初期研修医インタビュー

医療法人 徳洲会

湘南藤沢徳洲会病院

神奈川県藤沢市辻堂神台1-5-1

名前 塚田 凪歩(なぎほ)研修医
出身地 石川県白山市
出身大学 産業医科大学
医師免許取得年度 2019年
名前 廣原 真芳 研修医
出身地 岡山県岡山市
出身大学 岡山大学
医師免許取得年度 2020年

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

廣原:

小さい頃に『ブラック・ジャック』を読んだのがきっかけです。それで、医師をかっこいい仕事だと思い、漠然と中学受験して、大学受験して医学部に入ったという感じです(笑)。しかし大学に入って、色々な経験をしていくにつれて、医師という仕事はとても良い職業なのだと分かってきました。

塚田:

私はスポーツ観戦が好きだったので、最初はスポーツトレーナーになりたいと思っていたのですが、やはり医師免許があった方がいいなと気づき、何となく医学部を目指し始めました。私の高校では医学部志望者は全員、医療研修というものを受けなくてはいけないんです。それで石川県の過疎地にある、医師が一人で診ているような診療所に行き、訪問診療を体験しました。そこで初めて聴診器を渡され、高齢のおばあちゃんの心臓の音を聞いたときに、人間の強さを感じたんです。そのときに改めて「医師として」人間に関わっていく仕事がしたいと考え、医学部を受験することにしました。

学生生活ではどんなことが思い出に残っていますか。

廣原:

部活動ですね。私はバレーボール部に入っていたのですが、多くのことを学びました。バレーボールは集団競技なので、後輩をいかに動かすのかなど、人との関わり方が重要です。部活動中心の毎日で、最後の西医体が終わったときは一つの人生を歩み切ったという感覚がありました。

塚田:

私は学内の部活動にも入っていましたが、学外の人たちと関わる機会が多くありました。その一つが国際医学生連盟で、100カ国以上の国の医学生とタンザニアで集まったことがあります。昼間は宗教や国交もふまえた熱い議論をして、ときには反発し合うこともあったのですが、夜に皆でステージに上がり、合唱したときには感動しました。世界中の医学生が頑張っていること、皆が集まるとこんなにも大きな力になることを実感しましたね。

大学卒業後、研修先を湘南藤沢徳洲会病院に決めた理由をお聞かせください。

廣原:

私は岡山市で育ったので、初期研修では関東に出たいと思っていました。そして、将来は心臓血管外科を志望しているので、専門に進むとおそらく救急や内科を診ることはないだろうと考え、救急が忙しい病院を探しました。でも救急が忙しくても、お給料をいただけないのも嫌でしたので、関東、忙しい病院、福利厚生で絞っていくと、当院ぐらいしかなかったです。東京都内にもそういう病院はありましたが、その病院は試験があったんですよ(笑)。

塚田:

正直だね(笑)。

廣原:

部活動を休んでまで見学回数を重ねたくなかったですしね。当院は面接試験だけでしたし、見学も回数を経る必要はなかったので、良かったです。

塚田:

細かいところは廣原と似ています。私は児童精神科を志望しているので、3年目以降は専門界隈の疾患しかほとんど診なくなります。しかし長い目で見ると、初期研修の2年間は一般的な臨床医として、どれぐらい広く経験できるのかを重視したいと思いました。私も関東の病院を漠然と探していましたが、救急が強い病院はいくつもあり、絞り切れずにいたんです。そこで見学を始めたところ、当院の雰囲気が断トツで良かったです。コメディカルのスタッフはもちろん、掃除のスタッフに至るまで、すれ違う人たちが皆、挨拶をしていたのが印象的で、忙しくても2年間やり切れる雰囲気作りができている病院なのだと分かり、当院に決めました。

湘南藤沢徳洲会病院に最初に見学に来られたときの印象はいかがでしたか。

廣原:

前評判として忙しい病院だというのは知っていましたが、見学に行くと、研修医の先生方が忙しい中でも笑っているんですよ。雰囲気が良いから、忙しくても笑える病院なんだなと思いました。

塚田:

分かります。私は初めての見学が当院で、忙しい病院だとは聞いていましたし、その後にほかの病院に行くと、当院が忙しいのは分かったのですが、救急の現場でも先生方が楽しそうなんですよ。疲弊している姿を見るとまずいなと思ったでしょうが、忙しいのに、皆が仲良く過ごしている雰囲気が良かったです。

湘南藤沢徳洲会病院での初期研修はイメージ通りですか。

廣原:

忙しいのはイメージ通りでしたが、こういう病院に来る人は変わっているところを持っているのか、皆と価値観が合うんです(笑)。皆が忙しいので、辛いことを共有しているという謎の仲間意識があります。皆と仲良く仕事できる環境は好きですし、当院に来て良かったです。

塚田:

救急にしろ、それ以外の診療科でも科によっては忙しく、学生時代までの自分の体力を過大評価していたようです。もう少しついていけるのかと考えていました。でも臨床研修センターの事務スタッフの方々に若くてフレンドリーな方が多く、研修医の愚痴聞き係になってくださっています。事務の方々から毎日おやつが出るのですが、金曜日はさらに豪華なおやつが出るのも楽しみです(笑)。それは研修医以外にも全ての医師に出されるのですが、そうしたサポートは見学では分からなかったことでした。勉強会も多くありますし、忙しいだけの病院ではなく、良い環境だと思います。

プログラムの特徴はどんな点でしょうか。

塚田:

ほかの病院よりも選択期間が短いことでしょうか。選択期間が長いことを売りにしている病院もありますが、それを望む人は当院には来ないと思います。自分が進みたい科を長く研修したい人なら、自由度の高い病院に行くでしょう。当院は1年目も2年目も選択期間が短く、デメリットな面もありますが、その分、総合内科などでジェネラルに学べる期間が長いので、自分の将来の科にかかわらず、総合的な力がつきやすいプログラムです。

廣原:

私はプログラムのことはあまり考えずに入ってきました(笑)。ただ、初期研修で心臓血管外科をしっかり学ぶことは望んでおらず、心臓血管外科以外のことができたらいいなと思っていました。

塚田:

どの診療科も一通り揃っていますし、精神科も外部の病院で研修できます。

プログラムの自由度はいかがですか。

塚田:

高くはないですね。

院外での研修はありますか。

塚田:

精神科は北里大学病院です。地域医療は奄美大島の名瀬徳洲会病院と山形県の新庄徳洲会病院から選べます。近隣のクリニックに行くだけの地域医療研修をする病院もありますが、当院では地方の病院に行けるので、まんべんなく研修できると思います。

どのような姿勢で初期研修に取り組んでいらっしゃいますか。

廣原:

当院の研修医は「一回やったらできるよね」という姿勢で育てられ、成長しています。私はまだ何をするにしても初めてのことばかりですが、次は自分がするんだという危機感を持って、色々なことに挑戦しています。

塚田:

当院は上の先生方も研修医もフルで働いていて、忙しい病院です。そのため、ゆっくり腰を据えて教えてもらってから、ではやってみましょうということは少ないです。現場の症例が多い分、研修医は自分で知識を補っていかないと現場のスピード感に追いつけず、飲まれてしまいます。自分の心に打ち勝って自学することがキーになりますね。忙しくて眠くても我慢して調べる、隙間時間に調べるようにしないと、帰宅すると寝てしまうし、あとでまとめて調べておこうでは間に合いません。常に何かを学び、すぐにその場で調べ、進んでいくことを心がけています。

指導医の先生のご指導はいかがでしょうか。

廣原:

皆さんキャラクターが違いますが、患者さんのためという気持ちが一番に来ている先生方だと思います。一つの同じものを共有している先生方なので、皆さん熱いですね。当院で研修して、そのまま残っていらっしゃる先生方が多いからかもしれません。

塚田:

熱い先生方は多いですね。研修医の先に患者さんがいらっしゃるんだという思いを感じます。当院は総合内科や救急で研修医を全面に出して、診療に当たらせてくださいます。だからこそ、患者さんに対して、不利益がなく、良い医療ができるようにといった指導です。比較的近い世代の先生方も熱く指導してくださっています。

湘南藤沢徳洲会病院での初期研修で勉強になっていることはどんなことでしょう。

廣原:

月日が経つのを忘れるぐらい一生懸命やっているので、到達度は分からないのですが、たまにほかの病院で研修をしている友達から連絡があると、当院では様々なことをさせていただけているのだなと思います。

塚田:

学生さんは色々な病院を見学されるので、よく見ていて、「先生たちは圧倒的にやっていますよ」と教えてくれます(笑)。当院では救急当直が常にありますし、その回数も多く、救急が大きなウエイトを占めます。初期研修医でも夜間に身体診察をして、診断をつけて、治療介入をしてというところまでをメインでしているのですが、上の先生から「何で、その診断なのか」とよく聞かれるんですね。研修医だからといって手加減せず、一人の医師として聞いてくださるので、そこまで研修医に求めてくださっているのだと思うのと同時に、それに応えられるようにしないといけません。大変ですが、入院なのか、ご帰宅なのかといった、患者さんの行く末に関する決断を迫られる経験を圧倒的に積んでいると思います。

何か失敗談はありますか。

塚田:

当院の指導医の先生方には社会人経験者や面白い経歴を持った方々がおられます。医師や医学生は一般的に常識がないとされていますが、私も数カ月前にある科で「患者さんのところを去るときのカーテンの閉め方が良くない」と注意されました(笑)。カーテンを閉めるときは患者さんがこちらを見ていなくても最後まで患者さんに視線を残さないといけないそうです。患者さんの靴を揃えたりなど、細かいところから患者さんとの関係性を作っていくと学び、それからは意識するようにしています。

廣原:

私の場合は救急の現場で指導医の先生に相談するときに、論理性のない診断や理由のない治療介入をしていたら、熱心に指導されます。

塚田:

研修医だからといって許されることではないですよね。中途半端な知識で間違ったことをすると、どうしてこういう診断をしたのか、こういうことが分かっていて、これをしているのかと言われます。こうしたエピソードなら、数え切れないほどあります(笑)。

当直の体制について、お聞かせください。

塚田:

月に6、7回あります。日曜日の昼間の当直や準夜勤を含めると月に10回ぐらいになりますね。体制は初期研修医の1年目2人、2年目2人の4人で、救急科の指導医の先生が1人つくか、つかないかです。つかない場合はオンコール体制になっています。

当直では、どんなことが勉強になっていますか。

廣原:

救急車が次々に来たときに、重要なタスクを判断して、優先順位をつけていくことです。一人一人の患者さんを丁寧に診るのも大切ですが、それだと4人では回らないので、色々な患者さんがいる中で判断していくことが求められます。

塚田:

1年目と2年目では役割が若干違うんです。1年目はメインで患者さんに向き合い、2年目が最終判断をします。患者さんがごった返して忙しいときにマネジメントするのが2年目です。1年目の研修医は忙しすぎてフリーズするときもあるので、「この患者さんはこうで、あの患者さんはこうで」といった把握をして、マネジメントする判断力を持つこと、冷静さを保って1年目を落ち着かせることが勉強になります。

カンファレンスの雰囲気はいかがですか。

廣原:

総合内科のカンファレンスでは専攻医の先生方がメインで教えてくださいます。専攻医の先生方もとても論理的で、思考過程を説明してくださるんですね。研修医が入院になった患者さんのプレゼンをしますが、「診断の根拠は」と尋ねてくださったり、「こう考えるといいのでは」と論理的に教えてくださるのが有り難いです。

塚田:

研修医が関わるカンファレンスとしては総合内科が中心です。内科系を回っている研修医が集まり、専攻医の先生方と朝と夕方にカンファレンスをしています。大学病院のカンファレンスは殺伐として、上の先生方しか話さないイメージがあります(笑)。しかし当院はプレゼンは緊張しますが、指導医の先生方との距離が近いので、いい学びの場となっています。指導医の先生方は「どう思う」「患者さんに何を聞きたい」など、皆で患者さんを診察しているという想定のもとに、プレゼンターだけでなく、一つの症例から学ぼうという雰囲気です。

コメディカルの方たちとのコミュニケーションはいかがですか。

廣原:

見学のときの雰囲気の良さで当院に決めたこともありますが、今も問題ないです(笑)。

塚田:

私はかなり仲良くしていただいています。コロナ禍になる前はコメディカルの方々と個人的に飲み会をしたり、私の家に看護師さんが4人来てホームパーティーをしたこともありました。認定看護師さんの中にアロママッサージの資格を持っている方が家に来てくれて、マッサージをしてくださったこともあります(笑)。救命救急士さんや薬剤師さんの飲み会に呼ばれたこともありますし、去年産婦人科を回ったときは助産師さんと仲良くなりました。今、産婦人科と同じフロアの小児科を回っているのですが、「戻ってきたんですね」と歓迎していただいています。私が児童精神科志望ということもご存じなので、「先生が興味ありそうな症例が外来に来ましたよ」と教えてくださったりもしますね。

研修医同士のコミュニケーションは活発ですか。

廣原:

同じ考え方を持っている人が集まっているので、仲はいいですよ。忙しい病院だと分かってきているので、キャラクターが近く、一体感があります。同期は私を含めて、15人います。

塚田:

私の学年も最初は15人でしたが、今は13人です。2人は忙しくてドロップアウトしたわけではなく、家庭の事情があり、違う病院に移らざるをえなくなりました。コミュニケーションは活発ですね。

寮もありますか。

塚田:

寮はありません。病院から徒歩10分から15分ぐらいの圏内に好きな物件を見つけて借り、病院から家賃補助をいただきます。月に5万円まで補助がありますし、このあたりは開発途中の街なので、かなりいい物件がありますよ。

今後のご予定をお聞かせください。

廣原:

私は心臓血管外科を考えています。母校の岡山大学病院は心臓血管外科が有名ですが、私は子どもの心臓を診たいと思っているので、今はまだ見通しが立っていません。ただ当院の心臓血管外科に子どもの心臓を診ていた先生がいらっしゃるので、その先生にも伺いながら決めていきたいです。

塚田:

私は産業医科大学の精神科医局に入局しているので、来年からの専門医研修では本来なら大学病院に戻らなくてはいけません。ただ新専門医制度の関係で、ほかの病院で研修しても良いことになったので、医局で児童精神科を専門にしていらっしゃる先生が勧めてくださった静岡県立こころの医療センターで児童精神科を研修します。大学と静岡県立こころの医療センターが共同でプログラムを組んでくださいました。

塚田先生はいつから児童精神科を目指していらっしゃるのですか。

塚田:

大学6年生の終わり頃です。もともと子どもに関わりたいという希望はあって、小児外科や産婦人科を考えていたのですが、大学でのポリクリで児童精神科の先生と出会って、夕方から話し始めたら5時間ぐらい経っていました。私の中では将来は臨床医をばりばりやっていくイメージで、精神科は選択肢になかったんです。でも子どもに興味があったので、先生とプライベートなことも話しているうちに、「自分の人生を含めて、子ども時代のことが分かる医師は少ないから、児童精神科をやった方がいい」と言われました。私が精神科はないなと蓋をしていたところをこじ開けてもらった感じです。向いているのではと気づかせていただいて、児童精神科だと決めました。

ご趣味など、プライベートの過ごし方について教えてください。

廣原:

山登りが好きなんです。好きになったのは卒業旅行がきっかけなので、最近なのですが、月に1回は登っています。岡山には山がほとんどなかったのですが、関東は日本アルプスが近いので、百名山を少しずつ登っているところです。最近は剣岳を登りました。夏山が終わってしまったので、11月に雪山に挑戦しようと思っています。

塚田:

行方不明にならないでよ(笑)。

廣原:

ガイドさんをつけるので大丈夫です(笑)。

塚田:

私は食器集めが好きです。洋食器でも和食器でも、シンプルかつ変わったものを買っています。和食器なら波佐見焼が好きですが、コロナ禍の前には多治見に買いに行くこともありました。最近はオンラインショッピングをしています。食器を使いたいがために、料理もしています(笑)。ほかに好きなものはフィルムカメラです。小学生の頃に写ルンですが流行りましたが、今も持ち歩いていて、少しずつ撮っては27枚撮り終わると現像に出しています。それからレコードも好きで、尾道や南米といった旅行先で買ったレコードを大事にしています。去年レコードプレーヤーも買いました。

現在の臨床研修制度に関して、ご意見をお願いします。

塚田:

当院はこの制度が始まる前からスーパーローテートを取り入れているので、世の中の方が当院に追いついてきたと言われています(笑)。だからこそ、当院は選択期間が短かったり、救急をしっかり学べるなど、その理念を体現しています。それを分かっている人たちが選んでいる病院なのだと思います。

廣原:

私はスーパーローテートなどはよく分かっていなかったのですが、結果として、当院で研修できて良かったです。

最後に、これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

廣原:

病院見学から病院を選ぶまでは悩むと思いますが、ここは譲れないというものに関して一番優れている病院にすれば、悩まずに済みます。私は譲れないことは「忙しいこと」でした。それに「関東」と「福利厚生」を付け加えたら当院しかなかったので、当院に決めました。

塚田:

当院はそこまで有名な病院ではありません。医学生の中ではいわゆるブランド病院や前評判の高い病院の話をしていると思いますが、結局は自分に合うかどうかです。その病院の噂やブランドイメージではなく、廣原が言っていた「譲れないもの」や自分がどういう環境なら成長できるのかという観点を持ちましょう。皆がいい病院と言ったからといって、自分にとってもいい病院とは限りません。それには自分の性格や人格を知ることが大事です。

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