指導医インタビュー

一般財団法人

倉敷成人病センター

岡山県倉敷市白楽町250

名前
相田哲史先生
職歴経歴
1993年に香川医科大学(現 香川大学)を卒業する。卒業後、岡山大学第三内科に入局し、高知県立中央病院で1年、その後の2年を姫路中央病院で研修する。1996年に岡山大学に戻り、病棟医を2年間勤め、4年間の研究生活を送る。2002年に尾道市民病院、2003年に倉敷成人病センターに勤務する。2005年に岡山大学病院に勤務する。2007年に倉敷成人病センターに勤務する。
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医、日本リウマチ学会専門医・指導医、岡山大学医学部医学科臨床教授など。

倉敷成人病センターの特徴をお聞かせください。

相田:

当院は269床の小規模から中規模の病院ですが、常勤医師数は86人と、病院の規模にしては比較的多くの医師がいます。それは、各科ごとに診療内容に特色を出して、診療にあたっているからです。当院の中で、全国的に有名なのは婦人科です。特に内視鏡手術に力を入れており、年間1600件以上の症例を手掛けております。そのため、全国から研修目的で来られている若手の先生方や専攻医の先生方が多くいらっしゃいます。また、分娩の件数も年間約1400件と多く、これは中国地方で随一の分娩数です。眼科は、特に網膜・硝子体疾患、黄斑疾患、緑内障などを積極的に診療し、岡山県西部から広島県東部にかけて幅広いエリアからの紹介患者さんを受け入れています。泌尿器科も多くの医師が在籍し、尿路結石治療、ロボット手術も含めた内視鏡手術、また最近では、骨盤臓器脱についても力を入れています。私がいるリウマチ科も岡山県下では古く、大学病院に続いて作られ、30数年の歴史があります。他にも、通常一般診療と併行して、小児神経や足の外科など、他の病院にはない診療に特色を出して診療にあたっています。

倉敷成人病センターの初期研修の特徴をお聞かせください。

相田:

初期研修医の定員が少なく(今年度まで3名、来年度から2名)、昔から少数精鋭の研修を行っています。少人数制の良いところは、プログラムにゆとりが持てる事です。まず半年から1年間のおおよその見通しを立てたプログラムを組み、その後、興味のある分野やこの科を強くしておかなければいけないというところを2年目のスケジュールに反映できるフレキシブルさが魅力かと思います。その事もあり自分のペースで研修できる点もよい事かと思います。研修医の方も多種多様で、大人数で、次々と決められた研修をこなしていくことが好きな人もいれば、黙々とマイペースでじっくりと研修したいという人もいると思います。当院はどちらかというと後者のタイプの方に合った病院ではないかと思います。また、指導側も、個々の要望、技量に合わせて研修をすすめるよう心がけていますし、研修医が少ない分、個々に細かく目がくばることができていると思います。
当院で研修された方の中には、婦人科、眼科とある程度専門性も見据えて、当院で初期研修を行った方もおられます。

先生がいらっしゃる科がリウマチ科の特徴をお聞かせください。

相田:

当科は、開設が30数年前と歴史的に古く、岡山県下にリウマチ疾患を専門としている施設が少ないことから診療をしております。現在も約1500人程度の通院数がありますが、岡山市内にもリウマチ科を持つ施設が増えたため、現在は県南西部を中心に、大病院よりも、よりプライマリに近い患者さんを中心に診療にあっています。リウマチ疾患の場合は、開業医から、難治あるいは重症な場合は、病院へ紹介という形が一般的ですが、当院を訪れる患者さんは、独自に探されて、自ら来院してくださる方も多いようです。つまり、当科は大病院と開業医の中間的な存在ということですね。ですから、発症して間もないリウマチ疾患患者も多く診る傾向にあります。また私どもは、小回りがきく当院の特徴を生かして、初期から治療をして、その先も長く当科で通院管理までさせていただいております。

先生の研修医時代はどのようにお過ごしでしたか。

相田:

私が研修を受けていた時代は、まず大学医局への入局が一般的でした。入局しますと、医局の指示に従い、3カ月ほど大学で初歩を習ったあとに、一般病院に研修に出ていきます。私は、1年間が大病院と2年間小病院という組み合わせで研修を行いました。大病院では、大学病院と同じような形で、スタッフの先生の下請けのような仕事が多かったのですが、小病院になると、自分が一人の医師として扱われますので、体験して、実践して、繰り返し経験していくという形で研修しました。今の研修医制度と違って、良かったのは何でも体験できたということと、一人で責任を持って体験することによって、身についたことが多かったことです。ただ、何も指導の方針がなく、不安な中で何とかやっていたので、そこに関しては今の先生方は恵まれていますね。

先生がリウマチ科に進まれたきっかけをお聞かせください。

相田:

岡山大学第三内科に入局したことが一番大きなきっかけでした。私は香川医科大学に進学ましたが、働くにあたっては岡山に戻る希望があったので、卒後の進路は岡山大学を選択しました。また、内科系の分野に進むことを決めていたので、縁あって現医局に入局しました。その後、将来は漠然と一般内科医になるつもりでおりましたが、大学での研究の際に免疫班に入ったことが、リウマチ疾患との出会いでした。その当時は生物学的製剤が出始め、リウマチの治療が次々に進化し、『治せる』時代に変化しつつあり、将来リウマチ科を専門とする後押しにもなりました。

先生が研修医に指導される際に気をつけていることをお聞かせください。

相田:

最近の研修医は、非常に優秀でまじめな方が多いという印象です。国試の内容も私たちの時代とは違ってとてもボリュームがあり、よく勉強されています。しかし、いかんせん試験対策の勉強なので、類推される用語から、病気を推定することは得意のようですが、いざ実際の患者さんを目の当たりにしたときに、何を聞き出して、どう診察・検査していくかを考える力は、経験不足もあり少し弱いように感じます。そこで、指導する際には、こちらからすぐ答えを与える事はせず、まず自分で考えてみるようにといつも言うようにしています。また、研修医の時代は手技などを行うと、良くも悪くも「達成感」があって、それに満足する傾向にありますが、行うことよりも、その前の準備が大切で、その手技の適応や禁忌事項、手技全体の過程と手順をよく勉強しておくように助言しています。そして、行ったあとにどこがいけなかったかというのを反省することですね。そういう振り返りこそが、大事なのだということを教えていくようにしています。

プログラム責任者として、指導するうえでのポリシーをお聞かせください。

相田:

考える姿勢を身につけさせるということが一番と考えています。こちらから全部与えるのではなく、自分で考えてほしいです。間違えていてもいいのですが、まず考えるということですね。指示がでないと動けないということではいけないので、初期研修期間から、自分で考えて動けるような人になってほしいです。

倉敷成人病センター独自の指導方針や工夫されている点について、お聞かせください。

相田:

研修医の数は少なく、少数精鋭で研修をしますが、医師数は多く、また同じ医局のフロアに大体の医師がおり、皆で研修医を育てていく環境が出来ている事かと思います。ローテートしている科の医師だけが面倒をみるわけではなく、様々な科の先生が医局で声をかけてくれるのは良い点かと思います。また救急診療に関しては、当院は小・中規模病院のため、数が限られまた重症例まで経験することは難しいため、救急研修は近隣の倉敷中央病院や川崎医科大学附属病院などで本格的な救急を学べるようなスケジュールづくりをしています。

指導するにあたって、初期研修医が苦労するだろうと思う点があれば、お聞かせください。

相田:

当院はスタッフの先生の年齢がさまざまでありますが、中間層が少ない傾向にあるので、年配の先生方に直接話しかけたり、相談したりするのは慣れるまでは敷居が高いようです。徐々に慣れるようですが、研修を始めた頃は、少しとっつきにくい感じのようです。

今まで指導してきた中で印象に残っている研修医がいらっしゃいましたら、お聞かせください。

相田:

今まで2人ほど、初期研修期間に海外で学会発表をした研修医がいます。私もまだ数回しか発表したことはないんですけどね。回っている科でちょうどよくチャンスがあったということもありますが、研修医のときから海外で学会発表という志向を持っているのはすごいですよね。個人的には自分が指導した研修医が学会発表をして、若手の演題の中で賞を取ったりすると、指導した甲斐があったなと思います。

研修医に対して、「これだけは言いたい」ということをお聞かせください。

相田:

何事も体験することが大事なので、よく考えたうえで自分なりに体験できることは体験した方がよいと思います。規制が多くてできないこともありますが、当院は比較的規制が緩い方かと思います。後ろに控える医師が必ずバックアップをしてくれますので、尻込みせずに手を挙げてもらえたらいいかなと思います。

倉敷成人病センターを巣立っていく研修医にはどんな医師になってほしいと思われますか。

相田:

我々がお手伝いできるのは初期研修期間と限られています。2年の間にプライマリケアを身につけることが最低限の目標ですが、3年目以降に一人前の医師として、ほかの病院で初期研修をした先生と比べて遜色ないようになってほしいということが本当のところです。また、それ以上に、当院での研修期間中に将来の方向性を見据えて、将来は突き進んでほしいと思います。

これから初期研修先を選ぶ学生に対して、メッセージをお願いします。

相田:

これだけ多くの研修病院があって、色々な選択肢がある中で自分に合った病院を決めるというのは、贅沢なようで非常に難しい問題かと思います。自分の性格や特性を考えて、自分が医師として3年目以降も自信が持てるようになる環境で初期研修が出来る病院を選ぶことをお勧めします。

最後に倉敷成人病センターのPRをお願いします。

相田:

当院は岡山県の県南西部にあり、周りには倉敷中央病院や川崎医科大学附属病院などの大病院が控える地区にある中、各科が特色を出し合って、診療しております。小/中規模病院ですが、初期研修の範囲は当院でも十分可能で、大病院とは違い、よりプライマリに近い環境の病院かと思います。岡山近隣で研修を考えている方で、少人数での研修を考えている方、また婦人科や眼科など当院の特徴ある科に将来興味がある方に、初期研修先として選んでいただければ幸いです。今は病院見学をするのもなかなか難しい時期ですが、興味あるようであれば、是非連絡いただけたらと思います。

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