指導医インタビュー

医療法人 沖縄徳洲会

湘南鎌倉総合病院

神奈川県鎌倉市岡本1370番1

名前
山上 浩 先生
湘南鎌倉総合病院救命救急センター長、指導医
職歴経歴
1979年に福井県福井市で生まれる。2003年に福井大学を卒業後、福井大学循環器内科学教室に入局し、福井大学医学部附属病院で研修を行う。2004年に舞鶴共済病院に勤務する。2006年に湘南鎌倉総合病院救急総合診療科に勤務する。2013年に湘南鎌倉総合病院救急総合診療科部長に就任する。2018年に湘南鎌倉総合病院救命救急センター長に就任する。
学会等
日本救急医学会指導医・専門医など。

湘南鎌倉総合病院の特徴をお聞かせください。

一言で言えば、病衣全体が救命救急センターだということです。一般的な救命救急センターでは30床ぐらいのベッドがあり、救急科の医師が入院から入院管理、退院まで担当することが多いのですが、当院はこれを病院全体が担っています。当院の救急総合診療科の医師は救命救急センターの外来を担当し、数多くの患者さんを受け入れ、専門的な治療が必要なときはそれぞれの専門の医師を呼びます。

山上先生がいらっしゃる救急総合診療科についてはいかがですか。

年齢、緊急度、重症度を問わず、また受診の時間も問わず、365日24時間の対応をしています。全ての症状に対して診療していることが特徴です。

湘南鎌倉総合病院の救急総合診療科専門研修プログラムで学べる特徴について、ご紹介くださいますか。

救急というと手術や重症管理に目が行きがちですが、そうした重症度の高い人の管理を間違いなく行えるようになるだけでなく、当院では一般的にマイナーエマージェンシーと言われるような症例も学べます。このプログラムの中で眼科研修や小児科研修なども行いますので、目や耳のトラブルなど、専門医でないと受け入れが難しい症状に対しても、きちんと評価できるようになるトレーニングが可能です。

湘南鎌倉総合病院救急総合診療科での専攻医研修でどのようなキャリアアップが望めますか。

救急総合診療科の専門研修は3年間、正式には4年間のプログラムとなっており、救急医としての基礎をつけます。プログラム終了後は若手の教育をするために、教育的立場となり、救急医として当院に残るのも選択肢の一つですし、集中治療専門医を取るためにICU研修をするのも一つのキャリアでしょう。救急総合診療科で学んだことは総合内科医や家庭医の仕事に通じるところもあります。どの診療科に行ったとしても、医師としての基本的な知識やスキルを身につけられることが当院のプログラムの魅力です。

カンファレンスについて、お聞かせください。

最近は新型コロナウイルスの影響で隔週になりましたが、それまでは週に1回、専攻医のオンザジョブトレーニングとして、業務としてカンファレンスでの勉強会を開催しています。そのほか、いくつかの専門診療科と月に1回ないしは週に1回ペースで勉強会を行い、症例を共有したり、お互いの反省すべきことを見出したりしています。

専攻医主体なのですね。

新型コロナウイルスで忙しくなる前はスタッフが1人、アテンディングスタッフとして、カンファレンスに出ていました。今は色々と業務が増えているため、スタッフは参加できていないのですが、基本的には専攻医がカンファレンスの内容を決めて準備し、進行も行っています。

女性医師の働きやすさに関してはいかがでしょうか。

当院の救命救急センターには5人の女性専攻医がいます。その中には育児短時間勤務制度で働いている人もいますし、かつては育児休暇を終えて戻ってきた人もいました。私は仕事とプライベートを両立させるにあたっては、女性に限らず、男性でも「この日は朝から働いたら夕方には家に帰れるんだ」という、終わりの見える働き方が大事だと思っています。救急総合診療科では3交代のシフトを組み、終わりの時間を明確にし、ある程度の残業はしますが、できるだけ早く上がれるようにしています。男性医師にも3カ月ほどの育児休暇を取った人がいますし、ライフスタイルに合わせたフレキシブルな働き方を提供することを意識しています。

先生が救急科を専攻されたのはどうしてですか。

私は内科、中でも循環器内科の医師を目指していたのですが、医師の仕事の中で心臓だけを診ていればいいという場面は非常に少ないです。舞鶴共済病院に勤務していたときに、医師として患者さんと向き合う場面は決して内科疾患だけではないということを痛感しました。骨折や子どもの発熱を診られないというのは医師としての挫折でしたね。そこで、湘南鎌倉総合病院で4年間の救急研修プログラムを受けることにしました。そのときはこのプログラムを終えたら、循環器内科医に戻ろうと考えていたんです。しかし、救急医として働いていくうちにシフトワークや救急医という仕事自体が私に向いていると気づき、循環器内科医に戻るのは止めて、当院でこの仕事を続けようと思いました。

湘南鎌倉総合病院での研修はいかがでしたか。

私の頃は今のような臨床研修制度がなく、ストレートに医局に入ったので、研修を受けたのは湘南鎌倉総合病院が初めてなんです。私自身が求めてきたことを勉強できているという意味では非常に充実していました。舞鶴共済病院で内科医として分からないことを皮膚科や小児科の外来で勉強させていただくわけにはいかなかったですし、そうした分からなかったこと、できなかったことを一定期間のローテートで学べるプログラムは良かったです。

湘南鎌倉総合病院に残られたのはどうしてですか。

この仕事が向いていると気づいたことに加え、私のような勉強をした医師、守備範囲の広い医師を多く作っていくことは大切だと考えたからです。後輩の育成という意味でも、当院に残る意味はありました。

研修医に指導する際、心がけていらっしゃることはどんなことでしょうか。

最終的な目標は誰でも変わらないものですが、4年後に何をしたいかということは人それぞれなので、そこは押しつけず、本人がしたいことを応援する姿勢で指導しています。どういうふうに教育するかに関してはその人に合わせることが大事なので、自分で自ら勉強できる専攻医には軽い軌道修正ぐらいですし、こちらから言わないと進まないような専攻医にはこまめに声をかけて、進捗を確認するスタイルをとっています。ただ、専攻医の数が非常に多いので、救急総合診療科ではチューター制にしており、1人のスタッフが4、5人の専攻医を担当し、日々の相談役を務めています。4年目の専攻医はチーフレジデントとして、専攻医のまとめ役なので、彼らが専攻医に近い立場でしっかり教育してくれています。チーム全体でお互いを教育するような感じですね。

研修医に対し、「これだけは言いたい」ということはどんなことでしょうか。

遅刻をするなということがまず挙げられます。それから救急隊やコメディカルスタッフに敬意を払えということです。「親しき仲にも礼儀あり」と言われるように、年下の人にも敬意を払うことも大切です。救急医は病院内の職種だけでなく、消防や警察を含め、色々な職種と関わり合いますので、上から目線で話をするのは人としての問題になります。謙虚に患者さんをマネジメントできるようになろうということですね。救急医の仕事はどうしてもお願いすることが多い仕事です。入院をお願いするときは内科や外科の医師が自分の業務を中断しても、救急外来に来てくれているのですから、そこにまずはお礼を言うべきですね。そういうことができないと、信頼は得られません。

初期研修医にはどのような指導をなさっているのですか。

当院は2カ月の救急研修に加え、内科、外科、小児科、産婦人科、精神科、離島研修などが必修です。救急を回っているとき以外でも月に4回の当直もあります。制度は変わっても、当院ではぶれずにやってきました。なぜぶれなかったのかというと、将来どの科に行くにしても、当院での初期研修が必ず役に立つと信じているからです。そこで、内科に行くと決めている人には病棟の患者さんが転んで、手をぶつけたときにレントゲンはどこを撮るべきか、脳神経外科の病棟で起こりうることといった、医師として判断できないといけないことを含め、将来を見据えた指導をしています。専門的な治療や薬の名前は日進月歩で変わるので、そういうことを覚えるよりは外来での患者さんの診方、診察の仕方、問診の取り方を学ぶことが重要です。したがって、外来により重点を置いて、医師としての基礎を身につけるように言っています。

現在の専門医制度について、感想をお聞かせください。

それぞれの病院がリクルートのためもあって、プログラム作成を頑張ったという意味では制度がなかった頃よりはそれぞれの病院の特色を打ち出せていると思います。自分たちの病院でカバーできないことをそれが得意な病院と連携を組めるのも良いですね。当院でも大学病院をはじめとして、複数の病院と連携を組ませていただき、これまで全く関わりがなかった病院から専攻医が来たりするようになりました。ある大学の救急科に入ったら、その近くの関連病院でしか研修できなかったのに、日本全国の病院で研修できるようになったのは大きいです。一方で、日本にどういう救急医が必要なのかという理想像が定まっていません。したがって、今はそれぞれの病院が自分たちが必要な救急医を養成するプログラムを作っているだけです。大学病院や三次救急の施設は重症をメインで診ていますし、当院のようなER型だと初期診療のプログラムに偏りがちです。施設ごとに自由にプログラムを作成した結果、それぞれのプログラムを終えた救急医が10年後に国が求めている救急医として働けているのかという懸念もあります。

初期研修の制度についてはいかがですか。

私は一定の評価はしています。外科は選択でいいとか、必修に戻そうといった迷走はありましたが、今後も初期研修ではこれを学ぶべきだというところを打ち出して、長い目で見て、どういう医師を育成すべきだという目線で研修制度を作っていくべきでしょう。

これから専攻医研修の病院を選ぶ初期研修医にメッセージをお願いします。

初期研修では専門的な治療や薬ではなく、患者さんとの応対の仕方、診断学を学ぶべきです。当院は非常に忙しいですが、2024年の働き方改革に向けて、時間外労働を削減しながら、しかし研修の機会を減らさないよう、効率的で忙しい研修を目指しています。そういう研修をしたい人にはお勧めの病院です。初期研修を行っているうちに将来の希望が変わることもありえます。私もかつては循環器内科志望でした。そうした専攻に関してはゆっくり考えるといいですよ。湘南鎌倉総合病院の専攻医プログラムでは10年後、15年後に必要とされる救急医を育てます。これから高齢者が増加することを踏まえ、守備範囲が広く、問題解決能力の高い医師を作ることを目指したプログラムです。救急医として働いていきたい人はもちろん、家庭医になりたいけれども急性期に強くなりたい人などにとっても実りある研修になるでしょう。多くの症例を診て、重症だけでない救急を学びたい人に向いています。

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