インタビューが繋ぐ全国で活躍する女性医師

インタビューが繋ぐ全国で活躍する女性医師

vol.15

盛岡赤十字病院馬場 由香先生

皮膚科部長

インタビュー

馬場 由香先生プロフィール

  • 2003年
    岩手医科大学 卒業
    2003年
    岩手県立中央病院 初期研修医
    2005年
    岩手医科大学附属病院皮膚科 勤務
    2011年
    八戸赤十字病院皮膚科 勤務
  • 2012年
    盛岡赤十字病院皮膚科 勤務
    2012年
    盛岡赤十字病院皮膚科 副部長就任
    2016年
    医学博士号 取得
    2019年
    盛岡赤十字病院皮膚科 部長就任
    ペン

現在までの馬場先生現在までの馬場先生

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

実家が病院を経営しており、父の働く姿を見て、小さい頃からかっこいいなと思っていました。実家の病院には皮膚科の先生が勤務していたのですが、女性の先生でばりばり働いていらっしゃる姿に憧れがあり、私も医師を目指してみようかと考えるようになりました。

大学在籍中、同僚の皆さんと。 大学在籍中、同僚の皆さんと。

大学卒業後は岩手県立中央病院で研修をなさったのですね。

私は現在の臨床研修制度が必修化される1年前に卒業したのですが、まだ専攻科が決まっておらず、スーパーローテートで色々な診療科を見てから決めたいと思ったので、岩手県立中央病院での研修に応募しました。

盛岡赤十字病院に来られた経緯をお聞かせください。

これは医局人事です。盛岡赤十字病院に来る前は八戸赤十字病院に勤務していたのですが、そこで結婚したので、半年ほど単身赴任の状態でした。そこで当時の教授でいらした赤坂先生が盛岡に戻してくださったのです。2012年に盛岡赤十字病院に来て、2013年に長女を出産しました。

皮膚科を専攻した理由は『学問的な面白さ』

実家の病院にいらした女性の先生の影響もあります。でも、大学を卒業した頃や初期研修医の頃は色々な分野に興味があったんです。皮膚科のほか、眼科、麻酔科、神経内科なども検討していました。 初期研修で皮膚科をローテートしたときに、学問的に面白さを感じたのが第一ですね。

皮膚科を専攻した理由は『学問的な面白さ』

皮膚科では「見たことがないものは知らないもの」なので、見て覚えて習熟していくという臨床経験がものを言うところが良かったです。皮膚から病理組織を推測したり、「これは内臓悪性腫瘍のサインだ」と思って精査をするとがんが見つかったり、探偵のように問診を取って、アレルギーの犯人を探したりといった謎解きが楽しいです。謎を解いていくのは爽快ですね。
また、皮膚科では大がかりな検査をしなくても、目に見えて結果が分かることも魅力です。パンパンな顔になった患者さんに治療をして、次の週にお会いしたらもとの顔に戻っていて、「そういうお顔だったんですね」と患者さんと笑い合ったりできるんです。患者さんもご自身で効果を実感して喜んでくださるので、それがすごく嬉しいです。

現在の勤務内容現在の勤務内容

部長&ママ女医として活躍中

外来、病棟、研修医の指導にあたっています。
全国ニュースでもよく報じられていますが、岩手県は日本の中でも医師不足が顕著な県です。そのため、皮膚科の常勤医師がいる病院は非常に少ないのです。岩手県は非常に広く、四国とほぼ同じ面積を持っているにもかかわらず、皮膚科の常勤医師のいる病院は大学病院を入れても4つしかありません。その貴重な病院のうちの一つが当院です。
そういった医師不足の背景の中で、常勤医師一人の体制で勤務しています。一人常勤医ですと、毎日がオンコールですので、その意味では大変です。ただ、子どもの学校行事などで休まないといけない場合や夏季休暇などには大学の医局から応援の医師が来ます。

皮膚科全範囲を担当

皮膚科全範囲を担当

大学病院に勤務していたときは美容皮膚科、皮膚の悪性腫瘍、アレルギーの3つを中心に担当していました。しかし、当院では何でも診ないといけません。全範囲において、できる範囲でやっています。
美容皮膚科を選んだのは、私自身が若かった頃ににきびが酷くて、痕が残り、それを気にしていたことがありました。ところが、美容皮膚科の治療を受けたら、とても綺麗になって、すごいなあと思ったんです。私もそういう喜びを患者さんに与えられるような治療をしたいと考え、美容皮膚科を専攻しました。臨床研究を積み重ね、当院に来てから学位論文を提出して、医学博士号を取得しました。

外来はいわゆるCommon diseaseが中心です 年に5、6人ほどの研修医が回ってきてくれます

外来

外来はいわゆるCommon diseaseが中心です。感染症、良性の腫瘍、炎症性の疾患などが多いですね。患者さんの数は以前は多かったのですが、新型コロナウイルスの影響で、4月や5月は少し減りました。

病棟

入院患者は帯状疱疹、蜂窩織炎、その他の感染症、自己免疫性疾患、手術目的の方を中心に診ています。

研修医指導

年に5、6人ほどの研修医が回ってきてくれます。指導医1人、研修医1人で1カ月の間、1対1対応になりますので、かなり濃厚接触な指導になっているかと思います(笑)。

部長職

院内の褥瘡対策委員会の委員長として活動しています。褥瘡のある患者さんに対し、皮膚・排泄ケア認定看護師、看護師、管理栄養士、薬剤師などとカンファレンスを行い、見て回ります。そして、薬や食事、マットを変えようといったことを検討し合うといった活動です。私は人前で話すのがあまり得意ではないので、こうした機会があると、自分には向いていないのではと不安になることもあります(笑)。

実現したキャリア

実現したキャリア

大学病院に在籍中に臨床研究を行い、データの収集をしてきました。当院に転勤してきてから、週に1日の研究日をいただき、それを利用して、データの解析と学位論文を作成して、医学博士の学位取得ができました。一方で、女性としてのキャリアは八戸赤十字病院時代に結婚し、当院に来てから出産しました。当院で産前産後休暇や育児休暇をいただきましたが、大学の医局が人手不足なので、私もできるだけ早く復職したいと思い、育児休暇は5カ月でした。多くの方に支えられて、今はいわゆるママ女医として、臨床を続けることができています。

馬場先生の1日のスケジュール

  • 午前のスケジュール
  • 午後のスケジュール

馬場先生の診療方針馬場先生の診療方針

患者さんにとっての最適な選択ができるように

患者さんにとっての最適な選択ができるように

その患者さんにとっての最適な選択ができるようにしたいと心がけています。
医学部卒業以来、臨床医として診療を行ってきましたが、この10数年で分かったことがあります。それは医師の考える良い治療と患者さんが考える良い治療には乖離があるということです。
医師にとっての最良の治療は治療の内容、効果、タイミング、予後、副作用などを総合的に考えた第一選択で提示できるものなのですが、患者さんには患者さんの事情があります。患者さんにとっての最良の治療は通院頻度、治療費、治療期間、家族背景、社会背景、地理的状況といった、ご自身を取り巻く全ての要素の折り合いがつくものなのです。
私が「この病気は安静が必要だよー」とお話ししても、「先生の言うことも分かるけど、仕事に行かないと暮らせないし、治療費も払えないんだよー」と言われたり、「今のタイミングで治療するのが一番効きますよー」とお話ししても、「それで少しだけ長生きできるかもしれないけど、今、一番大事にしているのは来月の娘の結婚式でヴァージンロードを歩くことだから、入院はできない」と言われるなど、色々なお返事をいただきます。
若い頃は「それはそうだけど、自分の身体は大事じゃないのかな」と納得がいかないこともありましたが、私も社会人として研鑽を積み、配偶者を得て、子どもも得て、親が高齢になりといった人生経験を重ねてきた今では患者さんのおっしゃることもよく理解できるようになりました。
医学的に正しくても、患者さんにはより良い選択にならないこともあります。患者さんのライフスタイル、人生観、キャラクターを総合的に考慮し、その患者さんにとっての「最適」を一緒に見つけてあげられる診療ができればいいなと思っています。

盛岡赤十字病院とは盛岡赤十字病院とは

多くの方々に支えられています

盛岡赤十字病院 外観

私の場合は一人常勤医なので、大学から代診が出ない限りは休みを取りにくいのですが、子どもの行事などで早退したいとき、週末に行事があるときなどは対応していただいています。
また、他科の先生方が協力してくださったり、カバーしてくださることもあります。多くの方々に支えられて、何とか働き続けることができているのかなと感謝しています。

働く母親にとって心強い

出産後に有り難かったのは当院は院内保育所が病院と同じ建物の中にあることです。生後7カ月で入所したのですが、乳児期の頃は昼休みに授乳に行くことも可能でした。この院内保育所は入所はもちろん、急な臨時保育にも対応していただけます。子どもが3歳になったときに幼稚園に移ったのですが、あるとき突然の大型台風で幼稚園が休園になったことがありました。その日の朝に院内保育所に電話してみたら、快く受け入れてくださったんです。働く母親にとって、子どもを急なときにでもお願いでき、安心して預けることができる場所があるのはとても心強いです。女性医師は各科に一人ずつぐらいですので、今はそこまで多くはないのですが、助け合っています。

  • 馬場先生の顔写真
  • 盛岡赤十字病院はどんな病院?

馬場先生に直撃!

ワーク・ライフ・バランスをどのように実現していらっしゃいますか
子育てに理解のある職場環境に加え、自宅と病院と学童保育の場所がそう遠くないという地理的状況もあり、ワーク・ライフ・バランスを比較的実現できていると思います。
ワークの部分では常勤医師一人の診療科であるために、業務を残しておいても、結局あとから自分に降りかかってくるので、自分でやれることをやれるときにきちんとこなしていくようにしています。個人情報の問題があり、病院の仕事を自宅に持ち帰ることはできないので、帰宅後はワークの部分はなるべく存在を消して、母として、妻としてのライフの時間を過ごしています。子どもは小学生になりましたが、盛岡は新型コロナウイルスによる休校がなく、普通に登校しています。ただ1年生は早く帰ってくる日がありますし、課題や準備すべきものも多かったので、4月は結構大変でした。
家事とどのように両立されているのですか
以前は何曜日には何をすると自分なりに計画を立てていたのですが、なかなか思い通りにいかず、もどかしい思いをしていました。現在は家事も仕事と同様に、やれることをやれるときにやっています。夫も同業なので、帰りが遅いのですが、夫もやれることをやれるときにやってくれています。
また、今はロボット家電もフル稼働で使用しています(笑)。ルンバやブラーバ、食洗機といったロボット家電たちが家事を助けてくれるので、家庭内での不穏な空気や雰囲気を感じることなく、過ごせています。家族の皆が不満なく過ごせるように上手に時間を使って、バランスの取れた生活をしたいなと思っています。
趣味などプライベートの楽しみについてお聞かせください
毎日成長する子どもの姿や子どもの今の時間を見逃さないようにしたい今は子どもと一緒に楽しめることをいつも探して、それを実践しています。周りからも「子どもが小さいときの時間は短いよ」と言われるので、子どもと一緒に笑って、泣いて、学んで、毎日成長する子どもの姿や子どもの今の時間を見逃さないようにしたいですね。最近は自転車の練習です。自宅から徒歩圏内に河川敷があるので、そこで練習に付き合っています。まだ少し危ないので、走って追いかけているのですが、それがいい運動になっています(笑)。
座右の銘はありますか
特にないのですが、皮膚科学会の重鎮の先生がおっしゃっていた「置かれた場所で咲く」というフレーズをよく思い出します。どんな環境に置かれても、これは自分の望んだことではないのだと腐らず、そこで花を咲かせる努力をすれば、道は開けるのだと解釈しています。私はまだ花道ができるほどではありませんが、花を咲かせることを目標に頑張っていきたいです。

医学生・若手女子医師にメッセージ医学生・若手女子医師に
メッセージ

病院アピール病院アピール

人道・博愛の赤十字精神にもとづき
みなさまの生命と健康を守るために信頼される医療を実践します

概要

  • 病院外観
  • 名称 盛岡赤十字病院
    所在地 〒020-8560 岩手県盛岡市三本柳6地割1番地1
    電話番号 019-637-3111(代)
    開設年月 大正9年4月
    院長 久保 直彦
    休診日 土曜日、日曜日
    国民の祝日、創立記念日(5月1日)
    年末年始(12月29日~1月3日)
    病床数 一般 438床
    (稼動病床数394床 令和2年4月1日現在)

診療体制

診療科目

総合診療科、血液内科、精神科、脳神経内科、呼吸器内科、消化器内科、循環器内科、小児科、外科、消化器外科、小児外科、緩和ケア科、整形外科、脳神経外科、リハビリテーション科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、麻酔科( ペインクリニック外来)、病理診断科、健診部

診療機能

日本医療機能評価機構病院機能評価(3rdG:Ver.1.1)認定施設(平成28年6月3日付)、DPC対象病院(平成18年4月~)、臨床研修指定病院、救急告示病院、短期入院ドック指定病院、岩手県基幹災害拠点病院(災害救援センター)、保険医療機関、労災保険指定病院、労災保険二次健診等給付医療機関、母体保護法指定病院、更生医療指定病院、育成医療指定病院、生活保護法指定病院、結核予防法指定病院、養育医療指定病院、原子爆弾被爆者一般疾病医療取扱病院、地域周産期母子医療センター、地域医療支援病院

施設認定

  • 日本内科学会認定医制度教育関連病院
  • 日本婦人科学会専門医制度教育病院
  • 日本消化器科学会認定施設
  • 日本周産期・新生児医学会認定専門医制度暫定研修施設
  • 日本血液学会認定血液研修施設
  • 婦人科悪性腫瘍研究機構認定登録参加施設
  • 日本神経学会認定専門医准教育施設
  • 日本眼科学会専門医制度研修施設
  • 日本耳鼻咽喉科学会専門医研修施設
  • 日本循環器病学会認定循環器専門医研修施設
  • 日本核医学会認定医教育病院
  • 日本医学放射線学会放射線科専門医修練機関
  • 日本外科学会外科専門医制度修練施設
  • 日本麻酔科学会麻酔科認定病院
  • 日本消化器外科学会専門医修練施設
  • 日本ペインクリニック学会指定研修施設
  • 日本乳癌学会認定医・専門医制度認定施設
  • 日本がん治療認定医機構認定研修施設
  • 日本臨床細胞学会認定施設
  • 日本整形外科学会専門医制度研修施設
  • 日本医療薬学会認定薬剤師制度研修施設
  • 日本脳神経外科学会専門医訓練施設©
  • 日本医療薬学会がん専門薬剤師研修認定施設
  • 日本脳卒中学会認定研修教育病院
  • 日本泌尿器科学会認定専門医教育施設
  • 日本栄養療法推進協議会NST 稼動施設
  • 日本皮膚学会認定専門医研修施設

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