初期研修医インタビュー

JA広島厚生連

JA尾道総合病院

広島県尾道市平原1丁目10番23号

名前 田辺 裕雅(たなべ ひろまさ)先生
出身地 広島県尾道市
出身大学 ハンガリー国立ペーチ大学
医師免許取得年度 2017年度

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

父が医師だったこともありますが、逆に絶対に医師になりたくないという思いもあったんですね(笑)。父とは違うことをしたくて、医学部ではなく、日本の文系の大学を卒業し、アパレルなどの色々なアルバイトをしていました。そのうちに服を売るよりも人と深く接したくなり、医師の道に方向転換しました。もともと海外に興味があり、大学時代に6カ月でしたが、アメリカのシアトルに行ったことがあります。そこですごく勉強する人たちを見て、自分は遊んでいていいのかなと思ったりもしたんです(笑)。それでセカンドチャンスとして、今度はヨーロッパで学びたいと考え、ハンガリーの大学に行くことにしました。受験を決めてからは日本の予備校で物理や生物などを勉強し、半年後にテストを受けて、合格しました。入学後は勉強もしましたが、ヨーロッパはオンオフがはっきりしているので、オフになると、皆がハンガリーを出て、海外に行くんです。私はサーフィンなどを楽しんでいました(笑)。

ハンガリー国立ペーチ大学を卒業後、すぐに広島に戻ってこられたのですか。

そうです。卒業して、日本に戻ってから6カ月間、日本の医師国家試験のための予備校に通いました。

ハンガリーの医療は日本とどのように違いますか。

私はほかの病院を見たことがないので、詳しくは分からないのですが、日本だとCTを多く撮りますが、ハンガリーは医療資源が限られているので、どちらかというと身体診察をしっかりやって、CTはあまり撮らないですね。薬に関しても日本は新しい薬を積極的に使えますが、ハンガリーは新薬をあまり使えないという違いがあります。

ハンガリーにもかかりつけ医制度はありますか。

家庭医という制度があり、患者さんは最初は家庭医に行かなければいけないんです。家庭医で悪いものが見つかったら大学病院に送られるというシステムで、初めから大学病院には行けないようになっています。

ハンガリーでの学生生活ではどんなことが思い出に残っていますか。

授業は夕方5時ぐらいまでだったので、授業後は図書館に行って、勉強をしていました。週末には皆と飲みに行ったりしていましたね。スポーツも盛んで、日本と同じような部活動もあります。私はずっとバスケットボールをしていたので、ハンガリーでもしていました。夜遅い活動で、8時から12時ぐらいまでやっていました(笑)。夜に部活動をする人が多いのは日本と違いますね。

実習と実際に研修に入られてからの違いはありますか。

ハンガリーでは2年生で看護実習、3年生で外科実習、4年生で内科実習があり、6年生で残りの実習をします。卒業後に日本の国試の勉強をしていたときに、日本語だとイメージが湧きやすいので、日本語の文章を読みながら「こういう実習をしたな」、「こういうことだったのか」と振り返れたのは良かったです。実際に研修に入ってみて気づいたのはハンガリーは使用している器具が古いんですが、日本は最新の器具だということですね(笑)。

研修先をJA尾道総合病院に決めた理由をお聞かせください。

一番の理由は実家が尾道にあることです。土地勘のあるところだと落ち着いて勉強ができそうでした。日本でも実習したのですが、大きい病院でしたので、初期研修は大きい病院よりも中規模の方がいいなと思い、実家が近いこともあり、当院に決めました。

JA尾道総合病院での初期研修はイメージ通りですか。

イメージ通りにはいっていないです。実際に仕事をするとなると責任が違うことや、当直もあるので体調管理が大事だということが分かりました。

一度、社会人になられてから医学部に入られましたが、以前の仕事と医師の仕事とは違いますか。

薬一つ間違えても大変ですから、医師の仕事の方が強い責任がありますね。それまではサービス業でしたので、医療職とは話し方も違います。初期研修医なので、少し上に見られるような話し方をしています(笑)。

初期研修のプログラムの内容はいかがですか。

内科をしっかり6カ月やって、外科が1カ月、麻酔科が2カ月、救急総合診療が1カ月あります。外科が好きな人が多いため、外科のプログラムが充実しています。医学生でも外科志望の人がよく見学に来ていて、「外科がすごく良かった」と言っていますね。外科の先生方の面倒見も良いです。また、消化器内科にはアメリカのベストドクターに選ばれるような先生が2人いらっしゃいます。あまり垣根もなく、質問を積極的にしたら、答えてくださいます。

指導医の先生のご指導はいかがでしょうか。

先生のキャラクターにもよると思いますが、やる気を見せれば、丁寧に教えてくださいます。

何か失敗談はありますか。

仕事を的確にこなすことが難しく、毎日のように失敗しているかもしれないです(笑)。血管が全然出なかったのは手の縛りが悪かったからかとか、時間がかかり過ぎているからかとか、一つ一つ考えたらキリがないようなことですね。

当直の体制について、お聞かせください。

当直は月5回です。忙しいときとそうでないときがありますが、徐々に忙しくなっているので、救急をやりたい人にはいい病院だと思います。一次、二次、三次の軽めのものを診ているので、当直回数は希望を出せば増やせます。小児科当直も選べ、症例は多いです。

当直ではどのようなことが勉強になっていますか。

主訴が分かる患者さんはその主訴が鑑別できるように頭に入れておいたり、カルテを見て患者さんの疾患を確認したり、同じ症状の患者さんを診たら「多分これかな」と考えたりすることが勉強になります。

プログラムの自由度はいかがですか。

2年次の自由度は高いですね。自分のやりたいことが決まっている人は3カ月の間、それをすることもできます。必須なのは1カ月ずつの精神科と地域医療です。地域医療は尾道から船で1時間ぐらいの離島での研修と高齢者医療施設での研修が2週間ずつです。このほかは自由選択です。

カンファレンスの雰囲気はいかがですか。

内科は週に2回、カンファレンスがあります。月曜日は金曜日から日曜日までに入院した患者さんの状態を上の先生に報告します。入院患者さんの症例報告ですので、どこのカンファレンスとも変わらないと思います。その先生が何科の疾患なのか、何科に入院するのかを決めたり、なぜこういう疾患になったのかを指摘してくださいます。そこで以前に経験した症例と似たものが出てくると、こういうパターンなのかと分かったりもします。外科は症例のカンファレンスが毎日あります。早い日は7時半から、遅い日は8時からです。外科では毎回、画像が上がってくるので、画像の読み方や手術適応の判断等とても勉強になっています。

コメディカルの方たちとのコミュニケーションはいかがですか。

明るい方が多く、アシストしてくださる方もいるので、垣根が全然ないですね。一緒に飲みに行くこともあります。

ご趣味など、プライベートの過ごし方について、教えてください。

趣味は自転車です。尾道市内をグルグル回るぐらいですが(笑)。休みの日は自転車に乗って、なるべく体を動かすようにしています。

現在の臨床研修制度に関して、ご意見をお願いします。

私のように専門が決まっていない人には全体が見えたうえで好きな疾患で決めることができるので、良い制度だと思います。国によっては初期研修の時点で専門を決めておかないといけないし、国家試験の得点で入れるかどうかが決まります。台湾だと皮膚科が一番人気なので、非常に高い点を取らないと入れないみたいですが、ハンガリーだと皮膚科は人気がなかったりします(笑)。

JA尾道総合病院での初期研修で一番楽しいことはどんなことですか。

研修医同士がすごく仲が良く、一緒に旅行したりもするので、病院に行きたくないと心の底から思うことがありません。週末に来ている先輩も大勢いらっしゃり、上の先生方に相談しても、話を聞いてくださるし、学生が見学に来ても一緒に飲んだり、話ができたりします。見学は地元出身者や広島大学の学生が多いですが、沖縄や東京からも来ますよ。初期研修医にも神奈川県出身で東京の大学を卒業した人がいますし、田舎のイメージがありますが色々な人がいると思います(笑)。

最後に、これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

当院は地方の尾三地域の中核病院です。がん医療・救急・小児・周産期医療等、いいとこ取りの研修が可能です。尾道はご飯も美味しくて、交通渋滞もない環境ですから、集中して働けます。先輩後輩が一緒に飲みに行くこともあり、不安なことがあれば相談できます。私は1年目の4月の当直では全く分からないことばかりでしたが、2年目の先輩に質問や相談をして、アドバイスをいただいていました。先輩方がきちんと受け答えしてくださるので、一人で抱え込まなくてもいい病院です。

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