初期研修医インタビュー

長崎大学病院

長崎県長崎市坂本1丁目7番1号

名前 平野惟(ひらのゆい)先生
出身地 福岡県北九州市
出身大学 産業医科大学
医師免許取得年度 2017年

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

親が医師で、祖父母たちを助ける場面を何度か見たことがあり、影響を受けました。中学生の頃から医師を目指したいと思うようになりました。

学生生活ではどんなことが思い出に残っていますか。

バドミントン部に入っていて、運動しながら学業をするという忙しい生活ではありました。キャプテンも経験させていただきました。部活動の中で学んだことと座学で学んだことは種類が全く違うことだったので、振り返れば充実した生活だったと思っています。

産業医科大学を卒業後、研修先を産業医科大学病院ではなく、長崎大学病院に決めた理由をお聞かせください。

長崎大学病院のプログラムの自由度が高かったからです。それに、自分の大学以外の大学病院で働く機会はなかなかないのではと思ったのと、2年目の院外研修で地元の北九州の病院も回ることができるので、一度は外に出て勉強するのもいいかなと考え、長崎大学病院に決めました。

長崎大学病院に見学に来られたときの印象はいかがでしたか。

自分の出身大学ではない大学に行くということで、少しハードルの高さがあって、緊張しました。でも、他大学出身者がかなり多く、先生方も分け隔てなく、オープンな感じで迎えてくださったので、すごく雰囲気のいいところだなと思いました。

長崎大学病院での初期研修はイメージ通りですか。

予想以上に自由度が高く、1ヵ月ぐらい前でもローテーション予定の変更ができます。長崎大学出身者だったらもともと知っていることや「この科を回ると、その科に進むつもりがなくても勉強になる」などの情報を友達に聞きながら、「じゃあ、ここも回ろう」と変更をしたり、希望が出しやすいです。

どういった診療科をローテートされていますか。

「1年目は大学で」という予定でしたので、大学でしか学べなさそうな精神科やICUのほか、麻酔科も大学病院だったらほかの病院より重いものが診られると考え、選びました。それから救急、地域医療、呼吸器外科を回り、今は血液内科の1ヵ月目です。

院外での研修はありますか。

長崎大学病院の場合は月に1回あります。離島の上五島、島原、佐々など、少し離れた場所で地域医療をしている病院へ行き、新患の患者さんの初診をするのはとても勉強になっています。大学病院に来られる患者さんはある程度、情報があって来られる方が多いのですが、地域医療ではその情報を取るところから始めなくてはいけません。僻地に行けば行くほど、高齢者の方が多いので、お話の仕方一つにしても難しいことが多いです。でも、大学病院とはまた違った楽しみもあります。1人の指導医の先生が一緒に行ってくださるのですが、その先生が耳鼻咽喉科の専門であれば、外来も耳鼻咽喉科になったりします。そんなときに色々と教えていただけるのはすごく楽しいです。

どのような意識で初期研修に取り組んでいらっしゃいますか。

自分で「これ」と決めてかからないで、どの科でも真摯に向き合うのが大事だと思っています。将来、行かないかなという科でも学ぶことはあるはずなので、常にアンテナを張っています。自分の担当ではない方のカルテを見て、「どんな患者さんなのかな」と考えたりもします。今まで机の上でしか見えてなかったものが人として存在し、その人の生活史も見えるという経験は医師になって、カルテを触る段階にならないとできないことなので、「貪欲に頑張ろう」という感じです。

指導医の先生のご指導はいかがでしょうか。

現在、回っている血液内科の糸永先生はお忙しいのに、朝から患者さんについての私の具体的な意見をしっかり聞いてくださるし、「分からないことがあったら、いつでもどうぞ」という感じの先生です。血液内科は重症度が高い科ですが、私たちが感じている不安などを感じ取ってくださって、すごく良くしていただいています。ほったらかしにされている感じは全くないです(笑)。また、麻酔科は学生のときは触れる機会もなく、イメージが湧きにくかったのですが、回ってみたら楽しかったので、期間を延ばして、3ヵ月回りました。「臨床薬理学の実践バージョン」を分かりやすく教えてくださる先生もいて、勉強になったし、楽しかったです。どの科にも熱い先生がいらっしゃって、質問しやすい環境にあるので、どの科でも楽しいです。

長崎大学病院での初期研修で勉強になっていることはどんなことでしょう。

指導医の先生と一緒に患者さんへインフォームドコンセントを行うとき、「こういう治療を始めますよ」という説明を行った前と後では患者さんの気持ちの違いが少し分かるようになりました。慣れてきた患者さんは自分から話してくださるようになるので、そこでしっかり聞いて、理解するように努力しています。でも後々聞くと、少しずれがあったりするので、伝え方は難しいですね。患者さんが間違った思い込みをしないように確認することが日々の診療では大事なことなのだと学んでいます。

何か失敗談はありますか。

ほかの研修医も困ることかもしれないですが、大学病院だと、病棟にある程度の人数のコメディカルの方がいらっしゃるので、回り始めた科だと「この人に話しかけたいけど、名前が分からない」ということがよくあります。それで、仕事が進まなかったり、自分の名前を覚えてもらっていないので、コミュニケーションを取りづらく、どの科でも最初はつまずいてしまいます。また、プレゼンテーションやカンファレンスでは緊張していないつもりでも用意してきたことを全部言えなかったりもしました。声が自然に普段のトーンに戻ってくるので、聞き取りにくくならないように、頑張ってお腹に力を入れています。

血液内科のカンファレンスの雰囲気はいかがですか。

手前に教授、周りにほかの先生がいらっしゃるという形でカンファレンスが進んでいきますが、ピリピリはしていないです。私たちが発表しているときは教授が「この所見はこういうことを意味しているよね」と教えてくださいますし、私たちの発表が終わってからも「この患者さんのこの所見はこうだよ」と教えてくださったり、回診のときも「この患者さんは何の患者さんかな」と考えていたりすると、ほかの先生が「この患者さんはこうだよ」と教えてくださるので、「だからこういう所見を持っているのか」と気づけたり、本当にどこでも手取り足取り教えていただいています。

コメディカルの方たちとのコミュニケーションはいかがですか。

患者さんのことについて聞いたら、何でも教えてくださるので、積極的にコミュニケーションを取っています。夜中の経時で気になることがあったら、申し送りをした看護師さんを探して、「そのとき、どんな感じでしたか」と聞いたりしています。

研修医同士のコミュニケーションは活発ですか。

すごく居心地がいいです。忘年会や新年会なども企画されたりしています。忘年会は気づくのが遅くて、なかなか予定が合わなかったので、新年会にはと思って、参加しました(笑)。

今後のご予定をお聞かせください。

血液内科を2ヵ月回ったあと、呼吸器内科を2ヵ月回る予定です。来年も大学病院の予定です。長崎大学病院のいいところは自由度が高いところですが、地域医療研修も同様です。市中病院での地域医療研修は1ヵ月などの枠が決まっているところが多いです。でも、長崎大学病院では「地域医療研修に3ヵ月行きたいです」と言えば、必修の研修が終わっていたり、必修を十分に満たす可能性があるのなら、自由に行けます。私が1年目で行った地域医療研修は一般的な市中病院だったので、今後は離島や僻地の野戦病院的なところに行きたいと思っています。ある程度、研鑽を積んだうえで外部の病院に行くという形なので、2年目にフルで大学病院にいることはありません。

ご趣味など、プライベートの過ごし方について教えてください。

美味しいものを食べることです(笑)。学生時代は「花金」というものを意識したことがなく、半分休みみたいな時期もありました。でも働き出すと週末に向けて気分が上がっていくのが理解できます。私も「週末は美味しいものを食べたいな」と思うようになりました。普段も気分転換に料理をしていますので、それが趣味なのかもしれません。

現在の臨床研修制度に関して、ご意見をお願いします。

以前に比べ、必修科目が少なくなりました。私は自由度が少しでも高まるのはいいことだと思っています。進む道を決めている人が必修科目を回っている間に「ここも絶対に取りたい」という科が出てくることもあるでしょうし、人にはやはり向き不向きがあるので、外科がどうしても無理な人もいるでしょうから、自由度が高いと柔軟に研修できます。

最後にこれから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

病院見学はゆとりを持って、予定を立てましょう。見学は先方とのやり取りで決まりますので、申し込んでから1ヵ月以内に行くことは難しいし、直前に希望を出したりもできません。4年生の終わり頃から行く病院を定めつつ、5年生になる前の春休みに行けるところに行ってみましょう。遠方の病院が気になっている人は先に遠方の病院から行き、実習が忙しくなる5年生の間は近くの病院に行くといいです。実習が始まると、遠くの病院に行く余裕が時間的にも時期的にも難しくなります。私は当直の多い病院に見学に行ったら、「何時に起きて、病院に行くのか」、「ご飯はどんなふうに食べているのか」、「夜は何時ぐらいに帰るのか」、「平均の睡眠時間は」などと質問していました。働き始めると、自分が思っていた以上に体力がないことが分かるので、自分が働けるボーダーラインを探していくことが大切です。過激すぎて駄目になることもありますし、初期研修医に聞いて、その見極めをすることをお勧めします。
私は研修病院が出展するイベントにも参加しました。最初は病院を知らないですし、どんな人がいるのかも話を聞かないと分からないので参加したのですが、近畿地方や東北地方の病院のことも知ることができ、楽しかったです。私は5年生のときに行きましたが、もし4年生のときに行っていたら、病院選びのエリアをもう少し拡大していたかもしれません。エリアを限定しすぎず、希望条件の中で当てはまる病院を考えてみるのもいいのではないでしょうか。
見学にあたってはメールでの礼儀や服装などの一般常識を身につけましょう。これは学生時代にアルバイトをしているかどうかで変わってきます。アルバイトをすると、外の世界の人と話すようになりますが、アルバイトをしていなければ、医学生としか絡まなくなるから、違いが生まれるようです。見学ではそういった社会人の一歩手前の人間としての準備をしたうえで、積極性を見せていくといいと思います。

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