指導医インタビュー

国家公務員共済組合連合会

大手前病院

大阪府大阪市中央区大手前1-5-34

名前
三井秀紀(みついひでき) 大手前病院診療部長、指導医
職歴経歴
1959年に大阪府で生まれる。1984年に大阪大学を卒業する。2006年に大手前病院に着任する。2015年に大手前病院診療部長に就任する。
学会等
日本血液学会専門医・指導医・代議員、近畿血液学地方会評議員、日本内科学会認定医、造血細胞移植専門医など。

大手前病院の初期研修のプログラムの特徴をお聞かせください。

当院の初期研修プログラムは1年目に内科を6カ月、外科を3カ月、救急と麻酔科を3カ月回ります。1年目で医学の基本的なところを全部回りますが、2年目になりますと12カ月のうち2カ月だけが固定なんです。その2カ月は精神科と地域医療が1カ月ずつで、精神科は院外研修、地域医療でも地域の在宅クリニックを回ります。残りの10カ月は初期研修医の希望に従い、かち合わないような調整はありますが、自分の好きな科を回ることができます。当院はマイナー科を含めて、多くの科がありますし、1年目に回った科をもう一度、回るのも可能であることが特徴ですね。また、当院は救急医療に力を入れています。救急当直は内科当直、外科当直、循環器当直の3人の当直医師のもとで1年目の初期研修医が研修医当直として入ります。その3人の指導医が救急の患者さんを診るのを見学し、手伝いをするんですね。2年目の初期研修医は2年目にローテートする科の当直に入ります。ですから、初期研修が終わる頃にはほとんどの内科当直、外科当直をこなせるようになっています。

初期研修医の先生方の全体の雰囲気はいかがですか。

今のところ、初期研修医は各学年7人で、大阪大学医学部附属病院とのたすきがけの人がいますので、1年目は9人います。2年目になると、たすきがけの人は阪大に帰りますので、7人になります。そのぐらいの人数ですから、仲良くまとまってやっていますね。研修医ルームという部屋があり、初期研修医だけが使っています。そこでは2年目の初期研修医が1年目を色々と教えていて、良い雰囲気だと思います。

阪大から来られる初期研修医以外にも、全国から集まっていらっしゃるんでしょうか。

大手前病院は阪大の系列なので、阪大からも1人ぐらいは来るんですが、北海道や九州など、全国の大学から来ています。

大手前病院での初期研修を受けることでどのようなスキルが身につくとお考えでしょうか。

当院は二次救急までの病院ですが、患者さんを診たときに一通りの対応がすぐにできますので、そういったスキルは身につきます。また、1年目に内科、外科、救急を必須で回りますので、何科に進むにしても、医師としてやっていくための基本となる知識と技術も身につくと思います。

今の臨床研修病院は三次救急もやっているところも多いですが、そのあたりの違いはどういったところにありますか。

救命救急センターや大学の特殊救急部などの三次救急の病院は確かに非常に重症な方が来ますが、いわば特殊な病気を診ますので、普通に医師をしているときにお目にかかるような患者さんではない患者さんが来ます。それに比べて、二次救急の疾患として多いのは肺炎、消化管出血、脳血管障害など、医師として普段から目にするものなんです。当院は二次ですが、救急医療件数は多く、年間6000人が来院されます。大阪府下の200以上の病院の中で10位に入っています。

指導される立場として、研修医を指導する際に心がけていらっしゃることを教えてください。

初期研修医は医師になりたての時期で大変ですから、色々な悩みなどで挫けそうになる人が出てきます。私としてはそういうことがないように、気を遣っています。ただ、そこまでハードな研修をさせていませんので、それで消耗させるということはありません。また、2年間で一通りのことができる医師になれるように、できるだけくまなく研修させています。当院の研修体制以外にもセミナーや講習会を設けていますので、勉強して一人前になっていただくことを心がけています。

印象に残っている研修医の先生はおられますか。

それぞれの印象はありますが、初期研修が終わったあとで、そのまま後期研修も当院で行い、まとめ役のチーフレジデントになってくれる人が毎年ではないですが、ときどき出てきます。そういった人は付き合いが長くなりますから、印象に残りますね。

夏休みの時期ですと、学生の見学が多くなります。人数が多い中で、マッチングの対象者を選ぶにあたってはどのようなところを見ていらっしゃいますか。

確かに夏休みは見学が多いですね。研修医を採用する側としては一番に人柄です。キャラクターが変わっていて、医師にあまり向いていないかなという人は困ります。それから学力です。皆さん優秀ですが、その中でも学力が劣る人はマッチングの順位としては少し下がります。ただ、人柄がそれを上回って、順位が上になる人もいますので、普通に働けそうで、仲良く協調性があれば、それでいいです。

最近の研修医をご覧になってどう思われますか。

私たちが研修医の頃と違い、今の研修医の人達は積極的ですね。

カンファレンスはどのような形で行っていますか。

色々な形のものがありますが、初期研修医が主体となって勉強するカンファレンスは基本的には週に1回あり、チーフレジデントが中心になって、救急カンファレンスを行っています。ここでは初期研修医が実際に体験した症例をもとに、電子カルテを見ながら、どういうふうに診断して治療するかという話をしたり、画像の見方などを勉強しています。上から教わる形のカンファレンスは毎週金曜日の「早朝の救急レクチャー」です。主に部長クラスの医師が自分の専門領域に関する救急の話をレクチャーします。また、当院は年に1回、院外の医師や看護師などに集まっていただき、緩和ケアの講習会を主催していますが、それに当院の初期研修医にも出席してもらっています。一方で、各科のカンファレンスもありますし、月に1、2回のCPCもあります。これは初期研修医が病理解剖をした患者さんの臨床経過を発表したうえで、病理医が病理解剖の結果をスライド写真を見せながら説明し、最後に担当科の上級医がミニレクチャーをするものです。

現在の臨床研修制度についてのご意見をお願いします。

昔は皆がその科のやり方を上の医師から教わって、それでも医師として一人前になっていましたが、やはりその科の流儀といったものが入りやすくなってしまいます。それに比べると、今の臨床研修制度は最初に基本をしっかり学びますから、偏った医師を作らないという点で必要なものだと思っています。

今後、力を入れたい分野はありますか。

今年から初期研修の評価方法をもう少し細かくすることを検討中です。既に360度評価を行っていますが、今一つ機能していないようなので、定期的な形にします。「初期研修の2年間でこれだけできました」ではなく、途中の何段階かで「医師として仕事をするにはこの点にもう少し努力がいる」という評価を出し、そういったところを細かく指導して引っ張り上げていく育成的なものにしたいですね。研修達成度を評価する試験などもありますから、場合によってはそういう試験を受けてもらうのも一つの方法でしょう。

大手前病院のPRをお願いします。

当院は立地条件が非常に良く、交通の便も良好です。大阪市の中心部にありながらも、周囲に緑も多く、大阪城もすぐ目の前ですから、ビルの中の病院という感じがしません。規模も中規模で、初期研修医も少なすぎず、多すぎず、仲良くやっていける雰囲気があります。各科の垣根が低く、一つの部屋に全科の医師が集まっている医局なので、科同士のコミュニケーションも取りやすいです。科の垣根を越えて、全部の科の医師に毎日、会えますから、初期研修医にとっては色々なことを聞きやすく、勉強しやすい病院です。

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