指導医インタビュー

医療法人 伯鳳会

赤穂中央病院

兵庫県赤穂市惣門町52-6

名前
仁科 慎一 赤穂中央病院内科医長
職歴経歴
1972年に岡山県岡山市に生まれる。1998年に愛媛大学を卒業する。卒業後は岡山大学病院・広島市民病院・住友別子病院・近畿大学医学部附属病院などに勤務する。2014年に赤穂中央病院に内科医長として着任する。
学会等
日本内科学会認定医・指導医・総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会専門医、日本がん治療認定医(厚生労働省)、緩和ケア研修会修了、医師の臨床研修に係る指導医講習会(厚生労働省)修了など。

赤穂中央病院の特徴をお聞かせください。

地域に密着した総合病院です。風邪から始まり、悪性腫瘍、虚血性心疾患、脳疾患、外傷など何でも診療しています。また、地域医療も行っています。田舎にあり、田舎のニーズに応えている病院ですので、一般的な疾患の患者さんが来ています。都会の病院だと症例にかたよりがあったり、症例に対し医師が多くて症例の取り合いになったりということがありますが、当院では一般的な疾患を多く経験できます。十分な症例の経験を最前線でやれるというのは魅力だと思います。

仁科先生がいらっしゃる内科の特徴もお聞かせください。

地方ということもあり、年配の患者さんが多く、内科はこの病院の中心的な存在ではないでしょうか。初診の患者さんに対するプライマリケアを行ったり、地域の拠点病院として精密検査を行ったり、内科はこの地域で重要な位置を占めています。

赤穂中央病院の初期研修の特徴もお願いします。

多くの症例を経験できることと、見るだけではなく、すぐに手を動かして最前線で働けることが魅力です。救急対応から入院治療、手術への参加も経験できます。「即戦力です」と言うと心配になるかもしれませんが、上級医がいますので安心してください。上級医と一緒に現場で経験しながら研修を積んでいけます。

初期研修医の人数はどのくらいですか。

毎年2人、多くて4人です。それ以外に岡山大学からも初期研修医が来ます。

指導される立場として心がけていらっしゃることを教えてください。

医療は人を相手にしますので、人として、社会人として、患者さんに接する「人対人」が大事だということを伝えたいです。そして、一緒に臨床の現場に立って教科書にないこと、インターネットの情報では得られないことを教えようと思っています。また、分子生物学的考察による自然科学の面白さを知ってもらいたいですね。

最近の研修医をご覧になって、どう思われますか。

小脇にタブレットを抱えており、知識が豊富で情報収集がうまいなと思います。逆に、少ない知識からじっくり考えることが少なくなっていることが残念な気がします。

「こんな研修医がいた」というエピソードがあれば、お聞かせください。

来る日も来る日も夜勤をして、体を壊して、点滴をして、それでも夜勤をして外車を買った研修医が今、常勤医で勤務しています。また、たすき掛けで来た研修医で刺激的な人がいました。毎日のように「何でも来たら呼んでください」と救急外来にやって来て、寝ていないのではないかと心配したものです。岡大から来ていた、救急志望の研修医でしたが、貪欲でしたね。経験をつむためというわけではなく、本当に興味があって患者さんのためにという感じだったんです。救急外来でも常に患者さんのそばで話を聞いてあげていましたから、立派だなと思っていました。

やはりそういう初期研修医は上の先生から可愛がられるんでしょうね。

そうですね。勉強ができる人より、人懐っこく対人関係がきちんとできている人の方が私たちも育てやすいです。「良い医師とは」という問いには答えはありません。山中伸弥教授は「現場で働く技量がないから、基礎医学に行った」とおっしゃっていましたが、これも一つでしょうし、心臓外科の先生が「市中病院で大学病院以上の人数の心臓を切ったから、俺の腕に敵う奴はいない」と言うのも良い医師像の一つです。でも、どちらが良い医師なのかという差はありません。目の前の患者さんを救うことなのか、新しい科学技術によって、多くの患者さんを救うことなのかの違いです。なかには医学的知識がなくても患者さんのもとに朝晩通って、退院する患者さんから「いい先生でしたよ」と言われる人もいるかもしれません。しかし、患者さんへのサービスが良くても、医学的知識がなければ医学は成り立ちません。また、サイエンスとして正しく、適切な検査・治療をしても患者さんのニーズに応えず、サービスがなければ患者さんのためになっていません。良い医師像とは難しいものですが、初期研修医に求められるものはやはりコミュニケーションをきちんと取れること、人としてあるべき姿があることだと思います。そして基礎医学・臨床医、どの立場でもよいので医療に貢献してほしいです。

研修医に「これだけは言いたい」ということがあれば、お聞かせください。

病気という避けては通れない問題を科学的に、そして人の気持ちになって考えて、その人とそのご家族にとって、最も良い治療を探していくのが臨床です。そのため、人間の総合力が必要です。大変な仕事ですが、やり甲斐のある仕事です。

先生の研修医時代はどのようにお過ごしでしたか。

暇があれば遊んでテニスをしたり、家に帰れば寝ていました。勉強をしないので、上司に呼び出され、歴代の研修医で最低だとお説教を受けました(笑)。今、振り返っても最低だと思いますが、幸いなことに良い先輩方に恵まれ、先輩方に育てていただきました。

現在の臨床研修制度についてのご意見をお願いします。

教育は一番大事なものです。今までは医局が責任を持って育てていましたが、今の制度だと誰が責任を持って育てるのかという観点がなくなっている気がするので、難しいところです。今までは医局がキャリアを形成してくれましたが、今は自分で計画しなければなりません。また、医局制度のもとではいつかはどこかの関連病院で一緒に働くだろうという前提で先輩後輩として指導がされていたのですが、今の制度は個人と病院との契約ですから、初期研修で会った指導医と二度と会うことがないかもしれない点でも難しさを感じます。

来年からの新専門医制度で医局がまた力を持ち出すなどと言われていますが、仁科先生のご意見はいかがでしょうか。

教育を医局に委ねるのではなく、それぞれの病院からの症例登録により実習内容を管理しようというのは客観的ですし、医療のレベルの担保が可能になると思いますが、これまで医局がやってきたことは馬鹿にできないことです。医局のお蔭で、地方の病院にも医師が派遣されてきましたし、先輩が後輩に伝えていくことである程度の教育レベルも維持できていました。医局制度は問題だということで、新しいシステムが始まるわけですが、これからの船出は果たしてうまくいくのかと心配しています。ただ、先輩から後輩への教育は標準化されていないですし、馴れ合いの面もありますから、第三者の客観的な評価は時代の流れからもそうあるべきでしょう。

これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

見学に行ってひとに会って話してほしいです。「良い病院ランキング」のような症例数、患者さんの数のような情報を見てもどんな研修ができるのかどうかわかりません。「人が人を診る」仕事をするのですから、人に会って指導医や研修医の熱意を感じたり、「この人についていきたい」「この病院がいい」と思えるところを選んでください。教育は人と人だということは今も昔も変わりません。

赤穂中央病院のPRをお願いします。

症例の取り合いもなく、臨床の基礎を学ぶのに十分な症例数があります。アットホームな病院ですから、常に家族的な指導を受けられるというところも非常に魅力的です。当院には先端病院にはない、家族的な魅力があります。ただ先端医療でできないこともあります。それはまた次の病院で研修してほしいです。当院には当院でしか経験できないひととひとが顔を見て話せる研修があります。

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