指導医インタビュー

社会医療法人 杏嶺会

一宮西病院

愛知県一宮市開明字平1番地

名前
笹本 彰紀(ささもと あきとし) 一宮西病院 消化器外科部長 腹腔鏡センター長 手術室部長 指導医
職歴経歴
1994年に名古屋大学を卒業後、名古屋大学第一外科に入局する。大垣市民病院、愛知県立尾張病院、名古屋大学医学部附属病院、静岡厚生病院診療副部長、春日井市民病院中央手術室部長を経て、2015年に一宮西病院に入職する。
学会等
日本外科学会認定医・専門医・指導医、日本消化器外科学会専門医・指導医、日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本胆道学会認定指導医、検診マンモグラフィ読影認定医、緩和ケア指導者研修修了、日本肝胆膵外科学会評議員、東海外科学会評議員など。

一宮西病院の特徴をお聞かせください。

急成長している病院というのが一つあります。私自身もそこがいいと思っています。私もスキルアップしていきたいですから、成長する病院にいないと成長しないと考えて、当院に来ました。私は色々な病院の勤務歴がありますが、当院はどの科のトップにしろ、若い研修医にしろ、非常に頑張って仕事をしている印象を持っています。内科系、外科系の医者も基本的なコンセプトが「患者さんのために」、「患者さんを助けるために」なんですね。救急の手術でも麻酔科医から「嫌だ」の「い」の字も聞いたことがありません。忙しくても、皆がそういう顔を見せずに働いている病院です。

一宮西病院の消化器外科の特徴もお聞かせください。

外科も365日24時間、緊急手術から予定手術まで、幅広いです。肛門、乳腺の手術もあれば、食道、肝胆膵の手術もあります。高難度手術も積極的に行っており肝臓の再肝切除もしていますし、骨盤全摘なども行っています。腹腔鏡の手術も多いですね。最近は大学病院が行っているような手術に少しずつシフトしています。

院内の雰囲気を教えてください。

垣根がないですね。他科の医師にコンサルトをしても、嫌な顔をされず、「じゃ、診るよ」という感じです。他職種との間でも、そういう垣根はありません。

後期研修プログラムの特徴を教えてください。

当院は基幹病院としてのプログラムを出しています。特徴としては3年間のうちの2年間で外科の専門医を修了し、残りの1年間でそれぞれのサブスペシャリティに向かって、少しずつ動いてもらうということです。最初の1年間は当院で消化器外科、呼吸器外科、心臓血管外科、乳腺外科の4科をしっかり回ります。その後は連携先の聖路加国際病院、愛知医科大学病院、尾西記念病院で6カ月以上学んでもらいます。症例数についてはそれを人数で割って、サブスペシャリティに向けていくというプログラムです。

研修を受けることで、どのようなスキルが身につくとお考えでしょうか。

外科であれば、当然、日本外科学会の専門医の取得ができますし、手術に関しては、私は「えっ」というような手術もしてもらっています。大学からの医局派遣の人たちが経験する手術を当院では1年か、2年早く経験できます。早い段階で経験することで勉強できますし、ほかの病院の同じ学年の人に「俺はこれをやったよ」と言えるのは自信に繋がります。ただし、手術だけではいけません。手術は治療の一つに過ぎないし、メンタル面や気持ち面からも患者さんを診ることが大切です。手術だけという人はあまり好きではないですね(笑)。また、私たちが「これをやっておいて」と頼んだことを雑用だと思われることもあるようですが、長い目で見たり、真剣に取り組むと雑用ではないんです。自分が考えたことと違うこともやってみて、裾野を広げておくと、その分、外科医として、上へ高く登りつめることができます。それからチームを大切にすることです。当院の外科には個人プレーの医師はいないですが、自分の患者さんのみならず、他人の患者さんもきちんと診て、何かあったら患者さんに声をかけてあげましょう。主治医が別にいたとしても、患者さんはその主治医に惹かれて来院されたのではなく、この病院を選ばれたのですから。

カンファレンスはどのような形で行っていますか。

研修医を受け入れる病院に向けて、今年からは勉強会なども含めて、週4回ほど開催することになりました。水曜日は前週の術後症例、木曜日は術前のカンファレンスです。今までは主治医が「こういう手術」と決めたら、その術式になっていたのですが、外科としてはエビデンスに基づき、一流と呼ばれる病院に引けを取らない手術を行うために術前カンファレンスを充実させています。それから他職種を交えて、入院患者さん全員についてのカンファレンスもあります。外科医全員が手術患者ではない患者さんのことも把握できるような取り組みも始めたところです。月曜日の朝は英語の抄読会があり、学問的な知識も高めあっていますし、学会などにも積極的に参加してもらっています。

カンファレンスを始めて、変わりましたか。

外科に関しては全身麻酔の手術が670例だったのが近いうち750例から800例以上まで伸びそうです。手術の全体数では1300例ぐらいになるでしょう。手術数だけではなくて、しっかりした内容がついていかないといけません。私が以前、トレーニングしてきたことを当院で活かせればと思っています。

先生はどのような研修医時代を過ごされたのでしょうか。

何しろ救急が忙しい病院で、救急ばかりやっていました。当時は上の先生方は特に教えてくださるわけではなく、「見て盗め」という時代です。怒られてばかりでしたが、見て盗みながらイメージトレーニングをしましたので、「これ、やってみ」と言われたことができたんです。しかし、それではいけないと思っていますので今の研修医には最初は手取り足取り教えています。

消化器外科を選ばれた理由をお聞かせください。

実際にお腹を開けて、中のものを見て、触って、取れば、基本的には確定診断がつきますから、患者さんの最後の病気を知りたくて、消化器外科を選びました。自分が考えて病名をつけるがわではなく、病名がついた病気を最後に技で治すことに惹かれたんです。外科は病気の最後、命の最後を診られる診療科ですね。

研修医に指導する際、心がけていらっしゃることはどんなことでしょうか。

怒ることはまずありません。一度だけ愛情をもって(?)叱った事はあります。まだ未熟で、ある手術が出来ず手術を自分の出来るやり方でやろうとした研修医に対してです。患者さんはその医師ではなく、病院を選んで来院されているのだから、チームとして取り組むことが必要です。間違った方向に行こうとしている研修医がいれば、それを修正してあげたいですし、私自身も私を真似してくれたり、真似をされるような医師になりたいという思いで行動しています。

研修医にどんなアドバイスをしたいですか。

研修医にも自分のやりたいことがあるでしょうが、色々なことの経験が最後には自分のためになります。研修医がやりたいことはほぼ手術なのですが、手術以外のことを依頼したときに、やる気を失わないでほしいんです。緩和ケアや栄養学の資格を取ることなど、嫌がらずに、ある程度はできるというぐらいまで頑張ってほしいですね。ちょっとした症例でも忙しさから流してしまうのではなく、一度、とどまって、その患者さんのことを勉強しましょう。一人一人の患者さんをしっかり診てほしいですね。

先生が一宮西病院を選ばれた理由を教えてください。

先程も述べましたが、急成長している病院でフットワークも軽い病院ですので、さらに自分自身も成長できると考えたからです。私は前の病院では外科医をしながら、緩和ケアにも取り組んでいました。緩和ケアの指導医資格を取り、若手医師に教育してきました。緩和ケアをやっていると、患者さんが亡くなったりするときに落ち込んでしまうことも多くありました。次第に再度、患者さんの根治手術(治療)にたずさわりたいと考える様になりました。当院は理事長に理解があり、良いと思ったことを受け入れたり、改善してくれます。お蔭様で、当院で腹腔鏡下手術全般を立ち上げることができました。

最後に研修医にメッセージをお願いします。

成長するのも、しないのも本人の気持ち次第です。後期研修を外科で行うと決めたら、少しベクトルを上げましょう。与えられたことをするのではなく、自分から積極的に動いて欲しいですね。動き過ぎて怒られた方が動かずに怒られるよりもいいですよ。研修医のうちは多少空回りをしてもいいんです。指導医がきちんと誘導しますしね。手術室でほかの医師の手術を朝から晩まで見るだけでも勉強になりますよ。最初が肝心です。最初に頑張れば、10年後、20年後に大きな差ができますので、自分で率先して動きましょう。

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