これを私は危惧しています。そのときになってはじめて、医師の働きが社会を支えていることに皆が気づくでしょう。しかしながら当院は「当直帯の勤務は勉強になる」と言ってくれる研修医が多く、これはとても健全な状況です。この状況を病院としても続けていきたいです。

院内保育所はございますでしょうか。

伊藤稼働しています。医師だけでなく、看護師や薬剤師など、全ての職種の職員が利用可能です。

病児保育所はございますでしょうか。

伊藤かつては小児病棟で一時預かりのような保育をしていたのですが、コロナ禍になり、簡単にできなくなりました。発熱などの場合、普通の患者さんとしてはお受けしていますが、保育としては行っていません。

皆さんのお住まいはどのようになっておりますでしょうか。

伊藤寮はありません。私も最初は寮がないとマイナスになるのかなと心配していましたが、寮でPHSを持たされるよりも、寮でないところでフリーに暮らす方がいいみたいです(笑)。皆、徒歩や自転車圏内に住んでいるようです。病院からの家賃手当も出ますし、自分で3万円ほど出せば、オートロック付きで3部屋ぐらいある物件に住むことができます。

院長先生からのメッセージ

伊藤博士 院長

伊藤博 院長

2年次の皆さんは少しでも成長して戻ってきてくれると有り難いです。皆さん、当院では手技ができると言っていますが、私が強調しているのは臨床医としての態度、習慣が大事だということです。どんなに物知りで、手技ができたとしても、態度や習慣がなくてはいけません。患者さんから「この先生には診てほしくない」と言われるような医師にはなってほしくありません。コメディカルスタッフに横柄な態度を示したり、偉くなってから患者さんのもとに足を運ばなくなるみたいなことがないよう、この2年間はチーム医療を含めて、臨床医としての基本ができている医師になってほしいです。こういう考えに賛同してくれている優しい人たちが集まってくれていることを嬉しく思っています。

メッセージ動画

病院アピール

概要

  • 病院外観
  • 名称日本赤十字社 深谷赤十字病院
    所在地〒366-0052 埼玉県深谷市上柴町西5丁目8番地1
    電話番号048-571-1511 (代)
    開設年月昭和25年11月1日
    院長伊藤 博
    休診日土曜日・日曜日・祝日
    11月1日(創立記念日)、12月29日~1月3日(年末年始)
    病床数474床(一般468床、感染症6床)

診療体制

診療科目・部門

内科、腎臓内科、血液内科、総合診療内科、精神科、脳神経内科、消化器科、循環器科、小児科、外科、乳腺外科、呼吸器外科、整形外科、形成外科、脳神経外科、心臓血管外科、小児外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、麻酔科、放射線治療科、放射線診断科、緩和ケア外科、歯科口腔外科、病理診断科、救急診療科【全29診療科】

認定・指定一覧

    • 健康保険法指定病院
    • 更生医療指定病院
    • 国民健康保険法指定病院
    • 養育医療指定病院
    • 労働者災害補償保険法指定病院
    • 救急指定(第三次)
    • 母体保護法による指定病院
    • 急性灰白髄炎患者医療指定病院
    • 生活保護法による指定病院
    • 骨髄バンク認定病院
    • 性病予防法による指定病院
    • 救命救急センター
    • 身体障害者福祉法による指定病院
    • 地域災害拠点病院
    • 結核予防法指定病院
    • 地域周産期母子医療センター
    • 育成医療指定病院
    • 第二種感染症指定病院
    • 地域がん診療連携拠点病院
    • 地域医療支援病院

学会認定

    • 日本内科学会認定医制度教育関連病院
    • 日本血液学会認定血液研修施設
    • 日本血液学会認定専門研修認定施設
    • 日本消化器病学会認定施設
    • 日本消化器内視鏡学会専門医制度指導施設
    • 日本消化器外科学会専門医制度修練施設
    • 日本循環器学会循環器専門医研修施設
    • 日本心血管インターベンション治療学会研修施設
    • 日本乳癌学会認定医・専門医制度関連施設
    • 日本整形外科学会専門医制度研修施設
    • 日本泌尿器科学会泌尿器科専門医関連教育施設
    • 日本産科婦人科学会専門医制度専攻医指導施設
    • 日本麻酔科学会麻酔科認定病院
    • 日本小児外科学会埼玉医科大学病院専門医制度教育関連施設
    • 日本臨床細胞学会認定施設
    • 日本脳神経外科学会専門医研修プログラム研修病院
    • 日本神経学会専門医制度教育関連施設
    • 日本ペインクリニック学会認定医指定研修施設
    • 日本形成外科学会教育関連施設
    • 日本大腸肛門病学会認定施設
    • 日本臨床腫瘍学会認定研修施設
    • 日本周産期・新生児医学会専門医暫定認定施設
    • 日本がん治療認定医機構認定研修施設
    • 薬学生実務実習受入施設
    • 日本病院薬剤師会がん薬物療法認定薬剤師研修施設
    • 日本外科学会外科専門医制度修練施設
    • 臨床研修病院(医科:基幹型及び協力型)(歯科:協力型)
    • 日本救急医学会救急科専門医指定施設
    • 日本外傷学会外傷専門医研修施設
    • 日本消化管学会胃腸科指導施設
    • 日本肝臓学会関連施設
    • 日本胆道学会指導施設
    • 日本静脈経腸栄養学会NST稼働認定施設
    • 日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会ストーマ認定施設
    • 日本口腔外科学会認定准研修施設
    • 日本病理学会研修登録施設
    • 認定臨床微生物検査技師制度研修施設
    • 日本肝胆膵外科学会認定肝胆膵外科高度技能専門医修練施設(B)
    • 日本熱傷学会熱傷専門医認定研修施設
    • 日本看護協会特定行為研修協力施設
    • 日本皮膚科学会認定専門医研修施設
    • 呼吸器外科専門医制度研修連携施設認定
    • 日本透析医学会教育関連施設
    • 日本腎臓学会研修施設
    • 緩和医療専門薬剤師研修施設
    • 浅大腿動脈ステントグラフト実施施設
    • 日本脳卒中学会一次脳卒中センター
    • 日本脳卒中学会認定研修教育施設
    • 日本医学放射線学会画像診断管理認証施設
    • 日本腹部救急医学会腹部救急認定医・教育医制度認定施設
    • 下肢静脈瘤に対する血管内治療実施基準による実施施設
    • 日本緩和医療学会認定研修施設

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