初期研修医インタビュー

市立岸和田市民病院

大阪府岸和田市額原町1001

名前 李 悠(り ゆう)研修医
出身地 和歌山県御坊市
出身大学 鳥取大学
医師免許取得年度 2016年
名前 西尾 尚記(にしお なおき)研修医
出身地 大阪府大阪狭山市
出身大学 和歌山県立医科大学
医師免許取得年度 2016年

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

李:

父が消化器外科医なので、幼い頃から何となく医師になりたいという気持ちはありました。ただ、父が働いている姿をほとんど見たことがなかったので、高校生の頃は迷いもありましたね。その頃、本を読み漁っていて、戦争や紛争に興味を持っていたんです。私の中では当時、医療はツールであるという考え方があり、紛争解決のために、医療をツールとして使えないかと思うようになりました。そして、医師という仕事は良くも悪くも影響力があり、地域を少しでも変えられるような存在になりたいと思い、医師を目指しました。高校3年のときに手術に入らせてもらったことも大きかったです。命に関わるような手術ではありませんでしたが、手術手技で人の命を救える職業は非常に尊いと感じました。

西尾:

私は生命という分野に漠然とした興味を抱いており、現役のときは農学部を受験したんです。でも失敗してしまい、浪人するとなったときに心機一転して、生命に繋がる医学を頑張ってみようと思いました。それで1年間の勉強を経て、医学部に受かったという形です。

学生生活ではどんなことが思い出に残っていますか。

李:

私は若く多感なうちに色んな世界を見たいという思いがあり、大学ではバリバリの体育会系の部活動には入らないでおこうと決めていました。長期の休みには毎回、社会問題が大きく取り沙汰されている国や、貧困がすさまじい途上国によく行っていましたね。22カ国を訪ねましたが、印象に残っているのはパキスタンとルワンダです。詳細は省きますが、1つの国を変えるには政治、教育、医療、経済、環境、宗教など、色々な分野で改善していかなければならないことをひしひしと感じました。また、途上国支援や国際保健、地域医療を学ぶサークルの部長も務めていました。勉学の方は全然でしたね(笑)。

西尾:

大学時代はボート部に所属していて、和歌山の紀の川でボートを漕いでいたんです。夏の大会に向けて1年間、頑張るという体制で、夏までは熱心に練習に取り組みますが、夏が終われば週に1、2回の練習になるので、自由な時間が多くできます。夏が終わった頃ぐらいから、ちょうどテストが入ったり、学校の行事で忙しくなってきたりもしましたが、その空いた時間に家庭教師や塾講師のアルバイトをしたり、長期休暇などがあれば国内外問わず、旅行に行ったりしていました。一番印象的だったのはカンボジアでしたね。

大学卒業後、大学病院ではなく、研修先を市立岸和田市民病院に決めた理由をお聞かせください。

李:

私は三次救急があり、プライマリケアに徹している病院を選んだのですが、マッチングで落ちてしまい(笑)、二次募集で当院に来ました。大学病院は今でも絶対に嫌ですね(笑)。大学病院は専門的な部分が強く、プライマリケアを学びづらいという印象がありますし、人的資源が多く、自分が必要とされているかどうか、成長できるかどうかを実感できないのではないかと思いました。少し厳しくても、必要とされる部分を感じたかったので、市中病院の方が良かったです。まあ結局は各々のモチベーション次第な気はしますが(笑)。

西尾:

初期研修での私の目標は二次救急をしっかりできるようになることでしたし、もともと市中病院で勉強したかったので、市中病院にしました。そこで、二次救急を多く経験でき、色々な科を回れる病院をいくつも見学に行きました。当院には6年生の4月と7月に見学に来たんです。救急を見学させてもらったのですが、コメディカルスタッフや事務のスタッフにとても優しく接していただきました。それまで見学したどの病院よりも雰囲気の良さを感じましたし、私の条件に合っていたので、当院を選びました。

初期研修1年目を終えてみて、いかがですか。

西尾:

私は救急をしっかりやりたかったので、6年生のときに初期研修医の先生について、救急を見学したんです。その先生がしっかりされていたので、私にできるのかという不安はありましたが、いざ救急を回ってみると、対応や検査、治療方針を決めていくなど、1年を過ごして、少しはできるようになったかなと思っています。大学病院だと1つの診療科に何人もの初期研修医が回るので、症例を振ってもらえないこともあるようですが、当院は原則的に1人で回りますので、その科についての勉強がじっくりできます。競い合いがなく、自分のペースで勉強でき、自分のペースで成長できています。

プログラムの自由度はいかがですか。

李:

柔軟に対応してくださるので、自由度は高いと思います。

西尾:

1年目は内科6カ月、外科2カ月、救急科2カ月、麻酔科1カ月、小児科と整形外科の選択で1カ月という形です。2年目は救急科と地域医療が1カ月ずつ、精神科、産婦人科がそれぞれ0.5カ月ずつで3カ月は決まっていますが、残りの9カ月は自分で自由にプログラムを組むことができるんです。1つの科に3カ月まで回れますし、自分が将来考えている科を長く回ったり、将来に関係のない科でも1カ月単位で取れたりするので、自由度は高いですね。

どういった診療科をローテートされていますか。

李:

内科全科を回れるのは当院の特徴です。私は血液内科、腫瘍内科、緩和ケアなど回りました。メジャーな内科は大体1カ月で、そのほかは2、3週間ですから、それぞれの期間は短くなってしまうのですが、今から思うと良かったです。

どのような姿勢で初期研修に取り組んでいらっしゃいますか。

李:

あまり人に頼らずに、自分で本を読んで勉強する姿勢を持ちたいです。何科に行くにせよ、初期研修では専門的な部分をあまり深めず、基礎的なことを絶対に身につけておきたいので、プライマリをしっかりと勉強したいですね。そして、患者さんに何かしらの利益というか、有益な形で診療ができたらいいなと思っています。

指導医の先生のご指導はいかがでしょうか。

李:

怖い先生が全くいないので、質問しやすいです。自分から質問をすると、きちんと答えてくださるので、何かを得ようと思えば得られますね。

西尾:

医局も一緒で、いつでも質問しやすい環境が整っています。

市立岸和田市民病院での初期研修で勉強になっていることはどんなことでしょう。

李:

コメディカルの人と仲良くさせてもらっているので、チーム医療がしやすいですね。1+1=2以上になるときがあります。

西尾:

珍しい手技などがあると、その科を回っている初期研修医が率先して呼ばれ、経験させていただけます。CVを入れるなどの手技の機会は豊富ですね。救急当直でも患者さんをファーストタッチで診ることができるので、幅広い患者さんがいる中で、どう対応していくかがすごく勉強になっています。基本的には救急車で来た患者さんを上の先生が診て、ウォークインの患者さんを初期研修医が診ます。日によって異なりますが、1日10人前後の患者さんを診ています。

何か失敗談はありますか。

李:

採血やルートなど手技的なミスは4月、5月はやはり多かったですね。ほかに大きな失敗は自分の中ではしていないと思うんですが、「報・連・相」が足りなかったことはあります。

西尾:

日常的な失敗では採血でしょうか。

当直の体制について、お聞かせください。

李:

平日の当直は初期研修医1人、内科当直の指導医1人、外科当直の指導医1人です。さらに、循環器科、産婦人科が1人ずつ常駐しています。病棟当直も含めて、そのメンバーでやるという形です。産婦人科の先生は基本的には産婦人科の患者さんしか診ないので、何か急変があれば、初期研修医、内科、外科、循環器の4人で対処しています。当直は月に3、4回程度ですね。

当直では、どんなことが勉強になっていますか。

李:

無数にあります。救急はもちろん勉強になりますが、苦しんでいる患者さんをいかに楽にしてあげるかとか、不愉快な思いをさせないかなど、人とのコミュニケーションという部分ですね。コミュニケーション次第で、その後の診療のあり方が大きく関わってきますから、そういうところが特に勉強になります。

西尾:

本当に幅広い患者さんがいらっしゃるんです。昨日もCPAになったウォークインの患者さんがいらっしゃいました。歩いてきたから大丈夫というわけではないですし、かと言って救急車で来たから重症というわけでもありません。ウォークインと救急車の差がないので、ウォークインの患者さんを初期研修医がファーストタッチできるのは色々な疾患を診るという意味で勉強になっています。

カンファレンスの雰囲気はいかがですか。

李:

カンファレンス自体は少し重い雰囲気の科が多いですが(笑)、研修医向けに優しくプレゼンをしていただいたり、逆にこちらがプレゼンでミスをしたからと言って怒る先生もいませんし、温かく見守ってくださいます。後でアドバイスをしてフィードバックしてくださるので助かっていますし、勉強になっています。

西尾:

カンファレンスは科によって違います。1つの科で行うカンファレンスもありますし、例えば呼吸器でしたら、呼吸器科、腫瘍内科、緩和ケア、呼吸器外科、放射線治療科の混合カンファレンスもあります。初期研修医が自分の患者さんの発表をすることもありますし、それに対して、上の先生が付け加えてくださったり、追加で発表されたりもします。そういう指導も勉強になりますね。

コメディカルの方たちとのコミュニケーションはいかがですか。

李:

仲の良い人とは個人的に飲みに行ったりしています。看護師の方たちも優しいですよ。ベテランの方が多いので、診療するうえでもかなり楽です。

西尾:

優しい方ばかりです。私たち研修医は救急の看護師さんと絡むことが多いんですが、皆さん、優しくて、コミュニケーションも取れているかなと思います。

研修医同士のコミュニケーションは活発ですか。

李:

2年目は5人いるんですが、皆、仲がいいです。医局の机も近くにありますし、すぐ集まって、医療とは全く関係ない話をしていますね(笑)。

今後のご予定をお聞かせください。

李:

昔から描いていた夢に歩み寄るかどうか、悩んでいるところです。学生時代に数多くのNGOなどを見てきましたが、どの国も現地のニーズに合った医療がなかなかできていないのが現状のような気がします。独善的な介入をしてしまっている団体が多い印象ですが、そうなるのであれば、第三者が介入しない方がその国や地域のためになるのかなと思うこともあります。しかし、そういうことをされている先輩方から「一緒にしようや」と誘っていただくこともありますので、迷いがあるんです。診療科としては外科系に進むことを考えています。

西尾:

今のところ、小児科を希望しています。後期研修の病院の見学にはまだ行っていないのですが、小児科系に強い病院を探したいです。小児科を考えている理由としては私自身がよくかかっていたので身近だということ、もちろん子どもがかわいいことですね。外来に子どもが来ると賑やかになりますし、看護師さんたちも和気あいあいとしていますので、そういう雰囲気もいいなと思っています。

ご趣味など、プライベートの過ごし方について教えてください。

李:

趣味はギター、ピアノ、読書です。読書も学生のときにはすごく読みましたが、研修医の最初の2年間は医学に徹しようと思っているので、医学書しか読まないと決めています。今の趣味はギターとピアノと飲み会ぐらいですね。学生のときは家が飲み会場だったので、常に家を開放していましたし、数えたら1年間に100回以上の飲み会をしていた年もあったほどです。私が外の飲み会から帰ったら、私の家で友達が勝手に酒盛りをしていることもありました(笑)。

西尾:

平日は家に帰ったら疲れ果てて寝ているだけですが、最近、ちょっといいロードバイクを買ったんです。まだ練習中ですが、次の日曜日には友達と和歌山まで行く予定です。今はロードバイクを極めていきたいという段階ですね(笑)。

現在の臨床研修制度に関して、ご意見をお願いします。

李:

昔の制度と比べると、恵まれている部分はありますね。モラトリアムが2年伸びたというのは有り難いですし、色々な診療科を回ることで、選択肢が増えます。初期研修医の自主性が伸びるという意味でも今の制度に不満はありません。

西尾:

色々な科を回れることに関してはとてもいいです。自分が考えている科だけをやり続けるのではなく、2年間で色々な科の考え方を学べます。内科系に行く医師が外科系の考え方を身につけるには絶好の機会ですから、多くの科を回れるのは良い制度だと思います。

最後に、これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

李:

いくつかの病院に見学に行くと、自分に合う病院に出会えます。自分がそこと決めて働くのであれば、文句を言わず、2年間をやり通してほしいです。進路が決まっていない人は選択肢を増やす意味で、大きな視野を持って過ごしてください。大学5年生ぐらいの段階で診療科を決めて入局したとしても、さらに面白いところが見つかるかもしれません。入局した先が意外に合わなかったという場合もあり得ますので、最後の最後までしっかり考えて、後悔のない選択をするべきですね。ほかの先生に迷惑がかかるかもしれませんが、途中でころっと変わってもいいのではないでしょうか。自分の人生なので、自分のやりたいことを見つけて、柔軟にやっていくのがいいと思います。

西尾:

どこの病院で働くにしても、結局は自分次第です。やろうと思えば、どこまでもやれますし、色々な先生と仲良くなれば、手技などでもいつでも呼んでもらえます。そういう環境を作れるかどうかもやる気次第なんです。やる気を持って、初期研修に取り組んでください。

市立岸和田市民病院からのメッセージもお願いします。

西尾:

救急をファーストタッチでこれだけやらせてもらえる病院は珍しいですから、二次救急をしっかりやりたい方にはかなりお勧めの病院だと思います。見学だけでも、気軽に来てください。

お気に入り