指導医インタビュー

東京女子医科大学附属八千代医療センター

千葉県八千代市大和田新田477-96

名前
高梨 潤一 東京女子医科大学八千代医療センター 小児科教授、副院長(教育研修担当)
職歴経歴
1962年に千葉県木更津市で生まれる。1988年に千葉大学を卒業後、千葉大学小児科に入局し、国立千葉病院(現 千葉医療センター)、君津中央病院、千葉県千葉リハビリテーションセンター、千葉労災病院(現 千葉ろうさい病院)で研修を行う。1998年に千葉大学大学院小児病態学の助手に就任する。2001年にDepartment of Radiology, University of California San Francisco(Prof. A. James Barkovich)に留学する。2002年に千葉大学大学院小児病態学に復職する。2005年に亀田メディカルセンターに小児科部長として着任し、神経担当となる。2014年に東京女子医科大学八千代医療センター小児科に准教授として、着任する。2015年に東京女子医科大学八千代医療センター小児科教授に就任する。2016年に東京女子医科大学八千代医療センター副院長を兼任し、教育研修を担当している。
学会等
日本小児科学会専門医・代議員、日本小児神経学会専門医・評議員、日本神経放射線学会評議員、日本神経感染症学会評議員、NCPRプロバイダーなど。

東京女子医科大学八千代医療センターの特徴をお聞かせください。

東京女子医科大学病院の分院としてオープンして11年目の病院です。大学病院ならではのアカデミックなところと地域に密着した市中病院の良さを合わせ持った病院で、救命救急と分娩・新生児・小児医療に特徴があります。

ほかの特徴として、何か挙げられますか。

診療科の垣根が低いことでしょうか。通常の大学は医局単位ですが、当院は総合医局制ですので、他科の医師に相談しやすいです。女子医大の付属病院ですから、女性医師を育成することを大きな使命としており、より働きやすい環境を構築することに努めています。また、医療安全を第一に考えることを徹底しており、一層高いレベルを目指すべく、JCIの認証取得を目指しています。

高梨先生がいらっしゃる小児科についてはいかがですか。

地域のニーズが高い診療科ですので、我々としても頑張っているところです。2017年4月に第二病棟が完成し、小児科も増床になりました。小児系で一般病床74、PICU10、NICU・GCU37の計121床を有しています。病院全体で498床ですから、そのうちの121床となると、千葉県では有数の規模ですね。小児科医は後期研修医を含めて38人、小児外科医が5人いて、年間2700人の入院患者さんを診ています。また、18時から23時までのERはやちよ夜間小児急病センターと称し、八千代市医師会とともに診療にあたっています。ここにはいわゆる小児内科だけではなく、頭をぶつけて怪我をしたり、火傷や交通事故での外傷などの外科の患者さんも多いです。これを小児科医がファーストタッチしますので、様々な臨床経験を積むことができます。医師会の先生方も一次救急を診ますから、紹介や逆紹介にも繋がっています。

東京女子医科大学八千代医療センター小児科の後期研修プログラムで学べる特徴について、ご紹介くださいますか。

後期研修医は「小児科医は子どもの総合医である」という基本的姿勢にもとづいて3年間の研修を行いますが、その特徴は症例数が豊富であることです。特にERは北米スタイルですので、内科系のみならず、外科系の症例も多いです。病院としても救命救急センターに力を入れており、NICUとPICUを兼ね備えた施設になっていますので、重症の赤ちゃんから小児までを診ることができます。一方で、女性医師が働きやすい環境もあります。お子さんのいる女性医師が何人もいますし、家庭と両立できる体制をアシストしています。

東京女子医科大学八千代医療センター小児科での後期研修で、どのようなキャリアアップが望めますか。

当院は小児科はもちろんですが、NICUとPICUも自前で完備していますので、卒後6年目で小児科専門医を取ることができ、8年目で助教になります。千葉市立海浜病院や成田赤十字病院といった連携研修施設で研修することもできますし、関連研修施設も豊富です。地方にも関連施設があり、少数の医師で診ますので、自信をもって診療にあたれるようになります。関連施設以外の国内留学も可能です。病院ができてまだ11年目ですので、ようやく当院育ちの医師が戻ってくるようになりました。当院と他院を行ったり来たりの医師もいます。

カンファレンスについて、お聞かせください。

週に1回、朝7時30分から行っています。当院には川崎病や循環器を強みにしている医師がいますし、私は神経が専門ですので、それぞれの強みを出して、診断や治療を良くしようと努めています。また、医師と看護師によるカンファレンスが毎朝・夕に行われます。その日の患者さんの様子や治療経過、情報共有などを行っています。一方で、リハビリのスタッフ、ソーシャルワーカー、管理栄養士も含めた多職種カンファレンスも週1回あります。それから国立成育医療研究センター病院や埼玉県立こども病院などから専門の先生がいらっしゃり、症例検討会を兼ねたカンファレンスも不定期で行っています。

女性医師の働きやすさに関してはいかがでしょうか。

現在、3年目の後期研修医4人中3人、2年目の後期研修医3人中2人、1年目の後期研修医5人中3人が女性です。これまで後期研修中に出産した人もいますし、後期研修終了後の医師にも産前産後休暇や育児休暇をとった人がいます。本人の体調次第ではありますが、お母さん医師には時短勤務制度や当直免除があります。院内保育所もありますが、原則地域の保育所を使っています。当院は週に4日勤務でも常勤扱いですし、男性も含めて当直明けは休日です。これは女子医科大学の使命ですから、皆に理解していただいています。

先生が小児科を専攻されたのはどうしてですか。

私たちはストレート入局の時代ですが、私の祖父、伯父、伯母が小児科医でしたので、医師となると小児科かなという気持ちはありました。小児科に野球部の先輩が何人かいらしたことも理由かもしれません(笑)。クリニカルローテーションをしているときに、子どもの明るさに惹かれたということもあります。子どもが元気に退院していく姿を見て、前向きな姿勢になれる科だと思いましたね。

先生の研修医時代はいかがでしたか。

今みたいなワーク・ライフ・バランスはありませんでした(笑)。小児科に入局したのは私を含めて2人しかおらず、非常にタフな1年を過ごしました。当直も多く、連続36時間勤務という日もありましたが、楽しかったです。辛い中にも楽しいという感じですね。小児科は優しい医師ばかりなので、上下関係も温かかったです。

研修医に指導する際、心がけていらっしゃることはどんなことでしょうか。

今は昔のように医局に属する感覚がありませんので、基本は誉めて育てようと考えています。子どももそうですが、色々な経験を通して達成感を得てほしいです。医療は厳しいものだけれど、楽しくなければ育ちません。医師が多い病院ですと、指導医の判断を仰ぎがちになりますが、自分で考え、意見を言わせるようにしています。自分で考えて、調べて、指導医と相談する流れがシステマティックであればと思います。

研修医に対し、「これだけは言いたい」ということはどんなことでしょうか。

子どもたちの未来に繋がっていく医療をしてほしいです。小児科は明るく退院する子どもを見られるし、子どもの未来を作っていく遣り甲斐のある診療科です。

現在の臨床研修制度について、感想をお聞かせください。

私たちの頃を振り返ってみると、小児科しかやってこなかったことは不具合があります。私の研修医時代には小児外科は別の医局でしたから、内科のことしかできないんですね。
当院は外傷系の小児も小児科医がファーストタッチしますが、外科や皮膚科をスーパーローテートで回った若手の医師は軽い外傷などに対応できるんです。オールラウンドにできることは羨ましいです。一方で、小児科に興味がないまま、ローテートで回ってくる初期研修医にも小児科の魅力を伝えたいと思っています。

新専門医制度についてはいかがでしょう。

多くの科は2018年度からですが、小児科は学会の主導により、ほぼ同じシステムで既にスタートしていますので、違和感はありません。従来やってきたものに加え、専門医機構が入って変わったことは論文です。最低1編は書かないと専門医試験を受けられなくなりました。臨床の中で気づいた点をまとめていくことが求められますが、日本や世界の小児医療の中で足跡を残すことは医学者として必要なことでしょう。

これから後期研修の病院を選ぶ初期研修医にメッセージをお願いします。

東京女子医科大学八千代医療センターは開院11年目、約500床の病院です。救急医療、中でも周産期医療から小児科にかけての医療に特徴があります。小児科医として大事なのは多くの症例を経験することですが、当院の小児科には120床、年間2700人の入院患者さんがいらっしゃいます。スタッフも豊富ですし、他科との垣根も低いです。オールマイティな小児科医になれるはずですので、ぜひ見学にいらしてください。

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