指導医インタビュー

社会医療法人財団 池友会

新行橋病院

福岡県行橋市道場寺1411

名前
正久 康彦 指導医
院長、救命救急部主任部長
職歴経歴
昭和34年に山口県周防大島町で生まれる。昭和60年に宮崎大学を卒業後、宮崎大学病院に入局。平成2年に池友会の福岡和白病院で勤務する。平成9年に新行橋病院救急科に勤務する。平成20年に新行橋病院の院長就任。
学会等
日本外科学会専門医
日本救急医学会救急科専門医
日本救急医学会
日本臨床救急学会
日本腹部救急医学会
日本外傷学会
日本外科学会
日本胸部外科学会

3年前も先生にはインタビューをさせて頂きましたが、新行橋病院の特徴を教えてください。

やっぱり「断らない救急」をアピールしたいです。地域としては筑豊の田川や、大分県の中津や宇佐、耶馬渓などからも外傷や脳血管障害、心疾患などの重症患者がここ2~3年増えてきています。どこも救急医療が行き詰っているので、当院が幅広い範囲の救急医療を担っています。

地域の中核医療機関として、先生が院長として心がけている事を教えてください。

地域の中での医療連携を意識しています。開院当初は当院が一番になろうと言う意識もありましたが、今は地域で完結できるよう、医師会と協力しながら、急性期・回復期・地域包括ケア・慢性期・介護の面で病病連携、病診連携、病院と介護施設の連携を強化しています。医療圏内で当院が独り勝ちしても意味が無いので、それぞれの施設の専門性を活かして地域に住む皆さんに適切な医療を提供していけるよう努めています。働き方改革の影響で救急医療は厳しくなると思うので、ますます当院が担う役割は大きくなると思います。なので、他施設からの紹介も含めて、救急は断らないと言うスタンスは変えない方向にしようと思っています。

新行橋病院の研修の方針や、先生の教育理念についてお聞かせください。

指導する立場から何かを与えるのではなく、まず本人たちに「見て、自分で考えて、行動を決める」事をさせています。そのうえで、必ず上級医や専門医に相談する事を研修医たちに求めています。もちろん何か難しい手技をさせるにあたって私や上級医が必ず一緒にする様にしています。まず一緒にやって、その後本人にさせる時には必ずそばに付くようにしています。そのようにするのが一番スキルアップすると私は考えています。私は指導した研修医達が自分を超える医師になって欲しいと思っているので、自分が学んだ知識や経験を還元してあげたいと思っています。医師としてまっさらな状態の彼らを教えられるという事は有難い事だと思いますし、楽しいと感じています。

新行橋病院の方針として、救急に力を入れていらっしゃいますが、救急研修の特徴を教えてください。

救急科を回っている期間は2~3ヵ月なのですが、救急車で重症の患者や、心肺停止の患者が来た時には、内科を回っていようが外科を回っていようが、初期対応に参加出来る様にしています。当院では「内科を回っている時は内科だけ」というような縦割りには決してしておらず、救急研修期間以外でも、救急に携われる様にしています。なぜかと言うと、救急研修期間の2~3ヵ月だけ気管挿管などの救急処置をして、その後他の科を回っている間に救急に携わっていないと、スキルアップどころかゼロに戻ってしまいます。その為、私は2年間を通して段階的に挿管にしろ、縫合にしろ、全ての事を一人で出来る様にしてあげたいし、身につけさせています。当院を志望している人は「救急を学びたい」と思って来ているはずなので、出来るだけ症例に携わらせて、手技を経験させたいと考えています。

研修医に必要な事は何でしょうか。

いつも言っているのは「患者さんから学ぶ」という事です。つまり患者さんを選ばず、どんな患者さんでも診ようという事です。これは研修医や若手医師だけでなく、見学に来た医学生にも伝えています。患者さんから学ぼうと思わないと患者さんに入っていけません。近年、コミュニケーション不足と言う言葉が適切か分かりませんが、患者さんに入っていききれない人が増えた様に感じます。患者さんに入れないという事は、患者さんから何も情報が得られず、必要のない検査ばかりして適切な診断が出来なくなってしまいます。患者さんに入るには、患者さんとしっかり向き合う事が大事なのですが、どうしても多くの患者さんを診ていると、<自分 対 多数の患者>と言う図式が出来てしまいます。でも患者さんにとっては1対1なので、常に患者さんに対して1対1で向き合うようにして、患者さんから学んでいく事が何よりも重要な事だと思っています。

研修医にどのような医師になって欲しいですか。

先ほどもお伝えしたように、患者さんを選ばない医師、患者さんから学ぶ医師になって貰いたいです。その上で自分の能力を認識した上で、専門医や上の先生に進んで指導を仰ぐ姿勢が大事だと思います。正直2年間の研修を経て様々な事が出来るようになってからが危ないですよね。初期研修を経て、自分の能力を過信して自分だけで完結しようとすると不幸な事になるので、救急の現場で言えば、そこは必ず最初の30分の初期診断と治療に全力を注いで、それ以降は上級医にスムーズにコンサルできる若手医師になって貰いたいと思っています。どんなにスキルが身に付こうとも、自分の能力を過信する事無く、謙虚な気持ちを持って医療を提供できるようになって欲しいと願っています。

先生が指導する上で心がけていらっしゃる事はどのような事でしょうか。

常に相談しやすい環境を作る事は意識しています。あとは研修医の業務中の行動だけでなく、体調も気にする様にしています。例えば、遅刻した時も「なんで遅刻したのか」と叱責するのではなく、「体調が悪いのか」と聞くようにしています。それで紐解いてみると、「治療で失敗する夢を見て心配で眠れなかった。」という事がありました。私と彼らは親子ほど年齢が離れているので業務の事は気軽に相談できても、メンタル面の事は相談し辛いようなので、こちらから体調の事を気遣う様にしています。もちろん私も気にしますが、研修医のメンタルのケアは研修医担当の事務方が積極的に行ってくれています。

反対に先生が研修医から学ぶ事はありますか。

彼らから学ぶ事は多いですよ。私達指導する立場の人間は、どうしても経験すればする程、先入観が入ってしまうので、彼らの純粋さと言うか、まっさらな考えには気づかされる事も多いです。あと、研修医たちと毎週土曜日勉強会をしており、これはその週に何をしたのかフィードバックする場なのですが、その時の発表でも学ばされる事は多いです。あとこれは彼らから学ぶと言うのとはちょっと違うのですが、今の医療ってスコア化が著しいんですよね。面倒くさいと思うほどスコア化されていて、スコア化する事で大きなミスが起きなくなっています。これは、昔は無かったものなので、私達も一緒になって勉強しています。

研修医の受け入れ態勢や研修中のサポートで工夫されている事はありますか。

常に彼らの行動や体調管理が一番大事なので、勉強会だけでなく、様々なシーンで会話をする様にしています。上級医と上手く行ってないなと感じたら、本人と話をしてみて、その後指導医に指示を与えたりします。最近の子は結構ずばずば不満等も言ってくれるので分かりやすいと言えば分かりやすいです。昔の研修医はどうしても我慢してしまう子が多かったので・・・。分かりやすいけど「このやろう」と思う事もありますが(笑)。私や指導医だけでなく、看護師や検査技師も含めて病院全体で、研修医をサポートする風潮がこの新行橋病院にはあります。看護師なんかは「上級医の〇〇先生に相談してみてはどうですか」など、積極的にアドバイスしてくれているので、研修医も助かっているようです。

あとは1年目の研修医については毎日カルテをチェックするようにしています。カルテを見て今後の指導方針やどこを重点的に教えていけば良いのかカルテを通じて分かる事も多々あります。この年になると電子カルテを見るのも年々疲れてしまいますが・・・(苦笑)

新行橋病院の研修の良いところをお聞かせください。

昔であれば、「俺が指導しているところ」と答えていました(笑)。今は私が指導してきた研修医OB達が戻ってきて上級医になっているので、私のマインドを受け継いで、いつでも相談しやすい環境は整備されています。あとはこの病院で2年間色んな症例を見て経験しておけば、そんな怖い事は無くなると思います。ただその際も驕ることなく謙虚な気持ちを持っておけば、自分の専門分野でなくても、公共の場で有事の際には手を挙げられる医師になると思います。その為の症例はありますし、経験もさせてあげられます。このあたりが私から見て当院の良いところだと考えています。

指導されている中で嬉しかったエピソード等があれば教えてください。

研修期間中に嬉しかったというよりも、研修を終えた後にここで学んだ事が活かされたというエピソードを聞いた時が嬉しかったですね。自分が教えたことやここで学んだ事が自分の専門分野の枠を超えて、活かされたという事を聞いた時が教えていて良かったなと感じます。

医学生にメッセージをお願い致します。

2年間と言う間でどれくらい症例に携われるのかを意識して病院選びを行って貰いたいと思います。もちろん考え方は人それぞれだと思いますが、2年間はひたすら症例に携われる病院を選ぶのがオススメです。当院は少数精鋭で症例も多く、積極的に研修医にも手技を実践させます。もちろん我々指導医も全力でサポートするので、救急に興味がある方、症例を多くこなしたいと言う方はぜひ当院に見学に来てください。

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